太田述正コラム#11700(2020.12.6)
<2020.12.5東京オフ会次第(その2)>(2021.2.28公開)

C:日本が米国から中共への属国移行を始めたのはいつ頃、誰によってなのか?
O:通産省(現経産省)だろう。
 通産省OBの私の友人が、(2005年に、)通産省の外郭団体に頼んで、その機関紙に私の原稿を載せる手はずを整えてくれたことがある。
 その時、中共を批判する原稿を書いて出したら、掲載を拒否され、結局、全く別の原稿を書く羽目になった。
 (実際に載った方のやつがコラム#726だ。)
 思い起こせば、その約10年前に、私的勉強会で、メンバーだった通産官僚が講師として話をした時、中共経済は本物だ、ポシャることはない、と断言し、当時、一般に流布していたところの、中共経済の将来を悲観的に見る考え方と正反対だったので驚いたことがある。
 つまり、既に、当時から中共経済の高度成長は続く、と通産省は見ていたわけであり、私の最初の原稿の掲載を拒否した、ということは、それよりもかなり前から、中共のご機嫌をとりながら、その経済高度成長の恩恵に日本もあずからせていただく、という戦略を、少なくとも通産省は推進してきていたことを悟らされたものだ。
 安倍第二次内閣は経産省内閣と言われ、まさにそうだったわけだが、それは、この通産省改め経産省の戦略が、日本政府の戦略になって久しいことを象徴していた、ということだ。
D:上皇、天皇、皇嗣、も、聖徳太子コンセンサス/桓武天皇構想、より一般的な表現で言えば、日本における軍事、そして天皇、の重要性・意義、を自覚しているのだろうか。
O:そもそも、そういうものを、私の見るところ、天皇家と摂関家(近衛家)のツートラックで日本は何世紀にもわたって受け継いできたところ、少なくとも戦後からは、天皇家のシングルトラックになってしまったので、口伝がいつ途絶えてもおかしくないのだが、上皇、天皇までは自覚しているように思う。
 でも、秋篠宮がどうかは分からない。
E:たまたま、大学生時代の、現天皇と秋篠宮の両方を知っているが、前者は当時からオーラがあったが、後者はただの青年、という感じだった。
D:中共の属国としての日本と、中共の一部としてのチベットやウイグル地区とは違うわけだが、中共の一部である(一部にされた)ことは、チベット人やウイグル人にとって必ずしも悪いことではなかったように思う。
O:その通り。
 とりわけ、うまくやったのがウイグル人対策だ。
 ウイグル人イスラム教徒の過激化を見事に食い止め、しかも、タリバン、アルカーイダ、ISISにすら、中共によるウイグル人「弾圧」に対して全く沈黙させることに成功している。
 それどころか、パキスタン政府あたりからは、中共のウイグル人対策を称賛する声さえあげさせている。
 欧米のやっきになった中共のウイグル人「弾圧」批判を、完全に上滑りさせてしまっているわけだ。
 中共は、一体どうやって、こんな「大成果」をあげることができたのか、という、私が抱いている疑問についても、将来解決してみたいと思っている。
B:その中共の日本に関する政策だが、日本人一般同様、私の妻も中共が大嫌いで、サーチナで日本を褒める中共内の記事がいっぱい紹介されていると言っても、そんなの単なる日本向けプロパガンダでしょ、と鼻もひっかけてくれない。
C:尖閣攻勢等で日本人が反中になっている、とされているが、実際問題として、殆どの人は尖閣なんぞになんの関心もないのだから不思議と言えば不思議だ。
O:サーチナが紹介している記事って、中共の国内の記事であるわけだけど、それをサーチナを通じて日本国民向けメッセージにも転用しているところ、その一方で、日本に対して尖閣攻勢もかけてきている。
 この矛盾をどうして日本人のほぼ全員が不思議に思わないのだろうか。
 まあ、恐らくは、偶発的な軍事衝突が発生する可能性がないわけではないところの、尖閣攻勢って中共側にとってどんなに大きなリスクであるのかを知らないからなのだろう。
D:本日の「講演」原稿だが、源氏物語のところ、全くその通りだな、と思った。
E:私は、女性が、自分の子供や孫達のために、どんなに尽くすものか、ということを改めて痛感させてくれた、と言いたい。 
A:有料読者向けコラムシリーズについてだが、現在連載中のシリーズもそうだけれど、もう少し、シリーズ当たりの総連載回数を減らせないか。
 シリーズごとにまとめてPDFにしているが、手間が大変だ。
O:それは、一回の分量をもっと増やせ、という意味なのだろうが、困難だ。
 毎日、ディスカッション、と、有料コラム、と、次回のオフ会「講演」原稿準備、と、いわば、3本のコラムを書き綴っているわけであり、有料コラムの分量を増やすと、ディスカッションの分量は、紹介したい記事がどれだけあるかで決まって自分で左右できないから、結局、「講演」原稿準備を手抜きするしかなくなる。
B:そもそも、もう少しペースを落としたらどうか。
 オフ会を3カ月に1回ではなく、4カ月に1回にするとか・・。
O:既に10年以上、そのペースでやってきているので、そのリズムを崩すことなく続けられる限りは続けたい。
 幸い、一日中パソコンの前に座っていても、頭を含め、全く疲れない。
 受験勉強をやっていた頃は、そんなことはできなかったものだが・・。
B:体力があれば、一日中座ってなどおられない。
 それはむしろ、太田さんが体力がなくなっている証拠だと思う。
 頭が疲れないというが、疲れているからこそ、コラム書き以外の場面、例えば、買い物に出かけた時等にミスを頻発するのだと思っている。
 ところで、最近、ゲームに関心を持ち始めているようだが、PS5を入手したら、それこそ、1年くらい、コラム執筆を忘れて、ゲームにのめり込んで欲しい。
O:あなたにかつてそういう時期があったのか。
B:そうだ。
 得るものはあると思う。
O:残念ながら、私に残されている時間が余りないので、それはやれそうもない。

※今回は、とりわけ、A~Eは、特定の人を指しておらず、適当にアルファベットを振った、とご理解いただきたい。 

(完)