太田述正コラム#0570(2004.12.21)
<中国共産党と支那社会(その2)>

中共の一人っ子政策については、米国政府は一貫して、人権侵害だと批判してきました。
この関連でブッシュ政権は、過去三年間、国連人口基金への米国政府の資金拠出を停止してきました。同基金が、中国政府の人口計画を支援し、中国における強制中絶政策の推進を黙認しているとの理由からです。
(以上、http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2004/12/16/2003215320(12月17日アクセス)による。)

4 開放政策

 しかし、米国の思惑を超えて支那の現実は前に進みつつあります。(そもそも、国連人口基金への拠出停止は、ブッシュ政権の(中絶を目の敵にする)キリスト教原理主義的偏向によるものです。)
 例えば、少子化政策と男児選好とがあいまって、男女生誕比は117対100といういびつな姿になっていますが、かかる希少性を武器にして、女性は一層力をつけてきています。
なかなか数字には表せないのですが、婚姻生活における愛の重視であるとか、夫婦間の相互主義であるとか、夫婦それぞれの個人としての自己主張の当然視であるとか、からこのことが分かります。
 特に支那の都市においては、子供は男でも女でもどちらでもいい、と考える人が大部分になっていますし、最近では、女の子の方が育てやすく、結婚しても実家との絆が密であるのでいい、と考える人さえ増えてきています。
 この分なら、早晩、男女生誕比は正常化に向かうことになりそうです。
 これに加えて開放政策の下で、支那社会全体が、都市社会にして豊かな社会へと加速度的に変貌を遂げつつあります。
 しかも開放政策に伴う世界の漢人同士の交流の飛躍的増大に伴い、香港や台湾といった「海外」の先進漢人社会からの影響を支那は日々刻々受けるに至っています。
 ですから、もはや支那の都市の少なからぬ部分においては、欧米や日本などと変わらぬ家庭生活が営まれおり、これらの家庭は欧米や日本などと同じような問題に直面するようになっている、と言っていいでしょう。

5 支那社会の近代化

 最後に、支那社会の近代化がいかに迅速かつ広汎に進行しているかを、データで確認しておきましょう。
1978年と2001年とを比較すると、例えば、都市人口は18%から38%へと増えていますし、その都市における一人当たり居住面積は40平方フィートから114平方フィートに増えています。
 家族当たり人数は、1949年には5.3人でしたが、2000年には3.4人まで減少しました。
 この20年で離婚率は3倍になりました。2001年の上海では、離婚率は27.7%であり、離婚請求者の70%は女性でした。
 現在、広州市では、小学生の95%が一人っ子です。
 現在、北京市の65歳以上のお年寄りの38%が一人暮らしです。
 1949年以前は、大部分の家庭が三世代以上同居でしたが、2000年には都市家族の30%しか三世代以上同居はありません。
 現在、都市の生徒の家庭の10%が母子家庭ないし父子家庭です。
 現在、上海では、家族の12.4%が共稼ぎでかつ子供がいません。
(以上、http://www.csmonitor.com/2004/1217/p01s04a-woap.html(10月17日アクセス)、及びhttp://www.csmonitor.com/2004/1216/p10s01a-woap.html(12月16日アクセス)による。)

我々としては、支那には都市を中心に我々と変わりない社会意識を持っている人々が住んでおり、その人々の割合が急速に増えていること、そして中共政府がこのような人々を統治していること、を肝に銘じる必要があります。

(完)

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