太田述正コラム#2423(2008.3.15)
<皆さんとディスカッション(続x85)>
<有料読者MN>
 大変ご無沙汰いたしております。 MNでございます。
 日々勉強させていただいております。
 コラム#2421を拝読いたし、Military Power of the People’s Republic of China のくだりについてですが、来週土曜に行われる台湾総統選挙の際、同時に行われる予定となっている公民選挙で「国連への独立国としての登録を行うか否か」が問われると。
>結果によっては世界初の公民決議による独立国登録であり、中台関係の転換期になることは明白(典拠失念)。
という言説を目にしたことがあります。総統選挙もいよいよ来週です。
 中台関係の転換期なのか、はたまた公民決議の有効性の転換期か。
 フト神戸空港建設にかかる住民決議を想起してしまいますがそれはさておき。
 投票の18日前に、(タイペイタイムズ経由で)かようなアナウンスメントがアメリカからあったことにより人民解放軍くみし易し、という世論が台湾で広まれば公民決議の結果も含め、中台関係がまたしてもホットになりますね。
 個人的には、決議結果がどうあれ、国連は加盟を認めないだろう、と考えていますが・・・
 時期的にも非常に面白いコラムを読ませていただいたもので、一筆差し上げました。
 ありがとうございました。
 今後のコラム展開に、ますます期待いたしております。
 季節の変わり目、どうかご自愛の程を。
 MN 拝
PS 僕も東芝のノートPC買いました^^
<太田>
 本来原典にあたるべきだし、少なくとも複数の典拠によるべきなのですが、時間がないので、台北タイムスだけに拠りました。
 (一日2篇のコラムの配信はきつい。何か所用ができると睡眠時間を削る必要が出てきます。それこそ、執念で毎日続けていることをご理解下さい。)
 とはいえ、同紙はかねてから民進党寄りの論調であり、しかもこれまでの報道は信頼性の高いものなので、大丈夫だと思った次第です。
 昨日の「チャンネル桜」での収録の合間にこの記事のことを話したら、田久保氏は、原典にはそんなこと書いてなかったとおっしゃり、川村氏は、(台湾の今度の総統選の民進党候補者の)謝長廷がそんなことを言っていたとおっしゃっていました。
>投票の18日前に、(タイペイタイムズ経由で)かようなアナウンスメントがアメリカからあったことにより人民解放軍くみし易し、という世論が台湾で広まれば公民決議の結果も含め、中台関係がまたしてもホットになりますね。
 これは鋭い分析ですね。一本まいりました。
 ボイコット論がくすぶっていた国民党が、国連加盟申請の是非を問う住民投票(ただし、「台湾」名ではなく「中華民国」名)への参加を決定した(
http://mainichi.jp/select/world/news/20080313ddm007030097000c.html
。3月15日アクセス)のは、このレポートが出た以上、住民投票の実施は中共を刺激して軍事干渉を誘発しかねないという議論が説得力を失ったからかもしれませんね。これで、どうして軍事力強化を推進してきた民進党が、軍事力強化の足をひっぱりかねないこのレポートを「活用」するのかも説明がつきますね。
<コバ>
 太田総理、飛び飛びですが楽しく見させていただきました。最後の視聴者からの意見で、自衛隊OBの方が自衛隊の皆が皆、守屋ではない、という意見が印象的でした。むしろ、政治家や他の防衛省高級官僚の責任が何も問われずに、守屋氏だけを悪だと仕立て上げて、防衛省問題が幕引きされようとしている日本社会を見るにつけ、実は日本人全てが守屋なのではないのだろうかと思いました。防衛省の腐敗構造は根っこから何も解決せずに、次の守屋が出てくるのも時間の問題です。こういう状況こそ政治が払拭すべきだと思うのですが、政治家の皆さんも、頑張っている人たちも多いと国民に擁護されるようになってもらいたいものです。
<大阪の川にゃ>
 –「MDよりも精密誘導弾」も利権–
 3月14日の「太田総理」を見ました。我ながら暇です。
1、民主党「次の」防衛大臣浅尾さんという人が、精密誘導弾があれば北朝鮮の核サイトを攻撃して無力化できる、という発言をしました。真顔でした。以前に自民党山本一太さんも同様の発言をしていました。
