太田述正コラム#4259(2010.9.17)
<皆さんとディスカッション(続x957)>
<Fat Tail>(ツイッターより)
 ”政治的”経済学者たるポール・クルーグマンの面目躍如。
 本を書評するなら、しっかりと読まないと恥をかく良い例でもあります。
Correcting Krugman: http://nyti.ms/d3Gfy8
<太田>
 そんなこと言われちゃ、カネと時間を惜しんで、本(英語の洋書)を読まずに、英米の主要メディアに掲載された書評だけ読んで、本に書いてあるらしいことを要約紹介してきた私なんぞ立つ瀬がありませんや。
 それにしても、ニューヨークタイムス、何であんなにクルーグマンに入れ込んでるんですかねえ。
<roma_sakamoto>
≫サルマン・ラシュディー≪
 私が某Fランク大学のバカ学生であった頃に例の『悪魔の詩』をすぐ後に日本語翻訳した五十嵐一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%8D%81%E5%B5%90%E4%B8%80
先生の講義を受けておりました。
 内容はたしか世界文明史?だったのですが、なにせこちらは基礎的な教養や向学心のかけらもない馬鹿学生、ソクラテスだのプラトンだのマキャべりだの鴎外だの小林秀夫だの名前を聞いても、まったく?だったのですが(恐らく他の受講者も同様)、単位欲しさに授業だけは出ていました。
 先生は親アラブ派でホメイニ革命を高く評価しており、ホメイニ革命をテーマにした演劇の脚本・監督もしておりました。
 お芝居を観れば単位をやるぞと言われ、市民会館に足を運んだことを憶えております。
 それから、まもなくしてサルマン・ラシュディーにホメイニから暗殺指令が出たことは世俗的なニュースとしてもテレビをにぎわしました。
 数年後、私は社会人と無り、ますます、学問とは縁遠い生活を送ることになるのですが、親アラブ派でありながら、筑波大で刺殺され、犯人がわからないという事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A9%A9%E8%A8%B3%E8%80%85%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
にはやはり衝撃を受けました。
 もっとも犯人がわからない以上、先の本の翻訳が原因でイスラム・コネクションから刺客を送られたのか、どうか決めつけるわけにもいかないのですが。
 先生は『悪魔の詩』の文学としての素晴らしさからイスラム社会を知ってもらう上でプラスにこそなれ、決してマイナスではない、と思い、翻訳に至った、そんな意味のことを語っていたように記憶しております。
 ともかく、コラムの本筋とは全く関係ありませんが、それがきっかけとなり思い出し、書き込みさせていただきました。・・・
<太田>
 サルマン・ラシュディに言及されているのは、コラム#174、303、1069、4196なので、どれかをお読みになったということなのでしょうね。
<roma_sakamoto>(ツイッターより)
 私が太田さんに評論して欲しい映画は’10『台湾人生』と’08『TOKYO!』(ボン・ジュノ、レオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリーによるオムニバス)です。
 ちなみに『クロッシング』は観られましたでしょうか。
 私は何だか可愛そうで劇場に足を運ぶ気になれませんでした。
<太田>
 映画評論のリクエストありがとうございました。
 いずれも、これまで鑑賞したことはありません。
<××××>
 コピーする際はかなりテンパってたので、色々ちょんぼしてしまいました・・・・・・。
 <ご質問(コラム#4257)にお答えしますが、>以下の通りです。
大山梓編 『山県有朋意見書』 原書房 1966年
池田清「1930年代の対英観――南進政策を中心に――」『青山国際政経論集』18号 1990年
F.S.G.(Francis Stewart Gilderoy)Piggott 『断たれたきずな』(旧版) 時事新報社 1951年
角田順ほか編『太平洋戦争への道 開戦外交史別巻資料編』(旧版)朝日新聞社 1963年
 『太平洋戦争への道 開戦外交史別巻資料編』の滲み部分は承りました
 また、『断たれたきずな』はちょっち少なすぎたので補完するような形でコピー送りますね。
 (テンパった影響で、本当に少なかった!!)
 第二弾(クレイギーの著書後半部分)も近々送りますね。
<太田>
 さっそくのご回答、まことに痛み入ります。
 首都圏にお住まいのようなので、お時間が許せば、ぜひ今度の10月9日の東京講演(オフ)会にお出まし下さい。
 それでは、記事の紹介です。
 小田嶋隆による分析、後一歩だったねえ。
 私の分析・・メディアの選挙をやったポピュリスト菅が田舎の選挙をやったリアリスト小沢に勝ったということ。
 属国日本においてはそんなことは当面ありえないだろうが、仮に政治について大きな問いを投げかけられたとすれば、菅はノーコメントを決め込み、小沢はゴーストライター達によって用意された想定問答(『日本改造計画』(チト古いか)等)の答えを棒読みするだけだろう。↓
 「・・・小沢さんが負けた。
 民主党代表選挙の話だ。
 菅さんが勝ったのではない。
 小沢さんが一方的に負けたのだと私は考えている。一人相撲での一人負け。決まり手はお手付き、だろうか。・・・
 小沢一郎とは何だったのか・・・
 小沢一郎は、なにより選挙の達人だった。
 そして、政党内においては、議員の品質や政策の如何よりも、なによりもまずひたすら議席の数を束ねることに腐心するリーダーだった。
 つまり、徹底したリアリストだったということだ。・・・
 選挙すなわち議席の確保自体を自己目的化しているかに見える小沢一郎の政治手法・・・
 選挙では誰もが田舎者になる。縄張り根性と地域エゴと地盤と看板。集票マシンと握手と連呼。とてもじゃないが政策を語っている時間はない。・・・
 議席を生産する能力を極限まで洗練した政治家が小沢さんだったということだ。
 そして、そんな小沢さんに力を与えたのは、政治について、大きな問いを投げかけることをやめた、われわれ自身でもある。・・・
 でも、小沢さんは敗れたと思っていない。
 今回は、メディアの選挙だった<からだ>。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100916/216260/?P=1
 第三世界化する米国、状況は一層深刻に。↓
 One in seven Americans is living in poverty, the highest number in the half-century that the government has kept such statistics・・・
 Last year was the third consecutive year that the poverty rate climbed, in part because of the recession, rising from 13.2 percent in 2008 to 14.3 percent, or 43.6 million people, last year. ・・・
 In addition, 51 million Americans were uninsured, as the number of people with health insurance dropped from 255 million to less than 254 million — the first decrease since the government started keeping track in 1987. The number would have been worse because 6.5 million fewer people got insurance through their jobs, but it was offset by a leap in government-backed health insurance. More than 30 percent of Americans now get coverage from the government. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/16/AR2010091602698.html?hpid=topnews
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太田述正コラム#4260(2010.9.17)
<チェンバレンの対独宥和政策の評価>
→非公開