太田述正コラム#2248(2007.12.21)
<皆さんとディスカッション(続x23)>
<下関在住の一読者>
 昨日の12月20日付けの朝日新聞の朝刊の団藤重光さんの話し読まれましたか?「死刑廃止なくして裁判員制度なし」の彼の言葉に同感です。
 私は裁判員制度自体反対です。と言うより、辞退出来ないことにです。
 団藤重光・元々最高裁判事の仰るように「被害者は、こんなにも悔しい」と剥き出しの感情論ばかりの現代では、誤判になる可能制が高いと、私も常日頃思ってますし、私自身自信ありません。
 秘密厳守も自信ないです。
 人間が人間の命を勝手に奪うというのは、していけないと言う団藤重光さんの言葉も素晴らしいです。太田さんの記事の感想是非、聴きたいです。
<太田>
 ご指摘の記事は読んでおりませんが、ご紹介いただいた範囲では私も同感です。(コラム#2212参照。)
 なお、私は団藤さんとは変なご縁があります(コラム#2193)。
<Pixy>
安保理協議もロシアの反対で予想通り決裂し、セルビア共和国内のコソボ自治州の一方的独立宣言がいよいよ避けられない状況となってきていますが、コソボの件に関する大田さんの意見を伺えればと思います。
 コソボの地位協議は議論が平行線で、今後も平和的解決の目処が立たないのは事実ですが、仮にも一主権国家内の一自治州であるコソボを、他国のEUとアメリカが国際法の裏付け及び国連安保理の承認も無しに独立するように仕向け、独立宣言後に事後承認し、既成事実とするという一連の行動の根底に何があるんでしょうか。
 多数派のアルバニア系住民の一方的独立により、世界の微妙な地域の民族意識に火を付けてしまうリスクを犯してまで、コソボ独立に向けて動いて、一体EUとアメリカが何を得られるのか疑問です。
<太田>
 セルビア人はキリスト教徒(正教)であるのに対し、コソボ・アルバニア人はスンニ派イスラム教徒であり、後者が人口比で9割以上を占めているというコソボの現状を踏まえると、コソボ・アルバニア人がコソボのセルビアからの独立を望む気持ちは分かります。 
 米国とEU、これをNATOと言い換えてもよろしい、や国連事務局の判断はコソボの独立は早晩避けられないといいうものであり、これに異論を唱えているのはセルビアを除けば、スラブないし正教の盟主を自認するロシアだけです。
 そもそも一昔前とは違って、今ではNATO諸国は、一つの国の中の一つの地域がその国からの分離独立を欲した場合は、これを認めるべきだと考えるようになっています。(コラム#2122も参照されたい。)
 もう一つ、NATO諸国は、イスラム教徒が多数を占める国の成立を後押しすることは、イスラム世界におけるNATO諸国のイメージ改善に資すると考えているフシもあります。 
 更に言えばNATO諸国は、少数民族を沢山抱えるロシアにとって悪夢以外の何物でもないところの、少数民族の分離独立の先例が欧州でつくられることでロシア牽制を狙っているという穿った見方もできるのではないでしょうか。
 (以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Kosovo
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/6320545.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7153073.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7151826.stm
(いずれも12月21日アクセス)を参照した。)
<新規有料購読申込者MH>
 テレビで初めて拝見させていただいたときは、論旨がすーっとは入って来なかったのと、フフフ、ヒヒヒが人を小馬鹿にしたようで正直感じが悪かったです。
 しかし、文章は内容が豊富で、論旨が明快で小気味がいいのです。反骨、反権力も筋が通っていて魅力的です。
 応援も含めて購読させていただきます。
<新規有料購読申込者MM>
 総理大臣になれる方です。
 総理大臣になって、日本を独立国にして下さい。
<継続有料読者KA>
 アホな政治家が如何に民意を背景に威張ったところで、高等教育を受けた官僚 (官僚の質も低下してきているようですが)をコントロールするのは所詮無理 ではありませんか?政治家に資格制度を導入して欲しいのですが、これは民主 主義に反しますね。結局アホであっても政治家が、優秀で志ある官僚のトップ を捕まえなくてはならないでしょう。太田さんが仰るようにもっと官僚を大切 (お給金を沢山上げろと言う意味ではありません)に扱わないといけないと思 います。具体的な方法論は勿論私には考えつきません。何となく政治が官僚の 質とモラールをどんどん下げていて、これが結果的に国民を益々不幸に追いや っているように思えてなりません。太田さんが辞職されたのも国民の不幸でしょう。
<太田>
 皆さんの激励に心から感謝申し上げます。
<古参有料読者YS>
 最近はコラムの雰囲気もすっかり変わってしまって、個人的にはいささか残念です。
 今回の防衛省の問題でも、早く個人のスキャンダルというレベルを克服して、もっと本質を突くような議論が、各メディアでなされるようになることを望んでいます。
 現状は、官僚のモチベーションもメディア、大衆の事件に対する問題認識も、矮小化してしまったということでしょうか。
<太田>
>最近はコラムの雰囲気もすっかり変わってしまって、個人的にはいささか残念です。
 そうなんですよねえ。
 会費納入状況を見ると、古参有料会員が大量に離反しつつあるという印象を持っています。
 悪くすると、「たかじん・・」以降新規に有料会員になった皆さんの数に近い数の古参有料会員が離脱されそうな感じです。
 昔のようなコラムも今後再び増えていきますので、どうか離脱を思いとどまって下さい!
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太田述正コラム#2249(2007.12.21)
<NLPで役人を辞めた私(その2)>
→非公開