太田述正コラム#4237(2010.9.6)
<皆さんとディスカッション(続x946)>
<δδεε>(「たった一人の反乱」より)
 米軍もいよいよイラクから撤退だね。
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/100824/mds1008240321003-n1.htm
 ってことは、イスラエルによるイラン核施設への空爆も近いんだろう。
<太田>
 戦闘部隊が撤退しただけで、まだ約50,000人の米軍がイラクに残ってるよ。↓
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2012130,00.html
(9月5日アクセス)
<δδεε>(同上)
 イラクでの米軍キャンプで仲良く日韓の「兵士」が写真に納まっている。
 お人好しの自衛隊員がかわゆいね。
http://www.youtube.com/watch?v=5zoP9SCKWVs&feature=related
<太田>
 ・・・。
<δεεδ>(同上)
http://www.asahi.com/politics/update/0903/TKY201009030545.html
 ↑↑
 この記事に対する太田さんの評価は??
 一応減ってるんだね、天下り。
<太田>
 少なくとも前年度の数と比較しなくっちゃ何とも言えないね。
 恐らくは、民主党政権樹立を見越して、用心のために、各省庁が昨年度、年度前半に天下りを前倒ししてやった、ということじゃないかな。
<マロン>
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11421420090909
 ↑前回<(コラム#4231)>のリンクは、リンク切れしていません。
 太田さんからの配信メールはときどき届かないことがあり、今回も届かなかったので、メールの方がリンク切れしていたのかどうかわかりませんが、掲示板もブログもリンク切れしていませんでした。・・・
<太田>
 どうも失礼、あん時だけ、開かなかったようですね。
 マロンさん、Fat Tailさんの学術的中締め↓読もうね。
<Fat Tail>
 –コラム#4235における太田さんの呼びかけを受けて(国債論議)–
1.This time is different.
“This Time is Different: A Panoramic View of Eight Centuries of Financial Crises”
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1106608
(リンク先では全文見られないようですが、Googleで検索をかければDL可能です。)
 これは発表当時非常に話題となったRogoffとReinhartによる共同論文で、その後書籍として出版されました(個人的に書籍は未読)。
 8世紀に跨る66カ国のサンプルを調べ、中世におけるイングランドのデフォルトから1990年代のアジア諸国におけるデフォルトまでを網羅した力作で、昨今の幾つかのEU加盟国の財政危機を暗示したような絶妙なタイミングで発表されたことも手伝い、大変示唆に富む内容となっています。
 重要な論点の内、今回の論議に関連する項目を幾つか挙げると、
・ソブリン債(注)のデフォルトは珍しいことではなく、過去頻繁に発生している(図1及び図2だけでも一見の価値有り)
 (注1)「(・・・sovereign bond)とは、各国の政府又は政府関係機関が発行し又は保証している債券(国債など)のこと」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%82%B5 (太田)
・自国通貨建債権は、発行体である政府に徴税権があるためデフォルトしない、という認識は誤り
・ソブリン債のデフォルトは圧倒的に「新興国」によって占められているが、「先進国」による「広義」のデフォルトも無かったわけでない(議論は分かれるが、フランスによる第一次世界大戦時発行債権のデフォルトや等(注2))。
 (注2)元々金での払受けオプション(通称、”The gold clause “)があった債権について、米国は1933年に一方的にこれを破棄したこと<があり、>、論文ではデフォルトにカウントしていませんが、これについては議論が分かれるようです。最高裁まで争われましたが、どのケースにおいても最終的に合憲判断がなされています。
 ”Was There Ever a Default on U.S. Treasury Debt?”
