太田述正コラム#3223(2009.4.19)
<皆さんとディスカッション(続x461)>
<深雪>
 ハーグ陸戦法規第43条を持ち出した<(コラム#3221)>のは、以下の太田さんの認識と全く私も重なる思いを抱いているからです。
≫日本国憲法が、主権回復後半世紀以上経ったというのに、一度も改正されていないこと・・・≪(コラム#3221。太田)
 この部分の問題意識のなさは、主に日本国憲法護憲派が主張しがちな、「日本敗戦後の平和は憲法由来の概念故に担保されるものだ」とする根強い平和主義があるのではないでしょうか。
 (典拠が要りますか?→自衛隊の正当性を剥奪し、コントロールしてきたのは9条2項だ。自衛隊は国内的な治安出動も予定した組織だ。9条2項を改正して自衛隊に正当性を与えた上で国民の自由を確保できるだけの力量は、戦前の帝国議会での『前科』がある日本の議会政治にはいまだ備わっていない‥‥「論座」(朝日新聞)に東京大学大学院法学政治学研究科准教授の石川健治氏が寄稿した論説より一部抜粋)
 これら憲法学者の根強い護憲意識を覆すには、まだ概念として生きているなら「ハーグ陸戦法規第43条」を論拠にすることで何とか改憲へのムーブメントにならないだろうかと思い、質問させていただきました。ミクシィの新トピに対するサービス投稿という意味もありますが。
 いずれにしろ、最終的に大きな力となり得るものは民意のめざめですから、世論を揺さぶるような事件、例えばノドン着弾などということによる強制的覚醒よりは、「ハーグ陸戦法規第43条」などを根拠にしたソフト路線の覚醒の種があればいいのになと、思います。とりあげていただき、ありがとうございます。
<太田>
 (もうつぶれた、「左」の)「論座」まで読んだおられたとは、感心です。
 あなたが引用された、石川准教授の言っていることは極めて重要であり、要するに、日本人は自分で自分が信用できない、だから、米国に日本の統治の基本をおまかせしよう、ということで、戦後ずっとやってきたわけです。
 これが吉田ドクトリン墨守の背後にある、戦後日本人のコンセンサス的なメンタリティーなのです。
 このメンタリティーこそ、戦後日本の不文憲法なのであり、成文憲法である日本国憲法なんてものは、大日本帝国憲法同様、規範性を有していない、というのが私の考えです。
 このメンタリティーないし不文憲法をぶちこわすためには、日本国憲法なんぞには関わらず、米国なんて、とてもじゃないが日本人が統治の基本をおまかせできるような国ではない、だから、そんな米国におまかせするのではなく、いやでも自分で自分を統治しなければならない、という説明を、手を変え品を変え、繰り返し、徹底的に日本人に叩き込まなきゃならない。
 私がアングロサクソン論を手がけているのは、純粋な知的興味もあるのですが、日本をまずアングロサクソンの高みに「引き上げ」た上で、米国をバスタード・アングロサクソンとして、高みから「引きずり下ろす」という魂胆もあるのです。
 ところで、私が女性論も熱心に手がけていることにお気づきだと思いますが、それは、日本と米国との関係と、戦後日本における女性と男性との関係が、私には二重写しに見えている部分があるからでもあるのです。
 つまり、私としては、アファーマティブ・アクション等、あらゆる方法で女性に社会参画を促すことで、男性を含む日本人全体が、自信を回復し、国家ガバナンスを回復する展望が開けるのではないか、と期待しているわけです。
 そういう観点から、私が小池百合に甘いことを自認した(コラム#3219)ことも契機となって、2ちゃんの「たった一人の反乱」で交わされている「便所の落書き」ごっこをニヤニヤしながら見守っているところです。
 
<αααγ>(「たった一人の反乱」より)
 太田中将の女ビイキはウザいなぁ。
<γγαα>
 太田氏の女性贔屓といったって国会議員700人の中には小池百合子みたいなのも必要でしょ。
 好き嫌いは別にして。
<γαγα>
 太田が小池びいきなのは幼少時に同じエジプト生活経験していることからくる親近感からだろ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B1%A0%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90
<ααγα>
 <太田中将の女ビイキは、>育ちのよいおぼっちゃま優等生から防衛省へと、あまり一般の女性に対し接触の少なかったであろう故の 可愛い(ほほえましい)性癖のようなもんだろ。
 俺だって、むさいおっさんより 若~いねーちゃんのほうが よっぽど良いし、現物は鬼瓦のような奴(女)かもしれんが、そこは それ電脳空間…。
 多少うざくとも勘弁してやれ。 それと野菜喰え。
<太田>
 私としては、太田にとって女性論は一体何なのか、というのは、極めて重いテーマである、ということだけ記して、引き続き「議論」を見守りたいと思います。
 いずれにせよ、、この数ヶ月の、michisuzu、マソン、Nelson、深雪といった女性の読者の太田コラムへの投稿が、男性の投稿者よりもはるかに、刺激的かつ「建設的」であったことを思い出すだけでも、女性の社会参画がいかに重要であるか、皆さんの多くにも得心がいくのではないでしょうか。
 ところで、最後の、「ααγα」クンが言及している、「鬼瓦のような奴(女)」って誰のことが頭にあるんだろうね。
