太田述正コラム#4131(2010.7.15)
<皆さんとディスカッション(続x893)>
<きよきよ>
≫立党以来、政権の座に座り続け、吉田ドクトリン墨守中枢として、日本を米国の属国たらしめ続けてきたという点で、自民党こそ戦後日本における売国政党の最たるものである、というのが私の考えです。
 そのような日本である以上、「独立」しない限り、日本に米国以外の国に売国する自由などない・・宗主国米国が認めるワケがない≪(コラム#4129。太田)
 いやぁ非常に明快かつ論理的な切返し、お見事です。
 米国の保護下に置かれている現在の日本の立場から、日本の意思で支那などへ「売国」することなど到底不可能で、そんな心配は「独立」してからしなさいというわけですね。
<マロン>
≫私の最新時点での欧州文明観・・これはイギリス知識層のホンネベースの考え方に近いと思う・・は、カトリシズム(プロトイデオロギー)→ナショナリズム→マルキシズム→スターリニズム/ファシズムという形で、欧州は次々におぞましいイデオロギーを生み出してきた、というものです。≪(コラム#4129。太田)
とありましたが、「プロテスタンティズム」についてはどう考えられているのでしょう。
 イギリスはアングリカン=プロテスタントの国なので、イギリス知識層には批判的にはとらえられないのでしょうか。
 ピューリタニズムも福音主義もプロテスタントですよね。
<太田>
 宗教改革・・プロテスタンティズムの生誕・・については、(無教会主義についてはともかくとして、)カトリック教会内の権力争いに過ぎず、その結果多数の小カトリック教会的なものが生まれた、という理解です。
 カルヴィンが「異端審問」をやったこと(コラム#省略)や30年戦争のことを思いだして下さい。
 意義があるとすれば、それが欧州の世俗化、すなわちキリスト教そのものの否定、への第一歩となったことくらいだと思います。
 イギリスもプロテスタンティズムの洗礼を受け、それが17世紀のイギリス内戦の背景にあるわけですが、それ以前に成立していた英国教会は、イギリスの政治権力によるカトリシズム(欧州)の拒否であり、プロテスタンティズムとは基本的に無縁であると割り切った方がよい、というのが私の理解です。
 イギリスのプロテスタントの多くは、北米に移住し、後に彼等が中核となって米国が誕生するわけですが、このため、米国は、アングロサクソンと欧州のキメラとなることを運命付けられるわけです。
<γγΓΓ>(「たった一人の叛乱」より)
 雁屋哲が最近ブログで昭和天皇批判してるけど、典拠として挙げられてる資料って確かなの?
 確かだとしても、そこまで批判するほどのことなのかとは思うが。
<γΓγΓ>(同上)
 これか(特に、★)。長いw。とりあえず、メモ。
http://kariyatetsu.com/nikki/1228.php
http://kariyatetsu.com/nikki/1245.php
http://kariyatetsu.com/nikki/1254.php
http://kariyatetsu.com/nikki/1255.php
<太田>
 日本の対米従属は米国の意向であり、それに売国自民党が迎合してきた。
http://kariyatetsu.com/nikki/1228.php
→日本の対米従属は米国の意向に反して売国自民党が維持してきたのであって、雁屋の指摘は間違い。(太田)
 「<先の大戦>当時の日本の指導者たちは、アメリカの指導者たちに比べると、正に精神年齢12歳の子供同然であった・・・」
http://kariyatetsu.com/nikki/1245.php
→「日本の指導者たち」と「アメリカの指導者たち」を入れ替えてしかるべきであり、雁屋の指摘は間違い。(太田)
 「1.天皇はアメリが、沖縄と琉球諸島の軍事的占領を続けることを望む。
  2.天皇は、アメリカの沖縄(必要であれば他の島々も)の軍事的占領は、主権は日本のままで、25年から50年またはそれ以上の長期リースの形で行われるのが良いと言った。・・・(1979年にアメリカの公文書館で発見された文書)・・・
 <だから、>沖縄をアメリカの基地にしたのは昭和天皇である・・・」(同上)
→非武装を日本の内閣や日本国民が選択した以上、安全保障上、少なくとも沖縄に米軍を残留させ、米軍が沖縄を自由に使用できるようにしてもらう必要があると昭和天皇が判断したとしても、それは当然のことであるし、そう決めたのはあくまでも日本の内閣であって天皇ではないので、雁屋の指摘は間違い。(太田)
 「「(前略)日本人の国民性には美点も多いが欠陥もあるから、<沖縄の>占領は長期間つづくほうが望ましいと、陛下は感じている」・・・(『昭和天皇独白録 寺崎英成御用掛日記』(文藝春秋社刊)の259ページに・・・記されている・・・秦郁彦教授がマッカーサー記念館の「総司令官ファイル」の中から発掘した文書<の中の>寺崎英成と思われる政府高官が伝えた天皇の言葉)・・・
 <つまり、>昭和天皇自らが、アメリカの支配を望むと仰言られたのだ。・・・」(同上)
→同様、日本人の欠陥が非武装を日本の内閣や日本国民に選択させた以上、安全保障上、沖縄の占領を米国に長期にわたって続けてもらうほかないという趣旨であるとも考えられるのであって、雁屋の指摘は誤り。(太田)
 (次は、
http://kariyatetsu.com/nikki/1254.php
だが、その中の戦前、戦中の天皇の言動についての雁屋の批判に対する私の批判については、以前、michisuzuちゃんらとのやりとりで私の見解を述べているのでそちらにゆずる。(太田))
 
 「・・・<ティム・ワイナー「Legacy of Ashes. The History of the CIA」(2007年)の英語版及び邦訳版によれば、>
 ・・・CIAがこれ程までに無能な機関であり、ここまで数々失敗を重ねてきたひどい政府機関であることを知って驚いた。
 そして、一番驚いたのは、この駄目機関であるCIAがただ一つ成功した例があることである。・・・
  日本を半世紀にわたって支配してきた「自民党」はCIAのエイジェントによって作られたCIAのために働く党だったのだ。
 狡猾な旧日本帝国の官僚である岸信介、中国で強奪して来た資産で力を持ったやくざ・暴力団の親玉である児玉誉士夫。
 この2人の、魂をアメリカに売り渡した売国奴によって作られた党だったのである。
 作られただけでなく、自民党は長い間、政治的・金銭的援助と引き替えに日本を<して>アメリカの・・・支配を受け<させ>付け続けて<き>たのだ。・・・