http://spectator.org/archives/2009/01/21/was-there-ever-a-default-on-us
 ”Gold Clause Cases”
http://www.eagletraders.com/advice/securities/gold_clause_cases.htm
・日本も、大東亜戦争終結直後にインフレを通じたソブリン<国内>債の「広義」のデフォルトを一度経験している(1945年の日本のインフレ率は568%)<ほか、>論文では日本のデフォルト<が>1942年<にあった>としており(P.27)、これは当時の外債について、連合国の投資家への支払を停止したことを指しているようです。
 IMFの以下のレポートでも、同様に日本が1942年にデフォルトしたと、S&Pの資料を基に記載しています(下掲P.45参照)。
 ”The Costs of Sovereign Default”
http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2008/wp08238.pdf
 管理者の素性不明だが、以下のサイトで該当資料を含め経緯を良く纏めている。
http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50663203.html
 ということは、日本は過去に外債と国内債について、厳密にはそれぞれ一回ずつ計二回広義のデフォルトを経験している、と言えるのではないでしょうか(P.46記載の江戸期除く)。
 日本の研究者による論文・著書の中では後者のデフォルトへの言及はあるものの、前者についての記述を見た記憶がありません。
 この点について、他の読者からの情報提供を歓迎致します。
 この<共同>論文の表題の”This Time”を”Japan”と読み替えれば、何故日本のソブリン債は安全か、という日常的に良く聞く説明を連想させます。
 仮に日本のソブリン債のデフォルトのリスクが極めて小さいとして(ゼロではない)、果たして財政政策は日本経済の浮揚に役立っているのでしょうか。
2.乗数効果は低下傾向
 国債発行は景気刺激のための財政政策に必要不可欠だ、という論調は根強いですが、近年財政政策の有効性が以前に比べて低いものとされる実証研究が出ているだけでなく、理論的にも「乗数効果」なるものはそもそも存在しない、という主張もあり、疑義が呈されています。
 以前、コラム#4217で、マンデル・フレミング・モデルの紹介と共に、変動為替相場制を採用し、かつ益々自国経済が世界経済に対して「オープン」になると、財政政策による乗数効果は小さくなることが観察される、という論文*を紹介しました。
 (*さらに、債務残高が高いと乗数効果は益々低くなると指摘している。
“How big are fiscal multipliers?”
http://www.cepr.org/pubs/policyinsights/PolicyInsight39.pdf
 アメリカのオバマ政権も、景気浮揚策として史上最大規模の財政出動を行いましたが、その正当化のためにRomer等が乗数効果を1.6と推計し、一部の経済学者からその推計の妥当性に関し強い批判*が浴びせられました。
 (*“New Keynesian versus Old Keynesian: Government Spending Multipliers”
http://www.socialpolitik.ovgu.de/sozialpolitik_media/papers/Cwik_Tobias_uid804_pid726.pdf
 これは、一国の経済が世界経済に対し益々「オープン」になっていることに加え、乗数効果の推計に使用するモデルが精緻化され、これまでの前提条件が見直された結果、財政政策に伴う乗数効果も以前考えられていたほど高いものではないと考えられるようになった、と言えるようです(詳しくは上掲論文を参照)。
 さらに、財政政策を正当化するため、時の政権は乗数効果を高く推計する傾向にあり、乗数効果を考える上ではこうした「政治上方バイアス」*を考慮に入れる必要があるでしょう。
 (*具体的には、単なる「消費」にも関わらず、将来のための「投資」とカテゴリーすることによって、推計値を高く見積もることが考えられる。“How big are fiscal multipliers?”でも、「投資」の方が、乗数効果が高いと結論付けている。なお、最近の日本の乗数効果については、個人的に当たっていないので、他の読者からのコメントを期待。)
3.乗数効果は「幻」か
 理論的にも、そもそも乗数効果なんてGDP計算上のトリックであって、実質的な経済効果なんてないんだ、という主張*があります。
 (*「乗数効果なんて、幻なんだってば」
http://wiredvision.jp/blog/kojima/200707/200707241130.html
 上記コラムは平易に纏められていますが、この主張の発端となったのが、内閣府参与として菅首相の「経済ブレーン」となり話題となった小野善康氏が発表した論文*というのだから驚きです。
(*発端となった論文はこちら。
“FALLACY OF THE MULTIPLIER EFFECT:CORRECTING THE INCOME ANALYSIS”
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/library/dp/2006/DP0673.pdf
