太田述正コラム#3979(2010.4.30)
<皆さんとディスカッション(続x819)>
<箕浦潔>
 <コラム#629>「村上春樹(その2)」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/50955204.html#comments
 太田さんの縄文モードと弥生モードの話がとても気に入っています。
 呑み会とかで友達に何度も紹介しています。
 私は電機メーカー勤務のハード屋でありますが,日本の主要輸出製品は,漫画をはじめとするポップカルチャーに変わっていくのではないかという意見を持っています。
 日本のポップカルチャーが世界に通用する理由を説明するのに,縄文モードと弥生モードの話はフィットするようにと感じています。
 私は縄文モードは「もののあはれ(エゴ)を前面に出した文化的側面をもっている」と考えています。
 日本の漫画にしろ,NHKかわいいTVに出ているような東京スタイルにしろ,便器のウォシュレットにしろ,その側面を持っているように思います。
 ただ,村上春樹の評価については,少しずれているように思います。
 そういう意味で,是非是非「若い読者のための短編小説案内」の太田さんの書評を読みたいなぁと思います。
 もちろん太田さんが若い読者と言っている訳ではなく,この本には,村上春樹自身が小説家として,どういうことを取り上げて行きたいのかを彼自身の図解入りで説明しているのです。
 本コラムに「河合隼雄に会いにいく」の引用がありましたが,その線の延長でより詳しく書かれた本と考えてよいかと思います。
 私の理解では,自分の内面(エゴ)と自分が関わっていく社会との境界を描いていきたいとあります。
 さらに,太宰・三島のようなエゴをさらけだすような文学は苦手だとあります。
 太田さんの表現を借りると,縄文モードの側にたって,縄文モードと弥生モードの境界を表現したいということになろうかと思います。
 そして,太宰・三島は,弥生モードの日本の中で,縄文的表現を目指していたのではないかと思います。
 そがゆえに彼らは身を崩して行ったのではないでしょうか。
 稚拙な表現で,はなはだ恐縮ですが,いかがでしょうか。
<太田>
 夏目漱石の文学活動は、日本の弥生モードの絶頂期において、彼の『私の個人主義』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/772_33100.html
からも分かるように、日本にとって内発的な人間主義(縄文モード)ないし外発的な個人主義(弥生モード・マークII)の側に立って異質な全体主義(欧州的なもの)と対峙するものであったのに対し、太宰治
(『走れメロス』:http://dazai.sakura.ne.jp/hon/hon03.html
や三島由紀夫
(『檄文』:http://www.geocities.jp/kyoketu/61052.html
の文学活動は、縄文モードの青年期において、人間主義(縄文モード)の側に立って個人主義(弥生モード・マークII)と対峙するものであった、と私はとらえています。
 では、村上春樹は?
 縄文モードの爛熟期において、対峙する相手など意識することなく、のびのびと人間主義的文学活動
(『エルサレム賞受賞スピーチ』:http://www.47news.jp/47topics/e/93925.php (コラム#3181))
を行っている、と言いたかったわけです。
 引用した「作品」は、いずれも短いので、それぞれを読んでご確認いただきたいと存じます。
 
 ところで、「村上春樹」シリーズ(コラム#628、629、631)、完結してなかったのですね。
 果たしていつ完結させられるものやら。
<Chase>
 <昨>日の植田さんとのディスカッションは大変勉強になりました。
 太田さんの仮説の論理構成は、今回の民主主義、天皇に関する議論のように様々な事実と照合していく中で、よりよく理解できると実感しました。
 太田さんからこのような言を引き出す植田さんの問題意識もさすがです。
<太田>
 太田コラムが始まった頃から、その読者でらした植田さんに、私の中心的なテーマでまだ必ずしも十分ご理解いただけていない部分があるわけですから、これはやはり、太田コラムを本にして改めて読者や潜在的読者に読んでいただく必要性がある、と思いました。
<KT>
 モーツァルト<(コラム#3977)>は、こんなに有名なのにお墓の場所がわからないんですよね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%87%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88#.E8.91.AC.E5.84.80.E3.81.A8.E5.A2.93
 その原因が「葬儀の簡素化はヨーゼフ2世の合理主義的政策の1つであり、家族や知人が葬列に同行しないことは当時の慣習となっていた。ソロモンの前掲書、751頁参照。」とwikiで見た時は驚きましたが、欧州と日本では死に対する価値観が違うのでしょうか。
<太田>
 共同墓地への埋葬は当時のウィーンでは珍しいことではなかったようですが、誰も埋葬に立ち会わなかったわけではないのではないか、という説もあるようです。
 英語ウィキペディアには、サリエリ(Salieri)を含む4人の友人達が立ち会ったという説がある、と記されています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Wolfgang_Amadeus_Mozart
<ΥΒΥΒ>(「たった一人の反乱」より)
 マニフェスト実行なら12年度に一般歳出100兆円突破も-民主試算
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=a.g8uycyxEVs
 気合入ってるねえ。
 民主党の無駄使い見てると100兆円じゃとても足りそうにないがw。
<ΥΒΒΥ>(同上)
 枡添が離党したら早速、片山さつきが朝日と新潮に枡添批判記事を書いてるね。
 しっかし自民党時代に一言も喋らなかったんだな。
<太田>
 新潮の記事、今朝、医者の待合室で読んだぞ。
 片山さん、桝添君との接点が3ヶ月じゃ、私より短いね。
 頷ける話ばかりだったけど、あんまし具体的なこと書いてなかったなあ。
 いずれにせよ、あんなダメ男と結婚して電撃別居して離婚したり、崩壊寸前の自民党から立候補して一期で議席を失ったり、ある意味、彼女、桝添君といい勝負なんじゃないか。
<ΒΥΒΥ>(同上)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100430-OYT1T00125.htm
↑↑これは皮肉かねw。
 全くリーダーシップを発揮できてないのにw。
<太田>
 タイム誌、日本で政権交代が成し遂げられたことを称えてるわけで、日本の有権者を代表して鳩山首相がノミネートされたということさ。
 その鳩山首相、一体どうする気なんだろね。↓
 「・・・鳩山内閣の支持率は20.7%と、4月3、4両日の前回調査から12.3ポイント急落した。不支持率は11.1ポイント増の64.4%・・・
 小沢氏は「幹事長を辞めるべきだ」との回答は前回より2.4ポイント増え83.8%に上った。米軍普天間飛行場移設問題が5月末までに決着しなかった場合に鳩山由紀夫首相が「首相を辞めるべきだ」も7.3ポイント増の54.4%で、初めて過半数になった。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010042901000454.html
 紹介すべきその他の記事はありませんでした。
 世界中が、日本の連休につきあっているみたいな感じですねえ。
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太田述正コラム#3980(2010.4.30)
<ロバート・クレイギーとその戦い(続)(その9)>
→非公開