太田述正コラム#7822005.7.7

<似た者同士の日韓?(その1)>

1 始めに

 日本人と韓国人は、容貌以外にも良く似ているところが沢山あるだけではなく、近年ますます似通ってきています。他方、依然として大きく隔たっているところもあります。

今回は、そのあたりをさぐってみることにしましょう。

2 似ているところ

(1)ともに高い平均知能指数

似ている点としてまず挙げられるのは、知能指数(IQ)の高さです。

IQのデータの得られる世界の国々を網羅した資料によると、高い順に、(上海:109.4)、(香港:107)、韓国:106、日本:105、台湾:104、(シンガポール:104)・・・米国:98、となります(http://www.nationmaster.com/encyclopedia/List-of-countries-by-IQ。7月6日アクセス)。

もう一つの資料はAPEC諸国だけを対象にしたものですが、これも高い順に並べると、日本:110(香港:107)、韓国:106、台湾:104、(シンガポール:103)、・・・中共:98、米国:98、となります(http://www.apecneted.org/knowledgebank/index.cfm?action=dsp_archives。7月6日アクセス)。

 括弧内は、都市または都市国家なので、歴とした国の中では、日本と韓国が1、2位を争っていることがお分かりいただけると思います。

 IQは、一人当たりGDPの高い国、受験勉強の盛んな国、漢字圏の国は高くなる傾向があり(nationmaster上掲)、必ずしも知能とイコールとは言えませんが、IQが高いことで悪い気はしません。

 次は、日本人と韓国人の自殺性向が似通っている、という余りありがたくない話です。

 (2)自殺性向の類似

  ア ともに高い自殺率

日本では2003年に自殺者が急増し、(5歳以上人口)10万人あたり27人の自殺者を出しており、この自殺率は米国の二倍であり、日本で自殺統計を1978年にとりだしてからの最高値であると同時に、世界有数の高さです(http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/3919775.stmhttp://www.nytimes.com/2004/10/13/international/asia/13japan.html?pagewanted=print&position=(どちらも20041013日アクセス))。

 その1年前の2002年のデータで国際比較すると、自殺率の高い順に、ハンガリー:27.4人、フィンランド:21.2人、日本:19.9人、韓国19.1人だった(注1)のが、韓国も自殺が急増して2003年には27.4人(注2)となった結果、日韓両国が今や世界1、2位を争うようになっていると考えられます。

(注12000年のデータでは、上位三カ国は、リトワニア:42人、エストニア:40人、ロシア:38人だった(http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/3639152.stm2004年9月10日アクセス)。

(注222.8人という数字もある(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200410/200410030011.html200410月4日アクセス)。

しかも、自殺率が長期的に見ても伸びてきている点についても、政府の自殺防止政策のおかげもあって自殺率が下がってきている欧米と日韓は対照的です(注3)。

(注3)韓国の1992年の自殺率は9.7人に過ぎなかった。

また、孤独とか人生の無意味さといった哲学的な理由で死を選ぶ欧米諸国に対し、借金とか家庭崩壊とか病気といった経済的・社会的理由あるいは健康上の理由で死を選ぶ日韓両国、という違いも見られます。ちなみに、韓国は経済的理由が主、日本は健康上の理由が主、という感じです。

(以上、特に断っていない限りBBC上掲及びhttp://english.chosun.com/w21data/html/news/200409/200409090026.html2004年9月10日アクセス)による。)

  イ 特異な集団自殺形態の共有

 このように自殺率の趨勢と高さが似通っているだけでなく、日韓両国は、親子心中とネット集団自殺、という、世界の他の地域では極めてまれな集団自殺形態を共有しています。

 まず、親子心中です。

 日本では、かつて親子心中はほとんどありませんでした。親子心中は日本の近代化の産物なのです。

 親子心中が始まったのは、大正1213年(192324年)頃から(注4)であり、その後急増し、社会問題化して行きます。

 (注4)その原因は、「家」・・血縁大「家」族に限らない。例えば、商「家」を想起せよ・・の崩壊に伴い、親が自殺した場合に親代わりになって子供の面倒を見てくれる人がいなくなったから、と考えられている。

(続く)