太田述正コラム#1864(2007.7.13)
<中共の欠陥食品問題>(2007.8.20公開)
1 始めに
 中共の欠陥食品・薬品問題が喧しい今日この頃ですが、本件に関する私見を申し上げたいと思います。
2 経緯
 6月後半に日本で中共産ピーマンから基準を超える残留農薬が検出されたといった報道(
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/h0620-1.html
。7月13日アクセス(以下同じ))があったと思ったら、パナマで中共製の咳止めにジエチレングレコール(diethylene glycol)が含まれていて51人がなくなったという報道があり、今度はこのジエチレングレコールやバクテリアが米国やカナダに出回っている中共製の練り歯磨きの中に含まれていたとの報道があり、今年の初めに中共産の小麦グルテンに含まれていた化学物質で汚染されているとして100ブランドものペット・フードが米国の店頭から撤去された、ということまで持ち出されて、米国で中共の食品等に対するバッシングが始まり、これが日本にも飛び火しました。
 米国当局(FDA=the US Food and Drug Administration)が、中共産の広汎な魚や海産物を輸入停止にしたことは、更に日本での不安感を増幅しました。
 (以上、北米に係る報道は、特に断っていない限り
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/6275758.stm
による。)
 7月初頭に中国国家品質監督検験検疫総局が、中共企業の食品、日用品などのサンプル検査をしたところ、安全基準を満たした製品は80.9%にとどまり、2割近くが不合格となったと公表した(
http://www.asahi.com/life/update/0705/JJT200707050004.html
)ことや、製薬会社計8社から請託を受けて、薬品や医療機械の審査・承認で便宜を図った見返りに約1億円相当の賄賂を受け取ったとして、食品会社や製薬会社を監督する機関のトップ(国家食品薬品監督管理局長)であった鄭篠萸(Zheng Xiaoyu)に対する死刑が10日執行された(
http://www.asahi.com/international/update/0710/TKY200707100423.html
)ことや、中国国家品質監督検査検疫総局が、日米など海外に加工食品を輸出する予定であった中共企業29社について、うなぎのかば焼きの加工食品などの安全性に問題があったとして輸出禁止などの措置を講じた(
http://72.14.253.104/search?q=cache:8qp_x1z66SQJ:www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Deco_30%26k%3D2007071100428+%E4%B8%AD%E5%9B%BD%EF%BC%9B%E9%A3%9F%E5%93%81%EF%BC%9B%E6%A4%9C%E6%9F%BB&hl=ja&ct=clnk&cd=9&lr=lang_ja
)ことは、中共が必死に食品等の安全確保に向けて努力している現れであるととらえるべきところ、これらについての報道は、日本での中共の食品等に対するイメージを一層悪化させただけでした。
 その結果、横浜の中華街での中共食品店の売り上げががた落ちになる(昨今のTV報道)、等中共の食品等に対するパニックめいたものが日本で起きています。
3 欠陥食品・薬品は中共だけではない
 しかし、日本の産品だって安かろう悪かろうの時代があったように、およそ発展途上国産品に欠陥はつきものです。
 米国のFDAによれば、昨年の7月から今年の6月までの1年間の輸入品で差し止められたケースは、中共産品が2,723件、インド産品が2,620件、メキシコ産品が1,876件、ドミニカ産品が887件の順であり、中共産品が一番多いことは確かですが、2006年の米国への輸出額が中共2,880億ドル、メキシコ1,980億ドル、インドが220億ドル、ドミニカが53億ドルであること(
http://www.nytimes.com/2007/07/12/business/12imports.html?pagewanted=print
)を考えると、中共の「成績」は相対的には決して悪くありません。
 ですから、中共内で、中共産の食品等に対する非難は、急速に米国や日本に輸出を伸ばしつつある中共に対して非関税障壁を設けようとする陰謀である、という声が一部で起きている(
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2007/07/12/2003369239
)のは分からないでもありません。
4 今後の展望
 いずれにせよ、中共当局自身は、この国際的非難を陰謀だなどとは考えず、もっともなことと受け止め、食品等の安全の確保に真摯に取り組もうとしているように見えます。
 本件に関しては、われわれは、自由・民主主義が欠如している中共でできることには限界がある、と冷笑すべきではありません。
 安全を確保することは売り上げ増につながるのであり、このことは、金儲けに血道をあげている中共の人々にだって分からないはずがないからです。
 現に、かつて中共製の花火の質は低く、安全性に疑問があったところ、米国の輸入業者による中共の花火業者のねばり強い説得と指導により、その質が急速に向上し、いまや米国の花火の99%は中共製になったという前例があります(BBC前掲)。
 ですから、中共の食品等の安全性も急速に向上する、と私は見ているのです。