太田述正コラム#8616(2016.9.18)
<皆さんとディスカッション(続x3104)>
<太田>(ツイッターより)
 パウエル元米国務長官が、昨年、知人にイスラエルが核弾頭200個を持っていて、そのすべてがテヘランを標的としている、というメールを送っていたのがハッキングされて明らかになった。かつてカーター元大統領が同国が150~300個という数字をインタビューで明らかにしたことがあるという。
http://www.haaretz.com/world-news/americas/1.742482
 ここまで常識化してしまった、イスラエルの核保有について、歴代のイスラエル政府がノーコメントで押し通しているだけでなく、米国の2人のように数字を開示した同政府関係者が一人として出現していないのは、敬意に値する、というか、恐ろしいねえ。
<ブービータスキチ>(同上)
 すでに当たり前の話のようだが、なぜ秘匿に。米国政府にとっては結局公式にしたら不利なの??
<太田>(同上)
 イスラエルにせよ米国にせよ、イスラエルの核保有を正式に認めたら、敵対するイラクやシリアやイランはもとより、そうでないエジプトやサウディアラビアに対しても、その核保有に、実力、経済制裁、外交で、反対する根拠が失われるからさ。
<ブービータスキチ>(同上)
 実質的に公然の事実ってことだけど、要はもしものそういう時は米国も否定しうるってことですかね。
 しかし、なんでそんなにイスラエル?
 中東での覇権にはイスラエルをって政治的な話?
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 加えて、ユダヤであるイスラエルとキリストである米国。アブラハム系の相反でいえば、どういう利害の一致なのかなーと。
 単純に軍需しか思い付かん。
<太田>
 米国は居住数からしてユダヤ人の第二の祖国である
< http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9038.html >
だけじゃなく、彼らは、米国の学界、ジャーナリズム、金融界等を牛耳っている上に、米基督教原理主義者も教義上の理由からイスラエル・シンパなので米国政府はイスラエル支援せざるをえんの。
<ブービータスキチ>(同上)
 ということは、米国のイスラエル偏向は変わらざる部分ですかね。
 相対的に力が衰退している米国の国際政治ってのは、かなり今後混沌しそうな感じがします。
 トランプ孤立主義だと変わるのかな~~。
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 米国がイギリス=覇権国からの独立ということもあり、優秀な人材は国籍関係なく、米国に誓うなら最大限活かしていく。
 それがユダヤ人。で、イスラエル。
 米国って以外に律儀じゃない?
<太田>(同上)
 ちゃうちゃう。
 僕の返答を念頭において、ネットにあたったり、太田コラムを読んだりして、大いに勉強してくれしゃんせ。
<太田>(同上)
 「…「有害物質が出たら、土を掘り起こして作業をしなければならない」との指摘もあり、パワーショベルが入れる空間を確保することになった…<が、そう>明かせば、『土壌汚染対策は万全ではないのか』という話になる。問題が広がらないようにと考えるのは、事務方特有の発想…
 <いずれにせよ、>「盛り土よりコストが高いとも考えられ、手抜き工事とかコスト削減目的とかではなく、真剣に検討した結果だったのではないか…」
http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/105000c
 「…石原慎太郎氏は…これまでの発言を修正し、「(自分が)専門家から聞き、都の幹部に検討したらどうだと言っていた」と述べ…検討を指示した後は「コンクリート(で地下空間)を造る計画は一切報告を受けていない」と説明した。…」
http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/058000c
 どうも悪人は一人もいなかったが結果は迷走、ということらしい。
 配慮、忖度、ボトムアップ等の日本型政治経済体制の機能不全例?