 山をくり抜いた中や地下に、核ミサイルを配備するでしょうに、通常火薬で攻撃しても山肌や地面の表面を数メートル削るだけでしょう。それなのに、やられる前に再び「真珠湾攻撃」をやれっていうんですから。これも利権がらみでしょう。
 北の水力ダムを攻撃して核攻撃と同等の被害を与える事をもって抑止力とする、というならまだ分かりますが。
2、元自衛官の須賀議員が「地下シェルターが先。」と発言していました。地下シェルターが極めて有効だ、というのはどうやら真実のようです。
 野村英三氏という方は広島の爆心から170mの離れた事務所の地下室に偶前いたので難を逃れました。氏は被爆後に救助活動を行っていて急性放射線障害を発
症しましたが、昭和57年(84歳)まで長生きされました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kanazawa_sanetoki2004/1222857.html
<太田>
 確かに日本の核シェルターの普及率が異常に低いことは事実です。(データの信頼性は保証しません。)
スイス:100%
イスラエル:100%
ノルウェー:98%
アメリカ:82%
ロシア:78%
イギリス:67%
シンガポール:54%
日本:0.02%
http://kobanzaru.seesaa.net/article/27151157.html
。3月15日アクセス
 しかし、加速ロケットの推進で上昇する(ブースト段階)が終了すれば、着弾地域が日本領域内か否か判別は可能であり、2分以内に警報を発することが理論上は可能(
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kokumin-shinbun/H15/1509/1509037repulse.html
。3月15日アクセス)ですが、それが1000km飛んで名古屋-大阪地域に到達するのに10~12分しかかからないと推定されています(
http://chorea.hp.infoseek.co.jp/dprk/nbc/missile.htm
。3月15日アクセス)。
 ですから、仮に警報がただちに発せられたとしても、果たして10分くらいでみんながシェルターに入れるか疑問です。
 それに、お金があって自宅にシェルターをつくってあったとしても、勤務先や学校に行っておれば役に立たないので、公共のシェルターを公費でつくる必要があります。しかし、地下鉄や地下街の建設の際に核シェルターを兼ねさせるという発想が全くなかったので、これから全部新たにつくらなければなりませんが、莫大な資金が必要です。
 「ソ連の脅威」の当時の何百という対日指向弾道弾(核・非核)にも、中共の現在の何十(?)という対日指向弾道弾(核)にも平気の平左で核シェルターをつくっていないのに、北朝鮮の、核搭載能力があるかどうか疑わしい、90発プラスアルファのノドン(The Military Balance 2007 PP358)にあわてふためくというのは全く整合性がないと思いませんか。
 在来弾頭搭載のノドンの脅威など、無視すればよいのだし、仮にノドンに搭載可能な核弾頭を北朝鮮が持っているとしても、使ったら米国が平壌を報復核攻撃をする可能性が大である以上、そんな自殺的行為を金正日が冒すはずがありません。
 それでも不安だというのなら、日本は米国に吸収合併してもらうか、米国から「独立」した上で核武装するか、という二つのオプションしかありませんね。
 前にも申し上げたことがあると思いますが、米国は前者に反対することはあっても、後者には反対しないだろうと私は考えています。
<Yoshu>
 14日の太田総理視ました。もう少しで視そびれるところでした。
 太田さんの発言が聞き取りにくく、仰りたかった主旨が、わかりませんでした。でも、コラム#2421の終わりの方を読んで、やっとわかりました。
 私自身も、利権ばかりが騒がれていて、今のように集団自衛権のない国防に対してなら、防衛費半分にすることに賛成です。
 来週の放映も、楽しみにしてます。
<太田>
 私自身、忙しさに取り紛れて見ていません。録画するのも忘れてしまいました。
