太田述正コラム#8241(2016.2.27)
<皆さんとディスカッション(続x2916)>
<太田>(ツイッターより)
 「思いやりのある米軍兵士、武装ヘリを一部取り壊して子猫を救助…」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0226/c94659-9022053.html?urlpage=0#gq
 この子猫、飛び切りキャッワイーけど、なんでこんな話をわざわざ日本語版に載せたのかねえ。
 習ちゃんは、中共は米軍、ひいては米国と実は仲いいと思わせ、日本に米離れを促してる?
<UtK/jisc>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 アンテナ低いんで知らなかったけど今話題になってるんですってね↓
 保育園落ちた日本死ね!!!
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759
 保育園の第一志望受かったけどやっぱり日本死ね
http://anond.hatelabo.jp/20160218153103
 あ、ちなみに落ちた人と受かった人は別人・・・って言わなくても解るか。
 「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由
http://bylines.news.yahoo.co.jp/komazakihiroki/20160217-00054487/
 「保育園落ちた日本死ね!!!」でググったら本当に色んな話が出てきた。
 こんなに盛り上がってたのに全然知らなんだよ。
<gFEE9x9g>(同上)
 「東電社員に報酬」 原発賠償金詐取巡り、被告が証言・・・
 NPO法人の代表は久間章生・元防衛相で、この会社の代理で損害賠償を請求していた。」
http://www.asahi.com/articles/ASJ2W34YDJ2WUTIL003.html
 不祥事いっぱいで勲章ももらってんだね。
 この年代ロクなやつおらんな。
<Py/clioQ>(同上)
 「共和党の方が、リベラルで双極性障害的な民主党よりまし」という説に納得するものですが、リベラルの権化のようなサンダースはおぞましくはないですか。
 片方の極に振れ過ぎていて。
 キブツにいたとか知ると余計に恐ろしい。
 反対にトランプは日に日に尊敬できるような気がしてきました。
 この記事↓によると、中間層に減税することも公約にしているようですね。
http://blogos.com/article/162577/
 ただこの記事では、中間層への減税も「最悪のシナリオ」のひとつになってるのが、どういう訳なのかよくわかりませんが。
 メキシコ移民の取り締まり強化も、人間主義的な行為とならなくもないですし。
 移民を不法滞在の低賃金労働者として非人のように扱うのをやめることにつながるのなら。
 それはともかく、太田さんはなぜサンダースを支持しているのですか?
 共産主義は、神様といわないだけでユダヤ・キリスト教の論理とほとんどそっくりそのままなのに、
 なぜ(人間主義的なもの)コラム#8214などというのですか?
<太田>
 まず、ファクトから行きますが、トランプの外交、経済等の「政策」は、共和党の大枠の中ではあっても、サンダースのそれとかなりよく似ています。(コラム#8237、8239)
 どこが違うかと言えば、トランプは偏見の塊(人種主義者)なのにサンダースはそうではない、という点です。(同上)
 ここから先は、私の見解ですが、トランプは「ファシスト(≒人種主義者)だが孤立主義者」であって、タテマエはともかくホンネでは、(どちらもカトリック棄教者たる)ムッソリーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%83%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B
やヒトラー
https://en.wikipedia.org/wiki/Religious_views_of_Adolf_Hitler
がそうであったように無神論者である、と私は見ています。
 (ムッソリーニやヒトラーは孤立主義どころか侵略主義的でしたがね。
 ちなみに、トランプは、キリスト教の宗派も必ずしもはっきりしていませんし、行きつけの教会もなさそうですし、聖書の好きな文句を一つも引用できない、という輩です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Donald_Trump )
 他方、サンダースは、「人種主義者ではない孤立主義者」であって、宗教的には、マルクス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9
同様、ユダヤ教棄教者たる無神論者
https://en.wikipedia.org/wiki/Bernie_Sanders
なので、キリスト教の、名実とも、或いは「実」、における棄教者ではあってもキリスト教の論理に無意識的に拘束されているところの、リベラルキリスト教徒ではありえません。
 (ユダヤ教とキリスト教の違いには、ここでは立ち入りません。)
 その一つの裏付けですが、彼は、これまで、ほぼ「政策」にブレがありません。(コラム#省略)
 で、ここで注意を喚起したいのは、私のマルクス及び毛沢東に対する評価がこの2~3年で肯定的なものへと大幅に変化した、ということです。
 要するに、マルクスは、正しくも、工業化以降の社会における人間主義への回帰を追求しようとしたものの、その手段は、(少なくとも「後進国」においては)前衛党の独裁によるところの、経済発展なのである、という誤った提唱を行ったのに対し、毛沢東は、前衛党による独裁という点ではマルクスに依拠しつつも、(数千万人の人民を死に追いやるという累次の愚かな試行錯誤を経て、最終的に、)最晩年において、経済発展ならぬ日本文明の総体的継受、という正しい手段に到達した、と私は認識するようになったわけです。
 そんな私が、(重要産業再国有化を唱えるアナクロである点は評価しませんが、)イギリスから(医療を除き)人間主義的な要素を削ぎ落としてしまったところの、サッチャリズム、の廃棄を唱えていると言ってよい英労働党首のコービン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3
にシンパシーを覚えるとともに、経済、とりわけworkplace democracy・・職場における民主主義の実現・・を志向しているところの、私見では、日本型政治経済体制、ひいては人間主義社会、の実現を志向しているところの、サンダース(前掲サンダースのウィキ)を支持するのは当然です。
 (ちなみに、彼が、若い頃、キブツ体験をしたのは、そのユダヤ教的側面ではなく、社会主義的側面に関心があったからである(同上)ところ、マルクスの上述の意図はもちろん、イスラエルにおけるキブツの発想についても、私は、人間主義的なイギリス(の人間主義的側面)からヒントを得ている、と見ているところです。(コラム#省略)) 
