米国、対北朝鮮政策転換?(2006.12.2→2007.5.5公開)
1 始めに
 米国が対北朝鮮政策を宥和政策に転換したのではないか、という指摘が朝鮮
日報(英語版)とアジアタイムスでなされているので、それぞれどんなことが
書かれているか、その概要ご紹介しておきましょう。
2 朝鮮日報
 拡大ASEAN首脳会議に出席したブッシュ米大統領は、11月18日のノ・ムヒョン
韓国大統領との会談の際に、「もし北朝鮮が核開発計画を廃棄し、核武装への
野望を捨て去れば、私は朝鮮戦争の終結を宣言する協定に、金正日とともに調
印し、その上で、経済協力や文化・教育面での関係樹立へと進むことができる
」、と語ったという。
 米国としては、まず、北朝鮮と韓国の間で調印が行われ、それに中共と米国
が保証を与える、という形を想定しているようだが、北朝鮮はかねてより、朝
鮮戦争の当事者は北朝鮮と米国であり、韓国は関係ないと主張してきているの
と、米国が言っているのは朝鮮戦争終結宣言に過ぎず、北朝鮮が求める平和条
約の締結ではないので、この話に簡単には乗らないだろう。
 それにこれは、既に昨年9月の6カ国協議の際の共同声明に盛り込まれてい
ることの焼き直しに過ぎないとも言える。
 それはそうなのだが、これまで金正日のことを、「ちんちくりん(pygmy)」
、「暴君(tyrant)」、あるいは「甘やかされた子供(spoiled child)」と呼
んできたブッシュが、自ら、金を交渉相手として認めた、とも受け止められる
のであって、そういう意味では極めて注目される。
 (以上、
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200611/200611300009.html
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200611/200611210025.html
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200611/200611200019.html
(いずれも12月1日アクセス)、による。)
2 アジアタイムス
 北京で11月28、29日に行われた、米・中・北朝鮮の3カ国会談において、米
国の対北朝鮮スタンスに大きな変化が見られた。
 一つは、核開発計画(the whole nuclear program)の完全・検証可能・不可
逆的な廃棄(CVID=complete, verifiable, irreversible dismantlement。
IAEAによる徹底的な査察を受け入れることを含む)という言葉を使わなくなっ
たことであり、もう一つは、北朝鮮との2国間協議の実質的容認だ。
 前者は、寧辺(Yongbyon)の核施設の査察さえ北朝鮮が受け入れれば、既に
つくった核爆弾の廃棄までは求めない、ということのように思えるし、更に勘
ぐれば、ひょっとして、ウラン濃縮による核開発の方には目をつぶる、という
ことなのかもしれない。
 (以上、
http://www.atimes.com/atimes/Korea/HL02Dg01.html
(12月2日アクセス)による。)