太田述正コラム#8536(2016.8.9)
<皆さんとディスカッション(続x3064)>
<太田>(ツイッターより)
 「…アマゾンジャパン…が同社の通販サイトに出品する事業者に対し、他社の通販サイトよりも有利になるような条件付きでの取引を求めた疑いがあるとして、公正取引委員会から独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査を受けていた…」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05802850Y6A800C1CC0000/?dg=1
 これかなり深刻な話だと思うんだが、私的には、「同社は株式会社として設立され、今年5月に合同会社に移行」というくだりに愕然。
 合同会社って既に2006年に導入されてる会社形態だ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E5%90%8C%E4%BC%9A%E7%A4%BE
っちゅうのに、そのこと知らなかったんだもんな。
 トシを感じるだ。
<七氏>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 <RuxwSAPクン(コラム#6534)へ。>
 人類の精神性として、
◆狩猟採集経済時代*【縄文モード】=閉鎖的・平和・平等・内向き・小規模(人口減)=人間主義
◆農耕社会時代(ポスト農業革命)*【弥生モード】=開放的・戦闘的・階級・外向き・集団/大規模(人口増)=非人間主義
があり、前者をすでに捨て去ったのが欧米人しかり他国の人たち。
 日本人が唯一、前者を基層として上層に後者を重ねた、それこそ重層構造を維持してきている。
 人間主義自体は、本来人類共通の概念(共感能力+狩猟採集経済時代経験)であるわけで、非人間主義者が人間主義者へ変わる可能性、転向する可能性は十分にあるってことですよね。逆もしかり。
 ただ、非人間主義の文明国(米国)が、世界覇権国となり、かつそういった文明国が主要アクターである世界において、日本がこのまま縄文モードでだけでは、グローバルには活躍することなどできない。
 人間主義を世界へ広めるためにも、日本人自体が自分のことを正確に理解しないと、まずはだめですよね。
<七氏>(同上)
 「象徴としてのお務めについて」天皇陛下のお言葉、まさに人間主義的統治を述べられ、象徴天皇とは天皇自身が国事行為等を行うべき=摂政NG、そして将来の皇室のためを想定してでのことでもある、と。
 28年の在位期間からと高齢による不具合で、「適切な」タイミングとお言葉を述べられた、ということで国民一致を。
しかし改めて、最初からの象徴天皇としては初なんだよなー。
 安倍ちゃん、さばけるの???
⇒摂関政治の頃から、ずっと、日本は基本的に象徴天皇制だよ。(太田)
<七氏>(同上)
 「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し」って、昭和天皇のときのバブルのことなのかな?
http://hitomi.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1470637235/l50 (太田)
<七氏>(同上)
 紙面では、可能にする憲法改正容認は女性の方が高い。
 男性81.4%、女性87.8%。「天皇陛下の生前退位「制度改正急ぐべき」70.7% 「必要なら憲法改正してもよい」84.7%」「
⇒典拠を付けよう!(太田)
<太田>
 関連記事だ。
 何はともあれ、お言葉全文。↓
http://www.sankei.com/life/news/160808/lif1608080017-n1.html
 本件に関する、朝鮮日報金秀恵記者による記事3篇のうち2篇からだ。↓
 <3篇とも「日王」じゃなく、「天皇」だけを用いたのはエライ!
