太田述正コラム#2505(2008.4.24)
<皆さんとディスカッション(続x121)>
<アミダ>
 –共産主義社会での著作権フリー–
 23日付の産経新聞に、今日は世界図書・著作権の日だと載っていました。
 太田先生に著作権について、やぶにらみの議論を吹っ掛けている人がいましたが、彼と同じように若くて愚かだった昔の自分、マルクス主義が正しいと信じて疑わなかった自分を髣髴しました。
 マルクスの論じた世界がすべてだと鵜呑みにした人の貧困なる哲学、思想生活の不毛を改めて感じさせる議論だなと、著作権の日にふと思った次第です。
<友人K>
 太田さんの中学以降の勉強の話は始めて聞きました。
 ちょっと特殊だけど、ベビーブームの世代の実感を思い出します。
 当時は確かに数学重視で難問が出ていて、文科系志望の人でも数学次第で大きな差がついていましたね。
 でもそれは公平な面もありましたよ。
 私は田舎の進学校でしたが、進学担当の先生が高名な日比谷高校に参観に行って、英語のリーダーの教科書を日比谷と同じものに変えました。ハハハ・・。
<ちょいまる>
 お返事どうもです。
 太田氏。想像を上回る詳細かつ正直なご回答感謝いたします。太田氏は、御自身の得意な教科だけを強調することなく、苦手だった数学の体験も正直に述べてくださいました。
 人間なのですから、得手不得手があるのは当然のこと。それなのに、昨今の著名人と来たら、自己顕示欲から、自身の長所ばかり述べる傾向にあります。評論家であるならば、あるまじき姿ですよね。
 そういう評論家は、言葉が軽薄になりがちですが、太田氏のように、御自身の苦手だったことまで正直に答えてくださると、言葉にも力が出ると言うものです。
 事実、いかに太田氏が東大入試の世界史、日本史において、驚異的な点数をとれたのかが、数学の話から推し測れました。
 今回、別のことを質問しようと思っていたのですが、ご回答に関する質問がまた新たに生まれましたので、そちらを先に聞かせて頂きます。
 実は私は英語を生業にしているもので、太田氏の御回答を読んで、太田氏の英語能力の高さを改めて実感いたしました。
>TOEFL610点で上から7%、GRE(米非プロフェッショナルスクール大>学院入学希望者能力検定試験。英語と数学)では英語は下から 22%、ATGSB>(米ビジネススクール留学希望者能力検定試験(その後GMTへと改称)。>英語と数学)では英語は下から30%でした。
の部分です。非常に驚きました。TOEFLの点数はもちろんのこと、GREと、現在のGMATに当たる試験で、日本人でありながら、ここまで健闘しているとは。
 両者共に、アメリカ人向けに作ってあるため、現在でも日本人が英語部門で高得点を取るのは殆ど不可能とされていることは、wikiを読んで知っていました。GREでのverbalなど、英語試験の最高峰であり、TOEFLで高得点を取っていてもまるで歯が立たないとさえ聞きます。実際、これら二つを受けたときのご自身の英語能力、そして試験そのものについて、ぜひお聞かせください。
 私は、まだTOEICなどという小手先の試験で、満点を出せていないもので、iBTにさえ進めていませんが、将来、iBTを超え、ぜひともGRE、GMATに挑戦したいと思っているので。 太田氏も再びTOEFLを受けてみませんか?(笑) iBTは、GREほどではないにせよ、かなり厳しいと聞きますよ。文法がなくなり、スピーキングが入りましたからね。
 ご回答よろしくお願い致します。
<太田>
 引用していただいた箇所は、訂正後のものですが、当初配信時には間違いがあったので皆さんご注意下さい。
 GREとATGSB(「GMAT」は「GMT」はミスプリです。ご投稿を見てブログを訂正しました)の総合成績が下からそれぞれ22%、30%だったら、スタンフォード・ビジネス・・が見るのはATGSBの方だけですが・・が入学を認めるワケがありません。
 実際、どちらの試験の数学も、算数と言った方がいいような簡単な内容であり、結構好成績でした。米国人学生の数学のレベルの低さに信じがたい思いがしたものです。しかし、数学の成績も総合成績も思い出せないのは不思議です。
 さて、ご質問についてですが、英語能力は試験の結果が示すとおりですし、試験そのものについてはもはや全く覚えていません。
 (私は日米英会話学院で首席になれませんでしたし、同じ時期に人事院制度で長期留学した官僚仲間で、私よりTOEFLの成績が良いのが2人もいました。)
 また、特段これらの試験のための勉強はしていません。
 GREは受ける必要がなかったのですが、この種の試験の受験料は国が全額負担してくれたので、冷やかし半分で受けました。(当初全く予定になかったことですが、確かスタンフォードの政治学科に願書を出す時に、このGRE成績証明書を流用したと思います。)
 なお、ご存じと思いますが、私は小学生時代、4年近く英語環境にいたので、日本に帰国してから、英語を使う機会が、英語の授業の時を除くと全くなかったとはいえ、英語がある程度できたのは当たり前です。
 ちなみに、英語の本は、大学の教養課程の時を除いてはほとんど読んだことがありませんでした。
 「ほとんど」というのは、高校時代、古本屋で見つけたエロ本だけは結構読んだからです。
 『チャタレー夫人の恋人』(まだ、日本では全訳を出すことができない時代だったのでは?)には著者ロレンスの文才に驚嘆し、『O嬢の物語』には強い衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
<大>
 コラム#2503でのお答えありがとうございます。
 C.P.スノーの『二つの文化と科学革命』も紹介してくださって、太田さんは優しいですね~。
 しかし、どちらかというと私法系より抽象度が高いように思われる公法系にはなんとかついていかれたというのはいったい??笑
 いや、ここまで回答を求めているわけではありませんが。
 とにかくどうもありがとうございました。
<太田>
 いや、私は、実社会は知らないけれど思想や歴史は大好きでしたから、思想と歴史に関わる憲法、思想に関わる刑法や刑事訴訟法は取っつきやすかったということです。
 思想なんてのは結構抽象度が高いじゃないか、とおっしゃりたいでしょうが、ギリシャ哲学はともかく、近代以降の哲学は、数学並に抽象度が高く、理系だと思うけれど、具体的な主義主張に関わる「思想」は文系ですよ。
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太田述正コラム#2506(2008.4.24)
<ロシアの体制(その2)>
→非公開