太田述正コラム#4129(2010.7.14)
<皆さんとディスカッション(続x892)>
<γγγγ>(「たった一人の反乱」より)
 比例得票率×改選数と、
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010071200777
実際の獲得議席(括弧内の数)の比較をしてみた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100712/t10015672391000.html
改選数 121
民主 38.2 (44)
自民 29.2 (51)
公明 15.8 (9)
共産  7.4 (3)
国民  2.0 (0)
改革  2.4 (1)
社民  4.6 (2)
たち  2.5 (1)
み  16.5 (10)
諸派  2.3 (0)
計  120.9 (121)
 一票の格差の観点から、意味のある比較になるかなあ??
<太田>
 それよきゃ、「民主」と「自民」の順位が政党支持率(比例)と選挙結果(比例+選挙区)とで食い違ってしまうことがある、という現在の参院選挙制度は、極めておかしいと思うね。
 ところで、世論調査の結果がまた出てるけど、世論は民主党政権の継続を願っているって言ってよかろう。
 消費税アップについても、ほぼ世論の同意が得られていると見ていい。
 「みんなの党」に対する期待も今がピークなのであって、これ以上膨れあがることはないと私自身は思っている。
 「自民」や「みんな」もこのあたりは十分わきまえているだろうから、民主党政権の足をむやみには引っ張るようなことはしないんじゃないかな。
 結局のところ、再度、現政権の帰趨を決めるのは普天間問題のような気がする(後出の読者とのやりとり参照)。↓
 「・・・菅内閣の支持率は36・3%と発足直後の前回六月調査61・5%から急落した。25・2%だった不支持率は52・2%に倍増した。「首相を辞めるべきだ」は15・2%にとどまり「辞めなくてよい」が52・8%。財政再建や社会保障のための消費税率引き上げに「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせた回答は52・5%と過半数だった。 
 参院選に向けて今月七、八両日に実施した・・・調査・・・での内閣支持率は43・4%で、低落に歯止めがかかっていない。・・・
 民主党の支持率は31・7%で、前回調査43・8%から12・1ポイント下落。一方、自民党は7・6ポイント増の27・6%に伸びた。みんなの党は8・9ポイント増え16・3%となり、参院選での躍進を反映した。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010071402000079.html
 「・・・菅内閣の支持率は38%・・・不支持率は52%・・・
 政党支持率は、民主は28%(前回34%)に下がり、自民は24%(同18%)に上がった。みんなの党は12%(同5%)で初めて10%を超えた。・・・
 菅首相の続投には「賛成」が62%、「反対」は28%だった。・・・
 消費税率引き上げが「必要だ」と思う人は64%・・・、「そうは思わない」は32%・・・だった。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100713-OYT1T00900.htm
 「・・・消費増税の議論を「進めた方がよい」とする人は63%と「進めない方がよい」29%・・・
 選挙で敗北した菅首相の責任については、首相を「辞めるべきだ」は17%にとどまり、「その必要はない」が73%を占めた。
 勝った自民党について、政権を「任せてもよい政党だ」は17%で、「そうは思わない」64%が圧倒した。
 菅内閣の支持率は37%・・・不支持率は46%・・・。」
http://www.asahi.com/politics/update/0713/TKY201007130539.html
<唯我独尊>
≫民主党が「左」向いてるとおっしゃるが、せいぜい、韓国の「右」である現李明博政権のスタンスじゃないですか。≪(コラム#4127。太田)
 それだけでしょうか。
 夫婦別姓は譲歩するにしても、ほかの売国的考え方(ネット掲示板のようで申し訳ありません)を受け入れることは極めて困難です。
 また、かっての自民党とは比較にならないほど強権的な民主党の態度は、検察の動きも制御しているようです。
 今回の選挙結果は衆愚政治促進機関ともいえる傲慢で卑しいメディアに振り回されたことによると思われます。
 なぜメディアは民主党、公明党などの売国奴的考え方を一般に知らせようとしなかったのでしょうか。
 さらには日本の財政、行政とサービスについて本筋を突いた報道がされなかったのでしょうか。
 余談になりますが、いつもの公明党の集票力、組織力には恐怖を覚えました。
<太田>
 ご承知のことと思いますが、立党以来、政権の座に座り続け、吉田ドクトリン墨守中枢として、日本を米国の属国たらしめ続けてきたという点で、自民党こそ戦後日本における売国政党の最たるものである、というのが私の考えです。
 そのような日本である以上、「独立」しない限り、日本に米国以外の国に売国する自由などない・・宗主国米国が認めるワケがない・・のですから、ご心配になど全くおよびませんよ。
 公明党嫌いという点では、私自身人後に落ちませんが、私が創価学会の社会安定化機能はそれなりに評価している、ということは改めて申し上げておきましょう。
<bonkers_blunder>(ツイッターより)
もはや思いやり予算も米国を東アジアに引き止めるために十分でなくなりそうです。
 民主党は集団的自衛権問題、どうするのか。
 Okinawa? Marines Out, Says Barney Frank
http://on.wsj.com/dAsbmS
<太田>
 こりゃ↑、貴重な記事の紹介ですねえ。
 全くもって米下院バーニー・フランク金融委員長の指摘に同意です。↓
 ・・・Barney Frank, chairman of the House Financial Services Committee・・・said・・・“Most people, I think, that I talk to, thought the Marines left Okinawa when John Wayne died,・・・It’s unclear to me what they’re doing there.”