<0UCZ2B6c>(「たった一人の反乱(避難所)」
 「最強を誇った英国海軍「凋落」の教訓・・・」
http://jp.reuters.com/article/column-gb-navy-warship-idJPKCN10U0OL?rpc=223
 英海軍の現有戦力は、もはや遠洋海軍とは呼べない代物ですね。
 GDPの2%以上を使ってこの有様なのは信じがたいですが、高速鉄道も原子炉も作れないのだから、造船業の軍需部門が劣化していてもおかしくはないですな。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 野田さーん!↓
 「【民進新代表】蓮舫氏 年内辞任も!二重国籍問題よりヤバい「黒い交遊」・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/12030237/
 中途から人間主義社会で、最も人間主義的にふるまわにゃならん職場で生きていくのはしんどいだろねー。↓
 「外国人看護師・介護士、難しい定着・・・
 頑張って頑張って合格したけど、もっと高い壁がある。私は日本人と同じようにはなれない・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASJ8J354HJ8JUTFL001.html?_requesturl=articles%2FASJ8J354HJ8JUTFL001.html&rm=832
 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
 <日本を絶賛し、それを自分の目で確かめてこいと呼びかける定番記事。↓>
 「・・・一点資訊はこのほど、多くの中国人が日本旅行に夢中になる理由を考察する記事を掲載、中国人旅行客が日本を訪れている背景にはまさに日本のソフトパワーがあることを指摘している。
 記事はまず、日本は工場や車による大気汚染が少なく、空気の質が良いし、そのため空が中国とは比べ物にならないほど青いと称賛。また、日本の街並みは優雅であり、同時に静けさも感じられると指摘した。たしかに、きれいな空気と騒音の少ない場所は中国国内ではそう簡単に見つけられるものではない。少なくとも都市部にそのような環境はないと断言できる。
 また、日本の魅力的な文化として、今なお残っているお寺、文化遺産や和服にふれ、その伝統を日本のいたるところで感じることができると紹介。中国は近年確かに著しい発展を遂げたが、そのかわりに伝統を随分と失った感がある。都市部では胡同と呼ばれる伝統的な家屋は取り壊され、近代的なビルに変わってしまった。中国人が自国で失った伝統の面影が、日本では街中で見かけることができるという点も魅力なのだろう。
 さらに記事は、日本の道路、商業施設や観光地が中国と違って「ゴミ一つなく綺麗」で、「整然としている」ことは1つの観光資源であると紹介。また、中国人に人気のドラッグストアについても、アイマスクや足の消臭スプレー、液体絆創膏など「誰が発明したのだろうかと驚かされる」ような品物を購入するも日本旅行の醍醐味とした。
 そして、中国ではまず有り得ないこととして、日本では失くしたものが返ってくることを紹介。日本ではたとえ傘や手袋など小さなものであっても、あるいは財布や携帯電話などの貴重品であっても、紛失することはなく、警察に届ければ数日で返ってくる可能性が高いと紹介、日本は社会秩序と風紀が素晴らしいと絶賛した。」
http://news.searchina.net/id/1618950?page=1
 <日本社会の清潔さを強調するこれも定番記事。↓>
 「・・・今日頭条はこのほど、日本の街を自らの目で見た中国人旅行客たちは「あまりの清潔さに、髪が逆立つほど激怒する」と主張したうえで、こうした日本の街の清潔さの秘訣の1つは徹底したゴミの分別であると指摘している。
 記事は、日本のあまりの清潔さに「髪が逆立つほど激怒する」と表現している。これはもちろん誇張した表現だが、ありとあらゆる場所にゴミが存在する中国の街と比較した際、日本にできて中国にできないという非常に大きなギャップに「怒りを感じてしまう」ということなのだろう。
 続けて、日本の清潔さの秘訣は徹底したゴミの分別を実施していることである指摘、またゴミの分別を徹底して行うことができるのは「先端技術や発達した科学技術によるのではなく、日本国民の環境に対する深い敬意と真心、また民衆の高度な自覚によるものである」と絶賛した。」
http://news.searchina.net/id/1618944?page=1
 <日本社会の治安の良さを強調する、またまた定番記事。↓>
 「・・・今日頭条はこのほど、「日本人は自販機で何を売っているのか」と疑問を投げかけた。
 記事はまず、日本の自販機設置数では世界1位ではなく、米国が1位であることを紹介しつつも、設置密度では絶対的な1位であると強調。そして、これは大げさなことではなく、日本では「自販機を探すことはトイレを探すのより簡単だ」と紹介している。大通り、学校、商店やガソリンスタンドなど、自販機は至る場所にあり、その自販機のデザインや種類も改良され続けていると伝えている。
