太田述正コラム#10750(2019.8.20)
<三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』を読む(その112)>(2019.11.8公開)

 冷戦後のグローバリゼーション<(注145)>に相当する歴史的役割を果たしたのが、第一次世界大戦後のアメリカニゼーションであったといえるでしょう。

 (注145)「世界史的に見れば、何らかの現象の「グローバリゼーション」は、大航海時代に起源を発する。大航海時代により、<欧州>諸国が植民地を世界各地に作り始め、これにより<欧州>の政治体制や経済体制の「グローバリゼーション」が始まり、物流の「グローバリゼーション」が起こった。これが本格化し始めた時期は19世紀で、ナポレオン戦争による国民国家の形成や、産業革命による資本主義の勃興が、近代の「グローバリゼーション」を引き起こした。特に19世紀末から20世紀初頭にかけて、帝国主義の最盛期とともに世界経済は高い統合度を示すようになり、これは1914年の第一次世界大戦勃発まで続いた。当時の貿易統合度は非常に高く、1913年の貿易統合度は1980年代になるまで回復しなかった。・・・
 現代の「グローバリゼーション」では、
第二次世界大戦後に地球規模化した現象
世界恐慌最中の1930年代前半に失われたが、現在に復活している現象
米ソ冷戦終結後の1990年代に地球規模化した現象
の3つの流れがある。これらの現象には、ヒト・モノ・カネと情報の国際的な流動化が含まれる。また科学技術、組織、法体系、インフラストラクチャーの発展がこの流動化を促すのに貢献した。一方で、様々な社会問題が国家の枠を超越し、一国では解決できなくなりつつある。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

⇒三谷はアメリカニゼーションという言葉を誤って使っているので、このような文章もまた、意味不明です。(太田)

 第一次世界大戦後の国際政治の多極化は、「パックス・ブリタニカ」<(注146)>(「英国主導の国際政治秩序」)から「パックス・アメリカーナ」<(注147)>(「米国主導の国際政治秩序」)への過渡期、すなわち国際政治における覇権構造の変化の過渡期の現実でした。

 (注146)「一般的には<英国>が「世界の工場」となった1850年頃に始まるとされ、終わりについては、その地位を失った1870年頃と第一次世界大戦の始まる1914年の二つのパターンがある。またあまり一般的でないが、ナポレオン戦争終了時(1815年)から第一次世界大戦勃発(1914年)までという広義的な見方もある。・・・
 <英国>が「世界の工場」であったのはほんの20年ほどであり、むしろ「世界の銀行」としての役割の方が<英国>にとっては重要であり、19世紀後半の<大英>帝国を牽引するのは製造業ではなく、金融業であったと今日では考えられている。したがって「世界の工場」としての地位が失われた1870年代以降についてもパクス・ブリタニカと呼ぶのも不自然ではない。むしろこの言葉が19世紀末に使われ始めたことを考えると、その頃に顕在化する、帝国という目に見える繁栄の証こそがパクス・ブリタニカの本来のイメージに合致するとも言える。・・・
 <英>海軍整備の基本方針は二国標準(Two-Power Standard)として知られる。1889年の Naval Defence Act で銘記されたこの原則は、端的に言えば第二位、第三位の国の海軍力を併せたよりも更に大きな海軍力を整備するという方針である。当初、具体的な仮想敵国は伝統的な競争相手であるフランスとロシアを想定していた。1900年頃からフランスとロシアに代わって、新たにドイツ帝国と<米>国が政治的・経済的・軍事的な競争相手して現れると、建艦競争は激しさを増し二国標準は立ち行かなくなったが、公式には1909年まで掲げられた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%82%AB
 (注147)「ソ連を盟主とする社会主義圏(東側諸国)に対抗する自由主義圏(西側諸国)の盟主として、<米>国が北大西洋条約機構(NATO)や日米安全保障条約などを通して西側世界の軍事を引き受け、「核の傘」で資本主義諸国と西側世界を保護するとともに、マーシャル・プランなどによって西欧諸国の、エロア資金などによって日本・琉球・台湾の復興を支え、「ドルの傘」のなかで自由主義経済を編成する体制であった・・・。
 ただし、より正確に世界経済システムとしての性質を考慮すると、ドルの傘(ドル体制)、すなわち世界一の金保有量を誇った<米>国の「金ドル本位制」の側面と、IMF・GATT体制(「ブレトン・ウッズ体制」)という側面の2つにまとめることができる・・・。
 後者は、「自由・無差別・多角主義」をスローガンとし、各国間の貿易や金融取引における障害を撤廃し、相互に自由平等な立場で競争をおこなうことによって、世界貿易の拡大、開発途上国の開発、国内の完全雇用を実現しようというものであった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8A 前掲
 典拠が十分付いていないが、秀逸な纏め方だと思う。↑

⇒ここは異存がありませんが・・。(太田)

(続く)