太田述正コラム#3055(2009.1.25)
<皆さんとディスカッション(続x378)>
<大>
 太田さん、ありがとうございました。
 記事中の<ザカリアの>発言が間違いだらけだからだ<(コラム#3053)>ってことだったんですね。
 記事、ちゃんと読んだつもりでしたが、まだまだいい加減だったようです。
 毎度お世話になります。
<うえやま>
≫それとも、司法機関も軍隊もいらないっとおっしゃっているのですか?≪(コラム#3053。太田)
 まず軍隊に関してですが、少なくとも周りのほとんどが領土を前提とする国民国家であり当然ながら国民で構成される軍隊を持っている以上、現在日本に与えられている領土全体を守るための統一された軍隊/防衛組織は必要でしょう(相手が「日本」を標的にすると予想されるため)。同じような意味で、貿易のルール等の外国との折衝作業を行う組織や自らの評価を高めるための武力行使も可能な海外協力組織といったようなものは、統一されたものがあったほうが効率がいいと思います。これは以前もいつかの対話で認めたとおりです(探したのですが見つかりませんでした)。ただしこれは効率が良い(から、自由な状態であれば統一されるのではないか、と思う)というだけで、複数あったら立ちゆかないとは思いません。
 しかし、司法機関に関してはどうでしょうか。治安維持のための警察など、複数の警備会社がそれぞれの地域に雇われ治安維持活動を行えばいいのでは? それらの企業には、現在の警察にはない「治安がよければ儲かる」という動機付けが存在するだけでも、今の警察よりよっぽどマシな話ではないかと思います。検察や裁判所といった調停機関についても同様です。
 典拠といえるようなものではありませんが、webで拾える意を近しくする意見として
http://hpcunknown.hp.infoseek.co.jp/unpublished/rothbard.html
こちらを添えておきます。ロスバードの本って全然訳本がなくって、洋書にずいぶん苦しめられた思い出があります(もしかしたら知らなかっただけかも知れないけど。。)。今は「人間、経済及び国家」と「自由の倫理学」が手に入るみたいですね。
<太田>
 お示しの典拠を読みかけたけど、ちょいと今は時間がとれない。本件の議論は後回しにせざるをえないなと思いました。
 印象ですが、ロスバードの主張って要するに市場万能主義のようですね。
 公共財という観念そのものを彼は否定しているのでしょうか。
 また、こういった議論が時代を超えて一般論として成り立ちうるのか、それともネット社会化している現代においては、傾聴に値する部分が出てきたのか、等、うえやま(何でローマ字表記が変わったの?)さんご自身の説明を聞きたいですね。
 
<サヨク>
 <コラム#2673「性科学の最新状況」を読みました。>
 「注意が必要です。」ってどんな注意なんでしょうか? 全然思い付きません!
<太田>
 この時点での私の訳語が、必ずしも適切でなかったように思います。
 「愛(love」は「恋」、「暖かい、愛に近い親近感」は「愛」と読み替えて下さい。
 要するに、通常は「恋」が醒めるか「愛」に転化するところ、性交渉を行う(重ねる)と、「恋」抜きで「愛」が芽生えてしまう場合がある、ということです。
 どこに問題があるのかだって?
 MHCが共通している人や美貌・頭脳・富の三点セットの総合得点が自分より顕著に低い人と「愛」に基づく長期的関係を取り結ぶ懼れがあるからです。
 前者は免疫学的に虚弱な子供をつくることとなり、後者は、長期的関係を破綻させる懼れを高めます。
 それがどうしたって?
