太田述正コラム#3446(2009.8.7)
<皆さんとディスカッション(続x560)>
<ΑκκΑ>(「たった一人の反乱」より)
≫蛇足ながら、集団的自衛権行使を禁じた政府憲法解釈を廃棄したとしても、実際に「同盟国の領土に対する武力攻撃の排除」を行うかどうかは、能力や意図にかかっているのであって、全く別問題であることを忘れないようにしましょう≪(コラム#3443。太田)
 いやいやこれは蛇足じゃないです。
 反対派や「できない」「困難」とか言ってる自称「識者」に百万遍言いたい金言ですよ。
≫在日女子の6割が日本男子と結婚しーの、ここ10年間、在日韓国・朝鮮人は毎年1万人ずつ減少しーので、在日問題の将来性はないっしょ。≪(コラム#3443。ΑΑκκ)
 その特権とアンタッチャブルと化してる現状が問題なわけで、そこが解決されるなら、そういう形で数が減っていくことにはこだわらないな。 もちろん帰国していただくのが一番だが。
≫ホント、今の日本人にはどうでもいいことにこだわるケツの穴の小さい面々が多いねえ。 そのおかげで、いつまで経っても日本は米国の属国であり続けているわけだ≪(コラム#3443。太田)
 いくら官僚組織を使えない野党とはいえ、国防や安全保障に関する提言ややっていることの支離滅裂さは酷すぎる。
 そんなんだから安全保障とリンクしない権利拡張を無原則に行おうとするのだ。
 ケツの穴とかそういう話ではないし、それだからアメリカの属国なのだというのは乱暴な決めつけだ。反論者に対する太田氏の態度こそ反市民的の極みだろう。
 太田氏が出馬したこともあるならなおさらだ。なぜ遺賢を放置するのか?
 答えは、結局のところ民主党もまた宗主国ありきの属国政党だということ。
 小沢始め選挙という祭りで勝つこと、国会議員でい続けること、与党になりたいということだけだ。自公を降ろす代償のそれを個人が妥当とするか高いと忌避するか、だけ。
 問題なのは、究極的にはそういう選択だというのに知らない有権者が多すぎることだ。
 知れば態度を変える人は多い。
 選挙にともなう情報は有権者にフェアに届けられるべきだが、日本のマスコミは椿事件以降も同じことを繰り返しているのだ。
<κκαα>(同上)
 究極的には自公政権を延命してこの状態をまた何十年も維持し続けるかこの機会に最大野党に投票し、テーブルを引っくり返すかのどちらかだろ。
 残念ながら確かな野党なんていう幸せの青い鳥はどこにも存在しないぞ。
 (確かな野党という幸せの青い鳥を待ち続けてる奇特な人々が存在するだけで。)
 そして既に自民政権を維持し続けてきた代償を我々は払い続けてる訳だが?
 幸せの青い鳥(確かな野党)を待ち続けるのではなく、探しに行きませう、作りませうって言うのが太田が提示していた考えだと思ったんだがな。
 民主党も属国政党だ!なんて言ってもなw。
 実は民主党が政権とっても自民と官僚との癒着は切れません!とかならインパクトあるんだけどなw。
 結局の所なにが言いたいのかがわからない。
 民主は属国政党だから真実を知れば国民は自公に投票するって事?
 それとも属国政党に期待をしている○○氏は馬鹿だ!って事?
