太田述正コラム#10382(2019.2.18)
<皆さんとディスカッション(続x3987)>

<太田>(ツイッターより)

 「英国のウィリアムソン国防相は…2017年に就役した最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を初の運用任務で…太平洋海域に<も>派遣すると正式発表した。…派遣は21年以降…。南シナ海で海洋進出を進める中国へのけん制…が狙い。…」
https://mainichi.jp/articles/20190212/k00/00m/030/099000c
 「英財務相が訪中を中止 英空母派遣発表で中国側反発・・・」
https://mainichi.jp/articles/20190217/k00/00m/030/130000c
 EU離脱といい、この話といい、覇権国の地位を喪ったことに対する、英国の遅発性ヒステリーだな。
 覇権国の地位を喪う恐れに戦いてトランプの大統領選出という形のヒステリーを起こしたところの、出来悪アングロサクソンたる米国よりはマシだけど・・。

<こうちゃん>(昨日)

 誕生日おめでとうございます。
 長生きしてさらなる戦前史の掘り起しをしていただくことを願っております。

<太田>

 どうもどうも。
 しかし、日本の戦前史だけじゃなく、世界史の全てについても、再び材料不足に陥る、いやーな予感が・・。
 (もとより、国際情勢はどんどん動いて行くので、「ディスカッション」の材料には困らないでしょうがねえ。)
 残されている材料として、帝国海軍の無能原因の究明、と、後は北朝鮮論、くらいしか思い浮かびません。
 どちらもどうでもいいじゃん、という気がしていることに加え、後者については、判明している(信頼の置ける)ファクツが少な過ぎるという問題もあり、余りやる気が出ません。
 だからこそ、映画評論コラムで穴埋めできる態勢だけは構築したのですが、はて。

<HH>

 今回の<「杉山元と日本型政治経済体制」>シリーズ<(未公開)>における木戸幸一論は興味深く読みました。
 昭和史は杉山構想という補助線を引かない限り支離滅裂に行動し自爆し果てた大日本帝國という姿しか出てこないですが、逆に杉山構想という背後思想を理解すればほぼ全ての動きが理解できる、確かにそう思います。
 ただその中で難問の一つが木戸幸一で、彼の行動を表面だけ見れば最も支離滅裂に見える、しかし外交方針だけ見れば松岡洋右や白鳥敏夫といった昭和天皇に嫌悪された人間の考えとそう大きな乖離はないにも関わらず、賜杖エピソードにある通り(彼が逝去した折の新聞記事で僕もこれは印象に残っていました)晩年まで一貫して昭和天皇その人から信頼を寄せられているという現実の落差に違和感があったのです。
 ですから杉山構想の中で彼をどう位置づけるかは僕もあれこれ考えていたのですが、宮中スパイ<説>!<で>すか。
 正直、アメリカを日本本土に引き入れて対ソ連防衛を行わせるという<太田さんの>想像と並んで、まだ納得できているわけではないですが、確かにありうる話というか合理的な推論のような気がします。
 それよりも今回の太田さんの論考の結論、杉山構想が究極的には昭和天皇のモードチェンジの具現化に繋がった、というのはハッとする指摘で、これは文句なく同意です。
 最近、明らかにされた昭和天皇晩年の述懐「長生きすると碌なことはない。肉親は先に亡くなるし、戦争責任をあれこれ言われる。」がその証左で、杉山構想に気がついていたからこそ昭和天皇からすれば、自身および麾下の臣民によってアジア解放と日米非戦化という世界史的な偉業が達成されたにも関わらず、被害にのみ焦点があたり文句ばかりつけられるというのは不本意であるという思いが強かったのではないでしょうか。

<太田>

 日本の歴史ブームとやらを耳にするけれど、太田コラムの戦前史部分に一般の方々の関心がゼロなのが、(私としては知ったこっちゃないけれど、)チョイ不思議です。
 ま、歴女の面々はもっと古い歴史にご関心をお持ちのようなので、当然かもしれませんが、歴男の面々、日本(と支那)の戦前史という人類史における最大のミステリーを解明させられる羽目に陥っている・・トホホ・・ところの、最近の太田コラムに一瞥もくれないとは、一体、何が楽しくて、日本史を漁っておられるのでしょうねえ。
 そうそう、日本の戦前史家達や政治学者達のお歴々については、もはや、そのご存在すら忘れちまっておましたわ。
 だもんで、お歴々の太田コラムへの関心がゼロであることは、私、不思議にすら思っていないところ、何卒ご宥恕のほどを。

