太田述正コラム#4187(2010.8.12)
<皆さんとディスカッション(続x921)>
<ダック>
 はじめまして。ちょっと良く分からなかったので質問してもいいですか?
 拓殖大学教授や産経記事内の
 「日韓併合のダメな部分だけをすくって良かった(近代化の原動力…)部分を無かったことにすること…」
は真の日韓平和には繋がらない、つまり櫻井氏の
 「未来を展望するためのイマジネーションや能力が欠けている」
に繋がるという認識でいいんでしょうか?
<太田>
 逆です。
 某拓殖大学教授や産経の主張子のように、朝鮮半島の人々、とりわけ韓国の人々の多く、特に指導層が、百も承知しており、だからこそ最も傷ついているところの、「日本が朝鮮半島の近代化の原動力となった」という事実、すなわち塩、を韓国の人々の傷口にすり込むようなことをやるのは、「イマジネーション」に欠けた頭の悪い(「能力」に欠けた)ことであって控えるべきだ、という趣旨です。
<ダック>
 <他方、>太田さんの
 「日本による植民地支配が「近代化の原動力になった」ことこそ、朝鮮半島の人々が一番傷ついてること…」
というのはつまり、
 「朝鮮半島の人々が一番傷ついていることをわざわざ取り上げるということは、相手の嫌な部分を取り上げることになるわけだから、櫻井氏のいう『未来を展望するための…』というのには逆効果だ」
という認識でいいんでしょうか?
 馬鹿ですいません。これからコラムをみて勉強します。
<太田>
 既にお答えしたように、そのような認識であれば、大変結構です。
<きよきよ>
 いつも明快なご回答ありがとうございます。
 さて、「何度も言うけど、後は三千数百名で滞っている裾野(コラム読者)が少しでも広がることを期待」「私の得手の分野とは、現時点では、とにかくコラムを書き続けることです。」とのことですが、
 では、この裾野を広げるために「昨日今日の日本の政治話題についての太田さんの見解」という形で、身近な時事問題(日によって複数)をコラムにて理論的かつ明快に解説されてはいかがでしょうか。(内容は簡潔に誰でも読みやすいように短めの文章で)
 さすれば読者が増え、それにつれて太田さんの「属国論」も国民に広く浸透してくるのではないでしょうか。
 太田さんの見解はどの評論家・解説者のそれよりも理論的かつ明快で、私のような者にも平易に理解しやすく、ストンと腑に落ちる名解説です。
 一度ハマると「今日のこの政治の動きにはどんな意味があるのかな」と太田コラムを毎日チェックし続けてしまうはずです。
<太田>
 おっしゃること、毎日やってるつもりですが・・。
 足らないと思われたら、「・・・日のこの政治の動きにはどんな意味があるの<ですか>」って投稿して下さい。
 お答えすると思いますよ。
<十津川昭和>
≫参院選に民主党から出馬して全国を自民党と小沢とをボロクソに言って歩いて政権交代を促し≪(コラム#4185。太田)
 23,309票で落選。
 つまり、貴方は殆どの国民から支持も相手にもされなかった。
→小泉旋風という圧倒的逆風の中、知名度ゼロで、民主党による組織票ゼロ、しかも、出身母体に弓引いた新人としちゃよくやった方だぜ。(元防衛事務次官の現役自民党候補を落選に追いやったしね。)
 今回の参院選の比例区で同じくらいの票とった候補者(各党)と比べてごらん。(太田)
≫このピンボケ度は救いがたいのー。≪(コラム#4185。太田)
 じゃ、そう言うのならば、今の貴方に日本を救う力があり、それを皆が支持しているのか?