その後、内容を修正して再度発表している。
“THE KEYNESIAN MULTIPLIER EFFECT RECONSIDERED”
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/library/dp/2009/DP0730.pdf
 小野氏というと、「よい公共事業」を推進している積極的な財政政策賛成派*、という認識を一般的には持たれていますが、理論的には乗数効果を否定しており、私も最近彼に対する認識を改めました**。
 (*個人的に上記論文以外、彼の著書は未読。したがって、他人による評論しか読んだことがないが、例えば以下を参照。
「小野善康氏の「よい公共事業」論」
http://news.livedoor.com/article/detail/4824605/
**この一般的な認識と小野氏の学術的な主張の「祖語」については、以下参照。
「「小野理論」批判のよくある誤解」
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20100812#p1
<太田>
 途中で割り込みますが、以下のような発言を読むと、小野教授がそのような一般的な認識を持たれても致し方ないと思いますねえ。
 「国債は国の借金とされるが、政府が発行する手形で金融資産でもある。・・・
 増税は消費税よりも、(低所得層ほど負担が軽くなる)累進性のある所得税の方がいいと思う。ただ、税制は副次的な問題で、不況時こそ政府が雇用をつくるという目的が重要だ」
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100611/fnc1006110740001-n1.htm
 ところで、小野教授は大阪大学(東大博士)、同じ記事に登場する吉川洋教授は、東京大学であり、
 「景気、景気といって(財政再建を)避けるのは、賢い判断と思わない・・・
 財政再建の柱は・・・やはり、消費税の見直しだ。」
というパリパリの財政再建派ですし、コラム#4233で引用した財政再建派の伊藤元重教授も東京大学である一方、他方、榊原英資慶應大学「教授」や高橋洋一嘉悦大学「教授」(東洋大学「教授」を窃盗容疑で書類送検されたことに伴い解任される)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%B4%8B%E4%B8%80_(%E5%AE%98%E5%83%9A)は財政再建派に批判的ですから、「官学」対「私学/財務省OB」の対立って図式ですね。
 これ、「財務省の御用学者」対「財務省に個人的憾みのある同省OB」の対立図式かよって揶揄したくなるのは私の悪いクセか。
 ま、今回に関して言えば、よりタチが悪いのは後者の方だって思ってるんだけど。
<Fat Tail>
4.日本経済の問題はTFPの低下か
 そもそも、日本経済が沈滞し、経済成長を遂げていない問題の根源はTFP(Total Factor Productivity、全要素生産性)の低下*であるという主張も根強く、恣意的な財政政策は特定業界/企業に人的・物的な経済資源を偏重させ、業界を超えた経済資源の再配分を阻害し、日本経済の復活にとって最大の障害である低いTFPの改善をもたらさない**、ということになります。
 (*以下のコラムでは、不良債権問題を含めTFP低下等のマクロ経済的な論点が纏められている。
 「「失われた10年」に学ぶためのブックガイド」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51474652.html
**そのものズバリの論考に目を通したことがあると記憶しているのだが、手元に見当たらない。
 以下の論文は直接財政政策とTFPの関係を論証したものではないが、企業の撤退促進とより効率的な資源配分の重要性を強調している点から、財政政策の結果特定業界/企業がいたずらに受益し延命されているとすると、それがTFP向上を阻害していると類推することは出来る。
 “Why Did Japan’s TFP Growth Slow Down in the Lost Decade?”
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/05e004.pdf
 財政政策の有効性を擁護する人々は、過去20年間の日本の「成果」とその結果としての昨今の財政状況の逼迫に鑑み、こうした批判に具体的なデータと解決方法の提案を用意し、反証する責任があるのではないでしょうか。
5.高橋是清の財政政策をどう評価するか
 さて、コラム#4231で太田さんが、FTの記事を紹介した際、「次著で、日本型経済体制に触れるとして、高橋財政に触れないのは片手オチだけど、どうすべえ?」、と呟いていましたが、実証研究では1930年代における高橋是清の財政政策は、どのように評価されているのでしょうか。
 これまた「通説」と違い、実は議論が分かれていて、それほど単純に結論付けることは難しいようです。(続く)
<太田>
 ウーム、絶好のところで「続く」にされちゃった。
 それにしても、Fat Tailさん、ただモンじゃないですねえ。
<US>
 縄文、弥生モード論でいくと、何か危機があると日本人っていうのは突如として弥生モードに突入するっていうことですよね。
 安全保障の放擲が、縄文モードの顕在化を示す顕著な例としてしまうと、じゃ、独立は、何か危機が発っしさえすれば、日本人はちゃんと弥生モードになって独立しようって言い出すし、独立するよってことになりませんか?