<US>

≫USさん、その他の諸スライドについても、案の作成に手こずりそうなものがあれば、教えてください。≪(コラム#10378。太田)

 ご配慮ありがとうございます
 <スライド>#11 ですが、”習近平の戦略”、”トランプ、日本、そして世界” は良いですが、北朝鮮については何を図示すれば良いでしょうか?
 習近平の戦略上の駒の一つということで習近平戦略のなかに含めて記載すれば良いでしょうか?

<太田>

 北朝鮮は気になっていました。
 私の方で考えてみます。

<US>

≫文十郎さん作成のスライドを利用する。≪(コラム#10370。太田)

 現在のスライドには、

日本文明継受論者として黄遵憲 、汪兆銘 、毛沢東 、鄧小平 、習近平 、
欧州文明継受論者として洪秀全 、孫文 、蒋介石

が掲載されています
 タイトルに、”戦間期以降の” とあるので、黄遵憲、洪秀全 、孫文 は外しますか?
あるいはタイトルを”近代以降の”などと変えましょうか?

<太田>

 取敢えずは、後者でお願いします。

<豊丘時竹>(2019.2.17)

 –能力の最大限発揮を控えてきた–

 ・・・日本人は能力の最大限発揮を控えてきた、なんて、なんと奥ゆかしいんだ。
 すばらしい。
URL;http://www.ohtan.net/blog/archives/12393

<文十郎>

 2月16日17日は、「皆さんとディスカッション(続x3985 及び 3986)」は配信されていますが有料会員向けコラムが届いていません。
 太田さんが配信していないのであればいいのですが、手違いで私に届いていないのであればどうすればいいのでしょう?

<太田>

 ノーティスありがとうございました。
 昨日のは全員に忘れていたので、先ほど配信させていただきました。
 一昨日のは配信済みですが、念のため、下に掲げました。
 <以下、略。>

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 渡辺棋王にも勝利のチャンスが一回だけあったんだね。↓

 「藤井聡太七段対渡辺明棋王 第12回朝日杯・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=ejJV_ivKdsE

 豊田正和君送り込みに伏線があったに決まってるわな。↓

 「日産、経産省に介入要請=ルノーとの統合阻止で-米紙・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%80%81%E7%B5%8C%E7%94%A3%E7%9C%81%E3%81%AB%E4%BB%8B%E5%85%A5%E8%A6%81%E8%AB%8B%ef%bc%9d%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%B5%B1%E5%90%88%E9%98%BB%E6%AD%A2%E3%81%A7%ef%bc%8d%E7%B1%B3%E7%B4%99/ar-BBTEURh?ocid=spartanntp
 <初めて、ゴーンに好意的な記事が。ま、道楽の域だが・・。↓>
 「カルロス・ゴーンだけが理解した「GT-R」開発プラン・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/16035127/

 更にその根本原因は?↓

 「教育の男女格差、原因は? 家庭、学校、企業、国…・・・」
https://www.asahi.com/articles/ASM2F56BTM2FUTIL03Z.html?iref=comtop_latestnews_01

 スゴさが分からぬトーシローの私。↓

 「世界を一変させる日本発、画期的半導体・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E4%B8%80%E5%A4%89%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%99%BA%E3%80%81%E7%94%BB%E6%9C%9F%E7%9A%84%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93/ar-BBTItbf?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp#page=2

 岡山の金陵山西大寺のはだか祭りの紹介記事だ。↓

 Saidaiji Eyo: Near-naked crowds hunt for lucky sticks at Japan festival・・・
https://www.bbc.com/news/world-asia-47271181

