太田述正コラム#3492(2009.8.30)
<皆さんとディスカッション(続x583)>
<ueyama>
–選挙ですね–
 ueyamaの選挙区には自公、民主、共産、幸福実現(笑)しか出てないからなぁ。
 一応、勝又恒一郎センセにはがんばってねっていっといたけど。
 若者の利害を代弁する候補が皆無だから若者の投票率が全くあがらないんだろうね、先生方(そんで、投票率が低いから若者の利害を代弁する政策なんて誰も口にしないって、ね。)。
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/sg_nenrei.html
 (なんだか冷戦終結以降全世代においてガクッとさがってますね。)
 これからどんどん高齢化していって、若者の一票の重さが爺婆様方と比較して(既に人口分布的にも投票率的にもひどいほどの差があるにも関わらず)加速度を増して下がっていくわけで、このままいわゆる民主主義でかまわないのか、世代間闘争が激しくなるのか、爺婆様方(これから爺婆になる方も含めて)のパブリックマインドに期待するしかないのか、なーんて議論が起こるのかな。
Ruffy Tuffy – 目覚まし時計は歌う(選挙ソング)
http://www.youtube.com/watch?v=L4KXaptpzi0
 おめーが出てたらueyamaも投票しにいったと思うよ、清志郎さん。
<太田>
 そう思っているのなら、実際に一票を投じたらどうです。
 私は、28日に不在者投票を済ませたけど、私の所の選挙区なんて、自民、民主、共産の3人だけしか候補者がいないんで、単純明快でしたね。
 自民が今度の選挙以降空中分解することがなければ、今後、当分の間、この3党の鼎立体制が続くんじゃないでしょうか。
<コマ>
>若者の利害を代弁する候補が皆無だから若者の投票率が全くあがらないんだろうね、先生方(そんで、投票率が低いから若者の利害を代弁する政策なんて誰も口にしないって、ね。<(uchiyama)
 若者(20代有権者のことを言ってるのかな?)の利害ってなんですか?
 非正規雇用、ワーキングプア、年金、保険。
 どれをとっても若者に限った話ではないですし、今回政党・候補によって議論されています。
 若者の、と意識的に使ってるということは、それに限った何かがあるということですよね?
 若者の投票率が比較的高かった時は、政治家は若者の利害を代弁していたと思ってるの?
<kt2>
≫核(大量破壊兵器)の脅威とテロリスト的脅威はある。≪(コラム#3452。太田)
 わが国に対し、核(大量破壊兵器)の脅威などほとんど無い。
 テロリスト的脅威もほとんど無い。
 侵略戦争と同様に、ほとんど無い脅威に対し防衛、防衛と声高に叫ぶ人たちは利権に絡んだ人たちだ。
 オウムによる無差別テロについて、欧米では事件後すぐに精力的に研究されたと聞いているが、わが国ではほとんど何もしていない。裁判すらまだ終わっていない。
 オウムが利権にならないからだ。
 わが国に実際にある脅威は、年三万人が自殺せねばならない状態とか、救急医療の現場にて亡くなった人たちの三分の一は適切な治療を受けておれば救命できた状態とか、年30万人も癌で亡くなるにもかかわらず、化学療法(抗癌治療)の専門家が皆無であるという状態である。
 わが国では門外漢の外科医が化学療法を行っているという恐ろしい実態がある。
 そもそも欧米では死因のトップは虚血性心疾患になっており、癌で亡くなる人は減少している。
 ところが、わが国では依然死因のトップは圧倒的に癌(虚血性心疾患の二倍)であり、なお増加している。
 国を守るとは、言うまでも無く、国民の生命を守ることであり、それをおざなりにして有りもしない脅威に対し防衛、防衛と叫んでいるのは利権以外の何物でもない。
 先の大戦の教訓は、国民の生命は消耗品だということだ。
 国民破れて国あり、だ。逆だろう。
<太田>
 3週間も経ってようやくレスかい。
 ま、トンズラするよきゃマシだけど、それだけ時間かけたワリにゃできが悪すぎらーね。
 「国を守るとは、言うまでも無く、国民の生命を守ることで」あるはずなかろ。
 そんなの常識じゃん。
 仮にそうなら、死刑なんてとっくの昔に廃止されてなきゃおかしいってことになるし、もっぱら自国民によって構成される自衛隊・・当然生命の危険を冒して任務を遂行することになる・・など、憲法第9条があろうがなかろうが、廃止しなきゃならないってことになる。