 勝手にどうぞ。
 なお、コラム#2798「性科学の最新状況(続)」、#2800「性科学の最新状況(続々)」#2745「恋と愛について」(未公開)、#3024「日進月歩の人間科学(続々)」(未公開)、3033も参照してください。
<Nelson>
≫女性差別というマクロの社会問題から目をそらさないようにしましょう。≪(太田)
 私の文章が稚拙なせいで、私が女性差別を肯定していると誤解された方もいらっしゃるかもしれませんね。
 断っておきますが、肯定してませんし、目をそらしてもいません。なぜなら、私も世間では一応女性とみなされる者ですから。
<太田>
 いやーびっくりしたなあ。
 ネルソンって言ったら、普通、トラファルガーの海戦で有名なホレイショ・ネルソン(Horatio Nelson。1758~1805年)提督ですよね。
 どう考えたって男性じゃないですか。
 どういうわけか、突然このネルソンの情婦で、彼女のサーの敬称付きのご亭主ハミルトン氏とともに3人で共同生活を行ったことでイギリス中の耳目を集めたところのハミルトン夫人(Emma, Lady Hamilton。絶世の美女)
http://en.wikipedia.org/wiki/Emma_Hamilton
のことを思い出しました。
<michisuzu>
≫女性差別がひどいとか、(子育てを支援する)社会福祉が遅れているとかあなたが本当にそう思っているのなら、(消費税アップ等で財源を確保して)社会福祉の充実を図ればいいし、アファーマティブアクションもやってみればいい、とどうして思わないの?≪(。太田)
 尊敬する太田様へ。
 私は消費税の安易なアップは何度も言いますが反対です。
 なぜならば食品などの非課税がなされていない消費税の増税は弱者に圧倒的に不利だからです。
 消費税を上げる前に相続税や資産課税法人税の増税がまずありきです。
 消費税を上げてしまったら今まで以上に打ち出の小槌を得た官僚はわが世の春です。
 そんなことは許せません。
<太田>
 あのね、消費税の話がテーマじゃないんだけど・・。
<マソン>
 議員とか会社役員とかのレベルになると、女性が極端に少ないので、いずれにせよ紅一点ですよね。michisuzuさんが議員さんについていうように、まともな普通の女性はほとんどいないのかもしれません。
 私の友人たち(30代から40代)の中で、特に高学歴の女性の場合、結婚して家庭を優先して、仕事はやめるか非常勤になるか楽な部署に代わってもらうかしています。だから役員レベルにはなっていません。
 未婚で彼氏よりも仕事優先でそれなりに出世している友人の場合、美人なら紅一点、それほど美人でなければおやじ女子になっているような気はします。仕事中のところを見たことはないのですが、そうなってるかもしれないと想像がつきます。
 紅一点らしき友人たちは、他の女性からの嫉妬がすごくて友達はあんまりいないみたいですけど、本人は意地悪な人ではないです。でも意地悪されすぎて一般的に女性に対して警戒心を抱いているということはあるかもしれないです。
 おやじ女子の方はものすごく嫉妬するタイプです。女らしい子が特に嫌いです。女に生まれて損してると思っています。性格が激しすぎて友達がなかなかできないみたいです(笑)個性的でおもしろいからそれはそれでいいと思うんですけどね。彼女らにとって、そこにいるだけでちやほやされる紅一点タイプは敵ですね。
 普通に結婚している女性は、(高収入の)夫を支えることと子育てすることに責任とやりがいを感じています。一生懸命ですし、楽しそうですよ。
 優秀な女性は給料の高い男性と結婚して、子守のための人を雇う金銭的余裕もあるし、実際必要なときは雇っています。子育てが楽しい(し仕事がつらい)から仕事を減らしているので、社会福祉を増やしても、仕事に打ち込む優秀な女性が増えるとは思えません。
 仕事では、自分ががんばるよりも、体力があって無理の利く、しかも仕事面では自分よりも優秀な夫ががんばる方が効率的に出世できますし、反対に、子育てなどでは自分ががんばる方が夫ががんばるより効率的だと考えているようです。差別的な考え方かもしれなくても、自分で選んだ道ですからその責任も取るつもりでいますよ。
 夫が仕事でがんばっていてくれたらいいので、普通の女性がキャリアを積むことはありませんし、役員とか議員とかにもなりませんよね。
 まともな女性でも、子育てが終わって50代くらいでちょっと暇になったら、社会に出て責任のある仕事もしようかという気にもなるかもしれませんけれど、子育てか責任のあまりない仕事しかしていなかったら経験がなさすぎですよね。元がどんなに優秀でも、やっぱり役員や議員は無理ではないですか。想像しかできませんが。
 それにアファーマティブアクションでは、役員や議員につながるようなキャリアはないけれどまともで責任感のある普通の女性を、強引に役員や議員にするわけではありませんよね。仕事優先でがんばる女性の中から引っ張ってくるんですよね。すると、他の女性と友達になれない紅一点かおやじ女子ばかりの中から選ぶことになるわけですね。
 アファーマティブアクションで無理矢理に女性を増やして「紅一点」という状況を完全になくしてしまうことで、結果として優秀な女性が増えるでしょうか?