 くだらない比較項目もいくつか含まれているが・・。↓

 「日韓学力比較 TOEICの平均点は日本517点、韓国676点・・・」
https://blogos.com/article/358479/

 まだまだ危機意識が足らない朝鮮日報とその読者達。↓

 「自民内部で高まる対韓報復措置の声、2つの選挙が変数との見方も–韓国政府が対抗措置取れば日本にも打撃–報復実現の可能性は低いが4月と7月に選挙で安倍首相が強硬路線?・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/02/18/2019021880055.html
 「経済報復をちらつかせ連日韓国を脅す日本–徴用賠償判決以降、態度硬化–自民党「防衛産業物資の輸出規制・韓国人就労ビザ制限すべき」主張・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/02/18/2019021880046.html
 「「経済報復をちらつかせ連日韓国を脅す日本」記事への韓国読者コメント・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/02/18/2019021880049.html

 エッ、そんなん常識だが、これまで科学的に裏付けられてなかったんかー。
 (前にも書いたことあるが、私、絶対音感、あるみたい。)↓

 「絶対音感は先天性のものであることが明らかに カナダの研究・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/16035336/

 とにかく、いい加減に、ユダヤ人迫害の被害者側を批判しちゃダメなんちゅう悪習を排すべきだよ。↓

 PM Mateusz Morawiecki has cancelled a trip to Israel following comments on the Holocaust by Israeli counterpart Benjamin Netanyahu.
 Mr Netanyahu was quoted in Israeli media as saying “Poles co-operated with the Germans” during the Holocaust.・・・
https://www.bbc.com/news/world-europe-47272718

