太田述正コラム#8463(2016.7.3)
<入院「バカンス紀行」(その2)>(2016.10.17公開)
 この初日は、長い長い一日でした。
 というのも、その日は、集中治療室(ICU)(注4)に移されたところ、(あくまでも主観的にはですが、)眠らないまま夜が明けてからもう一度夜が来るまで眠らなかった、というか眠れなかったからです。
 (注4)Intensive Care Unit。「呼吸、循環、代謝その他の重篤な急性機能不全の患者の容態を24時間体制で管理し、より効果的な治療を施すことを目的とする。・・・一般には「病棟で重篤な症状を表した患者」「救急患者のうち継続的な状態管理が必要な患者」「手術後に高度な状態管理が必要な患者」など急性期の重症患者を受け入れる。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E4%B8%AD%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%AE%A4
 (痛みそのものは、薬の効果なのか安静の効果なのか分かりませんが、ICUに運び込まれる前には消えていたのですが、とにかく眠くならなかったのです。)
 オシッコは、尿道に膀胱留置カテーテル(注5)を突っ込まれて、自動的に陰圧で吸い出される形になっており、それなりに排出されていたのですが、便意の方は全く催しませんでした。
 (注5)「膀胱から直接導尿させるために、尿道から膀胱に挿入し、長期間留置するカテーテルのことである。一回の排尿でしか使用されない尿道カテーテルとは違い、挿入したカテーテル先端のバルーンを膨らませて固定する。前立腺肥大や脊髄障害、寝たきりの患者をはじめ、全身麻酔手術の際など、自然排尿が困難な場合に用いられる。」
https://www.kango-roo.com/word/10182
 排便するのなら、ベッドに横たわったままさせてくれると聞かされていたのですが・・。
 また、ほんの少し、点滴で栄養を注入してくれてはいたようですが、一日中、全く食欲を覚えませんでした。
 (そもそも、この日、食事の提供はありませんでした。)
 血中酸素濃度が低下しているということで、酸素吸入も続けられました。
 そして、38度超の熱が続きました。
 ICUにやってきた神原医師曰く、外傷の場合と同じで、体が大動脈に出来た傷と戦っているので熱が出て当然、と。
 また、傷一般について言えることだが、肺と心臓と体腔に水が溜まっており(注6)、膀胱留置カテーテルの使用は、水を溜まらせないために尿を即時に排出させる必要があるからだ、とも。
 (注6)私が説明を正確に聞き取っていない可能性もあるが、この説明は、イマイチよく飲み込めなかった。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1315401143
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/217399.html
 さて、この神原医師には、ホント、頭が下がるんですねえ。
 彼女は、入院を私に宣告した後、私が、毎日コラムを書いているので、それが突然途絶えると読者達が心配するので、何らかの形で私が入院したことを彼らに知らせなければならないが、それは、知人にやってもらうしかなく、一番近くに住んでいる知人と連絡をとりたいけれど、彼の名前とおぼろげな住所しか分からない、と言い出したのを聞き、私の血圧(高)が降圧剤の点滴にもかかわらず、このことが心配で150超まで上昇してしまい、そのまま下がらなかったこともあるのでしょうが、その場でパソコンで調べてくれ、彼の正確な住所を教えてくれたのが第一です。
 (その時点で、電話番号も分かっていたけれど私にあえて伝えなかったのだろうという話は、既に前に記しました。)
 それだけではありません。
 ICUでは、娯楽用に私にラジオが提供されたのですが、そのラジオ、翌15日にHCU(注7)に移った時もついてきました。
 
 (注7)high care unit=高度治療室。「ICU(集中治療室)と一般病棟の中間に位置する病棟で、ICUよりもやや重篤度の低い患者を受け入れる治療施設。」
https://kotobank.jp/word/HCU-445381
 その日も、神原医師が現れたのですが、看護婦と一緒だったので、既に二度、同医師と話をしていたというのに、彼女を看護婦だと誤認してしまった私が、HCUに移ってからラジオの選局が困難になったと愚痴を言ったところ、その場で、自動選局できるように、個々の局ごとに設定をしてくれたのです。
 翌16日に顔を合わせた時に、看護婦と間違えた、とお詫びしておきましたがね。
 神原医師もさることながら、看護婦(看護師)達については、ホント、ぶったまげましたね。
(続く)