 He went on: “I don’t want to see China given a free hand over there vis-a-vis Taiwan, but 15,000 Marines aren’t going to land on the Chinese mainland and confront millions of Chinese soldiers. You need some air power and sea power.”
 The liberal Massachusetts Democrat was given the microphone in recent days after penning a widely-cited odd-couple op-ed with libertarian Texas Republican Rep. Ron Paul on July 6 calling for sharp cuts in the Pentagon budget, particularly on spending abroad. While the piece itself doesn’t mention Okinawa, Mr. Frank cites Japan’s southern island repeatedly in interviews as a prime exhibit of what he considers wasteful World War II legacy spending that has become irrelevant in the 21st century.
 “We don’t need 15,000 Marines in Okinawa,” Mr. Frank told National Public Radio July 10. “They’re hanged-over (sic) from a war that ended 65 years ago.”・・・
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2010/07/12/okinawa-marines-out-says-barney-frank/?mod=wsj_share_twitter
 沖縄の皆さんが、普天間の県内移設(=国内移設)に明確に反対し続けさえすれば、普天間の無条件返還/海兵隊の沖縄全面撤退(ないし廃止)は確実に実現できます。
 ただし、・・このただしが大きい・・日本政府がしかるべき見返りを米国に提供すれば、という条件付きでね・・。
 この見返りとして、一番安上がりなのは、あなたにも言及していただいた、集団的自衛権行使の解禁です。
<太田>(ツイッターより)
 公務員問題を議論する時、いいものを安く買うことがどんなにむつかしいか、という単純なことを忘れちゃう人が多いのはどうしてなんだろうね。
<takimaru310>(同上)
 高い金を払ってバッタもんをつかまされている感じなのでは?
<bonkers_blunder>(同上)
 自分もそうですが、競争社会で疲弊している人たちのフラストレーションが限りなく高まっているんではないでしょうか?
 それを買弁勢力やマスコミなどが利用しているとか。
http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/368/
 ほぼ競争と無縁な公務員をよそ者とみなしていじめる、それを庶民が楽しんでうっ憤を晴らしたいと願っている。
 政治屋やメディアもそれを利用してご飯を食べる。
<太田>
 本筋じゃないけど、引用された3年前のブログに本日逮捕された木村剛
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100714-OYT1T00245.htm
が自分のブログでコメント加えてるね。
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_0a59.html
 この中で法の履行を強く求めた木村が、日本振興銀行会長時代に、法の不履行どころか、違法行為を指示したというのだから、呆れるほかない。
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4060に関し)欧州文明へようこそ。
 欧州文明を理解することが、ロシア、イスラム世界、中共、ベトナム、北朝鮮、そして中南米・・更には実に米国も・・を理解する鍵だ。
<H.K>
 –<コラム#4060>十字軍とは何だったのか(その2)–
 現代でもおこなわれる、国内の問題(為政者への批判)から大衆の目を外へ向けるやり方と同じ。敵と見做す者を絶対悪に仕立て上げるでっち上げ(キリスト教徒に対する迫害)を口実にするところ、現代でも彼らは少しも変わっていない。
 太田さんが言うように、キリスト教とは本来の道徳としての教えから、自分たちの征服のための便利な道具、まさしくイデオロギーになってしまっている。
 そうでなければ、兄弟であるイスラム教と骨肉の争いをおこすようにはならない。
 キリスト教(特に、欧米列強の言うキリスト教)はイデオロギーだと思っていたが、彼らの残虐さを見ると共産主義と変わらない。
 先日、テレビでイラクでの米軍の無差別殺戮の映像を音声と共に流していたが、彼らはスターリンのように血も涙もない。
 キリスト教に名を借りた、いまだに世界を自分たちの植民地だと見做す欧米列強の征服イデオロギー(西ローマ教)をつぶすのは、異教徒なのか、それとも東ローマ教(正教)なのか?
