太田述正コラム#8548(2016.8.15)
<皆さんとディスカッション(続x3070)>
<太田>(ツイッターより)
 <8月14日の>20:40現在、SMAP解散をBBCは(その6時間前に)報じている
http://www.bbc.com/news/world-asia-37075638
が、CNNは報じていない。
 宗主国サマは属国の芸能界のことなどご関心がないのだろう。
 ところで、ジャニーズ事務所って英語名Johnny and Associatesなのね。
<太田>
 関連記事だ。↓
 「SMAP解散、海外でも速報 BBC「日中韓の大使役」・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASJ8G5JT6J8GUHBI010.html?iref=comtop_list_nat_n04
 英国は(全世界のあらゆる出来事に気を配らなければならない)世界覇権国だった時の惰性、米国はついに世界覇権国に見合う自覚のないまま野垂れ死へ、というわけで、両国とも異常。
<太田>(ツイッターより)
 「今こそ『失敗の本質』から学びたい-…日本が壊滅に向かって突き進んでしまう理由…」
http://diamond.jp/articles/-/98447
 経済力と一人当たり経済力において懸隔ある敵と戦えば多分負けるし長期的には必ず負けるってだけのこと。
 「太平洋戦争は本当に避けることができなかったのか…」
http://diamond.jp/articles/-/97868?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
 米英のトップ2人が太平洋戦争を何が何でも戦いたかった…以上、日本がそれを避けることは不可能だったってだけのこと。
 71年1日のごとく、非生産的な「反省」を口にし続けてきた日本の識者達。
 (但し帝国海軍はホントに反省しなくっちゃな。)
<太田>
 経済力と一人当たり経済力・・・」について、補足しておく。
 以下が、諸君も概ねご存知のはずの史実だ。
 「開戦時の連合艦隊の山本長官は戦前に「日本は開戦から半年、もって1年は優勢を維持することができるが、それ以降はアメリカ(と連合軍)の国力が日本を圧倒するだろう」と述べていた。しかし国力で圧倒される以前に、戦略、戦術、用兵など全てにおいての拙劣さにより、<1942年6月5日~6月7日の>ミッドウェー海戦で主力空母機動艦隊を壊滅させる損害を受けた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6
 その直後の1942年8月7日からのガダルカナル島の戦いでも、日本は陸軍を中心に手痛い敗北を喫した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
 しかし、全般的に海軍が「戦略、戦術、傭兵など全てにおいて・・・拙劣」であったことは間違いないとはいえ、客観的に見てより決定的だったのは、日米の「一人当たり経済力」の差だった。
 まず、ミッドウェー海戦では、一人当たり経済力の差の基本的要因である一人当たり生産性の差、より端的には技術力の差、すなわち、射撃指揮装置(GFCS)の性能差
http://blog.goo.ne.jp/goozmakoto/e/fd77d58ace7bb9f70903a5f6d2628e73
やレーダーの性能差
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC
が、戦役の帰趨にとって、はるかに決定的だったと見ざるをえない。
 (なお、レーダーの性能についても、「旧日本軍(陸海軍)のレーダー開発史においては、防空を主として重んじることから陸軍が先駆的存在であり、かつ陸軍上層部自体の理解も高いものであった。陸軍科学研究所において電波を通信以外の用途に利用する研究を開始したのは1932年、航空機探知を目的とする狭義のレーダー研究を促進し始めたのは1938年春、レーダー受信実験の成功は1939年2月。一方、海軍における本格的なレーダー研究は1941年5月から」(上掲)という有様であり、海軍の「拙劣」さ、というか、怠慢さ、が糾弾されなければならないが・・。)
 また、ガダルカナル島の戦いでは、「航空基地造成力に関し、日本は前時代的な人海戦術による非能率的な方法で長時日かけて飛行場を造成したが、米軍は機械力を全幅駆使して数日で滑走路を造成して航空兵力を展開し、局地の制空権を獲得していき、それに伴い日本側は海に陸に苦戦を強いられ、占領地を奪われていった」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84 前掲
ことが決定的であった、と見ざるをえないところ、この飛行場造成を行う際に、それを行ったのが海軍であったことから当然様々な拙劣さを伴った(上掲)わけだが、より基本的な、かかるブルドーザーの不存在
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC
