太田述正コラム#4031(2010.5.26)
<皆さんとディスカッション(続x845)>
<村土俊彦>
 –タナカニュースについて–
 誠に詳しく説明して頂き有難うございました、また惑わされたらお伺いしますが、宜しくお願いします。
 これでマスコミの報道が信用出来るようになりました。
 <しかし、報道を>権力が操ることも承知しています。
<太田>
 チョーざっくり申し上げれば、私の感触は次の通りです。
 ミニコミ<日本のマスコミ<韓国のマスコミ<米国のマスコミ<英国のマスコミ
<けいc。>
 アメリカ原潜沈没説は一時ネットで話題になってましたが、普通の常識を使って考えたら、原子力潜水艦という国家安全保障の戦略的兵器がまるまる1個沈没してそれを隠すこと自体に無理があるでしょう。
 アメリカの原潜の乗組員は100-150名。家族は当然自分たちの息子や旦那が原潜のクルーでどのフネに乗っているかも普通は知っていし、万一沈んで被害者が出ているのならこれらの遺族への死亡通知はされないはずはなく、イラクやアフガンで戦っている陸上部隊でもない兵士がなぜ死んだのか?は家族の最大の疑問として浮上していきます。
 これが一気に100世帯単位でおきたら、それこそ隠し通せはしないはずです。しかもクルーが家族持ちならだいたい基地周辺のご近所同士で住んでますから、たとえばらばらに死亡通知を出したとしても、同じフネに乗っていたたくさんの兵士が同じ時期に一挙に死んだことは家族同士の横の連携で分かり、かなり怪しまれる事態となります。
 軍人の配偶者、遺族であっても民間人である家族を隠蔽工作に巻き込むことは不可能です。
 これが例えば国際社会には知られたくない、アメリカの隠密軍事作戦で数名の特殊部隊の隊員が外国で戦死して遺体のリカバリーが不能になった場合は、訓練で死亡、遺体を捜索中と広報偽装はできますが。。。
 <以上>に関する出典をつけておきます。
 原潜コーパスクリスティの乗組員の家族や知人がグアム・アプラ軍港で同艦の帰港を首を長くして待つ風景。↓
 (right) Family and friends of Sailors onboard City of Corpus Christi stand by impatiently as the crew and their submarine are guided into Apra Harbor in Santa Rita, Guam
http://www.navy.mil/navydata/cno/n87/usw/issue_17/corpuschristi.html
 こっちはSSBNメリーランドの同じような風景。↓
 Family members gather ashore as the ballistic missile submarine Maryland (SSBN-738) returns to it’s homeport in Kings Bay, Georgia, 5 May 1998. The tug C Tractor 4 helps out.
http://www.navsource.org/archives/08/08738.htm
<太田>
 追伸で、典拠をおつけになったので、ディスカッション転載基準をクリアしました。congratulations(!)。
<けいc。>
≫Japan’s neighbors have never been comfortable with the island nation’s quasi-Navy, the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF).≪(コラム#4029)
 周辺国が警戒し続けている、海上自衛隊という日本の“模擬”海軍。
 日本の潜在能力は中国の脅威ということですね・・・。
<太田>
 うんにゃ。
 neighborsと複数なので、戦前の日本の東アジア「侵略」を担った旧日本軍の復活を日本の周辺諸国は恐れている・・ウソこけ(太田)・・という含意でしょうね。
<CHT-02D>
 –北も南も捏造は得意だから!?–
 私は北朝鮮の魚雷攻撃によるとみなされている、哨戒艦沈没(撃沈)の証拠としての爆発魚雷の残骸と称する、韓国政府発表の写真を見て、どうしても腑に落ちない点があります。
 あれは本当に証拠に成りえるのだろうか。
 つまり、撃沈から魚雷残骸を引き上げるまでの期間があまりにも短すぎるのに、プロペラシャフトの中央部の腐食があまりにもひどい。
 極端に減っている。普通、シャフトは直線的丸棒ですよね。
 残存各部が短期間にあんなに付着物?が生じるものなのか。
 哨戒艦から火薬の残渣が確認できるのに、本体の残骸には火薬の残渣が有るのかどうか、あれは韓国が所有していた、古い魚雷を細工したのではないか。
 それとも、現場付近に放置されていた古い魚雷が、反応し爆発したのか。シールズが細工したのか。
 北の調査を拒否したのはなぜかなど。
 どなたか分かる方、答えていただけますか。
 沢山有りすぎてURL少し。
http://nappi10.spaces.live.com/blog/cns!39E8451829AE7F4!21962.entry
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100514/kor1005141242001-n1.htm
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010052402000059.html