 逆に言うと、危機がないなら、このまま(属国維持。あるいはそんなこと考えるのも不要)でいいっていうことになりませんか?
<太田>
 危機がなきゃ弥生モード化はしないけど、突如として弥生モードに突入するわけじゃーありません。
 「縄文モード・弥生モード論をめぐって」シリーズ(コラム#4136以下(未公開))で、弥生モード・マーク1入りのプロセスを描きましたが、あの時は国内における治安の乱れが原因で、かなり長い時間をかけて弥生モード化しました。
 今現在は縄文モードであるところ、弥生モード化するかどうか・・私としては、モードの交替を止揚する形の変化が起こって欲しいわけですが・・については、政官業の三位一体的癒着構造の下での不祥事の続発を国民の大部分が危機と受け止めたからこそ恒久的自民党政権が打倒されたと考えることができる上、財政危機や普天間問題に象徴される宗主国米国との軋轢をもって危機的状況と考える国民も既に過半を超えていると見ることもできることから、ガバナンス回復という意味での広義の弥生化を求める気運は高まりつつある、と私は認識しています。
 間違いなく、そのダメ押しになるのは、今後加速度的に顕在化するであろうところの、宗主国米国の相対的衰弱です。↓
 ・・・ America has gone from being the supreme victor of World War II, with guns and butter for all, to one of two superpowers during the cold war, to the indispensable nation after winning the cold war, to “The Frugal Superpower” of today.・・・
 Foreign and defense policy is a lagging indicator. A lot of other things get cut first. But the cuts are coming・・・
 When Britain could no longer provide global governance, the United States stepped in to replace it. No country now stands ready to replace the United States, so the loss to international peace and prosperity has the potential to be greater as America pulls back than when Britain did.・・・
http://www.nytimes.com/2010/09/05/opinion/05friedman.html?ref=opinion&pagewanted=print   
 
<MS>
≫クレイギーの話やこの内蒙工作の話を次著に盛り込むとすると、次著の構成、もう一度考え直す必要がありそうだ。難産じゃ難産じゃ。≪(コラム#4234。太田)
 <太田さん、Chaseさん、USさん>のコメントを受けて、目次を見直しました。
 太田さん流の表現だと、<この新しい目次は、>
第一章は読者の興味を引き付けるつかみの章
第二章は、守ろうとしたものは何か
第三章は、その主体
第四章は、敵
第五章は、手段
第六章から第八章は、邪魔者
第九章は、戦略の先進性
が大枠です。
 <前>案との大きな違いは、手段として第五章を加え、その説明として前案の第八章を持ってきたことです。
 各章の結論と、簡単な論の展開の仕方:
1. 現代の戦前の安全保障に対するイメージがアベコベであること。
2. 戦前日本が自由民主主義を守ろうとしたこと。
  論理の展開)昭和天皇のお言葉から、当時日本が自由民主主義だったことが、
少なくとも指導者層の意識であったことを明らかにする。内蒙工作という史実か
ら、戦略目標が自由民主主義の防衛であったことを明らかにする。この二つから
、意識としても、実際の行動としても、戦前日本が自由民主主義を守ろうとした
と結論付ける。
3. 戦前の日本が自由民主・資本主義であったこと。
  大正デモクラシーに見られるように戦前の日本は自由民主主義が成熟しつつ
ある時代であり、戦時中緊急避難的に挙国一致体制がとられるが、それは英国と