 いや、国費でまかなってる警察官や消防士だっていちゃダメだ。国民それぞれが、自然権としての正当防衛や緊急避難の範囲で適当に危険に対処してくれってことにさえなりかねない。
 要するに、人間は単なる動物的存在ではない、という前提の下、個々の国民の生命より大事なものがあるという考えに立って、自国民や外国人の生命に優先順位を付与する営みが国を守るということ、すなわち安全保障なのさ。
 グローバルスタンダードにおいては、安全保障が政治、就中中央レベルの政治における中心的課題だ、と私が言っているのはそういう意味なのさ。
 では、どうして内外、とりわけ外からの軍事的脅威に対処する軍事的安全保障が、安全保障の中でもとりわけ重視されているのだろうか。
 それは、そのような脅威は、「自国民や外国人の生命に優先順位を付与する営み」、すなわち主権の行使・・をできなくする恐れがあるからだ。
 ここまで、分かったかい?
 別の角度から議論を補っておこう。
 交通事故で毎年1万人近くの人が生命を失っているけど、自動車を全廃しようという意見どころか、バスやトラック以外の自動車を廃止しようという意見すらないよね。
 これは、毎年約1万失われる生命よりも、もっと優先順位の高いものがあるってことなんだよ。
 新型インフルだって、水際防御が効果があったかどうかの議論がなされてるけど、完全に人の海外との往来を絶つという、究極の選択肢なんて誰も口にすらしてこなかったよね。
 そうすりゃ、新型インフルによる生命の喪失を完全に食い止めることができるにもかかわらずだ。
 そもそも、新型インフル用のワクチンだって、全所要をみたすだけの数量を確保するって話もないよね。(副作用による死亡のことは、とりあえず横に置いておく。)
 このすべてが、国による生命の優先順位の付与の結果なのさ。
 もう一度言うが、この自「国による生命の優先順位の付与」ができるかどうかが、日本に主権があるかどうかのメルクマールであり、だからこそ、それを奪われないようにするための軍事的安全保障は重要であり、かくも重要な軍事的安全保障を米国にぶんなげている戦後日本は、米国の属国なのであって、本来の意味での独立国じゃないのさ。
 
<kt2>
≫税金からの補填金(=支給年金-本人の掛け金)が人によって何十倍も異なる≪(コラム#3452。kt2)
 当然のことながら、税金からの補填金は人によって異なってはならない。
 その上で、最低生活年金に達しない人には別途補填すべきだ。
 わが国のような官僚天国では、それがまったく逆になっている。
 にもかかわらず、「少額ではあるけれど」と言う人の気持ちは理解できない。
<太田>
 「どの国に住んでいるかによって、また、能力、幸運等によって、住人の平均収入や個々の収入は違ってくる。 収入が多けりゃ、それが「利権」なのかい?」(コラム#3452)という私の問いかけに全く答えてないじゃん。
 先ほども記したように、生命ですら、TPOによって高い価値の生命と低い価値の生命がある。
 そこまで言いたくないけど、例えば、SPの生命より、そのSPで守られる首相等の生命の方が価値高いの。
 ところで、国費でまかなわれる給与だって、SPよりも首相等の方が高いよね。
 いや、その首相等の給与には、担当SPの給与も加算して考えるべきかもしれない。自分のポケットマネーで雇うべきガードマンの給与を国が立て替え払いしてるって考えればね。
 ざっくりし過ぎた議論で恐縮だけど、年金は、(本人の拠出分もあるけど、)彼等公務員の給与の後払いっていうか賞与、しかも、長生きすればするだけ総額が増える賞与っていう側面もあるよね。
 その額がSPのOBと首相等のOBとで違っていても当然だと思わないか。
 また、彼等のような公務員が、一般の国民よりも年金等において制度的に優遇されても、一概にそれがおかしい、ということにはならないんじゃないかな。
 私が、公務員に対し、天下りの全廃とのパッケージとして、年金ならぬ恩給の復活を唱えてることはご存じのとおりだ。
 
 話をもとに戻すけど、本来的価値の差に着目するか、市場的価値の差に着目するか、等の悩ましい問題はあるけど、個々の人間の価値には高低差がある。
 だから、国が設ける制度についても、このような価値の差に着目して「差別」がなされることは、一概に否定すべきものではない、ということさ。
 
<ΑΑΞΞ>(「たった一人の反乱」より) 
男性差別
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B7%E6%80%A7%E5%B7%AE%E5%88%A5
 今ネット上で盛り上がりまくりの男性差別!!
