太田述正コラム#9225(2017.7.19)
<改めて米独立革命について(第II部)(その10)/TBSビビットの取材>(2017.11.2公開)
 「憲法策定者達(Framers)が行った諸妥協は、彼らの真の諸優先順位を暴露している。
 連邦政府は、西部の地のコントロール権を獲得し、原住民の指導者達と諸条約の交渉を行った。
 原住民達が同意しなければ、武力の脅威に直面するぞ、というわけだ。
 その一方で、コネのある選良達は、非公式に、この土地に対する最初の権利(dibs)を得、彼らがそれらを金儲けのために貧しい白人の市民達に売ることが可能になった。
 奴隷制は続けることが認められ、女性達は、その愛郷的義務は徳高き男たる市民達を育て上げることである、と執拗に主張していた男達によって保護を受ける、という点はともかくとして、何も与えられることはなかった。」(d)
 (6)ホンネのその2:奴隷制の維持
 「もう一つの大きな皮肉は、人間家畜的動産化(chattel)奴隷制について・・英国は退き、その帝国全域において漸次的に廃止したけれど・・、新たに独立した米国においては、就中、大農場農業の経済モデルの核心であるところの決定的要素としてそれが機能していた、南部諸州においては、それの大いなる拡大が行なわれたことだ。
 ジェファーソン(Jefferson)とマディソン(Nadison)は、それまで地所(estate)をそのままの形で維持してきたところの、長子相続(primogeniture)と限嗣相続(entail)、の廃止をもたらした、大農場主(planter)の諸権利の拡大、及び、社会的経済的移動性の増大、を行った、という名誉をしばしば与えられている。<(注15)>
 (注15)ジェファーソンは、ンヴァージニア州で率先的に、英国時代から継承されてきた、土地に関する長(男)子相続法制を廃止し、これは全米に波及した。
https://en.wikipedia.org/wiki/Primogeniture#United_States_and_Canada
 マディソンもヴァージニア州出身だが、ジェファーソンやマディソンが長子相続法制廃止を唱えたのは、それが封建的で貴族制を温存させるものだ、と考えたからだとされている。
http://www.wealthandwant.com/themes/underpop/primogeniture.htm
 しかし、諸家族の分解が、突然、加速化された結果にはぞっとするようなものもあった。
 例えば、アフリカ系米国人という人的諸商品が、諸高値で他の諸地域に売り渡されることも可能になったのだ。
(続く)
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            –TBSビビットの取材–
 15:00頃:TBSビビット取材班(男性)から打診の電話あり。
 15:30頃:同上(女性)から、録音するとの断り付きの取材の電話あり。
Q:稲田防衛相が日報を保管していた事実を非公表とすることを了承していたという報道について、黒江次官や豊田官房長は、かかる会議が開かれたのかどうかについて、曖昧な答え方をしているが・・。
A:こんな(機微にわたる)案件についての重要な(、しかも比較的最近の)会議について記憶が曖昧ということは考えられない。
 百歩譲って記憶が曖昧だったとしても、大臣室で(のものに限らないが、大臣を交えた)会議が開かれた場合、必ず(大臣)秘書官が同席して、誰が会議に出たどんな会議であったかは記録するから、その記録を調べれば足りる
 なお、その会議で何かを決めた、ということであれば、何が決まったかは、参集者を含む関係者の認識に後で齟齬をきたさないよう、必ず、出席している担当部局の課長以上も記録するはずなので、そちらの記録を調べてもいい。
 (本件の場合は、文書課が担当部局のはずだ。文書課長が出席していなかったとしても、その上司の官房長が記録する。
 なお、大臣秘書官も官房長の部下だ。)
Q:記録は作ったが既に破棄した、ということはありえるか?
A:最近の文書管理規則類がどうなっているのか知らないが、この案件については、監察が進行中であり、そもそも、マスコミ等の関心も高いこともあり、会議は2月に行われたという報道であるところ、わすか数か月で破棄する、というようなことは考えにくい。
Q:そもそも、部隊の日報は破棄されるものなのか。
 個人的記録だったという話もあるが・・。
A:部隊の(公式)日報だろう。
 (統幕や陸幕で「コピー」が保管されていたというのだから・・。)
 この種のものについての文書管理規則類についても承知していないが、常識的に言って(こういう貴重な記録を)破棄はしないだろう。
 電子化する時代で、場所をとるものではないからだ。
Q:日報は公開すべきなのか。
A:オペレーションの記録だから、公開できるものと公開すべきでないものがある。
 「戦闘」が起こっているという情報が得られたことについては、(情報源はともかく、)公開に馴染むと思うが、それに対して、部隊側がどんな措置をとったかということについては、(手の内を明らかにすることにもなるので、)公開に馴染まない場合が多いのではないか。