太田述正コラム#3205(2009.4.10)
<皆さんとディスカッション(続x452)>
<疑問博士>
 太田殿の分かりやすい解説(コラム#3203)どうもありがとうございます。
 日本がアメリカから独立するために必要な事・可能性・メリットとデメリットなど僕はもう少し深く議論して欲しいと思います。
<太田>
 私のコラムのバックナンバーや拙著をお読みいただきたいが、とりあえず、はしょりまくってお答えしましょう。
 独立するために必要なことは、日本の再軍備(集団的自衛権行使を可能とする政府公定解釈変更を含むソフト面の整備と諜報機関の設置や自衛隊の編成・装備の手直し等のハード面の整備が必要。必ずしも大幅防衛費増額につながるわけではない)。
 可能性は、日本国民の決意一つであり、米国は、民主党政権であれ共和党政権であれ、妨害はせず、基本的に歓迎するでしょう。
 メリットは、日本においてガバナンスが回復し、政治家も官僚も、本来の仕事を腐敗することなく熱心に遂行するようになるであろうことです。
 デメリットは、・・・私には全く考えられませんね。誰か考えてみてよ。
 
<おーつか>
 アメリカの軍事サイトがテポドン騒動をどうみているか興味を持ったので、
http://strategypage.com/
のトップページで “Korea” を検索してみました。
 Austin Bay の原稿、The North Korean Tangle(March 10, 2009)では、北朝鮮の(「恐喝を行うパラノイアの暴君による自殺的)発射予告は、オバマ政権の「同盟国への責任およびアメリカの権益を保護する意思」を調べるためのものと分析。
 また、日本政府の示した「気骨」が賞賛され、オバマ政権は「防衛能力を示すという日本の決定に拍手喝采するべき」と書かれています。
http://www.strategypage.com/on_point/20090310235614.aspx
 North Korea, Asian Troublemaker (3/28/2009)
は音声ファイルにつき未チェック。
http://www.strategypage.com/strategytalk/default.aspx
 一方、同じAustin Bay の原稿、Japan Rewrites North Korea’s Script (March 31, 2009)は、北朝鮮のシナリオの想定外である、”Japanese offensive forces” つまり侵略的日本軍の復活を危惧するもの。
http://www.strategypage.com/on_point/2009033123301.aspx
 James Dunnigan の原稿、Korean Commandos Collapsing (April 7, 2009)は、金政権の権力の源泉でもある北朝鮮軍特殊部隊の力量が低下し、不愉快な任務から、内部で不満が高まっていることを示唆しています。
http://www.strategypage.com/dls/articles/Korean-Commandos-Collapsing-4-7-2009.asp
 トップからリンクされているCNNニュースは、金正日が国防委員会の議長として再任されたとの報道。(04/09/2009)
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/04/09/nkorea.kim.reappointed/index.html?eref=edition
 全般的に「北朝鮮はそろそろダメだろう」的な記述に満ちており、テポドン2の軍事的脅威を示すような原稿はありません。
 また、自衛隊の防衛役割分担への期待がある一方、軍事大国化への懸念も表明されている、という感じですね。
<太田>
 情報提供ありがとうございます。
 私はこうみる ミサイル発射・・北京大学国際関係学院 朱鋒教授:最大の被害者、日本より中国
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090410/kor0904100617003-n1.htm
というインタビュー(?)記事は傑作ですね。
 思わず笑っちゃいました。
 記事の紹介です。
 ニューヨークタイムスとロサンゼルスタイムスがブログ記事に対する読者コメントを事前「検閲」をしているのに、ワシントンポストは読者のクレームがあった場合に事後「検閲」するにとどめているというのですが、そもそも、読者に匿名コメントをさせるメリットがどこにあるのかを書いたコラムがワシントンポストに出てました。
 ・・・The subjects that have generated the most vitriol during my tenure in this role are race and immigration.・・・
 But I am heartened by the fact that such comments do not go unchallenged by readers. In fact, comment strings are often self-correcting and provide informative exchanges. If somebody says something ridiculous, somebody else will challenge it. And there is wit. ・・・
 Comments also tell us that readers do not always agree with journalists about what is important.・・・
 Comments are also a pretty good political survey. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/08/AR2009040803248_pf.html
 面白かったのは、オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)が、 “Man is least in himself when he talks in his own person. Give him a mask, and he will tell you the truth.” と言っているそうなんですね。
 さしずめ、仮面をかぶらずに「真実」を平気で話す私なんてのは相当イカれてるんだろうね。
 東京には約40,000人も米国人がいるらしいけれど、米国人が六本木等でヤクで眠らされてクレジットカードを勝手に使われる被害が続出している、と米国大使館が警告を発したそうです。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/08/AR2009040803996_pf.html
 
 ワシントンポストもこんな、日本の週刊誌みたいな軽ーい記事を載せることもあるんですね。
 成人たる人間の体にも、カロリーを燃焼する脂肪(brown fat)を作り出す能力が備わっていることが明らかになりました。
 どうやったら作り出せるのかって?
 寒い思いをすりゃいいんだそうです。
 寒さから身を守るために、カロリーを熱に変える脂肪が作り出されるってわけですな。
 早晩、この脂肪を作り出す薬が開発されるだろうって書いてありました。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/08/AR2009040804290_pf.html
 メタボの皆さん、もうしばらくお待ちを。
 待てない人は、真冬に暖房を切って足を氷水につけて、寒ーい思いをするといいらしいよ。
 メタボを克服するか肺炎に罹って死ぬか、という選択だけど・・。
 ソマリアのはるか沖で初めて米国籍の船が海賊の襲撃を受けました。
 何と、およそ米国籍の船が海賊の襲撃を受けたというのは、19世紀以来のことのようです。
 この船のナンバーツーの乗組員が海賊対策法を身につけていたため、襲撃を受けた旨を通報した上でエンジンを停止し、12時間にわたって全乗組員が船内に隠れ、その間、海賊のうちの一人を人質に取り、抵抗しました。
 最終的に海賊は、自発的に人質になることを選んだ船長とともに、この船の救命ボートに乗って逃走を図りましたが、燃料が切れ、回りを米国の艦艇やP3Cに取り囲まれて、にらみあいが続いている状況です。
http://features.csmonitor.com/globalnews/2009/04/08/to-stop-pirates-do-ships-need-firepower/
http://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/10/somalia-pirates-us-military-hostageshttp://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/09/somali-pirates-maersk-alabama-shane-murphy
 アングロサクソンは、いざとなると、大昔、自分達の生業が戦争であった時のことを思い出して、体が自然に動くようですねえ。
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太田述正コラム#3206(2009.4.10)
<イスラエルはイランの核施設を攻撃する(その1)>
→非公開