 アファーマティブアクションで、まともで普通だけどキャリアも積んでこざるを得なかった優秀な女性、しかも他の女性からの信望も篤い女性を、法律で保護して、議員や役員にするんだったらいいんですけれど???
<太田>
 10年後までに女性のシェアを30%以上にする、といった穏やかな形のアファーマティブアクションならいかがですか。
 準備期間があれば、その間に男性の意識も女性の意識も変わり、女性でまともな政治家候補や経営者候補が育つことでしょう。
>普通に結婚している女性は、(高収入の)夫を支えることと子育てすることに責任とやりがいを感じています。一生懸命ですし、楽しそうですよ。
 一体どこの国の話なんでしょうね。
 それにしても、子供が巣立った後の長すぎる老後を、「普通に結婚して」専業主婦を楽しんでいる女性がどのように過ごすのか、他人事ながら心配しちゃいます。
<michisuzu>
≫・・・michisuzuちゃんは典拠嫌いで典拠を付けてくれない・・・≪(太田)
 典拠はありません、私が戦後の日本史を見て独自に考えた理論です。
 あえて典拠というならこれを見てください。
 これを見て昭和天皇の責任をうやむやにはできません。
以下参照。
http://jp.youtube.com/watch?v=pzgYOgsB1bo
 太田様戦後の日本人の責任の取り方で潔い責任の取り方を見たことがありますか?
 少なくとも私はありません。
<Nelson>
 戦後の日本国民は、戦争責任・敗戦責任を昭和天皇になすりつける方が多いですが・・・・・。
 昭和天皇は即位されてから2・26事件とポツダム宣言受諾に関することぐらいしか、自らご聖断されていませんよ。特に、ポツダム宣言受諾は政府が判断できず、直接陛下のご聖断を仰いだ結果、やっと受諾が成立したのです。しかも、政府が悩んでご聖断を仰ぐまでに、広島・長崎に2発も原子爆弾が投下されました。
 この当時政府を構成しているのは、誰ですか?国会議員は誰ですか?国会議員を選挙で選んだのは誰ですか?軍にいたのは?
 まぎれもない国民です。国民自身が欧米列強に日本が負けることになった原因ですよ。
 国民自身に責任があるのに、陛下は自らの命と引き換えに国民を救ってもらうために、マッカーサーに会いに行きました。
 michisuzu様、それでも陛下が死ぬべきとおっしゃるなら、日本国民全員が腹を切らなければいけませんよ。
 少なくとも日露戦争の後に自刃した乃木将軍や自殺未遂で絞首刑になった東条さんの方が昭和天皇よりも遥かに立派であったと考えます。
<michisuzu>
>戦後の日本国民は、戦争責任・敗戦責任を昭和天皇になすりつける方が多いですが・・・・・。
 擦り付けるも何も昭和天皇自身が責任があったとみとめているじゃないの?(マッカーサーとの会見録を見てください)
 そんなの常識でしょ。
 戦争自体の全体責任という責任があるのです。
 悩もうが悩まないでいようが原爆を防ぐ能力が日本には無かったのです。
 アメリカはソ連の日本への侵攻を止めるために落としたのは現代では明白な事実です。
 国民全員が死ぬわけにはいかないでしょう?
