太田述正コラム#10832006.2.17

<解明されつつある人間の秘密(続々)>

1 米国の男女の結婚観の違い

 米国で行われた調査によれば、結婚相手に対して男性が求めるのは、ユーモアのセンス・自分の家族との協調性・安定した仕事/借金を踏み倒した前歴がないこと(この二つは同順)・子作りの意欲・キッスが上手なこと(注1)、の順なのであるのに対し、女性が求めるのは、安定した仕事・お金の支払いがきちんとしていること・ユーモアのセンス・自分の家族との協調性・子作りの意欲・無違反の運転歴、の順であることが分かりました。

 これを見ると、男性はロマンティスト、女性はリアリストである、という感を改めて深くしますね。

 (以上、http://www.latimes.com/business/la-021306love_lat,0,7205585,print.story?coll=la-home-headlines(2月14日アクセス)による。

 ホリエモンは、カネで買えないものはない、とうそぶきましたが、どうやら、女はカネで買えるようです。

 (注1)キッス(接吻)が登場するあたりは、いかにも米国らしいと思うが、日本にも昔から男女間の口吸いの「習慣」があった。紀貫之の「土佐日記」、今昔物語や秀吉(肥前名護屋)の淀君(大阪城)宛の手紙にもこの言葉が登場する(http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1188474。2月17日アクセス)。

     なお、豪州における研究によれば、青少年がディープキッスを行うと、髄膜炎や敗血症を引き起こすバクテリア(meningococcal bacteria。青少年の1割が感染している)の感染が起こりやすく、ディープキスの「普及」の結果、1990年代を通じ、米英の青少年の髄膜炎・敗血症罹患率及びそれに伴う死亡率が急上昇したという(http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4696974.stm。2月11日アクセス)。

2 仕事こそ幸福の源

 スェーデンにおける研究によれば、カネも愛も成功も人を幸福にはしないのであって、次々に目標を設定して、懸命に仕事を続ける人こそ幸福である、ということが分かりました。目標を達成すると、幸福にはなるが、その一瞬後にはそれが当たり前になってしまって幸福感は消え失せてしまうから(habituation effect)だというのです。

 私に言わせれば、こんなことはアングロサクソンや日本人にとっては、当たり前すぎる話であり、欧州だからこそニュースになったのでしょう(コラム#125参照)(注2)。

 (以上、http://www.guardian.co.uk/Columnists/Column/0,5673,1695387,00.html(1月29日アクセス)による。)

 (注2)レーガン米大統領は、仕事嫌いで有名であり、「懸命に働くことは害ではないと人は言う。しかし、私はそれが正しいかどうか検証するつもりはない」と言ったとされる。ガーディアン紙のコラムニストのAlexander Chancellorは、「さすがレーガンは元俳優だっただけのことはある。演技がうまいねえ」とおちょくっている。

3 複雑な意志決定はカンで

 オランダにおける研究によれば、熟考する人(Conscious thinkers)は単純な状況下の意志決定を得手とするけれど、カンに頼る人(unconscious thinkers)は複雑な状況下の意志決定を得手とすることが分かりました。

 これは、熟考すると一時に少数のことにしか集中できないため、複雑な状況下では特定の要素を必要以上に重視しがちであるからであり、何度も熟考しているとその都度自分の下した判断が若干ずつ違ってしまって訳が分からなくなるからでもある、というのです。

 ただし、この研究結果を鵜呑みにしてはならない、という意見は少なくありません。

 ある学者は、複雑な状況下の意志決定にあたっては、まず熟考した上でしばらく時間を置いてから意志決定をすべきだと主張していますし、別の学者は、まず熟考した上で、カンに頼って意志決定をすべきだと主張しています。

(以上、http://www.guardian.co.uk/science/story/0,,1711859,00.html(2月17日アクセス)による。)