<太田>
 魚雷のプロペラシャフトの錆び付いた写真が載っている一番目の典拠はともかくとして、あなたが「どうしても腑に落ちない」と感じたことを裏付けるそれなりに「権威ある」典拠が必要なのに、それが全く提示されていませんね。
 私の方で英語サイトを探してみたけれど、ハンドルネームでの投稿しか発見できませんでした。
http://www.economist.com/user/Iris%2BFincheltub/comments
http://www.groupsrv.com/hobby/post-4155376.html
http://gowans.wordpress.com/2010/05/20/the-sinking-of-the-cheonan-another-gulf-of-tonkin-incident/
 強いて言えば、使えそうなのが、(これも所属や名前は分からないが、)一記者からの質問です。
 反証をあげて一言の下に否定されてますがね・・。↓
 ・・・it seemed that the collected parts had been corroding at least for several months.
 Yoon Duk-yong, co-head of the investigative group, denied the suspicion.
 ”The corrosion status of the fragments and wreckage of the Cheonan is almost identical,” Yoon said.・・・
http://www.koreatimes.co.kr/www/news/nation/2010/05/205_66234.html
 このやりとりを踏まえれば、調査団共同団長の回答を検証すべく、引き上げられた哨戒艦の写真(残念ながら爆圧によって切断された箇所が写っていないが、切断箇所に近い部位ほどひどく錆び付いている)
http://economictimes.indiatimes.com/Pictures/Videos/Pictures/Wreckage-of-South-Korea-naval-vessel-Cheonan/articleshowpics/5952801.cms
と(爆圧によって解体された)魚雷の写真のそれぞれの錆び具合を比較しなければなりません。
 魚雷と(前部と後部が別々に引き揚げられた)哨戒艦の引き揚げ時期も、念のため確かめなきゃならなりませんね。
 私はそこまではやらなかったけど・・。
 それでもまだ疑問が残った場合に、初めて投稿するのがスジでしょう。
 そして付言すれば、仮に私に対して質問するというご趣旨なら、この調査団共同団長の回答はおかしい、とする「権威ある」典拠を探し・・見つかるワケない?・・、それが見つからなければ質問するのを諦めるべきだし、見つかったら質問する、という手順になろうかと思います。
 ついでにここで、本日の天安がらみの記事を紹介しておきます。
 北朝鮮、腰が引けてるってカンジだなあ。↓
 「北朝鮮<は、>・・・南北のすべての関係を断絶するとの談話を発表した。
 具体的には・・・「開城工業地区にある南北経済協力協議事務所を凍結、撤廃し、韓国側関係者を直ちに全員追放する」と表明した。
 ただ談話では、開城工業団地に進出する韓国企業には言及していない・・・
 一方、・・・北朝鮮の金正日総書記が全軍や人民保安省に万全の戦闘態勢に突入するよう指示したとの情報もある。」
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100525/kor1005252338008-n1.htm
 兵士が腹ぺこなんで昼寝をとらせてるって状況じゃ、当然だけど・・。↓
 ・・・North Korean army defectors have described how soldiers take naps in the afternoon instead of training because there is so little to eat, a detail that reveals how the country’s chronic food shortage affects not just the civilian population but also North Korea’s fighting forces.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/25/likely-war-south-north-korea
<きよきよ>
 –第7回日韓共同世論調査について–
 ・・・少々古い記事で申し訳ありません。
 「韓国人の8割が「日本は信頼できない」」
 4月9日から11日まで、読売新聞と韓国日報が実施した第7回日韓共同世論調査で、日韓関係をめぐる日本と韓国の世論には大きな温度差がみられた。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0417&f=politics_0417_003.shtml
 私は、この韓国人の感情の一因は、単に「歴史認識の違い」によるものだけではなく、同盟国の中で唯一集団的自衛権を行使しない「属国(ニート)日本」に対する苛立ちにも起因しているのではないかと思いましたが、いかがでしょうか?