 民主への投票が嫌なら代案を示せば良い、それこそ俺が待ち続けている幸せの青い鳥なんだ。
<κακα>(同上)
 うむ。そう思うならお前は民主党に投票すればいいというだけのことだ。
 なにが言いたいのかわからないのはひとえにお前の読解力の問題だしな。
 それは知ったことではない。
<太田>
 結構私のコラムを読み込んでいるらしい人にもなかなか私の言いたいことが的確に伝わっていないのはもどかしい限りです。
 そこで、もう一度ここで、私の日本の戦後政治論を簡単に整理しておきましょう。
 私は、大正デモクラシー以降の日本は自由民主主義的社会であり、自由民主主義は終戦に至るまで機能していたと考えています。
 (なぜ、自由民主主義「的」社会かというと、帝国憲法の文面上はあくまでも立憲君主国であったことと、女性に参政権が認められていなかったからです。)
 ところが、その日本において、戦後、一転して自由民主主義は機能不全に陥ります。
 占領中に機能不全に陥ったのは当然ですが、「主権回復」後も機能不全状況が続いたまま、現在に至るのです。
 これは、日本が、米国に外交・安全保障の基本を委ねるという形で、主権を大幅に米国に委譲し、日本は米国の保護国(属国)であり続けるという、いわゆる吉田ドクトリンを採用し、爾来一貫してこのドクトリンを墨守し続けたためです。
 そのよってきたるゆえんは、戦後日本のリーダー達が、自分達自身の外交・安全保障に係る意思決定能力を疑い続けているからであり、この疑いを日本人一般もまた共有し続けてきたところにあります。
 言うまでもなく、自由民主主義とは、自分達が選んだリーダー達が決めた政策によって自らを律していくということであり、他国のリーダー達に重要な政策を決めてもらってそれによって自らを律し続けているという状況は、自由民主主義の機能不全以外のなにものでもありません。
 しかし、吉田ドクトリンは麻薬のようなドクトリンであり、それを墨守し続けたことによって、日本のリーダー達の意思決定能力は、外交・安全保障に係るものだけでなく、それ以外のありとあらゆる政策に係るものにわたっても低下するに至ったのです。
 (外交・安全保障以外の分野でも、日本が宗主国米国の意向を尊重せざるをえない、ということもまた、厳然たる事実です。)
 幕末/維新期に比べて既に戦前低下していた日本のリーダー達の意思決定能力が、使わなかった結果、更に錆び付いてしまった、ということです。(日本のリーダー論については、コラム#3445参照)
 この結果、何が起こったのでしょうか。
 リーダーの最たるものである政治家達、とりわけ自民党の政治家達にあっては、ひたすら支援者達への利益誘導に勤しみ、それによって当選を重ね、自民党を権力の座にとどまらせ続けることが自己目的化する一方、政治家をサポートするリーダーであるところのキャリアを中心とする官僚達からなる官僚機構は、官僚達の生涯所得最大化のための生活互助会に堕してしまったのです。
 そして、この政官両者は癒着を深めて行きます。
 その結果もたらされたのが、目を覆わしめるような昨今の政治と官僚機構の退廃と腐敗なのです。
 このような自民党の政治家達に惰性的に票を投じ続けてきた日本の有権者達の責任は重大であり、厳しい自己批判が求められます。
 私の思い描いているのは二段階革命です。
 第一革命は、非自民党政権の長期的樹立による自民党の解体であり、自民党的政治家の一掃であり、政官癒着の粉砕であり、官僚機構の解体的再編であり、こうしたものを通じての政治家の意思決定能力回復基盤の整備です。
 これらと平行して行われるであろう地方分権も、(中央の)政治家の意思決定能力回復基盤の整備に寄与するものです。
 第二革命は、第一革命の結果、意思決定能力を若干なりとも回復することができた政治家達が、必要があれば政界再編を行い、もって吉田ドクトリンを廃棄し、日本の米国からの「独立」を達成することです。
 現在第一革命前夜の状況であるわけですが、ここで何よりも優先するのは第一革命の実現によるリーダー達の政策に係る意思決定能力回復基盤の整備なのであって、第一革命前の現在はもとより、第一革命後の初期においてすら、個々の政策の是非などというものは、あえて極端に申し上げれば、どうでもよい話なのです。
 第一、日本が米国から「独立」するまでは、日本が宗主国の意向に反する政策など実行できるわけがないのであって、全然心配する必要なんかありませんよ。
 では、記事の紹介です。
 ホッ! この状態↓がそのまま続くといいけど・・。
 「・・・次期衆院選の比例代表で投票しようと思う政党のトップは民主党の43%で、7月7~9日の前回調査から3ポイント上昇した。自民党は前回と同じ26%。比例代表の投票先を決める際に重視するのは「政党の主張や政策」が41%で最も多く「改革への意欲や能力」の24%が続き「党首」は4%にとどまった。・・・」
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090807AT3S0601306082009.html
 「・・・比例選で投票しようと思う政党は、民主41%が自民24%を上回った。
 第2回調査の「民主42%―自民23%」から大きな変化はなく、民主の優勢は続いている。小選挙区も民主39%(前回39%)、自民24%(同25%)で傾向は同じだった。・・・
 麻生首相と鳩山民主党代表で首相にふさわしいのは鳩山氏47%(前回40%)、麻生氏22%(同22%)で、その差は広がった。麻生内閣の支持率は21.6%(同20.0%)、不支持率は69.0%(同67.8%)。政党支持率は民主31.6%(同31.0%)、自民24.2%(同25.3%)などだった。」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090806-OYT1T00973.htm