 この貴方のブログのランキングは今現在政治カテゴリーで145位。
 対する、我々の活動仲間のブログランキングは
3位 http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/
11位 http://ameblo.jp/doronpa01
17位 http://youmenipip.exblog.jp/
23位 http://blog.livedoor.jp/samuraiari/
47位 http://sakainobuhiko.com/
55位 http://senpu.exblog.jp/
 これらから言える事は、貴方に同調している人より我々に同調している人が圧倒的に多いという事。
→今度逮捕されたハマコー大先生のツイッターのフォロワー20万人もいたらしい
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100811-OYT1T00006.htm?from=top
(8月11日アクセス)けど、だからどうだっちゅうんだい?(太田)
 何故なら、私達は
【「現在進行形で」外に出て活動しており成果という実績を出しているから】
対する貴方は今は書斎に籠もり、過去の既に多くの人々の記憶から忘れ去られてしまった僅かな実績を自慢するしかない。
 そんな貴方に今の日本を救える能力など皆無に等しい。
 過去の栄光にしか酔いしれる事しか貴方が哀れで仕方ない。
★貴方が何と言い訳しようとも、結果的に貴方たちが日本の破壊を食い止められず、そのツケを今、私達の世代が被っているという事は紛れも無い事実。
 それなのに、そのツケを被って、今、我が国を何とか建て直そうと必死に身銭も惜しまず活動している人達に向かって
≫このピンボケ度は救いがたいのー。≪(同上)
とはよく言えるものだ。
→ヒッヒッ、そうぼやきなさんな。迷える子羊ちゃんのキミ、かわいいところもあるからつきあってあげてんだぜ。(太田)
≫キミ達は一体何を成し遂げたのさ? 『ザ・コーヴ』上映反対「運動」だって、この映画を見に行く日本人の数を、むしろ増やしちゃったんじゃねーの?≪(同上)
 日本民族としての怒りの声を世界中に轟かせる事に成功しています。・・・
 <CNNやABC、>他にも、ロイター、BBC、NYタイムズ等が取材をし、それを記事にして報道しています。
 今の貴方に、ここまで出来ますか?
<太田>
 自分のサイトの宣伝はNGだし、投稿にリンク切れのURLつけたってしゃーないだろが。投稿のそんな箇所は全部落とさせてもらったよ。
 ところでさあ、シーシェパードによる日本捕鯨船団へのテロリスト的妨害行為についてだって、日本のマスコミ、盛んに「取材をし、それを記事にして<否定的に>報道してい」るわいな。
 キミ達のやってきたこと(下掲記事)も、シーシェパードもどきの立派な劇場型犯罪だぜ。だから、英米のメディアで否定的に報道されるってだけのことよ。
 
 The Japanese distributor, Unplugged, has been targeted by a fringe nationalist group who protested with loudspeakers outside both the company’s offices and the house of its president. The same group is believed to be behind a campaign of threatening telephone calls that caused cinemas that had planned to show the documentary to cancel screenings. ・・・
 After a theater in Tokyo and one in nearby Yokohama had agreed to screenings of “The Cove,” the nationalists renewed their protests, this time outside the venues. This led to the distributor and the theaters applying for an injunction preventing the demonstrators coming within 100 meters (300 feet) of the cinemas.  On June 25, a Yokohama court granted the injunction against the nationalists – an unusual move as such groups are usually allowed to protest with impunity.
 Unable to go near the cinemas, the nationalists have announced their intentions to resume protests outside the house of Unplugged’s president, and have recently taken their bullhorns to the home of the elderly parents of the Yokohama theater owner. ・・・
