太田述正コラム#0515(2004.10.27)
<オリンピックでのメダル獲得数(その4)>

 ウ 台湾
台湾は、Chinese Taipeiとしてオリンピックに参加してきましたが、アテネで初めての金メダルをしかも二個(テコンドー)も獲得し、メダル全体で見ても、前回のシドニーの時は銀1銅4計5個だったのに対し、アテネでは同じ5個とは言っても金2銀2銅1であったので、台湾の人々は熱狂し、中共の方を向いている国民党支持者も含め、台湾人意識が一層高まったようです。
そのとたん、更に欲が出たとみえて、次の北京オリンピックでは金7個だ、とか、オーストラリアは人口が1,900万人と台湾の2,250万人より少なく、また購買力平価による一人当たりGDPがほぼ同じ(豪:25,000ドル、台湾:23,400ドル)なので、実質経済規模で台湾がオーストラリアを上回るにもかかわらず、オリンピックでの成績において天と地ほどの差があることに切歯扼腕する論説が出たりしました。
また、韓国とは違って、アテネでの最大の勝利者はメダル数が躍進した日本だ、という論説も見かけました。
(以上、http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2004/08/30/2003200863(8月31日アクセス)、http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2004/08/31/2003200974(9月1日アクセス)、http://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/2004/09/07/2003201982(9月8日アクセス)、及びhttp://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/2004/09/16/2003203125(9月17日アクセス)による。)
このように見てくると、日本人はもっと台湾に注目するとともに、この国がChinese Taipeiというおかしな「国名」でしかオリンピックに参加できないこと等の台湾人の悲哀にももっと関心を寄せるべきだ、と改めて痛切に思います。
台湾は、かつて日本の植民地であり、最近における自由・民主主義の成熟化もあって、世界経済フォーラム(スイス)の国際競争力レポート(2004年版)によれば、その国際競争力は世界第4位、アジア諸国の中ではトップに位置づけられている(http://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/2004/10/25/2003208362。10月26日アクセス)国なのですから。

 (4)中国
シドニー、アテネとオリンピック中国代表団長をつとめた袁氏は、シドニーオリンピックが終わった時に、競技スポーツ大国の定義を聞かれ、「国民の資質、身体的資質、スポーツ施設・・一般市民のスポーツへの意欲、スポーツへの参加の程度、個人のスポーツ関連消費の水準・・スポーツ産業、競技スポーツのレベル・・<等の>総合的な概念」と答えましたが、アテネオリンピックで米国に次ぐ金メダル数を獲得したにもかかわらず、まだまだ中国は競技スポーツ大国ではない、と答えました(http://j.peopledaily.com.cn/2004/08/31/jp20040831_42936.html。9月1日アクセス)。
まさにその通りであるわけですが、英米のメディアがおしなべて強調していることは、いまやスポーツの世界における米ソ(露)二強並立時代は終わり、名実共に米中露の三強鼎立時代に入ったということです(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A41964-2004Aug28.html。8月30日アクセス)。
いずれにせよ、私としては、中国と(日本・台湾・韓国(・北朝鮮)を合わせた)「日本」の競い合いが今後いかなる展開を見せるか、固唾を飲んで見守っていきたいと思っています。

(5)「インド」
本シリーズも長くなったので、ほかにもとりあげるべき国がいくつか残ってはいますが、「インド」で締めくくることにしましょう。
その(インド・パキスタン・バングラデシュを合わせた)「インド」はインドで代表させたいと思います。
インドがアトランタ・シドニーではそれぞれ一個の銅メダル、アテネでは一個の銅メダルしかとれていないことは、インドが世界第二位の人口大国で、現在(中国ほどではなくても)経済が高度成長中であることを考えると、世界の七不思議と言っていいかもしれません。
インドが四半世紀前までホッケーで金8銀1銅2個という輝かしい成績を挙げていたことからすると、インドは独立後、スポーツ面ではむしろ退歩してきた、ということになりそうです。
(これにひきかえ、インドは国際美人コンテストでは活躍が続いており、この10年でミスユニバース2名、ミスワールド4名を輩出しています。)
その原因としては、政府がスポーツ施設の整備に力を全く入れてこなかったことやオリンピック種目ではないクリケットだけに国民の関心が集中していること、等が挙げられていますが、よく分からない、というのが正直なところのようです。
(以上、http://www.cbc.ca/news/viewpoint/vp_copeland/20040818.html(9月1日アクセス)による。)

(完)