比べても明らかなように、それほど異常な体制ではなかった。従って、戦前の日
本は一貫して自由民主主義国であった。また、世界恐慌に対する対抗処置として
、日本型経済体制が整備された。これは現在日本にも引き継がれている体制であ
る。従って、戦前日本は基本的に現在と同じ自由民主・資本主義を兼ね備えた社
会であると結論づける。
4. 戦前日本の敵はロシアであったこと
 横井コンセンサスを説明した後、基本的には史実を並べて、最後にこのように
戦前日本の敵はロシアであったと結論付ける。
5. 戦前日本が現地文化を尊重しつつ自由民主主義と資本主義を普及する戦略をと
ったこと
  福沢諭吉の言をかり、日本人が考えていた日本型帝国主義の姿を明らかにす
る。史実に基づき日本型帝国主義を他国の帝国主義と比較することで、それが国
全体の戦略として実際に行われていたことを明らかにする。この二つを持って、
戦前日本が、意識としても、実際の行動としても、上記戦略をとっていたと結論
づける。
  
6. シナが戦前日本の足を引っ張った問題児であったこと
 論理の流れは担当者におまかせ
7. 米国の干渉が愚行であったこと
 論理の流れは担当者におまかせ
8. 英国が道を誤り実質上敗者になったこと
 論理の流れは担当者におまかせ(シリーズのコピペで済むはず)
9. 戦前の日本の国家戦略は戦後各国によって採用される先進的ものであったこと
 戦後日本の高度経済成長には、戦前に気付かれた日本型経済体制。資本主義中
国もこれを採用。安全保障上の戦略は米国が継承。戦前の米国の愚行のため、米
国および東アジアは大きな代償を払ったが、最終的にはロシアの脅威をなくすこ
とに成功した。このことから、日本の戦前の国家戦略は非常に先進的なものであ
ったと言えると結論付ける。
 
 今後の方針は以下のような感じで行こうと思っています。・・・
タイトル 忘れられた戦前日本の安全保障政策
前書き・・安全保障を忘れた現代日本
1. あべこべな善玉と悪玉~どうすれば日本は勝利できたか(クレイギーの章)
2.自由民主主義を守ろうとした戦前日本
 2.1 昭和天皇の残したメッセージ ~戦前日本の自由民主主義
   →「中共における08憲章について(その1)」が使えると思いま
す。
 2.3 内蒙工作にみる日本の戦略目標
   →「帝国陸軍の内蒙工作」シリーズ
3. 戦前日本とは ~日本流自由民主主義・資本主義が整備された時代
 3.1 大正デモクラシー
   →「日本の民主主義の源も江戸時代」シリーズを短くしましょう。
   他に良いシリーズあるかも?
 3.2 有事の挙国一致体制・・英国との比較
  3.3 世界大恐慌の始まり (<前案の>3.4 と合併?)
   →コラム「世界大恐慌と日米」を使いましょう。
3.4 日本の緊急避難的対応
3.5 高橋財政による景気刺激・兼軍備増強
3.6 日本型経済体制とは
 (経済高度成長を実現した日本型経済体制)
 (アキレス腱の軍事システム)
4.戦前日本の敵とは ~ロシアというならず者(脅威の方がいいかもしれません
が、7から9の目次とそろえたい。)
4.1 横井小楠コンセンサス
4.2 日清・日露戦争
   4.3 共産主義の衣を纏うロシア
4.4 シベリア出兵
5. 戦前日本の戦略 ~日本型帝国主義
  5.1 福沢諭吉の目指した日本流帝国主義
  5.2 各帝国主義との比較
   欧州型帝国主義:収奪目的・・コンゴ、南西アフリカ
   イギリス方帝国主義:長期的収益目的・・インド亜大陸 
   米国型帝国主義:人種主義的使命感・・フィリピン
   日本型帝国主義
    独裁勢力、就中民主主義独裁勢力を脅威とする安全保障目的
    海外軍事基地獲得、やむをえざる時、植民地獲得・・台湾、朝鮮半島、満州
    現地文化を尊重しつつ自由民主主義と資本主義を普及する
   戦後の米国の帝国主義≒日本型帝国主義
6. 支那という問題児
  6.1 支那の問題性
  6.2 孫文の愚かさ
  6.3 蒋介石一派の腐敗
  6.4 毛沢東の狂気
    →「厳しく再評価される毛沢東」シリーズ、コラム「大躍進政策の
    真実」
7. 米国という東アジアへの闖入者
  7.1 米国の仇敵たる英国
  7.2 すべてはセオドア・ルーズベルトから始まった
   7.3 フランクリン・ルーズベルトの愚かさ
   7.4 トルーマンの原爆投下の罪