 日本の若者、結構勉強時間多いんだね。↓
 「・・・2003年を基準として韓国の15-24歳の若者が学校や塾、家などで勉強する時間は一日平均7時間50分で、調査対象となったOECD加盟30カ国の若者の勉強時間の平均時間(5時間)より3時間近く長いことが分かった。ほかのOECD加盟国の結果を見ると、日本が5時間21分、ドイツが5時間2分、イギリスが3時間49分だという。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090807000023
 フランスのカエル食の歴史が出てます。↓
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/aug/07/frogs-legs-france-asia
 クリントン訪朝にはまったく税金が使われてないんだって。↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/05/AR2009080504021_pf.html
 コラム#3237で言及した蒋介石の伝記(Jay Taylor, The Generalissimo: Chiang Kai-Shek and the Struggle for Modern China)の書評がまた出ていました。↓
 ・・・Chiang Kai-shek(蒋介石)<’s> dream of creating a modern state based on Confucian values・・・
 Most of the credit for Taiwan’s democratization has gone over the years to Chiang’s son and successor Chiang Ching-kuo(蒋経国). But Taylor makes clear that the elder Chiang was encouraging changes made by his son.
 At the same time, Taylor, a former diplomat turned historian, does not ignore Chiang’s failings. On several occasions, as Taylor describes it, Chiang “sanctioned extreme actions that amounted to staggering moral blindness….”
 Among these actions were killings that Chiang “ordered or permitted in 1947 in Taiwan” and “extensive executions during the first few years after his arrival on the island.” These were “unnecessary even in terms of Chiang’s own objectives of mass intimidation and control,” writes Taylor. ・・・
 The author takes a fresh look at Chiang’s dealings with Joseph Stillwell, the US Army general who served as Chiang’s chief of staff and top foreign adviser. Western journalists admired Stillwell for his bluntness, but according to Taylor’s account, “Vinegar Joe,” as he came to be known, oversimplified complex problems and underestimated Chiang Kai-shek.
 In the early 1940s, Stillwell wrongly accused Chiang of failing to aggressively confront the Japanese while it was actually Mao Zedong(毛沢東) who was preserving his forces while engaging in nothing more than a “political offensive” against the Japanese. At Stillwell’s urging, Chiang committed some of his best troops to a campaign against the Japanese in Burma that turned into a disaster.・・・
http://features.csmonitor.com/books/2009/08/06/the-generalissimo/
 近代儒教国家建設の夢? まさに、蒋介石は現代中共の父ですねえ。
 ただ、そうだったとすれば、台湾の現在の自由民主主義は蒋介石の賜ではますますなくなります。やっぱし、日本の統治の賜ですよ。
 スチルウェルがアホだったってのには全然驚かないなあ。
 とにかく、マクマレー(コラム#3328)らごく一部の者を除き、当時の米国のエリート達の東アジア認識の歪みはひどかったからねえ。
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太田述正コラム#3447(2009.8.7)
<欧州の中世初期(その5)>
→非公開