 また、この記事中で「バンクーバー五輪で韓国が日本を圧倒したことなどが韓国に対する警戒心を刺激した」とありますが、日本人は単に近隣の東アジア地域に属しているというだけで、何の理由もなく「フィジカル面では韓国人と同等」という意識があるのではないかと思います。
 しかし、先般読んだ書籍「外国人が見た近世日本」(角川学芸出版)
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%A6%8B%E3%81%9F%E8%BF%91%E4%B8%96%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E5%86%8D%E7%99%BA%E8%A6%8B-%E5%A4%A7%E7%9F%B3-%E5%AD%A6/dp/4046216425
中の「十九世紀の日本人(中国人・朝鮮人・日本人;東アジア諸民族の特徴;東アジアにおける日本の位置;文化的優越感なきナショナリズム)」では、「(日中朝)この3民族の体格を比較したときに、肉食を主としてきた朝鮮人の体格だけは別格で、欧米人にも見劣りしない。」旨の記述がありました。(アバウトですみません)
 つまり、このような日本人の勝手な誤認により、(経済面では韓国人を見下すことができるのに)スポーツ面では常に劣等感を持たされる事が(日本人のプライドを傷つけられたという)逆恨みの感情となって、反韓感情の一因ともなっているのではないかとフト思いました。
 (毎度作文がヘタクソですみません・・・)
<太田>
 日本人にしてみれば、スポーツで韓国人に負かされるのは今に始まったことではないし、逆に韓国人にしてみれば、スポーツでいくら日本人に勝ったって、根源的な日本へのコンプレックス・・近代化を自律的に達成できなかった、近代化は日本による統治の賜・・が解消されるわけではありません。
 我々日本人は、そういう韓国の人々の気持ちを分かってあげなければなりません。 
 それでは、その他の記事の紹介です。
 イスラエルとかつての南アとの核協力等の暴露(コラム#4027)の反響が続いています。↓
 ・・・South Africa was Israel’s single largest arms customer, accounting for 35 percent of its military exports. South Africa supplied Israel a 500-ton stockpile of uranium for its nuclear program. In turn, Israel sold South Africa 30 grams of tritium, a radioactive substance that helped increase the explosive power of its thermonuclear weapons. ・・・
 In the early days of the arms supply pact, Israel could argue that many Western countries, including the United States, had similar surreptitious relationships with the apartheid regime. But by 1980 Israel was the last major violator of the arms embargo. ・・・
 ・・・the secret alliance had its uses. To the extent it enhanced Israel’s security and comfort zone, it may have helped pave the path to peace efforts.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2010/05/24/israels_most_illicit_affair?print=yes&hidecomments=yes&page=full
 英国での調査結果だけど、田舎住まいの方が寿命が延びるってよ。↓
 ・・・Life expectancy at birth・・・improved with increasing ‘rurality’ and those born in village and dispersed areas could expect to live longer than those in town and fringe areas. Even the poorest people fared better in the countryside. ・・・
  living in the country closes the life-expectancy gap between rich and poor. In cities, better-off men live eight years longer; in rural areas the gap is just over five and half years .・・・
http://www.guardian.co.uk/uk/2010/may/25/rural-idyll-boots-life-expectancy
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太田述正コラム#4032(2010.5.26)
<米国の国民性(その1)>
→非公開