 すぐには飲み込めないかもしれませんね。ご質問あらばどうぞ。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 偶発債務問題への二つの見方。↓
 <一、シャープ側陰謀説。↓>
 「シャープの偶発債務??・・・」
http://blogos.com/article/163117/
 <二、鴻海側陰謀説。↓>
http://news.livedoor.com/article/detail/11229466/
 <スクープ打った毎日が、とりあえず、その直前までの経過を詳報している。↓>
http://mainichi.jp/articles/20160226/ddm/003/020/162000c 以下
 どうせ、我が外務省は、大して何も考えてないんだろ。↓
 「パレスチナ議長訪日の舞台裏・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASJ2R7DNLJ2RUHBI022.html?rm=220
 研究者としての能力も努力もこれだけお粗末だった人物が、これほど「活躍」できたとはねえ。↓
 「小保方氏らの論文撤回 英科学誌「元データ確認できず」・・・
論文はSTAP細胞とは関係がなく、マウスに細胞シートを移植する方法を示す内容。東京女子医大の岡野光夫・日本再生医療学会前理事長ら3人が共同著者になっている。小保方氏以外の3人から撤回の申し出があったが、小保方氏とは連絡がとれなかったという。」
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e5%b0%8f%e4%bf%9d%e6%96%b9%e6%b0%8f%e3%82%89%e3%81%ae%e8%ab%96%e6%96%87%e6%92%a4%e5%9b%9e-%e8%8b%b1%e7%a7%91%e5%ad%a6%e8%aa%8c%e3%80%8c%e5%85%83%e3%83%87%e3%83%bc%e3%82%bf%e7%a2%ba%e8%aa%8d%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%81%9a%e3%80%8d/ar-BBq2ZoD?ocid=iehp
 何度でも言うけど、評価基準が歪んでるから、日本がこんな「低」評価になるんだよ。↓
 「「世界最高の国ランキング」日本アジアトップの7位 韓国が中国より下位 ・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%9C%80%E9%AB%98%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%80%8D%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE6%E4%BD%8D-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%82%88%E3%82%8A%E4%B8%8B%E4%BD%8D/ar-BBpJmFL#page=2
 それでは、米大統領予備選小特集だ。↓
 <大衆の「中核」であるところの、キリスト教原理主義(福音主義者)達は、トランプに鼻をつまみながらも、今度こそは勝ち馬に乗りたい、と、既に、なだれをうってトランプ支持へ。↓>
 Evangelical Christians are so sick of losing that they’re voting for Trump・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/evangelical-christians-are-so-sick-of-losing-that-theyre-voting-for-trump/2016/02/26/d0efa184-da39-11e5-925f-1d10062cc82d_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-f%3Ahomepage%2Fstory
 <遅れに遅れて、鼻が利く、共和党指導層もトランプ支持を表明し始めた。↓>
 Why Christie Endorsed Trump・・・
http://www.slate.com/blogs/the_slatest/2016/02/26/chris_christie_s_trump_endorsement_explained.html
 4 reasons Chris Christie endorsed Donald Trump
https://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2016/02/26/4-reasons-why-chris-christie-endorsed-donald-trump/?hpid=hp_hp-top-table-main_fix-4reasons-327pm%3Ahomepage%2Fstory
 <既に、トランプとクリントンの一騎打ちを所与のものとし、両者が透明性を欠いている点で共通している、と批判したコラムだ。↓>
 What Trump and Clinton have in common: A resistance to transparency・・・
 <トランプは納税申告書の開示を、クリントンは、ウォール街大会社に対して高額謝金をもらって行った「講演」内容の開示を、行おうとしない、と。↓>
 The current campaign features two parallel arguments over transparency — on the Republican side, Donald Trump’s tax returns; on the Democratic side, transcripts of Clinton’s paid speeches. ・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/what-trump-and-clinton-have-in-common-a-resistance-to-transparency/2016/02/26/c72f8634-dcb7-11e5-891a-4ed04f4213e8_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-b%3Ahomepage%2Fstory
 <クリントンは黒人、トランプは白人下層、が顧客であり、いわば、黒白対決だとさ。↓>
 Clinton and Trump’s black-and-white politics・・・