http://www.csmonitor.com/World/Asia-South-Central/2010/0702/The-Cove-hits-big-screen-in-Japan-defying-threats
(7月3日アクセス)
 ついでに言っとくが、シーシェパードの方は、少なくとも形の上では普遍的な理念に拠って活動してる多国籍団体(帝国主義者)だけど、キミ達のは、日本人だけにしか通用しない理念に拠って活動してる日本人だけの団体(ナショナリスト)だから、シーシェパードよりもセコい、ジコチューの閉鎖的集団であるぞなもし。
 劇場型犯罪の極限例が、現在裁判中の秋葉原大量殺傷事件であり、当然、事件発生当時にも大々的に(否定的に)報道されたわけだが、ぼかあ、間違っても、この種の劇場型犯罪を犯してまで自分の活動について報道してもらおうとは思わないな。
 繰り返しになるけど、とにかく、連日、投稿するヒマと熱意があるのなら、その一部を太田コラムのバックナンバーを読むのに使うことをお勧めする。
 キミにまだ可塑性があればだけど、ナショナリストから日本型帝国主義者へと脱皮できるかもよ。
<T.T>
 吉田えり<(コラム#4181)>の目標とする大リーグのティム・ウェークフィールド
http://www.weei.com/sports/boston/baseball/red-sox/alex-speier/2010/03/03/knuckleball-life-comes-full-circle-wakefield
 ウェークフィールドが、プロ女子野球のコーチをしていた元大リーグのナックルボーラーの指導を受けたおかげで今日があり、それが回りまわって今日、吉田えりがウェークフィールドを目指すきっかけになっているといった内容。
 ウェークフィールドのスランプの詳細を書いている点で、吉田えりの「活躍」への期待が決して話題づくりのみではないと思えてきた。
 ちなみに、私も、高校で女性がいるチームと対戦したことがあった。
 最初は戸惑ったし、なめられているのか?とも思ったが結局「女が音を上げずやっている前で弱みは見せられん」といった具合で逆に気合が入った。
 ワシントン州の高校スポーツは基本的に男女分離により各々同等にスポーツに接する機会を確保している。
 ただ、各性別ごとに同等のプログラムがない場合は混合もありえ、その場合いかなる制裁もされない。
 appendix2 ワシントン州の高校スポーツの男子・女子プログラムの扱いに関する声明 
http://www.wiaa.com/ConDocs/Con358/Appendix1_15.pdf
 女性の男性スポーツ界への進出はなにも女性だけに好影響を与えるものではないのでは、と思う。
<太田>
 こういった点じゃ、日本はホント遅れてますねえ。
<唯我独尊>
>馬鹿が衆参両院議員になれる時代が終わったことを象徴している、と思いたいところです(コラム#4185。太田)
 まったく同じ思いですが、非拘束名簿式比例代表制
http://barexam.at.infoseek.co.jp/note/hirei.htm
によってメディアへの登場回数が多い有名人ほど当選しやすくなっています。
 これまでの政治の姿を見ていると、「有名なタレント、司会者、運動選手など」と「無名な有識者、学識経験者など」を比較すると、どちらが「馬鹿ではない(政治的能力が優れている)」という確率が高いのか、判断に苦しむところです。
 中央ではありませんが、大阪府知事における横山(ノック)氏および太田(房江)氏ならびに橋下氏は、その好例だと思いました。
 すなわち前者の2名は「馬鹿(権力に安住した)」、後者は「馬鹿ではなさそう(政治と真摯に対峙している)」ということではないでしょうか。
<太田>
 橋下大阪府知事の評価、まだ早いと思いますよ。
<文十郎>
≫日本は、核を云々する前に、再軍備を行い、米国から「独立」しなければならないはずです。≪(コラム#4186(未公開)。太田)
 物(武器・兵器)に関しては、世界第5位
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/kono/gunji_yosan_list.htm
なので(内容に適切さを欠いているにしても)、「再軍備」とは、法制化(集団的自衛権を認める)のみ行われていない、と理解してよろしいでしょうか?
<太田>
 ピンポーン。そのとおりです。
<太田>(ツイッターより)
 中南米の人類への貢献と言えば、ジャガイモ、トウモロコシ、メキシコ料理、そしてラテン音楽(とりわけタンゴ)くらいかな? 
 ラム酒はちょっとマイナーだし・・。後何かあったっけ。
<ochiyosan7878>(同上)
 ラム酒は製菓にも使うので確か世界で一番消費量の多い酒だったような…?
 あとテキーラもありますね♪
<太田>
 ラム酒をカウントするかどうか、ちょっと迷いました。
 この酒、18世紀から19世紀にかけて、英海軍の必需品だった
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%A0%E9%85%92
し、これにかけられた税金が米国独立の決定的引き金になったんです(コラム#896)からね。
 なお、酒の種類別の消費量の資料あるのかなあ。少なくとも、ラム酒が1位ってことはないのでは?
 テキーラは余りにもマイナーでしょう。
<Romaoh>(同上)
 はじめまして!先生、コーヒーをお忘れなく!
