太田述正コラム#14199(2024.5.8)
<皆さんとディスカッション(続x5889)>

<七氏>

 「3 頭の整理 (1)人間の類型」<ですが、>そこまでのレジュメで各類型について散発的に記載されているものの、であれば、改めて段を立てるなら、類型を明確化する理由を示したいですね。
 理由を示した上で、これはこれ、これはこれ、と。
 類型化をする、ということ事態、場合によっては「決めつけだ」と言われることもあり。
 類型化する意義、とは何なのかと。

<太田>

 了解。

<太田>

 小SOS旗を掲げるのを忘れていました。
 「2(3)日本文明モード転換論」のところに出てくる、各モードの開始者(天皇名)は間違っていませんか?
 そもそも、それを書いたコラム#は?
 それだけは、自分ではまだ発見できていません。

<七氏>

 間違っていないか、どのコラムかは別として、人物に詳しいのは<TT>さんなので、とりあえず聞いてみるのは手かと。

<US>

 調べました。

>2.第一次縄文モード時代(平安時代=プロト日本文明から日本文明への移行期。桓武天皇が開始)

 桓武天皇ではなく、嵯峨天皇。

>3.第一次弥生モード時代(鎌倉、室町、安土桃山時代。後白河天皇が開始)

 正しいです。

>4.第二次縄文モード時代(江戸時代。正親町天皇が開始)

 正親町天皇ではなく、後陽成天皇

>5.第二次弥生モード時代(明治、大正時代。孝明天皇が「開始」)

 正しいです。

>6.第三次縄文モード時代(昭和時代以降。昭和天皇が開始)

 正しいです。

 前回の<部外>セミナーの際、上述のように整理されていました。当時のパワポもそのような絵になっていました。
 なお、この時期(2018/2019頃)は、現在を第三次縄文モードからの転換時期とし、その新たなモード転換者として平成天皇を挙げていらっしゃいました。
 (典拠:太田述正コラム#10336(2019.1.26)<皆さんとディスカッション(続x3964)/明治維新150年を文明論的観点から考える(続)>)
 その後、6については、確かに、第三次縄文モード時代(昭和時代以降=日本文明からプロト日本文明への回帰期。昭和天皇が開始)とされています。(典拠:太田述正コラム#12833(2022.6.25)<皆さんとディスカッション(続x5211)/世界史探偵「おーたん・ホームズ」日本史最後の謎を解明>)

<太田>

 恐れ入りました。
 「嵯峨天皇が818年(弘仁9年)に盗犯に対する死刑を停止する宣旨(弘仁格)を公布した。死刑を全面的に停止あるいは廃止する法令が出されたことはないものの、死刑の範囲が縮小するとともに実際に執行されることがなくなり、やがて全面的な死刑の停止が先例(慣習法)として確立されたと考えられている。・・・
 嵯峨天皇の宣旨から保元の乱の起こった1156年(保元元年)まで、338年の間、全国的に平時死刑は廃止され、京においては平時・戦時例外なく死刑執行は停止されていた。・・・
 但し、天皇の裁可による死刑が無かっただけで、当時大きな権限を持っていた国司による死刑執行が行われたことや検非違使が「肉刑」という形で犯罪人を死に至らしめたりというのが実態であった。・・・
 他方、死刑とは異なるものの、承平天慶の乱などの地方における戦乱においては、追討対象者は殺害されることが普通であった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%AD%BB%E5%88%91
ということから、第一次縄文モードの開始者を嵯峨天皇としていたのだと思いますが、「桓武天皇は、現状との乖離が大きくなりつつあった律令制を再建するため、大規模な行政改革に着手した。その一環として、延暦11年6月(792年)、陸奥国・出羽国・佐渡国・西海道諸国を除く諸国の軍団・兵士を廃止し、代わって健児の制を布いた。この時の健児は天平宝字6年と同様、郡司の子弟と百姓のうち武芸の鍛錬を積み弓馬に秀でた者を選抜することとしており、従前からの健児制を全国に拡大したものといえる。これにより、一般の百姓らが負担していた兵役の任務はほぼ解消されることとなった。・・・
 健児の導入は、それまでの一般百姓から歩兵を徴収し、<支那>大陸・朝鮮半島からの沿岸防備・渡海侵攻(実際には行われなかったが新羅征討計画は存在した)を前提としていた7世紀以来の律令制の基本的な軍事政策が転換され、現実的な蝦夷征討などの国内の敵対者に対する陸上攻撃に備えた体制に転換したとも言える。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%A5%E5%85%90
ということから、開始者を嵯峨天皇の父親の桓武天皇に変更したいと思います。
 正親町天皇は私のうっかりミスで、「後陽成天皇は秀吉の外征には反対であり、秀吉に対して「無体な所業」であると諭している」後陽成天皇
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E9%99%BD%E6%88%90%E5%A4%A9%E7%9A%87
じゃなきゃいけません。
 なお、平成天皇を持ち出した頃は、かなり日本の先行きを悲観し始めていて、最後の希望を同天皇に託していたのでしょうね。
 また、「開始」は「転換示唆」に訂正します。
 孝明天皇のところの「転換示唆」に鍵括弧を付けた理由も明記します。

<七氏>

 「さきほど「理念」によってつくりだされた「世界像」<が>、きわめてしばしば転轍機(ターンテーブル)として文明を決定し、その文明の上を利害のダイナミックスが人間の行為を推し進めてきた」とお伝えしました。では、具体的にどういうことなのかをご説明したいと思います。」という文面を、(2)日本文明/プロト日本文明(第二部で説明)か、(3)日本文明モード転換論の前に入れたほうがいいと思います。
 だいぶターンテーブルの部分から飛んでしまうので、一応この辺りでこの文面を入れたほうが理解されやすいのではないかと思います。