 自販機というと、多くの人がまず思い浮かべるのはドリンクの販売機だろう。しかし自販機で売れるものは他にもある。タバコや電池、下着、新聞、ガム、果物、名刺、傘、文庫本、釣り餌など、多くの外国人旅行者がその多種多様な自販機に震撼させられているという。
 そして、これほど多くの自販機が普及し発展しているのは、まず日本の治安の良さが必要不可欠な要素であるとし、そしてやはり便利で人件費のかからない自販機は日本人の生活に合致した存在と伝えている。日本人にとっては当たり前の自販機は、外国人にとって非常に興味深い文化の1つなのだ。」
http://news.searchina.net/id/1618945?page=1
 <日本車を勧める記事2つ。↓>
 「・・・今日頭条は・・・「修理できないフォルクスワーゲン、壊れないトヨタ 本当にそうなのか」とする記事を掲載した。記事は、「日本車がいいか、ドイツ車がいいか」は中国において常に議論になるトピックであるとしたうえで、巷では「修理できないフォルクスワーゲン、壊れないトヨタ」という言葉が広まっていると紹介した。
 そして「事実は本当にそうなのか」としたうえで、両社が製造する自動車の特徴を解説。フォルクスワーゲンは機械技術や運転性能の高さ、動力の強さを目指して研究が重ねられており、最新の技術が惜しみなく自動車づくりに注がれるとした。新技術を利用するゆえに安定性において問題が発生しやすいことから、「フォルクスワーゲンは修理できない」というイメージが定着したと説明している。
 かたやトヨタについては「伝統的な自然吸気エンジンを使い続け、技術も新しいものではない。それゆえ操作性や動力性能で劣るが、技術が成熟しているために安定性が大きく確保され、故障が少ない」と解説。このために「いつまで乗っていても壊れない」という「錯覚」を消費者に抱かせるのであると論じた。」
http://news.searchina.net/id/1618946?page=1
 「・・・今日頭条はこのほど、中国のみならず、香港でも日系車が大人気であると伝えつつ、「中国車はほとんど見かけられない」と紹介する記事を掲載した。
 記事は、香港の交通事情について「道が狭いものの、ドライバーたちはマナー良く運転している」と紹介したうえで、「道路の清潔さもあり、さすが英国に統治されていた街」だと感嘆を示した。そして、香港の街をよく見てみると日本車だらけであることに気付くと伝え、特に香港のタクシーはほとんどがトヨタ車であり、個人所有の車としては同じくトヨタのアルフォードをよく見かけたと紹介した。
 続けて、香港だけでなく、東南アジア諸国でも「日本車は大人気」であり、例えばフィリピンでも「街は日本車の天下」であると指摘し、トヨタの販売台数が世界一であることの理由が良くわかると主張。香港で見かけるのは日本車ばかりであり、中国の一部でありながら中国車がほとんど走っていない現状に対し、記事は「香港人はまるで中国車を排斥しているかのようだ」と伝えている。」
http://news.searchina.net/id/1618952?page=1
 <日本車が製品とサービスのパッケージで売れていることを指摘する記事。↓>
 「米国の自動車業界向けマーケティング企業のJDパワーが8月に発表した日本の自動車セールス満足度調査の結果で、総合的な満足度が前年の調査に比べてやや減少したことが明らかになった。別に発表された中国における調査でも満足度が低下したとのことだが、その理由は両国間で異なっていたようだ。
 ・・・捜狐は・・・「日本の自動車販売員はいったい何が優れているのか」とする記事を掲載した。記事は、自動車セールスの満足度が低下した背景について、日本では価格的な要因があったのに対して、中国では「割引が増えているにも関わらず、満足度が下がった」と解説。そこには、両国間における自動車販売員のクオリティの差があると指摘している。
 そのうえで、中国の販売員に不足し、日本の販売員が持っている素養について紹介している。まず、日本の販売員は自身の仕事に対する奉仕の心や、価値を見出そうとする探求心をより多く持っているとした。また、親身になって客に接する姿勢も、サービスの質とともに顧客満足度を高めるポイントであるとも説明した。
 さらに、賞賛を得た時はもちろんのこと、不満や文句を言われたり厳しい要求を突き付けられたりした時にも穏やかで寛容な姿勢を見せ、しっかりと傾聴するという点も、日本の販売員が備えている素養であるとしている。
 記事は最後に、「自動車販売サービスレベルの向上は一朝一夕の話ではない」とするとともに、「顧客を中心に据えて日本の優れた理念をまじめに学んで実践することができれば、余計なカーブを曲がる必要も少なくなるのだ」と論じた。」
http://news.searchina.net/id/1618951?page=1
 <こういう比較ができるようになったほど中共が発展したってことだねえ。↓>
 「・・・騰訊はこのほど、日本人と中国人の家賃と給料を比較した記事を掲載し、日本は不動産価格や家賃が安いのに対し、受け取っている給料が中国人に比べて高いと伝えている。