<太田>
 ペケ。
 コーヒーはエチオピア原産だよー。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC
<kyokoka8>(同上)
 偉大なるトマトをお忘れです。
<太田>
 おお、そうだった。
 トマトが入って来て、イタリア料理が激変したんでしたね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%96%99%E7%90%86
 それから、今思い出したけど、トウガラシもそうでしたね。
 朝鮮料理の今日あるのは、16世紀に日本経由で朝鮮半島に伝わったおかげです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E8%BE%9B%E5%AD%90
 なお、当然のことながら、タバコは人類へのプラスの貢献とは言えないんで除きました。タバコ抜きじゃ人類の近代文化史、語れないけどね。
 
<遠江人>
 <映画評論、>リクエストお願いします。
 ニュールンベルグ裁判 – Wikipedia
公開 1961年12月19日
上映時間 186分
製作国 アメリカ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A3%81%E5%88%A4
 ・・・
 映画を通じて描かれるところの弁護側の言い分はおおむね、彼らは祖国の危機を前に、ナチスが悪質でその言葉がうそだと知りながらも、あえて地位にとどまったのだ、祖国を愛していたからこそ、国益のための行為だったのだ、ドイツの法にのっとって仕事をしただけなのだ、というものです。
 要は、一部の連中が悪事を行い、ドイツ人ではなく、そいつらのせいなんだ、しょうがなかったんだ、というやつです。
 (太田コラム的には、ドイツのほぼ全国民が、ナチスがどんなものか何をしていたかを知っていて協力していた、ということで結論はほぼ出ていると思いますが)
 ・・・
 この映画を見て、日本人として単純に思ってしまうのは、そもそもドイツと日本の「罪」の種類が異質であることは明らかで、日本にこそ、「日本の「戦争責任」を問うのならアメリカの「罪」も法の下に公正に裁かれなければならない」と言う資格があるのだ、ということです。
 この映画に対する太田さんの「分析」と「心証」をお聞きしたいです。
 それと、劇中最後の言葉、無実と知りつつ(一人のユダヤ人を)死刑にしたことが「始まり」なのだ、というヘイウッドの言についても感想があれば、お聞きしたいところです。
<太田>
 お久しぶりです。承りました。
 映画の紹介や映画からの引用部分ははしょらせていただきました。
 それでは、記事の紹介です。
 過早な大英帝国崩壊の犠牲となったのはインド亜大陸だけじゃない。
 スーダンでは1956年の独立以来、内戦で少なくとも500万人が死亡している。↓
 Peace has eluded Sudan since its inception in 1956. Sudan was technically the first sub-Saharan African country to gain independence from a colonial power, but it immediately descended into civil war, so that Ghana became, for the world at large, the first true post-colonial African state. Britain, upon leaving Sudan, intended to create a separate southern state, to serve as a bulwark against the Islamic north’s expansionist tendencies. But Britain dithered and finally threw the south in with the north to form a unitary state.
 Immediately the Christian south rebelled against the imposition of Islamic rule by the northern Arabs. The ensuing civil war?ignored by the rest of the world-went on for decades, claiming more than four million lives. And just as a peace deal seemed imminent, in 2004, war erupted in Sudan’s western region of Darfur, resulting in a humanitarian disaster?so far, more than a million dead and three million displaced. Amid the chaos, Sudan has intermittently served as a home for radical Islamists, including Osama bin Laden. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704164904575421901117532376.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
 コラム#3550(2009.9.28)で私が紹介したレバノンの3人の悩殺美人歌手、10ヶ月以上経って讀賣が紹介したね。↓
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100811-OYT1T01268.htm?from=navlp
 目の保養に、もう一度どうぞ。
Nancy Ajram(ナンシー・アジュラム) 新しく選んだよ。↓
http://www.youtube.com/watch?v=GpYHjJFoFME&feature=related
Haifa Wehbe(ハイファ・ワハビ) 2008年のミスレバノン。これも新しく選んだよ。↓
http://www.youtube.com/watch?v=bFsCnsOKkl8&feature=related
Myriam Faris(ミリアム・ファリス) 前回掲げた、音楽も良くって踊りながら歌うすんばらしいやつ、アクセス禁止になってた。代わりにこれ↓でご勘弁。
http://www.youtube.com/watch?v=YimggIlkpqY&feature=related
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太田述正コラム#4188(2010.8.12)
<映画評論6:バンド・オブ・ブラザース(その3)>
→非公開