<太田>
 私の最新時点での欧州文明観・・これはイギリス知識層のホンネベースの考え方に近いと思う・・は、カトリシズム(プロトイデオロギー)→ナショナリズム→マルキシズム→スターリニズム/ファシズムという形で、欧州は次々におぞましいイデオロギーを生み出してきた、というものです。
 以上を敷衍すると次のとおりです。
 欧州の第一の外延たるロシア等においては、正教は、最初から権力者の道具であり、だからこそ、マルキシズムはロシアではカトリック性(普遍性)を失い、権力者の道具たるスターリニズムへと変貌した。
 また、欧州の第二の外延たるイスラム世界は、イスラム教そのものがキリスト教と違って分権的であるだけに、ナショナリズムやファシズムの強い影響を受けてきた。
 そして私は、世界の近現代史は、かかるイデオロギー文明の欧州(並びにその外延)と自由主義文明/非イデオロギー文明のアングロサクソンとのせめぎあいの歴史であって、先の大戦によってまず欧州の敗北が確定し、その後欧州の第一の外延たるロシア等についてもおおむねその敗北が確定的となったものの、欧州の第二の外延たるイスラム世界は依然としてせめぎあいを続けている、と見ているわけです。
 ついでに申し上げれば、今後は、アングロサクソンと日本の提携によって、アングロサクソンと欧州のキメラたる米国を善導しつつ、欧州の第一の外延的なものの残滓の一掃とイスラム世界の無害化を図ることがグローバルな課題である、と私自身は考えています。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 労働党政権下で、ブレアとブラウンが犬猿の仲であったということが、余りにも露骨な姿で明るみに出ました。↓
 The relationship between Tony Blair and Gordon Brown became so hostile that Blair described his chancellor as “mad, bad, dangerous and beyond redemption” and likened Brown’s behaviour to that of a “mafioso” in his dealings with him, Lord Mandelson has revealed.・・・
 Blair described Brown as “flawed, lacking perspective and having a paranoia about him”.・・・
 No 10 aides drew up plans ? codenamed Operation Teddy Bear ? to split the Treasury into two in an attempt to weaken Brown’s challenge to Blair after the prime minister agreed in 2003 not to fight the next general election, only to renege on his promise.
 ・・・ Under the plan, a US-style Office of Budget and Delivery would be carved out of the Treasury, leaving Brown in charge of a finance ministry to handle macroeconomics.・・・
 But when Blair put the plan to Brown, the then chancellor said “no”. Mandelson says: “Tony decided his position was just too weak for him to impose it. It was a fateful moment.”・・・
 ・・・plans to remove Brown from the Treasury and put him in the Foreign Office were twice considered and rejected by Blair because he feared Brown would resign and become an even greater threat.・・・
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/jul/14/mandelson-memoirs-blair-brown-mad-bad 
 黒人は陸上に適性を有し、白人は水泳に適性を有する理由が明らかにされたよ。↓
 ・・・blacks have longer limbs than whites, and because blacks have longer legs and smaller circumferences (e.g. calves and arms), their center of mass is higher than that in other individuals of the same height. Asians and whites have longer torsos, therefore their centers of mass are lower.・・・
  ・・・having a higher center of body mass in a standing position is advantageous in running but disadvantageous in swimming.・・・
http://www.slate.com/id/2260314/pagenum/all/#p2
 同じ民族のルーマニアとモルドバの曰く言い難き関係は、面白いったらありゃしない。↓
 ・・・Almost 1 million Moldovans have already turned their backs on their homeland, where the per capita economic output has only just matched that of Sudan’s. They hire themselves out as immigrant labor, mostly illegally. Around 120,000 of the 3.6 million inhabitants have passports that originate from the neighboring nation, and the Romanian government says that another 800,000 are waiting to have their applications for passports granted. In order to cope with the rush, Romania’s foreign minister opened two new consulates in the provincial cities of Balti in the north and Cahul in the south on Friday — at the EU’s expense.