 CIAは社会党の議員もリクルートしていた・・・
http://kariyatetsu.com/nikki/1255.php
 1970年代後期、80年代初めに東京に駐在したCIA局員はワイナーに「われわれは全ての政府機関に浸透した」と述べている・・・
 自民党議員も政府官僚はみんなアメリカから金を貰って弱みを握られているからアメリカに反することは出来ない。
 自民党の二世・三世議員も同じことだ。祖父と父が従ってきたボスにどうして息子が反抗出来るか。
 だから民主党政権になって、辺野古問題でアメリカの意志に反することを言い出したら、日本の官僚組織が一団となって、小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏を引きずり下ろすために全力を傾けたのだ。
 誰なのか正体の知れない「市民団体」に訴えさせて、一旦不起訴と決まった小沢一郎氏を検察審議会に、「起訴相当」の判決を出させたりもした。・・・
 民主党攻撃に必死になったマスコミも、実は、アメリカの手先なのだ。・・・」
http://kariyatetsu.com/nikki/1254.php 上掲(特に断った箇所を除く)
→CIAの無能さは米国の無能さの象徴であることはさておき、米国、やることなすことドジだらけの中で、日本に対してだけうまくやれるはずがないことくらいは、雁屋、分からないのだろうか。
 要するに、自民党を中心とする日本の吉田ドクトリン勢力が自発的に対米従属(属国)戦略を墨守してきた、というだけのことなのだ。
 そして、自民党と癒着関係にあった官僚やマスコミが、かかる自民党の意向に沿って動いてきたわけだ。
 雁屋の筆は暴走に次ぐ暴走を重ねている。(太田)
 
 蛇足ながら、
http://kariyatetsu.com/nikki/1255.php
での翻訳論議、雁屋ではなく彼の娘さんが正しい。(太田)
<けいc。>
 30年前の冷戦時も自衛隊は平和だったんですね。
http://blogs.yahoo.co.jp/toshidorobo2/52426588.html
 元陸上自衛隊第7師団長の藤原利將と思われる方のブログの守屋氏回顧録から。
 内局からの要求や問い合わせには・・・
「先ず、相手(内局)の狙いを知れ」
「要求されたことだけに答えよ」
「資料は必要最小限にせよ・・・上司のOKをとって」
 (幕から内局までは歩いて5分ほどかかったが1ページずつ何度にも分けて持って行ったこともある)
<太田>
 藤原さんはよく存じ上げていますが、これ、使い回しされている、何度も耳にした笑いバナシですよ。
<筑駒生>
 <コラム#1437>「筑駒の学校説明会で考えたこと」<を読み>ました。
 最後は、6割近くの生徒が東大に進学するのは、生徒の資質がよいからだけではないのではないでしょうか。
 みんな、先生たちは能力はあります。
 しかし、一部だけをみるとこのようになってしまうのではないかと思いました。
<太田>
 本当に筑駒生なのかなあ。
 少なくとも「みんな」→「ほとんどの」、「一部だけをみるとこのようになってしまうのではないかと思いました」→「一部の先生だけをみるとこのような人もいないわけではありませんが・・」、とでも書くべきでしたね。
 その上で、少なくとも、こんなすばらしい先生もいる、という具体例を一つくらいはあげてしかるべきでした。
 なお、東大進学率の高さと、筑駒の教育の善し悪しとは直接関係はありません。
 筑駒の卒業生で大きな社会的業績を残した人がどれだけいるかが、過去の筑駒についての一つのメルクマールでしょう。
http://118.67.97.146/forum/read.php?2,1689934,1714995
 私は、今後のことを心配しているわけですがね。
 一応続篇であるコラム#1439と1442も読んで欲しいなあ。
<Fuku>
 最近投稿ができないで申し訳ありません。
 最近どうもPCを使っていると体調が悪くなるようになってしまいました。
 以前から長時間使うと頭痛がしたりということはあったんですが、最近はちょっと使うだけでも体調に変化が現れます。ですので、なるべくPCから離れようと思います。
 翻訳はやりたいとは思うのですが……いかんせん、時間がかかるものなので、しばらくは顔見せできないかもしれません。
 体調と相談しながらできる範囲でやっていきたいと思います。
<太田>
 ご連絡ありがとうございます。
 今まで翻訳を手がけていただいた方、新たに手がけていただける方、どうぞよろしく。
 英文1行につき1ポイントさしあげ、合計100ポイントで、半年間、名誉有料読者扱いにさせていただきます。(誤訳1回につき、10ポイントずつ減じます。)
 それでは、記事の紹介です。
 米軍内では、脱共和党化、ノンポリ化が進んでいるようだね。↓
 ・・・political party affiliation has fallen sharply among those wearing the uniform today … the percentage of self-identified Republicans has decreased by one-third since 2004, from 60 percent to 41 percent, while the percentage of self-identified independents has nearly doubled to 32 percent during the same period.・・・
http://atwar.blogs.nytimes.com/2010/07/13/politics-and-the-military/?pagemode=print
 野球は、クリケットから進化したのではなく、文字通り、イギリス起源のスポーツなんだったんだね。↓
 ・・・baseball was an American game in its origins <is> a powerful and popular myth.・・・