 極論過ぎて論理破綻してますね。
 あの時代の天皇の地位と民主主義ではあったものの言論統制(新聞、ラジオ、チラシ)が酷く、政府の軍国主義に文句ひとついえなかったこともご存じないようですね。
 最低限当時の一般人の置かれていた立場や言論統制、弾圧、文化人の投獄(安政の大獄並の)くらい知識を持って話してくださいね。
 何の権限も与えられていない国民一人一人と国家元首とを同等の権限、責任があると考えるに足る、あなたの思考回路は常識の欠片も無いのですね。
<Nelson>
>何の権限も与えられていない国民一人一人と国家元首とを同等の権限、責任があると考えるに足る、あなたの思考回路は常識の欠片も無いのですね。(michisuzu様)
 生まれて初めて言われると、彼氏とかじゃなくても悲しいものですね。
<遠江人>
 12月28日以降の天皇制に関しての(私を含めた読者の皆さんの)レスを全無視のmichisuzuさん、そもそも天皇制のおかげで先の大戦が起こったというあなたの史観を、私を含め読者の皆さんに分かるように論理的に説明してください。でなければ、こんな不毛な話はいつまで経っても終わりません。
 michisuzuさんのコメントは一時が万事、結論を言っているだけで、説明と言えるものは、ほとんどありません。他者がコメント(具体的な指摘や説明)をしても、それまでの「結論」の繰り返しをしているのみです。
 このmichisuzuさん側の問題が改善されない限り、不毛なコメントの投げ合いは終わりませんよ。
<太田>
 (すぐ感情的になるし典拠も踏まえない、)議論ベタという戦後日本人の欠点が、ひどい女性差別構造の下、女性において、より極端に立ち現れる場合があるということだと思います。
 皆さんにはご迷惑かもしれないけれど、私自身は、現在の日本の典型的な女性の一人としてのmichisuzuちゃんの、このディスカッションへの「貢献」を楽しんでいます。
 このところ、女性の投稿が増えたことについては、michisuzuちゃんの「貢献」もあったのではないでしょうか。
 なお、michisuzuちゃん引用のユーチューブ鑑賞しました。
 全く典拠になってないけど、いい番組でした。
 蛇足ながらmichisuzuちゃん、コラム#821で私が書いた以下のくだり、
 ・・・<ハセガワが指摘したところの、原爆投下の>一番目の理由である無条件降伏の強要と二番目の理由である米軍の損害の回避は、自由・民主主義国家において、世論への配慮から戦略判断がねじまげられる典型的な事例であり、三番目の理由であるソ連への警戒については、そもそもソ連の参戦だけで日本政府(及び軍部)が無条件降伏するであろうことを読めなかった米国政府の戦略判断ミス・・・以外のなにものでもなかったと思います
 (もっとも、この戦略判断ミスは、ロシア(ソ連)を中心とする専制国家や民主主義独裁国家の脅威から日本ひいては東アジアを守ることを最大の戦略目標としてきた明治維新以降の日本の足を、低劣な嫉妬心と人種差別意識からひっぱり、あまつさえ、ファシズムの中国国民党と共産主義の中国共産党に肩入れして日本を追いつめ(コラムが多すぎるので一々挙げない)、最後は共産主義の大本締めのソ連を領土をエサに対日参戦させた、という、米国のより根本的な戦略判断ミス・・米国が犯した原罪・・の、必然的帰結であったと言えよう。どんなに当時の米国が理不尽であり、人種差別的であろうと、米国による一元的占領の方が仇敵のソ連による日本本土の全部または一部の占領よりはマシだと日本が考えるであろうことを、当時の米国政府が全く予見できなかったことは、当時の米国がいかに異常な国であったか、ということだ。)
 要するに、米国による日本への原爆投下は、いかなる申し開きもできないところの、人道に対する罪に該当する愚行だった・・・ということです。・・・
ちゃんと頭に入れておいてね。
<アルファ>
≫・・・michisuzuちゃんは典拠嫌いで典拠を付けてくれない・・・≪(太田)
 上記の考え基盤になる著書があります。参考までに書きますと:
豊下 楢彦 (著) 安保条約の成立―吉田外交と天皇外交 (岩波新書)
豊下 楢彦 (著) 昭和天皇・マッカーサー会見 (岩波現代文庫) (文庫)などです。
(豊下 楢彦:1945年兵庫県生まれ。京都大学法学部卒業。現在、関西学院大学法学部教授。専攻=国際政治論・外交史)
<moshika>
 二桁コメントに触発されて、のんきなコメントをします。
 前回コメント(コラム#3039)した反日ナショナリズム=強行路線論ですが、コラム#557、559ですでに言及済みでしたね。失礼しました。
 太田さんの影響で朝鮮日報サイトを覗くようになったのですが、人民網も加わりそうです。
<太田>
 人民網で読むに値する記事が出るのは、年数回くらいですから、歩留まりは極端に悪いですよ。
 記事の紹介です。
 噂の朝鮮日報がまた日本ベタぼめ記事を掲載しました。
http://www.chosunonline.com/article/20090125000005
 このところ、中共当局と韓国の朝鮮日報は、日本ベタぼめ競争をしている感がありますね。
 ちーと気持ち悪いなあ。
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太田述正コラム#3056(2009.1.25)
<性科学の最新状況(続x3)>
→非公開