 どうやら、私の発言はほとんどカットされてしまっていたようですね。
 まあ、毎回私が主役というわけにもいかないでしょうから、致し方ありますまい。
<六円>
今日、丁度「太田総理・・」で見かけたものですから。ちょっと一言お邪魔させてもらいました。
太田さんの米国の属国などと言うはっきりした発言は好きです。
実質そうですから。
でも、もっと堂々と主張して欲しいと願います。
画面で見るとちょっと弱く感じるのが残念なので。
今しがたチベット、ラサで中国による鎮圧の最中らしいニュースが流れていました。
陸続きの国の不幸です。
自治区と言われるとごまかしに気がつかない人も多いですが、他国です。
米国への批判なり、必要ですし、ネタもありますよね。
でも、日本にとっての一番の脅威は中国というのが、安全保障の常識でしょう。
中国には建国以来の侵略の実績と継続性が今に至るまであるわけですから。
日本に同時多面対応は大変です。米国は後でいいんです。
中国に対しての「ザクっと」した所もたのみます。
<Japanfinder>
 太田さま はじめまして。
 産経に「中国海軍、米軍に「太平洋分割管理」提案 露骨な野心」(
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/129382/
)というニュースがでております。
 産経の古森義久解説委員は、すでに中国は1000発の中距離核弾頭を配備しており、毎年100発ずつ増やしているといっています(
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/504348)。
 いまのままでゆくと2020年辺りに、中国は圧倒的軍事力を持ち、日本を中国領日本としてしまうだろうと、リバティー2007年10月号で、伊藤貫さんはいっています
 少しそのあたりのご意見をお願いします。
<太田>
>すでに中国は1000発の中距離核弾頭を配備しており
 引用された古森氏のコラムでも、「福建省地域で短・中距離の弾道ミサイルCSS6やCSS7・・の数は合計1000基を超えた」とあり、これは台湾向けであって、日本向けではありません。
 「太平洋分割管理」に至っては、同記事が引用している米太平洋軍司令官自身の言にもあるように、「冗談」以外の何物でもありません。
 いや、せめて中共が空母機動部隊を3組(1組を常に即応態勢に置くことができる態勢)保有するようになるまでは、「冗談」にすらならないと言ってよいでしょう。
 そりゃ現在でも中共は原子力潜水艦なら西太平洋、いや世界のどこの海洋に潜めさせることもできるけれど、米国(日本等も協力している)はその大まかな位置をリアルタイムで把握しており、米国にその気があれば、それほどの時間をかけずに、P-3C(これも日本や韓国も持っている。近い将来台湾も持つ)で位置を極限した上でアスロック攻撃をして全滅させることができます。
 (ちなみに、中共には米国の原子力潜水艦を探知攻撃する能力はありません。)
 米国はテロリストやゲリラといった非対称脅威にはイラクでもアフガニスタンでも苦戦を強いられているけれど、中共の軍事力のような在来型の脅威に対しては、滅法強いんですよ。
 以上は軍事能力の話ですが、「ソ連の脅威」の頃は共産主義というイデオロギーの脅威もまだ生きていました。ところが、現在の中共には援用できるイデオロギー的脅威など全くありません。(そもそも、非自由民主主義体制でも経済発展ができる、なんてイデオロギーでも何でもありません。)
 ですから、当面、中共が日本の脅威になるなんて考えにくいのです。
 もちろん、21世紀後半といった遠い将来のことは誰にも分かりませんが・・。
 とにかく、本日2100から放送の「チャンネル桜」を見て下さい。
 これを言っちゃいけないんだろうけど、ユーチューブで見れるようになることを期待してます。
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太田述正コラム#2424(2008.3.15)
<買春で辞職したNY州知事>
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