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <だから?↓>
 「日本に行って食べたブリ、ハマチ、イナダ・・・実は全部同じ魚だった!・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1675711?page=1
 <客観記事。↓>
 「・・・今日頭条は・・・「日本で車を維持するには多額の費用がかかる」という主題の記事を掲載し、日中の状況を比較している。
 記事の中国人筆者は2008年に北海道の大学を卒業後、そのまま北海道に住み続けているという中国人で、自分の車を使って仕事をしているようだ。そして、車の維持費は毎月約1万元(約16万4000円)ほど必要だと紹介している。
 まず記事は、日本でも車を運転するのに運転免許が必要であることを紹介し、自動車学校へ通って運転免許を取得しようと思った場合には30万円(約12000-18000元)ほど必要で、安い中古車が購入できてしまうほどの金額と伝えた。中国でも運転免許の取得には自動車学校に通うのが一般的だが、地域や学校によって大きな価格の差があるが、5000元(約8万2000円)ほどで運転免許を取得することが出来る。
 続けて、日本では「車庫証明」を取得する必要があり、自宅に駐車スペースがなければ有料の駐車場を借りる必要があると伝えている。中国では「車庫証明」は必要ではない。また、車には「燃料代」もかかるが、日本のガソリン価格は中国よりも1リットルあたり2元(約32円)ほど高い。また「高速料金」についても、日本は中国の2倍ほどの費用がかかると伝え、普段のメンテナンスや法令点検などすべての費用を合計すると、日本で車を維持するのは「簡単なことではない」と主張した。
 一方、日本車は普段のメンテナンスをしっかり行っていれば、大きな故障は起こらないことは非常に高く評価することができると強調している。」
http://news.searchina.net/id/1675748?page=1
 <ウン、そーなんであるだ。↓>
 「・・・日本人の弁当については、「往々にして美しさ、清潔感を求めている」と紹介。そこには、決して潤沢に食べ物の資源があるわけではなく、食べられるだけのものを作るという日本人の節約の精神があるとし、「われわれも確かにこの点については学ぶべきかもしれない」と伝えた。」
http://news.searchina.net/id/1675712?page=1
 <材料は全て定番。↓>
 「みんな日本が大好きだが、日本にこんな習慣があるって知ったら住みたいと思う?・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1675713?page=1
 <同じく。↓>
 「アジアを代表する日本の大都市・東京、中国の大都市と比べて大きな魅力があった・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1675715?page=1
 <同じく、ではあるけれど、かなりの部分が引用に値する。↓>
 「・・・今日頭条・・・記事は、「中国企業が長生きしたければ日本を見習うべき」と主張し、日本と中国の企業の違いを4つ分析している。まずは「追求するものが違う」と指摘した。中国の起業家は金儲けの才能があるものの、「本業以外に手を広げる」傾向にある。本業もまだ完全に成功していない段階で、投資や不動産などに手を出し、功利を急ぐために失敗も多いという。これに対して、日本企業は本業一本に集中して、それを極めようとする傾向があると伝えた。
 2つ目は、「技術への理解の違い」だ。中国の起業家は先進的な設備さえ導入すれば儲かると思い込んでいるが、その設備を扱う技術者を育成し、彼らがその通りに実践して初めて成果が出ると指摘。この点、日本は技術者の育成に費用を惜しまないのに対し、中国は設備には多額の費用をかけても設備を扱う技術者育成の費用を惜しむため、うまくいかないとしている。
 3つ目は、「速度に対する理解の違い」だ。中国はとにかく早く利益を出すことを求めるため、品質を犠牲にするが、日本は時間をかけて質の高い製品を製造するという。最後は「ルールに対する態度」が違うとした。「ずる賢い」中国人は、すぐにルールの抜け穴を探すので、一見効率が良いように見えるが、長期的に見ると高い代償を払うことになると指摘している。」
http://news.searchina.net/id/1675716?page=1
 <部分的に新しい話も。↓>
 「中国メディア・東方網・・・記事は・・・「われわれ中国では普段、食事を比較的自由かつ気楽なスタイルで取り、特にこれといったルールやマナーに縛られることはない。しかし、日本では、日常であっても仕事の席であっても、食事の際にはしきたり感を保たなければならないのだ」としている。
 そして、日本人は食事をとる時の姿勢に対する要求が厳しいと指摘。特に畳の上でご飯を食べる時には靴を脱いで上がるのは言うまでもなく、正座をして食べる必要があるが、この姿勢が非常に疲れるのだとした。「中国人観光客は厳密に日本の食事マナーを守る必要はないというが、それでも畳の上に置かれた机の高さは非常に低い。立膝をしたりしゃがんだりしないと合わないのだ」と説明した。
 さらに、「奇怪なのは座る姿勢だけでなく、食事の料理もそうだ」とし、大皿料理が中心の中国に比べると、日本の食事で出てくるおかずの量はとても少なく、まさに「量より質」が体現されていると紹介。大量に食べることに慣れた中国人にとっては、到底足りる量ではないのだと伝えている。」
http://news.searchina.net/id/1675747?page=1
 <結構、新しい視点が。↓>
 「・・・今日頭条は・・・同じ企業でも、なぜ日本企業は事業構造の転換に成功するのかについて分析する記事を掲載した。
 記事はまず、日本には老舗企業が多いと紹介。その理由ははっきりしていて、本業だけをまじめにこつこつ追求し、盲目的な投資をしないからだという。では、日本企業はどうやって事業構造の転換を実現させたのだろうか。
 1つの理由として、日本企業には「先見の明がある」と分析。例えば、NECは日本を代表するPCメーカーだったが、11年にPC事業をレノボに売却したことを紹介。まだ、PC全盛期でよく売れていた時代だったが、8年後の今は斜陽産業となっており、現在のNECは半導体事業と自動運転技術に力を入れていて、先見の明があるゆえの産業転換だと論じた。
 また、日本企業は「自力でイノベーションできている」と分析。大震災時には、トヨタ自動車のプラグインハイブリッド車(PHV)の外部電源供給システムが長時間の停電で役立ったことを伝え、この「移動できる電源」が家庭の電化製品を動かせることが知られるようになり、見直されたという。
 また、トヨタはソフトバンクと協力して、運転のできない高齢者のために自動運転技術を活用しようとしていると紹介。企業が、政府に頼らず災害や高齢化などの社会問題に積極的に対応したイノベーションをしている例と言えるだろう。さらに記事は、日本と中国の企業とでは「資本金」にも違いがあると分析。日本企業は本業に集中して利益を蓄え、盲目的に投資を拡大しないので十分な資本があり、体力があると指摘。このため、時間をかけて産業転換ができるということのようだ。」
http://news.searchina.net/id/1675733?page=1
 <頑張れよー、なーんちゃって。↓>
 「昨年伊藤美誠に翻弄された中国女子卓球、今年は早田ひなにもやられるかもしれない・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1675723?page=1
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太田述正コラム#10383(2019.2.18)
<丸山眞男『政治の世界 他十篇』を読む(その19)>

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