<太田>

 了解。(2)にそれ的なものを入れましょう。

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <と、まずは、基本的人権も国民主権も平和主義も、いや、憲法すら、ない、イギリスに呼びかけようね。↓>
 「・・・基本的人権、国民主権、平和主義を掲げた現憲法は「世界中が掲げるべきだ。人類の未来はそこにしかない」と思い、その成立とともに人生を歩んできた。
 <十七条憲法の理念なんて崩れようがなかったわけだし、そもそも、日本語の「憲法」に規範性なんてないで。↓>
 しかし、このままでは現憲法の理念は崩れ、戦前と似た状況に戻ってしまうのではないかとの不安が募る。
 <そもそも、「近現代」史だけ学んじゃアカンのよね。↓>
 そうならないためにも、否定的な面を含めた日本の近現代史を学ぶ場を設けることの大切さを訴える。・・・」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/325370
 <いや、非集団主義性が極めて強いからだよ。↓>
 「・・・ ――「市民自らで民主主義を勝ち取った韓国や台湾などと比べ、日本は政治参加意識が……」といった批判があります。紋切り型かもしれませんが。
 ◆いや、政治参加意識はともかく、自由権についての意識は、むしろ高い方かもしれませんよ。たとえば新型コロナウイルス対策です。日本は主要国の中でも特に立憲主義、つまり「人々の自由や権利を守るため政府の行動は憲法で制約される」という原則に即した対策を取っていました。
 確かに、説明責任が軽視され、非科学的で場当たり的な対応も目立ちました。が、ロックダウン(都市封鎖)やその違反者の逮捕、個人情報の収集やGPS(全地球測位システム)などによる隔離対象者の監視・追跡といった人権侵害をしませんでした。陽性者の接近を知らせるアプリも使用は任意でした。私権制限なども当然のごとくほぼ議論されず、極めて民主的な対応だったと思います。
現行憲法下の「伝統」が人権外交で役立つ
 ――なるほど。その視点はありませんでした。でもなぜ?
 ◆日本社会は、戦時中の私権制限への反発が強かったためか、国家が市民の自由や権利を制限することに慎重です。この慎重さは、現行憲法施行から77年を経て日本の「伝統」になりました。率直に評価したいですし、他国の民主主義支援でも重要な点です。・・・」
https://mainichi.jp/articles/20240503/k00/00m/040/049000c

 ウクライナ問題。

 なし。

 ガザ戦争。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 例によって、NYタイムス様が上から目線の記事を・・。↓

 It Took Decades, but Japan’s Working Women Are Making Progress–Employers have taken steps to change a male-dominated workplace culture. But women still struggle to balance their careers with domestic obligations.・・・
https://www.nytimes.com/2024/05/07/world/asia/japan-working-women.html

 幕府や雄藩等が備えていた軍事力への言及がないんで0点!↓

 「幕末期に日本が植民地化されなかったのはなぜ?徳川幕府の採った対策と欧米諸国の状況から読み解く・・・」
https://mag.japaaan.com/archives/223590

 日・文カルト問題。↓

 <騒ぎ立てないのが正解ではあるが、それはそれとして、大統領の意向に戦々恐々として従わなきゃならないところの、大統領制、の弊害だな。↓>
 「韓国外交部は日本政府のメディア工作まで手伝うのか【コラム】 LINEヤフー問題・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/05/07/2024050780029.html
https://japanese.joins.com/JArticle/318372
 「・・・大統領室関係者は「政府はNAVERと協議を重ね、(NAVERが)必要とする措置を支援している。NAVERが望む方向で支援することが、政府の一貫した立場だ」と強調。「韓国政府は、NAVERが持ち分を売却せずに日本政府の望む技術的措置を取ることを決めた場合はそれを支援し、持ち分を売却することを望む場合は正当な価格を得てより良いビジネスができるようにする」と説明したという。
 この記事を見た韓国のネットユーザーからは「『日本政府の主張通りにする』と言っているようにしか聞こえない」「本当に韓国の大統領?。韓国の優秀企業の優秀なプログラムをどうぞ譲りますと言っているみたい」「売却を支援するだって?。あきれた」「NAVERを支援するのではなく、日本政府に圧力をかけないと」「日本が嫌がることは絶対に言えない親日政権だ」「NAVERは、大事に育ててきたLINEを奪われてしまうだろう」などの声が寄せられている。・・・韓国・電子新聞・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b933071-s39-c100-d0191.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <もっとおいで。但し、行儀よくせにゃ。↓>
 「日本の観光地で中国語の注意書きを体に貼る警備員・・・
 微博で紹介されると、中国のネットユーザーからは「私もここに行ったことがある」「観光客がものすごく多いんだろうな」「意味は分かるけどなぜ中国語?」「『スラムダンク』のあの場所でしょ。中国人は聖地巡礼が好きだから」「中国人が多いからだろうな」「私が行った時は韓国人が多かったけどね」「人の家に入るって…もしアメリカなら銃で撃たれてる」といった声が上がった。
また、「海外の観光地に中国語で『ごみのポイ捨て禁止』と書いてあることに激怒する人々がいたことを思い出した(笑)」「日本語も書いてある。そこに行くのは中国人と日本人が多いというだけ」「(写真は背面しか写っていないため)前面は何語で書かれているのかね?」などのコメントも寄せられている。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b933139-s25-c30-d0052.html

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太田述正コラム#14200(2024.5.8)
<松原晃『日本國防思想史』を読む(その12)>

→非公開