太田述正コラム#2938(2008.11.27)
<皆さんとディスカッション(続x319)>
<海驢>
 遠江人さん、コラム#2924でのコメント有難うございました。
 ご返信が遅くなりまして申し訳ありませんでした。(出張・現場・出張と外回りが続き、ようやく溜まったメルマガを読破して追いつきました・・・)
≫・・・私が対象としたのはあくまで「日本の」保守派です。言い方を変えれば、属国の保守派です。・・・伝統と文化は大切だなどとのんきに言っている暇があったら、まず何を置いても自主独立を目指すものではないでしょうか。≪(コラム#2926。遠江人)
 まさしく仰るとおりです。
 当方も、「(本来の)保守であれば現状打破・抜本的改革を希求するはずだと思われるのです。」と書いた(コラム#2926)とおり、日本の(本来の)保守は「革新=GHQ・吉田ドクトリンの打破=自立」を目指すべきだと考えています。
 その一方策として国政選挙における投票行動があると認識していますので、選挙権を得て以来、自民党に対抗しうる勢力・候補者に投票してきたところです。
 もちろん、自民党独裁に伴う政官財の構造的腐敗を軽減するための、安定的・継続的な政権交代を可能にしたいとの思いもありましたし、政策はおろか思想・信条までバラバラなのに「政権与党である」ためだけに烏合している自民党の解体、思想・政策ごとの再グループ化(=政党の再編)にも繋がるとも考えておりましたが。
≫・・・日本の独立を妨げる根源は自民党であると確信して、権力から引きずり落とすために堂々と攻撃している日本の保守派は見たことがありません。≪(同上)
 これについては、コイズミ・アベ以降、風向きが変わってきているようです。
 といっても、「保守」系雑誌は読んだことないですし、「保守」の論壇もネット情報もフォローしていないので確たることは申し上げられないのですが、とある保守系ブログでは「自民党はホシュホシュ詐欺」とか「自エンド」といったコピーが掲げられており、そのような動きが出てきているのではないかと期待しています。
※参考:日々是勉強 自END(自民党追放キャンペーン) 
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-category-10.html
≫とにかく海驢さんのように、日本では稀有な存在である、真に日本を愛する真の保守派といえる人がもっと世に出てくるようになれば、日本は変わると思います。≪(同上)
 身に餘る御言葉、恐悦至極に存じます。
 自分では、「真の」と言える水準ではない保守だと思いますが、それはともかく、左右・保革といったイデオロギーよりも国益を優先する、まともな日本に早くしたいところですね。
<衆愚政治?>
 受賞歴に応じて原稿の稿料で差を付けている(コラム#2936)のは、各出版社の評価の方式なだけであって、小説に限らず芸術は主観でもって判断するしかないんですから、それぞれの優劣なんて決められる訳がありません。
 太田先生、アングロサクソン文明を盲信しすぎですよ。
<太田>
 何ちゅうバカなことを言っとるのですか?!
 音楽だって芸術だけど、演奏だけじゃなく、作曲についてだってコンクールがあるじゃないですか。
 絵画だって芸術だけど、二科展入賞とかあるじゃないですか。
 何で小説に限って優劣がつけられないんですか?
 優劣をつけるのが、むつかしいからといって、不可能だ、というのは飛躍が過ぎてますよ。
 それから、
≫小説にせよ、音楽にせよ、為替にせよ、株式市場にせよ、なんでも格付けしなければ・・・気がすまない・・・アングロサクソン文明の浅ましさが滑稽・・・≪(コラム#2936。衆愚政治?)
ですって?