 だが、その他の部分の多くが(恐らく必ずしも意図的じゃない)手抜きなのはオシイ。
 この冒頭部分は、ずっと上で私が書いたこと参照。(太田)↓>
 「日本の天皇制・・・12世紀末以降の武家政権の時代には、政治的な実権を持たない象徴的な地位にあった。
 <明治憲法上、天皇は、基本的に統帥権だけしか直接行使できず、政軍全般の「実権を握」っていたワケじゃない。(太田)↓>
 1868年、下級武士たちが江戸幕府を倒し、明治天皇(1852-1912)を名実ともに国家元首として、近代化の道を歩み始めた。明治天皇は西洋のような近代的な皇帝として実権を握り、日清戦争や日露戦争を指揮した。
 <大正天皇の話と大正デモクラシーとは関係がない。明治憲法の解釈改憲がなされ、議院内閣制に移行したのよ。(太田)↓>
 明治天皇の息子である大正天皇(1879-1926)は、幼いころに患った脳膜炎の後遺症で心身が弱く、即位した当初から公務の遂行に問題があったとされる。天皇の政治的な力が弱まったことで、一時的に自由主義、民主主義が花開いた。この時期を「大正デモクラシー」という。
 <昭和天皇に、「軍部」や非軍事官僚のイニシアティヴを尊重したところの、政府の決定を覆す権限など、解釈改憲がたとえなされなかったとしても、なかった。(太田)↓>
 1921年、大正天皇は快方に向かう見込みがないとされ、後の昭和天皇(1901-89)が摂政を務めた。26年、大正天皇の死去を受けて即位した昭和天皇は、軍部の独走を抑えることができず、やがて日本全体が軍国主義の嵐に巻き込まれていった・・・
 <単なる誤解ってやつだよ。(太田)↓>
 皇太子徳仁親王(56)・・・父親の明仁天皇と同じく、現行の「平和憲法」を尊重する平和主義者とされ<ている。>・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/08/09/2016080900776.html
 <日本と朝鮮半島は、歴史的にも安全保障上も切っても切り離せない関係にあるとの、戦前日本人の常識を今上天皇が抱き続けておられるってだけのことだよ。更に言えば、朝鮮半島の天皇でもあった、大正・昭和天皇の感覚すらお持ちかもよ。(太田)↓>
 「・・・ 明仁天皇は高宗の孫である李玖(イ・グ)氏(1931-2005年)と幼少期に近しかったともいう。学年は違うが学習院で共に学び、皇室の集まりでもよく会った。宮内庁の専門家らは「天皇は私的な場で韓国に対する親近感や申し訳ないという気持ちを何度か表現した」「天皇が『ヨーロッパも米国も行けるが、韓国には行けない』と残念がっていた」と語った。
 明仁天皇は2001年の記者会見で「(第50代)桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫」と発言、13年に奈良県で開かれた国際会議でも同じ発言を繰り返した。日本の右翼はそのたびにこれを嫌がった。
 天皇の海外訪問は、誰に会い、どのような行事に出席するかなど細部まで日本政府が決める。日本政府が決めた日程を外れ、明仁天皇が自身の意思で動いた例外的な行動には、2005年サイパン訪問時の「太平洋韓国人平和塔」への訪問がある。宮内庁関係者は「計画になかったことだった」と話している。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/08/09/2016080900738.html
<太田>(ツイッターより)
 <2016.8.9 08:00現在の>瞬間風速、日本、金銀銅総計で1位タイ(中共も10だが、金メダルが4でで日本は3)!
http://www.bbc.com/sport/olympics/rio-2016/medals/countries
 頑張ってんじゃん。次開催国効果(Future-host effect)
http://www.bbc.com/news/magazine-36955132
も働いてるかも。
 このまま頑張れー!
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
 <まずは、関連記事でもある下掲から。
 いいムードじゃん。↓>
 「・・・中国日報網は・・・「中国は残念ながら、3大会連続での金メダル獲得はならなかった」と伝える一方、中国の団体に出場した選手のうち4人は初のオリンピック出場だったことを指摘し、「まだ経験が豊富とはいえない選手たちが日本に勝つにはプレッシャーが大きすぎた」と報じた。
 記事は、08年と12年の五輪で中国体操男子団体が2大会連続で金メダルを獲得したことを指摘しつつ、「日本はついに五輪で中国を破るという目標を達成した」と指摘。一方、中国の選手からは「日本には負けたくない」として、「まだ若い自分たちには、まだチャンスがある」と日本への雪辱を誓う発言があったことを紹介した。