 If Donald Trump speaks for disenfranchised whites, Hillary Clinton speaks mostly to blacks who feel the same.・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/clinton-and-trumps-black-and-white-politics/2016/02/26/b626084e-dcd6-11e5-925f-1d10062cc82d_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-e%3Ahomepage%2Fstory
 アップルは、米国政府には顧客のプライバシーを守る、と抵抗しながら、中共政府には言うことをヘイヘイと聞いて大儲けしている、とさ。↓
 While it defies U.S. government, Apple abides by China’s orders — and reaps big rewards・・・
http://www.latimes.com/business/technology/la-fi-apple-china-20160226-story.html
 シュピーゲル、この種のコラム載っけるの、遅きに失したのでは?↓
 Opinion: Merkel’s Humane Refugee Policies Have Failed・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/the-limits-of-humanity-merkel-refugee-policies-have-failed-a-1079455.html
 ブッシュ前大統領は、ものすごーく頭が良くって有能だった、と元側近で現在スタンフォードビジネススクールの教授が証言している部分がチョーオモロイ。↓
https://www.quora.com/How-intelligent-is-George-W-Bush#ans1235400
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 一人題名のない音楽会です。
 庄司紗矢香の2回目(最終回)です。
 年代順に並べました。
 結構な分量になってしまったので、一度に掲載すべきかどうか迷ったのですが・・。
Schubert Piano Trio No.2, Op.100, D.929(1827年)(注) +Tatjana Vassiljeva, Jean-Frederic Neuburger 珍しくも(こう呼んでいいのかどうか知らないが)パンタロン姿、しかも脚を大きく広げた姿、の庄司が・・。
https://www.youtube.com/watch?v=dP10-mZRCjg
(注)第2楽章は有名であり、[スタンレー・キューブリック監督の映画『バリー・リンドン』(1975年)等多数の映画やTVシリーズで使用されてきた。]「主題は、シューベルトが1827年にウィーンで耳にした「太陽は沈み[(See, the sun is sinking)]」というスウェーデンの民謡に基づいて書かれている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%B8%89%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88)
https://en.wikipedia.org/wiki/Piano_Trio_No._2_(Schubert) ([]内)
https://www.youtube.com/watch?v=KkJZOxqB-qk ←『バリー・リンドン』キスシーン。
https://www.youtube.com/watch?v=2KYf9Le0Hdw ←『バリー・リンドン』フィナーレ。
Mendelssohn Piano Trio No.1, Op.49(1839年)(注), 3rd mvt.  以下、同上。以下の曲目の大部分は座っての演奏だが、スカートの時は脚を閉じている。装い方によって演奏(仕事)時のスタイルがこれほど異なってしまう、というのは、演奏している時に限らぬ、女性の性(さが)ということだろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=_614nAQOcl0
(注)この曲を評論した際に、シューマンは、メンデルスゾーンを、「19世紀のモーツァルト・・・」と絶賛した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Piano_Trio_No._1_(Mendelssohn)
Mahler Piano Quartet in A minor(1876年初演)(注)(コラム#7709) +L. Marfaing, H. Demarquette, J. Gilad
https://www.youtube.com/watch?v=aI8kqgF3O9k
(注)第一楽章のみ作曲された。マーラーの現存する唯一の室内楽。
https://en.wikipedia.org/wiki/Piano_Quartet_(Mahler)
Brahms Piano Trio No.3 in C minor, Op.101(1886年) +Henri Demarquette, Jonathan Gilad
https://www.youtube.com/watch?v=l1vKVitUbtU
Brahms Double Concerto in A minor, Op.102(1887年)(注)(コラム#5335、6450(F)。コラム#7807(S)) +Tatjana Vassiljeva 指揮:Kazuki Yamada オケ:Ural Philharmonic Orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=j1F4ccM75nc
(注)「当時、ブラームスは数十年来の友人であり著名なヴァイオリニストでもあったヨーゼフ・ヨアヒムと不仲となっていた。原因は、妻アマーリエの不倫を疑い離婚したヨアヒムに対してアマーリエを擁護するためにしたためた手紙が、ヨアヒムの離婚訴訟にアマーリエ側の証拠品として提出されたことだった。和解のきっかけを作るため、ブラームスは相互の硬化した感情を、ヨアヒムの意見を求めながら作曲して軟化させようと目論んだことが、交響曲から協奏曲に変えた理由であった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%BA%8C%E9%87%8D%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)
(完)
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太田述正コラム#8242(2016.2.27)
<無神論の起源(その9)>
→非公開