太田述正コラム#13132006.6.23

<捕鯨再論(続々)(その2)>

 (有料申込者数は、6月231800現在68名です。増加ペースがかなり落ちてきました。それでも次の目標クリアまで後17名です。他方、無料登録者数は1364名と、有料化宣言直前まで後1名まで回復しました。ちょっと無料購読者にサービスしすぎたかもしれません。「続」「続々」等は同一シリーズとはみなさないことととし、しかも一週間に「2回以上6回以下」のコラム(「新規」コラムではない!)配信しか保証しない、そして新規シリーズは全コラムを(週「2回以上6回以下」の範囲内で)配信する、というラインに再々度無料配信方針を変更させていただきます。)

しかし、一体どうして日本側は最初の2回の投票で敗れたのでしょうか。

 BBC上掲は、「日本のこれまでの同盟国のうち現れなかった国があったし、何カ国か捕鯨禁止陣営に寝返った国があった」と指摘していましたが、それがどの国かがわかりません。

 せっかく日本の新聞では唯一特派員を派遣した讀賣(注1)も、「IWC加盟国は70か国だが、分担金を支払わないなどで投票権を失った国が捕鯨支持国に多かった模様だ。」http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060617it02.htm。6月18日アクセス)と頼りない限りです。

 (注1)ただし、共同と時事は特派員を派遣している。

 翌日になってようやく少しはっきりしてきました。日本側陣営と目されてきた中共・韓国・ソロモン諸島・キリバスが棄権に回ったというのですhttp://www.guardian.co.uk/japan/story/0,,1800662,00.html。6月19日アクセス)。中共と韓国は、ここでも、日本の足をすくうという快感に抗しきれなかった、ということでしょうか。

 その頃、「初日の終了時点で、捕鯨支持派とされるガンビアやトーゴが新たに分担金を支払って投票権を認められたため、今後の採決は捕鯨国に有利になる可能性があるとの見方が出ている。」というやや明るい兆しがみえて来ました(

http://www.sankei.co.jp/news/060618/kok070.htm、及びhttp://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060619/mng_____kok_____003.shtml(どちらも6月19日アクセス)(注2

(注2)両紙とも共同電をそのまま掲載したもの。

3 日本側逆転勝利

 その後、日本側は更に2個の決議案で敗退し、4連敗となった

http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2006/06/20/2003314606。6月21日アクセス)

ところで、18日に起死回生の歴史的な大逆転が起こりました。

 今次IWC開催国であるセント・キッツを始めとするカリブ海の6島嶼国が共同提案した、商業捕鯨再開を促す決議案が賛成33、反対32、棄権1(中共)で可決されたのです(注3)。

 (注3)IWCの全加盟国は70カ国だから、出席していない国が4つあるわけだ。

 この決議は、1986年における商業捕鯨の禁止は鯨の頭数が回復するまでの暫定的な措置であったところ、「もはやその必要性はなくなった」とし、IWCの調査の結果は、「鯨が魚類を大量に捕食していて、沿岸諸国は食糧安全保障上の問題に直面している」ことから、商業捕鯨は再開されるべきである、と宣言したものです。

 この決議案の趣旨説明の際、共同提案6カ国の代表は、捕鯨の禁止は「新植民地主義」の一形態であって、富める諸国が、小さい島嶼国家群の経済発展と自然資源活用を妨げる結果となっている「感情的な」議論を押しつけようとしてきた、と怒りをこめて語りました。

 このうちのグレナダの代表に至っては、自分達の祖先は奴隷としてカリブ海の島嶼に拉致されてきてサトウキビ畑でこき使われ、塩漬けの魚を奴隷主から与えられ、それを食うように強いられたものだが、どの面下げて今度は鯨をとるなとか食うなと言うのか、と捕鯨禁止諸国代表を難詰するという激しさでした。

 この決議採択に決定的な役割を果たしたのがデンマークでした。

 デンマークは、それまでの決議案ではことごとく捕鯨禁止派の側に立って票を投じてきたのですが、デンマーク領であるグリーンランドやファーロー諸島(Faeroe Islands)の漁民の立場(注4)に配意したものと見られています。

(以上、http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-whales19jun19,1,6578173,print.story?coll=la-headlines-world(6月20日アクセス)による。)

 (注4)ノルウェーは商業捕鯨を続けてきているし、アイスランドは日本同様調査目的の捕鯨を実施していることを思い出して欲しい。ノルウェーもアイスランドもグリーンランドやファーロー諸島の隣組だ。

 商業捕鯨再開のためには、75%の賛成票が必要なので、上記決議が採択されからといって、実態が何一つ変わるわけではありませんが、その象徴的な意味には計り知れないものがあります。

 ロサンゼルスタイムスだけでなく、英米の主要メディアは軒並み特派員をIWCに派遣しており、センセーショナルにこの「大敗北」を報道しました(注5)(典拠省略)。

(注5)特派員を送っていなかったのは、NYタイムスくらいだ(ロイター電を使用)。