   (右の節は第10章にまわしましょう。7.5 米国が東アジアで引き起こした惨
   禍)
   参考:日本の戦争犯罪
8. 英国という敗者
   8.1 落第政治家チャーチル
    →同名のコラムシリーズがそのまま使える。
8.2 早すぎた大英帝国の崩壊
    →「チャーチルの第二次世界大戦」シリーズ
9. 引き継がれた戦前日本の国家戦略
 (第九章のはじめに第八章までのながれをまとめて、「このように日本以外の諸国は間違えていた。第一章で述べたように日本も親米英派が足を引っ張った側面はあるが、国家戦略そのものは間違っていなかった。実際に、この国家戦略は戦後各国によって採用されるのである。」といった感じで、第八、第九の間はつなげる・・・)
  9.1 経済体制のみを引き継いだ戦後日本
    (3.6と被るが、
    ここでは「のみ」というところに重点をおいて話を展開)
  9.2 日本流帝国主義を引き継いだ米国
  9.3 米国と東アジアが払った代償(朝鮮戦争、ベトナム戦争)
  9.4 米国による戦前日本国家戦略目標の達成
  9.5「資本主義」中共に採用された日本型経済体制
    →「中共の資本主義」シリーズ
  9.6 結論・・戦前の日本は自由民主主義国であり、その戦略は先進的なものであった。
 まえがきで、「今の日本人安全保障を忘れているけど、戦前の人がどれだけちゃんと取り組んでいたか、ふりかえろうではないか」、あとがきで、「ほら、ちゃんとしてたどころか、とってもすすんでいたんだ。だから自信をもって、独立しようではないか」と、すれば「独立論」としての出版の目的も満たせるのではないでしょうか?
<太田>
 <私が申し上げたように、>過去コラムに余り手を加えないで活かす(省力化する)ことを念頭において、<新しい>章・節編成を考え<ていただき、大変結構だと思います。>
 <ところで、>冷戦の終焉の話まで本文で書くとすると、日本の歴史に関する記述が終戦で終わっちゃうっての不自然じゃないですか?
 米国による日本型帝国主義の承継は、米国が勝手に(不可避的に)行ったわけだけど、それに日本がジュニアパートナーとして参画するのを拒否してきたのはどうしてか、という話を・・・属国論、縄文・弥生モード論<を援用しつつ、>・・・本文でした方がいいのではないでしょうか。
<MS>
 属国論、縄文・弥生モード論は、あとがきにいれていただく方が、構成はすっきりすると思います。
<太田>
 じゃ、そうしますか。
 <私が書くことになった>「後書き」が気楽に書けなくなって、私が大変ですが。
 ブツブツ。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 実にいい傾向だね。↓
 「・・・昨年衆院選の政権公約(マニフェスト)の取り扱いに関しては、状況に応じた修正を主張する菅氏への支持は71%で、マニフェスト通りの政策実現を目指す小沢氏支持は17%にとどまった。
 沖縄県の米軍普天間飛行場問題では、同県名護市に移設する日米合意に沿って進める考えの菅氏支持は47%、同県や米政府と改めて話し合うとする小沢氏支持は36%だった。
 消費税率引き上げについて、菅氏は消費税を含む税制の抜本改革を議論するとし、小沢氏は当面は引き上げない考えだ。この問題での菅氏支持は52%で、小沢氏支持38%を上回った。
 両氏の主張が対立する課題では、いずれも菅氏への支持が多かった。
 子ども手当について、小沢氏が、段階的に引き上げ、2012年度から満額2万6000円を支給するとしていることには、「評価しない」が68%に上った。
 小沢氏は自らの資金管理団体を巡る「政治とカネ」について、「検察の捜査で不正はなかったことが明らかになった」と述べている。これに「納得できない」との答えは85%に達し、世論の支持が広がらない大きな原因となっているようだ。・・・
 菅内閣の支持率は59%(前回54%)に上がり、不支持率は28%(同35%)に下がった。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100905-OYT1T00635.htm?from=top
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太田述正コラム#4238(2010.9.6)
<アナーキズム(その1)>
→非公開