 日本男子が3大会ぶりの金メダルを獲得し、中国が銅メダルに終わったことについて、中国のネット上では両国の健闘を称える声が上がっている。中国中央電視台(CCTV)のスポーツチャンネル「CCTV5」が簡易投稿サイト・微博(ウェイボー)に開設しているアカウントには、「中国男子は良く頑張った」というコメントのほか、「日本の演技も安定していたが、4年後はどうなるか分からないぞ」というコメントもあった。
 また、「日本よ、おめでとう。確かに良い演技だった。だが、ジャッジの内容に納得のいかないケースが目立った」という指摘もあった。銅メダルに終わった中国男子を批判するようなコメントはなかったほか、日本の金獲得も称えつつ、全体的には両国の健闘を称える良識のあるコメントが多かった。」
http://news.searchina.net/id/1616019?page=1
 <日本の浴室礼賛は繰り返し出て来るけど、今回の思い入れは尋常じゃないな。↓>
 「・・・新浪はこのほど、日本の浴室は「住人のことを考えた作りになっている」と伝え、その多機能ぶりに驚きを示し、「日本人はまるで人間が持つニーズを徹底的に満足させることを使命と捉えているかのようだ」と称賛する記事を掲載した。
 日本ではワンルームマンションなど室内空間に限りがある場合を除き、戸建て住宅ではトイレと浴室が別になっていることが一般的だが、記事は、「日本ではトイレと浴室が別になっており、それぞれが独立した部屋に存在することが多い」と紹介。さらに、「トイレと浴室が同室内に存在することが多い中国と異なり、日本は汚い場所であるトイレと身体を清潔にする浴室を切り分けている」と紹介した。
 続けて、日本のお風呂は非常に便利だと指摘し、バスタブには風呂給湯器が設置してあり、「定時に風呂を沸かす機能」や「加熱・保温」、さらには「浴室の外と会話できる機能」などが設置してあると紹介。バスタブが設置されることがほとんどない中国からすれば、日本の風呂給湯器の多彩な機能は驚きの対象のようだ。
 さらに記事は、日本の浴室は「乾燥機能」や「暖房機能」もあるとし、浴室内に洗濯物をかけておけば乾燥させることもできると紹介。浴室は家のなかでは小さな空間にすぎないとしながらも、「日本の浴室を見れば、日本人は何事も細部まで徹底して追求するということが骨の髄まで染み込んでいることが見て取れる」と指摘し、中国人の間でも人気の高い温水洗浄便座の存在と併せて、「日本人はまるで人間が持つニーズを徹底的に満足させることを使命と捉えているかのようだ」と称賛した。」
http://news.searchina.net/id/1615978?page=1
 <日本車についても、上と同じ。↓>
 「・・・易車はこのほど、ある中国人の見解として「日系車の支持者になった理由」を紹介する記事を掲載し、「自動車を理解する立場」の中国人として日系車の魅力を紹介している。
 記事はまず、「日系車のファンになるうえでは、自動車について深い理解が必要であるうえ、それを公言するには勇気が必要なことだ」と指摘する一方、中国の大手自動車メーカーは日本の自動車メーカーと合弁会社を設立していることを指摘したうえで、「これは日本に学ぶことを選んだ証拠」であると論じた。
 さらに、日本の自動車メーカーは「常に人を第一に考えている」と指摘し、「人」、「技術」、「環境」という三位一体による自動車づくりを行っていると称賛。市場ニーズを探るうえでも、ユーザー体験を第一に考えていると指摘したうえで、虚無な価値で消費者の財布からカネを掠め取ろうとしないのが日本の自動車メーカーであると指摘した。
 中国では日系車の安全性について「鋼板が薄く、安全性に劣る」という根拠のないデマが存在することについて、記事は「自動車を理解している人ならば、事故発生時に車内の乗員の命を守るのは鋼板の厚さではなく、自動車の構造であることを知っているはず」だとし、いかに衝突時のエネルギーを車体が吸収できるかが大事だと紹介。日本メーカーの車の衝突安全性能が高いことは各種テストで証明されており、こうした点も「常に人を第一に考えている」ことの証であることを紹介した。」
http://news.searchina.net/id/1616002?page=1
 <やや斜に構えつつも、習ちゃんの指示の趣旨はバッチリ果たしてる記事。↓>
 「科技日報は・・・「日本の超高級ブドウが持つ価値の高さは、一体どこにあるのか」とする記事を掲載した。ブドウのみならず、牛肉やコメなど日本の農作物にしばしば破格の高値が付けられることを紹介したうえで、その背景について解説している。