 ・・・a prominent 19th-century baseball player and founder of the sporting goods company named for him,・・・declared in 1908 that baseball was an American game invented in 1839 by Abner Doubleday. In fact,・・・baseball ? or base-ball, as it was known then ? originated in England at least as early as the first decades of the 18th century, perhaps even earlier, and was taken to the United States by 19th-century immigrants.
 ・・・cricket, played in America from as early as 1709, was America’s principal bat-and-ball game until the eve of the Civil War・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/15/world/europe/15cricket.html?ref=world&pagewanted=print
 世界で一番美しく老いているのはフランスの女性?↓
 ・・・If there is a secret to aging well, Frenchwomen must know it. At least that’s what Americans think. We look at actresses like Juliette Binoche, 46<(バツ1)>
http://en.wikipedia.org/wiki/Juliette_Binoche (太田)
, or politicians like S���gol���ne Royal, 56<(バツ1(ただし事実婚)、子供4人)>
http://en.wikipedia.org/wiki/S%C3%A9gol%C3%A8ne_Royal (太田)
, or superstars like Catherine Deneuve, 66<(バツ1)>
http://en.wikipedia.org/wiki/Catherine_Deneuve (太田)
, and figure that they must have special insights into the “maturation” process. ・・・
 Frenchwomen spend about $2.2 billion a year on facial skin care ? as much as Spanish, German and British women put together.・・・
 But you might not find much soap. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/15/fashion/15French.html?ref=world&pagewanted=all
 女性、太っていちゃよくないんだけど、どうせ太るなら、梨型(ヒップ太り)の体型より、林檎型(ウエスト太り)の体型の方がアタマにはいいってさ。↓
 ・・・The researchers found that for every one point increase in a woman’s・・・Body Mass Index・・・<=>BMI, her memory score dropped by one point.
And pear-shaped women – those with smaller waists but bigger hips – scored particularly poorly.
 The researchers say this is likely to be related to the type of fat deposited around the hips versus the waist. ・・・・
 The researchers believe belly fat <around the waists> makes more of the female hormone oestrogen that naturally dips after the menopause.
Oestrogen is thought to help protect the brain from cognitive decline.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/health-10614837
 ロシア人のセックスに対するタブー視、徐々にではあるけれど解消されつつあるってよ。↓
 ・・・Two decades after government-imposed prudishness(お堅さ) ended with the Soviet collapse, Russians still shy away from embracing European-style sexual mores. Despite a burst of licentiousness in the early 1990s, when pornography and prostitution surged through the country, the sexual revolution has never really taken hold here. ・・・
 <However,> the outlook for Russia’s sex toy industry does not necessarily appear to be as grim as some vendors described. In the last 10 years the number of sex shops in Moscow has grown from around 5 to over 150, Ms. Dovgal said, and there are many more Internet-based companies. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/15/fashion/15sex.html?ref=world 
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太田述正コラム#4132(2010.7.15)
<映画評論5:サルバドル/遥かなる日々(その5)>
→非公開