 検索すると20万件以上ヒットすっぜ!!
 女性差別なんてもうないんだYO!
<太田>
 こいつは面白い。
 皆さんの間で、ぜひ議論を!
 記事の紹介です。
 東京新聞、頑張ってるね。↓
 「 核超大国のロシアで、次世代の主力核戦力と想定されている潜水艦発射弾道ミサイル(SLBN)の開発計画が、発射実験の相次ぐ失敗で、頓挫しかねない危機に直面している。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009083002000092.html
 当たるも八卦、当たらぬも八卦。↓
 ・・・“Kim Jong-il got the power elite to support his son,” said Mr. Cheong, the analyst at the Sejong Institute. Now he must get his people to accept the son. To do that, he needs food for the hungry people and breakthroughs in external relations that can be attributed to his son.”・・・
http://www.nytimes.com/2009/08/30/world/asia/30korea.html?ref=world&pagewanted=print
 最後に、一人題名のない音楽会の武満徹の「その3」です。
 「サウンドトラック作品の、論理的延長線上」に位置づけられるところの、武満の「現代音楽」です。
 武満による現代音楽の多くは、別段、それを聴く者に、それがどんな光景のサウンドトラック(エフェクト)にふさわしいか、考えることを強いるようなものではありません。
 一種自己完結した現代音楽を紡ぎ出すことができた、という意味で、やはり武満は天才なのだと思います。
 このあたりで、英BBCが武満を回顧した番組↓をどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=MdGyACQTe6k&feature=related
 では、雅楽曲から。「秋庭歌(In an autumn garden)」(一部)です。↓
http://www.youtube.com/watch?v=mNlCgH9tuJ8&feature=related
 フルート独奏曲 「エアー(Air)」 John McMurtery 演奏
 ピアノ曲の代表的作品 「Rain Tree Sketch 2」 Vestard Shimkus演奏
http://www.youtube.com/watch?v=MhFEbVUCpUI&feature=related
 バイオリン協奏曲「妖精の距離(Distance de Fee)」瀧口修造の詩を音楽化したもの
http://www.youtube.com/watch?v=f9gssyyyGcM&feature=related
 最後は、代表的交響曲を三つです。
「レクイエム(Requiem)」 (Recapitulation)(抜粋)
http://www.youtube.com/watch?v=1QwZwYJe92o&feature=related
邦楽器も使った「ノベンバー・ステップス(November Steps)」(抜粋) 小澤征爾指揮 サイトウキネン・オーケストラ
http://www.youtube.com/watch?v=I9BqooZOJnY&feature=related
「テクスチャーズ(Textures)」(抜粋)岩城宏之指揮 N響
http://www.youtube.com/watch?v=G34poeKMjrQ&feature=related
(完)
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太田述正コラム#3493(2009.8.30)
<イギリス大衆の先の大戦観(その1)>
→非公開