太田述正コラム#1369(2006.8.8)
<もろもろ>

1 始めに

 コラム有料化を契機とするIT環境整備の一環で、本日は、自宅のEpsonのWindowsXPデスクトップ・パソコンを(USBインターフェイス、およびモデムの不具合の)修理に出したため、・普段は息子に使わせているWindowsMEノートブック・パソコン・・でかいので携帯パソコンとは言えない・・に手を加えて使っています。
 このパソコンが息も絶え絶えで、問題が起きる都度、その解決に時間を要し、まいりました。
 私は本来、MS WordとATOKの組み合わせで執筆しているのですが、一時Wordが立ち上がらなくなったため、一太郎を使ってみたところ、ダウンロード用にも英文用にも、一太郎は使い物にならない感じがしました。設定を変えればいいのかもしれませんが、見た目の通りにダウンロードできないこと、英単語の途中でおかまいなしに改行されてしまうこと等唖然とされられました。こういった部分を抜本的に改善しない限り、一太郎の将来はないでしょう。

2 日本の新聞の問題点

 上述したジャストシステムの問題点は、おおむね日本の新聞の問題点でもあります。
 問題点の第一は、英文での発信をほとんどやっていないことです。このあたりは、日本の新聞関係者は、隣国韓国の朝鮮日報の電子版や、中共の人民網(人民日報の電子版)の関係者の爪のあかでも煎じて飲んで欲しいものです。(それどころか、両紙の電子版とも日本語版だって出しています)。
 (ジャパン・タイムスのような英字紙はともかくとして、)この点だけからも、日本の新聞には、世界に向かって発信して行くという気概が感じられません。
 もう一つの問題点は、(人民網こそ内容が大本営発表ばかりで少しも面白くはないものの、)(失礼ながら)朝鮮日報の電子版でさえ、英文版でも日本語版でも、内容が、日本の新聞の電子版に比べて質量とも充実していることです。
 より深刻な問題点は、一太郎の弱点が、日本のソフト産業の米国等のソフト産業に対する劣勢の反映でもあるように、朝鮮日報の電子版の質の充実は、紙のバージョンにおいて、朝鮮日報が日本の新聞より質において上回る紙面作りをしていることの反映である可能性があることです。
 朝鮮日報にすら及ばない可能性がある日本の新聞の質は、これまで私が紙のバージョンを読み比べてきた経験に照らし、かつ電子版に関し、私が折に触れてコラムで具体例を挙げて指摘しているように、英米の高級紙に比べれば、明確に遜色があります。
 記事や論説の類は、最も外国語に翻訳しやすいジャンルであるだけに、近い将来、翻訳ソフトが更に改善され、日本の新聞は、ガーディアンやワシントンポスト、更にはファイナンシャルタイムス等の有料・無料版と直接競争に晒されるようになると私は見ています。
 その暁には、日本の全国紙は壊滅し、地方紙だけが生き残ることになりかねないのではないか、と、他人事ながら心配でなりません。
 日本の新聞関係者の奮起を促したいと思います。

3 レパント紛争について

 イスラエルとハマス・ヒズボラとの武力紛争は、次第に拡大しながら、続いています。
 これまでの累次にわたる中東戦争やパレスティナ紛争を、英米や欧州諸国のように、日本人のわれわれは重視すべきではない、とかつて申し上げたことがありますが、今回の紛争に限っては、どんなに重視しても重視しすぎることはない、と思っています。
 その理由を含め、この紛争を今後ともコラムで取り上げていく所存です。
 この紛争についても、くれぐれも日本の新聞論調にまどわされないようにご注意を!