 The calculation behind the move: Romania’s patriotically minded President Traian Basescu wants to increase the number of his subjects and agreed to increase the number of naturalizations that take place each month to 10,000 this year. ・・・
 Since the Alliance for European Integration — a coalition formed by four political parties — pushed the pro-Russian Communist Party out of power in Chisinau in 2009, Romania has accelerated its naturalization offensive in its small neighboring country. ・・・
 The barbed wire along the border has been taken down and, since autumn, Moldovans living within a 30-kilometer radius of the border have been able to visit Romania without a visa. ・・・
 <Romanians> dreams of “Romania Mare” — which, translated into English, means the ressurection of “Greater Romania” with the borderes that existed in 1940, which also included Moldova. At the time, the smaller country, formerly known as Bessarabia, was ceded to the Soviet Union as part of a German-Russian Molotov-Ribbentrop Pact. ・・・
 Moldova’s new government is not averse to these Romanian advances, either. Of the 53 members of the governing coalition, nine have a second passport that is Romanian and 11 others have applied for one. And with Mihai Ghimpu as acting president of Moldova presently, there is a “Unionist” — as the advocates of reuniting Romania and Moldova are known — as head of state. ・・・
 However, the majority of Moldovans aren’t attracted by the prospect of reunification with Romania, which, after Bulgaria, is the second-poorest EU member state. According to polls, two-thirds want to be part of the EU, but only 2 percent self-identify as Romanian. ・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,706338,00.html
 ローマの剣闘士で叛乱の首魁となったスパルタカス、冷戦時代に西側でも東側でも英雄視されてたってさ。↓
 Spartacus・・・rebellion of 73 B.C. broke out in a gladiatorial barracks, spread throughout Italy, mobilized perhaps 60,000 slave soldiers, and defeated as many as nine Roman armies before the state finally suppressed it more than two years later. ・・・
 Of Spartacus’ followers, 6,000 died on the cross・・・
 Spartacus, as various ancient sources show, was more than a warrior: He asked his followers to treat each other as equals, and he tried to limit harm to noncombatants・・・
 Nationalists in Italy, Russia, the U.S. and elsewhere embraced him as a symbol of self-determination. Communism elevated Spartacus to the rank of proletarian hero. America and the Soviet Union agreed about nothing during the Cold War, but Hollywood and Moscow joined hands in their embrace of Spartacus’ box-office power. Aram Khatchaturian won the Lenin Prize for his 1959 “Spartacus” ballet. The 1960 American movie “Spartacus,” directed by Stanley Kubrick and starring Kirk Douglas, won four Academy Awards. ・・・
 Historians wonder why Spartacus’ men marched the length of Italy, intending to cross the Alps into their various northern homelands, only to change their minds when they neared the mountains and turn back toward southern Italy with its riches?and its Roman armies. ・・・
 Plutarch offers more detail. But Plutarch lived two centuries later and, as Mr. Stothard writes, he was a Greek “with a passion to interpret the not so distant past.” To take the Romans down a peg, Plutarch magnified the achievements of men like Spartacus. (Plutarch called him “rather Greek,” though Spartacus was from Thrace, north of Greece.) ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703636404575353252226558646.html?mod=WSJ_Opinion_MIDDLESecondBucket
 映画の『スパルタカス』(キューブリック監督。アカデミー賞4つ)
http://en.wikipedia.org/wiki/Spartacus_(1960_film)
は知ってる人が多いだろうが、ハチャトリアンのバレー音楽『スパルタカス』(レーニン賞)はいかが。 この曲からアダージョだよ。
http://www.youtube.com/watch?v=LZLMKkEGFRo