 よくもまあ、こんなに思いつきでモノが言えるものですねえ。
 日本が、少なくとも江戸時代の昔から、ランキング(番付)が大好きなお国柄であることすらご存じないとみえますね。
 石川英輔『大江戸番付事情』(講談社文庫)を読んでご覧なさい。
 ちょっと引用しておきましょう。
 
 「江戸時代の人々<は>・・・何でもかでも序列をつけて、相撲番付ふうの見立番付に仕立て上げ、次々と出版した。」(14頁)
 「日本刀<の刀匠についても番付が出版されたが、>・・・刃紋という模様の美しさによっても・・・価値<が>決まった。・・・武器であると同時に美術品でなくてはならないから、刀の評価はなかなかむずかしそうだ。」(86、92~93頁)
 「有名な文人つまり儒者、国学者、書家、画家、歌人、詩人、俳人、篆刻家などを東海道五十三次の宿駅に見立てて、日本橋から大津まで並べ<た>・・・『文人見立 東海道五十三駅』という番付<も>ある。」(262頁)
 「江戸・・・吉原の一流遊女の番付<まであった。>・・・<美人かどうかではなく、>技芸や教養<でランクをつけたものだ。>」(376~379頁)
 
 さて、ここで、インターネット上で発見した私に係る記事を三つをご紹介しましょう。
[その1]
『実名告発 防衛省』 太田述正著
 守屋元次官による汚職事件、防衛施設庁の談合事件、イージス艦の機密漏えい事件など、防衛省・自衛隊の不祥事、スキャンダルはとどまることを知らない。
 著者は守屋元次官と同期入庁のキャリア。業者参入に口利きをした政治家を実名で告発した人物。
 本書によれば、防衛省の内局に君臨する背広組のキャリアにはもともと、仕事らしい仕事がない。軍事知識や経験もなく、英語すらまともにできない。弛みきった環境の中で、彼らは天下りと私腹を肥やすことだけを考えてきたというのだ。
 著者はその根本原因を軽軍備などを柱にした「吉田ドクトリン」に求めている。確かに、昨今の空幕長更迭騒ぎを見れば、日本の自主防衛など、夢のまた夢。士気が下がるのも無理ないか?  (金曜日・1680円)
■「実名告発 防衛省」
http://www.yukan-fuji.com/archives/2008/11/post_16244.html
→夕刊フジが書評を載っけてくれたんですね。
 やっぱし、「カタギ」の親である産経新聞は載っけてくれないのかなあ。(太田)
[その2]
 ・・・元防衛官僚の太田述正は、「日本政府は、補給艦派遣をダシにして護衛艦をインド洋に派遣している」と指摘している防衛省OB太田述正アングロサクソン文明と軍事研究ブログ 。 一つの説として、モルディブ南方のインド洋にイギリス領チャゴス諸島があり、チャゴス諸島ディエゴガルシア島にはアメリカ空軍が使用している軍事基地がある。ディエゴガルシア基地は、米英軍にとって中東有事における重要な出撃基地であり、実際にアフガニスタン侵攻とイラク戦争においても使用された。当然、米英軍に敵対する勢力のターゲットになりやすい基地だが、作戦域の後方にあり、米英軍の艦船を周辺海域に常駐させる余裕がないため、補給艦の護衛という名目でイージス艦を派遣し、補給艦の護衛の傍らで、ディエゴガルシア島の上空及び周辺部の監視を行ったというものである。その事を示すかのように、イラク戦争が発生した2002年から2003年にかけてと、2004年には年間を通じてイージス艦がインド洋に派遣されている。・・・
http://www.sbibusiness.com/wikipedia/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3
→ウィキペディアンすごい! 私の主張を敷衍してくれてありがとう。(太田)
[その3]
「失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)」のレビュー
Izuman さんのレビュー:太田述正氏の防衛庁再生宣言も読むべき 太田述正氏のメルマガも登録しておきたい
http://detail.booklog.jp/asin/4122018331/?page=2
→私が『失敗の本質』を少しだけどとりあげている(コラム#128、2034)ことも知った上でのコメントとお見受けしました。サンキュー。(太田)
<IT支援グループ>
 防衛省OB太田述正メルマガが、まぐまぐ大賞2008のニュース・情報源部門にノミネートされました。
投票をお願いします。※投票締め切り:12月8日(月)18時※
■ニュース・情報源部門
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/new.html
推薦・本投票にご協力くださった方には抽選で、「全国のコンビニで使えるクオカード500 円分(100名様)」「2008年流行グッズ(合計10名様)」が当たります!(当選者様には直接メールにてご連絡いたします)・・・のだそうです。
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
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太田述正コラム#2939(2008.11.27)
<ムンバイでのテロ>
→非公開