に関しては、やはり、日米の一人当たり生産性の差、より端的には技術力の差、が、もたらしたものだ。
 このように見てくると、太平洋戦争において、海軍による真珠湾攻撃のように奇襲によることなく、それまで英米に対して連戦連勝を重ねてきた陸軍の「戦略、戦術、傭兵など全てに」おける卓越さに改めて瞠目せざるをえない。
 また、『失敗の本質』が度し難い愚著であることも、改めて強調しておきたい。
 ここで、関連記事だ。
 これは、上で紹介した2篇よりはマシ・・結論部分は論点がズレるから立ち入らなくてよろしい・・だが、誰か批判してみて。↓
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e4%ba%94%e8%bc%aa%e9%96%8b%e5%82%ac%e4%b8%ad%e3%81%ae%e7%b5%82%e6%88%a6%e8%a8%98%e5%bf%b5%e6%97%a5%e3%81%ab%e8%80%83%e3%81%88%e3%81%9f%e3%81%84%e3%80%8c%e6%86%b2%e6%b3%95%e3%81%a8%e5%b9%b3%e5%92%8c%e3%80%8d/ar-BBvCINs?ocid=iehp#page=2
<iQIDb920>
≫どうして明治維新までずっと史実であったところの、天皇の意思による退位はダメなの?≪(コラム#8544。太田)
 明治以降、皇位が終身制に成ったのは、欧米諸国が圧倒的に強力な以上、
 生前退位が出来る制度では、欧州の王族等を皇族の女子の夫にした上で圧力を加えて退位させれば、皇室の乗っ取りが可能だからじゃないですか?
<太田>
 典拠ないでしょ。
<七氏>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 安倍ちゃんのロシアへのこの感じは何なの??
 「プーチン氏を山口招待=安倍首相、地元後援会で明言」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00000146-jij-pol
<太田>
 自分が属している派閥の元領袖だった森喜朗のプーチンとのポン友関係
http://news.livedoor.com/article/detail/9294666/
を引き継げれば北方領土問題でいい進展が期待できる、と誤って思い込んでんだろ。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 
 『シン・ゴジラ』の評論が続くねえ。↓
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2016080900002.html?iref=comtop_fbox_u06
 福島 香織サンも正しい問題設定をしているが、結論は????↓
 「なぜ中国は日本人をスパイ容疑で逮捕し続けるか・・・
 そんなに日本政府が諜報活動に熱心に取り組んでいれば心強い限りなのだが、実際のところは逆で、日本の対中国情報の収集能力は以前よりも劣化しているように私は思う。スパイ騒動は、むしろ習近平政権の対日外交姿勢の在り方によるものと私は見ているのだが、どうだろう。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/080200058/?i_cid=nbpnbo_tp
 一瞬、人民網かサーチナかと目をこすったぞー。↓
 「ANAの危機管理能力の高さに、中国人観光客もビックリ・・・」
http://news.infoseek.co.jp/article/globalnewsasia_3676/
 で、ホンモノのサーチナによるところの、中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。
 (本日は当局によるもののみ。また、コメントは省いた。)↓
 「・・・天天快報はこのほど、中国の農民も貧困からわずかなりとも前進しつつあると指摘する一方、「日本の農業従事者に比べて、中国の農民の暮らしぶりはあまりにも巨大な差がある」と伝えている。
 記事は、中国の農村部は現代化の波に取り残されていると指摘し、農業生産においても現代化とは程遠いのが現状であることを指摘。日本であればすでに機械化が進んだ作業においても、中国の農民たちは人手で作業を行っているため生産量は乏しく、必死で働いても自分たちの食べる分を確保するのがやっとだと論じた。
 一方、日本ではすでに農業の現代化が進んでおり、農業従事者も都市部の人びとと何ら変わらない暮らしが可能だと指摘。道路や電気、衛生環境など各種インフラが整備され、自動車を所有し、清潔な家に住み、機械によって農業を行っていると伝え、中国の農民の暮らしぶりと圧倒的な差があることを指摘した。」
http://news.searchina.net/id/1616361?page=1
 「・・・微信はこのほど、普通の暮らしのなかにおいても「日本人がいかに細部までこだわって生活しているかが分かる」と指摘し、それが分かれば日本製品が中国製品より質が高い理由も分かると主張する記事を掲載した。