 記事はまず、日本の戸建て住宅と、中国の同水準の物件について価格を比較。日本の物件価格が約2300万円に対し、中国の場合は日本円にして約1億5000万円もすると指摘したうえで、日本では一般的な会社員であれば給料は最低でも20万円はもらえるのに対し、中国はわずか6万円ほどだと紹介した。
 中国では戸建住宅は非常に高額な存在であるため、一概に比較できるものではないが、6万円の月給で1億5000万円の物件など到底購入できないのは一目瞭然だ。中国では北京市や上海市などの都市部ではマンションでも価格が数千万円することは普通であり、不動産価格の上昇率は明らかに給与の上昇率を超えてしまっている。
 一方、中国では所得水準の低い出稼ぎ労働者を含め、消費者たちは明らかに無理なローンを組んでマンションを購入しているのが現実だ。そのため、不動産ローンの重すぎる負担に耐えかねて破産する人や、結婚のためにマンションを購入したのにローンを返済するだけで精一杯という中国人も多いという。
 記事は、中国の高すぎる不動産価格は「中国の消費低迷や生活水準向上の阻害につながる」と警鐘を鳴らしたほか、国外への移民増加にもつながると指摘。日本はバブル崩壊によって不動産価格が下落したが、それによって「日本人は教育や医療、旅行などにお金を使えるようになった」と主張し、中国の生活水準がいつまでたっても向上しないのは低所得であるのに不動産価格だけが上昇するからだと批判している。」
http://news.searchina.net/id/1618949?page=1
 日本礼賛ということではないが、面白かった記事2つ。↓
 「・・・参考消息は・・・ピュー・リサーチ・センターの調査によれば、中国人に対して好感を持っていた日本人はわずか11%にとどまり、日本人に対して好感を持っていた中国人もわずか14%にとどまったと紹介。さらに「約80%の日本人が中国人を傲慢だと形容し、同時に約70%の中国人も日本人を傲慢だと形容した」と紹介した。
 さらに「約75%の日本人が中国人を民族主義であると見なしていたが、中国人のうち日本人を民族主義と見なしていたのは40%に過ぎなかった」と説明。また「約80%の日本人と約60%の中国人がそれぞれ領土問題をきっかけに軍事衝突が生じるかもしれないと懸念していた」と紹介した。」
http://news.searchina.net/id/1618943?page=1
 「・・・今日頭条は・・・紀元前200年代の秦・始皇帝の時代に日本に渡ってきたとされる・・・「徐福は結局、日本人の祖先である神武天皇なのだろうか」とする文章を掲載した。文章はまず、1950年代に香港の学者・衛挺生氏が徐福と神武天皇に10の類似点があることから「徐福は神武天皇」説を提起して以降、多くの中国人、日本人がこの説に影響を受けてきたと紹介。そのうえで、徐福が神武天皇として神格化された可能性について持論を披露した。
 文章は、徐福は中国大陸から近い北九州に上陸したと想定。そして、当時弥生時代の農耕社会だったとされる日本の人びとにとって徐福とその一行は「極めて強大で、抗うことのできない」存在だったはずだとした。一方、徐福は始皇帝の追っ手から逃れるために積極的に現地化を進め、これにより新たな民族が形成されるとともに、彼らが持ち込んだ中国の文明が日本社会の成長を大いに加速させたと論じた。
 さらに、徐福が用いていた銅剣、銅鏡、玉がやがて日本建国の「三種の神器」として崇め奉られるようになり、彼の後継者が日本列島を統一して大和王朝を立ち上げた、大和王朝が歴史書を編纂する際、遺跡をベースに神秘的な要素を加えて「神武天皇」化した、と説明している。」
http://news.searchina.net/id/1618954?page=1
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 一人題名のない音楽会です。
 川井郁子の4回目です。
チャルダッシュ(モンティ)(コラム#3360、3434、5339、6786、6870)
https://www.youtube.com/watch?v=3BdmEqOjGho
死ぬほど爱して Sinno Me Merro(イタリア映画「刑事」(1959年公開)の主題歌より)
https://www.youtube.com/watch?v=dPmqEsChhi4
Pf concerto No.2 Op.18 逢びきのテーマ(映画「逢びき」より/ラフマニノフ作曲「ピアノ協奏曲第2番」より)
https://www.youtube.com/watch?v=aW9WBpH-h5A
ヴォカリーズ(Vocalise)(ラフマニノフ)(コラム#3115、6786、7947、8003、8287) 
https://www.youtube.com/watch?v=MT2mNOZSyqY
アエル Air(川井郁子)
https://www.youtube.com/watch?v=T6spByhkBvI
嵐が丘~ヒースクリフに捧ぐ(川井郁子)
https://www.youtube.com/watch?v=ymhnagUAGdk
(続く)
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太田述正コラム#8617(2016.9.18)
<改めてフランス革命について(その2)>
→非公開