 記事は、中国社会科学院農村発展研究所の研究者が、日本ではその年初めて生産された作物の「初競り」が、その作物をPRする意味合いも帯びていると解説したことを紹介。中国ブドウ協会会長が「高値のブドウというのはそもそもPRに過ぎない。中国でもこのようなやり方はある」としたことと併せて伝えた。
 一方で、宣伝的意味合い以外にも「高値の理由はある」とし、市場には高級品に対するニーズが確かに存在し、差別化された製品が開発されていること、日本は労働コストが高く、栽培や包装のコストなどといった要素も相まって高い値段が付きやすくなることを専門家が挙げたことを紹介している。
 また、新品種の開発者に対する保護制度についても言及。日本は新品種を開発した者への保護が十分であり、未許可で使用すれば重罰を受けるなど、開発者の権利が十分に保たれているため、多くの人が積極的に開発に取り組み、より良い品種が次々と誕生するとした。一方で、中国国内の制度はまだまだ不十分であるとし、この点で日本と中国の間に大きな差があることを説明した。」
http://news.searchina.net/id/1615998?page=1
 <例によって日本人ベタボメの記事。↓>
 「・・・微信・・・記事によれば、中国人の多くは「日本という国家を非常に憎んでいる」と説明、しかし、日本で働いた経験のある中国人女性の実体験として、「悪辣な日本人は極めて少なく、基本的にはみな中国人に対してとても友好的だった」と紹介。さらに「中国国内で喧伝されているのとはまるで違い、多くの日本人は中国人をとても尊重してくれた」と伝えた。
 また、日本滞在中に別の中国人から伝え聞いたという話を紹介。その話は「日本での生活において警戒が必要なのは中国人であり、中国人が中国人を騙す事件が非常に多い。逆に日本人は中国人にとても親切だ」という内容だ。さらに、「日本の民度はアジア最高」だと称賛し、日本と中国の国としての差は時間にして「30-50年はある」と指摘。続けて「日本に来たことのない中国人は日本に対する理解が圧倒的に欠けている」と説明、それが「日本と中国との差をさらに拡げる原因になっている」という見方を示した。」
http://news.searchina.net/id/1615983?page=1
 以下、「客観的」日中比較記事2篇だ。↓
 「・・・奇趣亭はこのほど、中国人から見て「随分変わっている」と感じる日本人の9つの習慣を紹介する記事を掲載した。
 記事によれば、その9つの習慣とは「スイカに塩をかけて食べる」、「どんな料理でもご飯と一緒に食べる」、「お吸い物をれんげを使わずにいただく」、「郵便物に同封された封筒などで、宛先を御中に書きかえること」、「大学学生食堂のぼっち席での食事」、「ハンドタオルを常に携帯する」、「年賀状」、「つり銭トレー」、そしてどんなものでも包装する「包装癖」だという。
 記事は特に「スイカに塩をかけて食べる」という習慣が、中国人からすれば最も変わっている感じるものと説明している。さらに日本人にこの習慣が広まった理由を推察、価格が「びっくりするほど高い」スイカを大切に味わうため、「どんな手を使ってでも、何とかして甘味を強めたい」という発想から身についた習慣ではないかと考察した。」
http://news.searchina.net/id/1615984?page=1 
 <この日中の違いのよってきたるゆえんの説明を試みよ。(太田)↓>
 「・・・捜狐・・・記事は日本の国立青少年教育振興機構が2015年8月に発行した「高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」のなかから「親子関係」についての調査結果を紹介。同調査によれば、「どんなことをしてでも自分で親の世話をしたい」と回答した人の割合は日本は37.9%だったのに対して、米国は51.9%、韓国は57.2%だった。そして中国は87.7%と、何と日本の2倍以上の割合となった。
 記事はこの「親子関係」の調査結果について、「中国と日本の高校生の意見が最も分かれたのは親の世話に関する項目だった」と説明、さらに「中国の親子関係は日本人を驚かせるほどに深い」という見方を示した。」
http://news.searchina.net/id/1616009?page=1
 五輪にひっかけて、オモロイ諸国歌の特集をしてる記事だ。↓
http://www.bbc.com/culture/story/20160804-rio-2016-the-most-amazing-national-anthems
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太田述正コラム#8537(2016.8.9)
<一財務官僚の先の大戦観(その63)>
→非公開