太田述正コラム#8467(2016.7.5)
<入院「バカンス紀行」(その4)>(2016.10.19公開)
 大森赤十字病院の看護師達が完璧である、という誤解が生じるといけないので、彼女(彼)達のドジな面も、あえて指摘しておきましょう。
 2日(6月15日)の夕食から食事が出るようになった・・但し、おかゆ・・のですが、その時には、プラスチック製のスプーンが付いて来、昼食からは普通の御飯に代わって、今度は、割り箸が付いて来ました。
 その折、箸か割り箸は患者が自分で用意するものと言われ、では、割り箸をパックで買ってきてくれ、と頼んだのですが、夕食に間に合わず、夕食は途中まで手食する羽目になってしまいました。
 (ずっと後で、このパックの割り箸が尽きた時点のこと、まだ、一人で1階のコンビニに赴くことは許されておらず、同行付き添いを2度も頼んだのですが、結局無視され、その折には、昼食を、今度は手食で完食した上で、勝手に自分でコンビニに行って新たな割り箸パックを買ってきました。)
 もとより、世界の半分近くは手食文化(注11)であり、私は、手食することに殆ど抵抗感はありませんでしたが・・。
 (注11)「現代で<も、>アフリカ、中近東、インド、東南アジア、オセアニアなどを中心に、世界の約44%の人が主に手で直接ものを掴んで食事を行っている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E9%A3%9F%E6%96%87%E5%8C%96
 また、膀胱留置カテーテルが一旦抜かれたものの、膀胱内に残尿が認められるというので再装着され、それが、入院後半に再度抜かれることになったものの、看護婦が、泌尿器科・・私の担当医は、浅野桐子(注12)医師・・の指示をすっぱかして抜いてくれていなかったので、抜いた後の状態を診るつもりでいた同医師の外来診療室で、同医師に直接抜いてもらう、なんてこともありました。
 (注12)東京医科歯科大学卒。
http://omori.jrc.or.jp/departments/tabid/112/Default.aspx
 若くてちょっとした美人。
 これらは、ドジではあるものの、マイナーなミスであり、彼女(彼)達がメジャーなミスを犯さないように頑張っていることと裏腹の軽い手抜きの結果なんだろう、と私は受け止めています。
 このほか、言葉だけ知っていた理学療法士(注13)達に実際に出会い、お世話になった点も特記すべきでしょう。
 (注13)Physical Therapist=PT。「医療従事者(コ・メディカルスタッフ)の一員であり、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、視能訓練士(ORT)と共に、リハビリテーション専門職と称されるうちの一つである・・・なお、日本においては理学療法士は業務独占資格ではない為、理学療法自体は理学療法士でなくても法律上、業として行うことができる。・・・
 加齢、事故などによる身体機能障害からの回復目的のトレーニングのみならず、脳卒中での麻痺などから、新生児の運動能力の発達の遅れ、循環器・呼吸器・内科・難病疾患等の身体的な障害を持つ人に対して、医師の指示の下、その基本的動作能力の回復を図ることを目的に、治療体操その他の運動(運動療法という)を行わせ、及び電気刺激、温熱、寒冷、光線、水、マッサージなどの物理的手段(物理療法という)を加える者である」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%86%E5%AD%A6%E7%99%82%E6%B3%95%E5%A3%AB
 医療従事者としては、「国家資格である資格だけでも医師、歯科医師、薬剤師、看護師、助産師、管理栄養士、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、歯科技工士、救急救命士、言語聴覚士、視能訓練士等」が挙げられる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85
 このほか、国家資格が求められない医療従事者として、私が気付いただけでも、食事を提供する賄人的な人々や清掃員達がいる。
 何が目新しかったかと言えば、現在では、(恐らくどこの病院でも、)理学療法士の一般的な説明やイメージ(上掲)と違って、入院患者には、原則として入院初日から、理学療法士によるトレーニングが施されることになっているらしい点です。
 実に、初日のICUにおいて、午後、一回目のトレーニングが、ベッドに寝たままの私に対して行われました。
 さすがに、少し抵抗を加えての下肢の屈伸運動だけでしたが。
 理学療法士の方は、男性が圧倒的に多くて、ほんの少し女性がいる、という感じでしたね。
 基本的に、退院まで、同じ理学療法士が特定の患者を担当する、というやり方で、当人がお休み時だけ、臨時に他の理学療法士が受け持つ、というスタイルであり、日曜だけは、トレーニングはお休みです。
 この理学療法士、看護婦同様、積極的に私の話を引き出そうとしていましたね。
 すぐに私のHP等にも目を通していました。
 途中からは、歩行「訓練」も開始されるのですが、それでも、退院当時、自転車を乗りこなすのにエラく苦労しましたね。
(続く)