 記事は、普通の暮らしのなかにおいて「日本人がいかに細部までこだわって生活しているか」を証明する例として、まず書籍を購入した際につけてくれる「ブックカバー」を紹介。不特定多数の人がいる電車内などで本を読む際にも、何を読んでいるか知られることなく、さらに書籍が傷みにくくなるメリットがあるブックカバーについて、日本ではサービスとしてつけてくれることを紹介した。
 さらに、日本では目の不自由な人のために道路には視覚障害者誘導用ブロックが設置してあることを伝え、こうした対応ができるのも「配慮」であるとの見方を示した。また、日本では自動車のみならず、歩行者も右側通行が基本であるとしたほか、エスカレーターにおいても関東は左側、関西は右側に寄るのがルールであると指摘、こうした暗黙の了解も小さいことだが社会の秩序への「配慮」であることを指摘した。」
http://news.searchina.net/id/1616360?page=1
 「・・・微頭条はこのほど、日本の建築工事の様子を視察した中国人の感想を紹介する記事を掲載し、「日本の建設工事は中国と違っていた」と伝えている。
 記事が紹介している建築工事はビルではなく、一戸建ての住宅を建てる様子だ。それでも中国の建築工事とは異なる点が数多く存在したようで、複数の写真とともに日本の住宅建設を紹介。「日本の建築工事は効率が高く、エコで環境にやさしかった」と伝えたうえで、中国と大きく違う点は「日本の工事現場にはあまり作業員がいなかった」ことを挙げている。」
http://news.searchina.net/id/1616359?page=1
 「・・・新浪はこのほど、日系車は特に中国南部の都市で支持されていることを伝えつつ、なぜ中国南部で「根をおろす」ことができたのかを考察、説明する記事を掲載した。
 記事は、中国南部の消費者が日系車を支持する理由の1つとして、「1980年代に大量の日系車が南部の沿岸都市に出現した」ことが関係していると紹介。1980年代といえば、日中関係が蜜月期にあったと言われる時代であり、当時の中国人にとって日本車は高嶺の花であると同時に憧れの存在だった。日本車は香港経由で中国市場に密輸され、高い品質を強みに中国南部で高い評価を得た。つまり、当時の高い評価とブランド力が今なお中国南部には存在するということだ。
 さらに別の理由として「故障が少なく低燃費という特長を持つ日系車は、経済性を重視する南部の消費者にとって魅力的な車」であると説明。また「好き嫌いが激しい南部の人びとは日系車のカーラインナップの豊富さを称賛してやまない」と指摘し、中国南部の消費者の価値観と合致する存在こそが日系車だと指摘した。
 また記事は、「日本車が中国南部に自動車文化を根付かせた」と説明している。」
http://news.searchina.net/id/1616358?page=1
 「・・・宿州在線はこのほど、中国市場で「日系車が全面的に台頭してきている」と指摘したうえで、「SUVに頼るだけでは中国メーカーは優勢を保つことができない」と説明している。
 記事が「日系車が全面的に台頭」と指摘しているように、中国汽車工業協会によれば16年1-6月の中国自動車市場における日系車の新車販売台数累計の前年同期比は、トヨタが16.5%増、日産が3.6%増、ホンダが17.7%増、マツダが1.3%増と非常に好調だ。
 さらに16年1-6月の中国自動車市場における自動車生産台累計は1289万2200台、そのうち乗用車の生産台数累計は1109.94万台と86.1%のシェアだった。この乗用車部門における国別ブランドのシェアは日系車が15.4%であり前年同期比12.7%増と、やはり日系メーカーが好調であることを裏付けている。」
http://news.searchina.net/id/1616355?page=1
 現在、習ちゃんが、一方では日本再軍備/日本「独立」を追求するというアクロバティックな対日戦略を展開していることもあり、中共人民に吹き込んだこのような歴史認識の軌道修正は容易じゃないだろな。↓
 「・・・大半の中国人は太平洋戦争という言葉自体を知らず、日本軍を撃退したのは共産党軍という印象を持っています。・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%a6%96%e7%82%b9%e3%81%a7%e6%8f%8f%e3%81%8b%e3%82%8c%e3%81%9f%e5%a4%aa%e5%b9%b3%e6%b4%8b%e6%88%a6%e4%ba%89%e3%81%ae%e3%82%a6%e3%82%bd%ef%bc%bb%e6%bc%ab%e7%94%bb%e5%ae%b6%e3%83%bb%e5%ad%ab%e5%90%91%e6%96%87%ef%bc%bd/ar-BBvCO1E?ocid=iehp#page=2
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太田述正コラム#8549(2016.8.15)
<一財務官僚の先の大戦観(その69)>
→非公開