太田述正コラム#2243(2007.12.18)
<「太田総理・・」3回連続出演(その3)>(2008.1.15公開)
 (本篇は、12月26日まで公開しません。)
1 始めに
 昨日、指定されていた1900ほぼジャストに汐留の日テレのX階に到着し、ただちにメイク室へ。初めて、眉毛に線をひっぱってくれたけれど、テレビ映りは少しはマシになったでしょうか。
 その後、前回と同じ控え室(個室)に入り、打ち合わせ。何もシナリオらしきものがないのにちょっぴり不安が募りました。
 例によって弁当を2個平らげ、フィギュア・スケートのトリノでの競技大会の優勝者等のエキシビションの番組を見ながら出場を待ちました。
2 収録
 (1)レイアウト
 赤い絨毯を踏んでセット内の「証人」席に、例の河辺啓二氏(1955年生まれ。東大工卒。農水省。東大医卒を経て現在医師)が私の左、一柳良雄様(1946年生まれ。東大教養卒。通産省。ハーバード大学留学。不祥事がらみで退官。(株)一柳アソシエイツ代表兼CEO)がその更に左、中野雅至(1964年生まれ。同志社大文卒。労働省。ミシガン大学留学。経済学博士。兵庫県立大学准教授。官僚の再就職の窓口一本化の検討に携わっている)が私の右、という布陣で立ちました。
 いや、なかなかの強者揃いですな。
 4人が事前に会って歓談をする機会をつくらなかった日テレの意図はどこにあったのでしょうね。
 終わった時も、あっという間にばらばらになってしまい、名刺交換することもできませんでした。
 一柳さんとは、何度かご一緒しているのですが、私を覚えておられないご様子でした。
 
 これに対するに、正面の「閣僚」席には、左側に島村よし伸(自)、平沢勝栄(自)、山本一太(自)、原口一博(民)、亀井久興(国新)、森ゆうこ(民)、山本モナ、カンニング竹山、右側に太田光、福留功男、東ちづる、えなりかずき、テリー伊藤、木下優樹菜、ふかわりょう、やくみつる、の各氏が並んでいます。
 進行役を務めるのはいつもの森アナウンサーであり、その傍らに爆笑問題の相方の田中氏が腰掛けています。
 (2)やりとり
 私は「証人」というのだから、質問されないと答えてはいけないと思いこんでいたのですが、私以外の証人は、森さんの許可すら得ずに、どんどんおしゃべりになる。
 私もそうすりゃいいと腹をくくったのはしばらくやりとりが進行してからでした。
 まず、政治家と官僚のどっちがエライのかというところから話が始まりました。
 次いでどうして官僚がワルくなったのかという話になり、一柳氏が、政治家が事務次官人事に容喙するようになってからワルくなっためいた話をしたので、私は呆れました。
 一柳さん、自民党の有力政治家の皆さんに対するあなたの評価はその程度だというのに、その割には、それら有力政治家の皆さんと随分お親しいようですねえ。
 その後、守屋のために官僚全体のイメージが悪くなってしまったけれど、防衛省は特殊であり、一般省庁とは異なるという話が、私の左右両脇の証人達からなされ、またまた呆れました。
 どうしてこう想像力がないのかなあ、元官僚の皆さんは。
 おっと私も元官僚でした。
 そこへ、テリー伊藤さんが防衛庁は虐げられてきたからねとおっしゃる。
 うなづきつつも、私は日本従属国家論をぶつことは止め、誰かからの質問を受けた時に防衛省の仕事はすべて不祥事だ、という持論を述べました。
 業者の言い値で買っている話をしてから英語力のひどさの話をした所で、平沢氏から茶々が入りました。
 ご自分が防衛庁で審議官をしていたとき、米側と英語でやりあったとして、だからみんなが英語ができないわけではない、とおっしゃるのです。
 私は、通訳一般の能力の低さを問題にしているのであって、これは防衛省キャリアの監督責任の問題であると反論しました。
 (英語で交渉ができた平沢氏・・彼は米国デューク大学留学に加えて在外公館(英国)勤務経験もある(そんな防衛省キャリアは一人もいなかった)・・が一時防衛庁にいたから防衛庁の英語能力は低くなかったとおっしゃるのであれば、同じく英語で交渉ができた私がずっと防衛庁にいた以上、防衛庁の英語能力は極めて高かったということになってしまうではないか、と言いたいところを、自分の自慢をしても仕方がないとぐっとこらえました。)
 そのうち、またもや唐突にテリー伊藤さんが、何と言っても一番問題なのは天下りだ、と言い出されました。
 守屋の話が天下りの話に飛んだことがどうしてか、タレントの中には理解できなかった人もいたようです。
 今度は、右脇の中野さんが、安倍内閣が開始した官僚の再就職窓口の一本化への動きの意義について熱弁をふるいました。
 この案が天下りを維持するための目くらましに過ぎないと思っている私は、彼の側に立っていただけに、いたたまれない気持ちになりました。
 そこで最後に発言を求め、防衛省の特殊性を皆さんおっしゃるけれど、天下りの問題は全省庁共通であること、20年、30年役所勤めをした官僚は100人中1人くらいを除き、民間では使い物にならないこと、だから恩給制度を復活させた上で、天下りに対する一切の関与から政府は手を引くべきである、と述べました。
 
3 終わりに
 何だか暗澹たる気分に陥ったまま帰途につきました。
 革命いまだならず、といったところでしょうか。