 本日の記事の紹介は、「ααγα」クンに敬意を表して、女性にとって容姿とは何かってテーマに関係ある記事から行こうか。
 イラン/日系米国人のロクサナ・サベリ(Roxana Saberi。31歳の美人で独身)は、女性記者ですが、恐らくはでっちあげで、滞在先のイランで1月に逮捕され、このたび、懲役8年の一審判決を受けました。
 彼女が、どんなに美人でかつ頑張り屋さんであるかは、下掲参照。
 ・・・The daughter of an Iranian father and a Japanese mother, she was once crowned Miss North Dakota and was among the top 10 finalists in Miss America 1998.
 She holds two master’s degrees, from Northwestern University in the US and from Cambridge University in the UK, and is currently studying for a third. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8006561.stm
 実際に彼女の容姿を自分の目でご覧になりたい人は、下掲の記事で見られる動画参照。
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-iran-saberi19-2009apr19,0,6843493.story
 次です。
 スーザン・ボイル(コラム#3221。47歳の醜女の女性で独身、男性にキッスされたことさえなく、かつ無職)の出現がどれほどのインパクトを英米に与えているか、「ααγα」クン、(字引を引きながらでもいいから)以下を読むベシ。
 ・・・Boyle has shattered prejudices about the connection between age, appearance and talent. She has proved that you don’t have to be young and glamorous to be talented, and recognised as such. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8005767.stm
 ・・・The true measure of her success must be our gratitude for the mirror she held up to us. ・・・
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/apr/19/susan-boyle-patricia-williams
 関連です。
 米軍の女性兵士は、年齢はみんな比較的若いだろうけど、美人であるかどうかに関係なく、以下のように恐ろしく過酷な「勤務」環境の中で頑張っているのです!
 頭下がるよね。
 ・・・30% of military women are raped while serving, 71% are sexually assaulted, and 90% are sexually harassed. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8005198.stm
 深雪さんが引用した憲法学者が日本の憲法学者のお粗末さを示しているように、孫崎 享のような国際政治学者は、日本の国際政治学者のお粗末さを示しています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090416/192115/?top
 自分でやる気しないので、誰か、孫崎と彼の本の評者批判を書いて投稿してくれる人いませんか?
 日本経済新聞の社長が北京を訪れ、中共当局へのゴマすり発言を行っています。
http://j.peopledaily.com.cn/94476/6639596.html
 彼のような人間には、四川大地震で子供達を(崩壊した学校で)亡くした親御さん達が、その後、政府によってどれだけひどい扱いを受けてきたかについてのロサンゼルスタイムスの記事
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-china-deathtoll19-2009apr19,0,5587953,print.story
を読んでみろ、日経の記者は、どうしてこういう記事が書けず、書こうともしないのかって問い詰めたいですね。
 サルコジによる各国首脳月旦が、各国マスコミによってぶったたかれています。
 もっとも、麻生が、今回のサルコジくらいの「失言」をする度胸があったら、私も少しは麻生を見直すかも。
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1892375,00.html
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太田述正コラム#3224(2009.4.19)
<歴史について(その2)>
→非公開