太田述正コラム#4343(2010.10.29)
<皆さんとディスカッション(続x998)>
<通りすがりのPD改め通りすがりの准教授>
 太田様の10/27のblogで、
 『日本の大学のランキングが下がったことに不満囂々のようだが、ランキングが長期低落傾向にあるのは間違いない。
 高等教育への財政支出を増やすこと、大学の国際化を飛躍的に図ること、をとにかくやらなきゃならない』
との指摘がございますが、元記事であるトムソン・ロイターのランキング↓
http://science.thomsonreuters.jp/press/releases/esi2010/
を見てみますと、個々の分野、とりわけ産業に直結する物理や化学などの基盤自然科学分野では、それぞれ東大が2位、京大が4位など、それほど悪い結果というわけでもありません。
 (ちなみに、それぞれ世界TOPは独マックス・プランク研究所と、中国科学院です)
 国際化についても、最高レベルの成果を出した人材を海外から教員として招聘したり、あるいは「スーパー准教授」という若手抜擢制度によって顕著な成果を挙げた留学生を呼び戻したり、という対策を東大はしばらく前から取っているようです。
 さらに最近では、スピントロニクスの東北大、量子情報の東大、高温超伝導の東工大・・・といったような特定専門分野を各大学の顔として予算や人材の面で強化する施策がなされており、短期的には好ましい状況でもあります。
 ・・・しかしながら、日本の大学の長期低落傾向自体は、「高等教育への財政支出や大学の国際化」程度ではどうにもならず、今後ますます深刻になってゆくでしょう。
それは、全く別のところに原因があります。
<太田>
>全く別のところに原因があります。
 ぜひ、ご教示たまわりたいですねえ。
<δδιι>(「たった一人の反乱」より)
 <前回、>末尾の「サウイフモノニワタシハナリタイ」を入れなかったのは、余計な一言(愛を叫ぶ…)を入れてしまったので単純に忘れただけなんだけど、太田さんが問題視したように、サウイフモノニワタシハナリタイ人ってのはそう多くはいないよね。
 人生波風立てずに、炬燵で鼻毛を抜きながらチビチビと酒を飲み屁をひるような、そんな安寧の中でまっ~たりとした生涯を送るのが人生なんだと…あー、それもいいなぁ。
<太田>(ツイッターより)
 最近映画評論のリクエストが出ないね。通常のビデオショップの店頭に並んでいない映画のリクエストがこれまでもあったけど、恐らく取り寄せも可能だろうが、ここに行けば、映画、何でもそろうって店ないのかなあ。
<chihilo>(同上)
 私は「世界中がアイ・ラヴ・ユー」が堪らなく好きです。
 シェイクスピアでは「夏の夜の夢」。
 チェスタトンも夏の夜の夢が大好きで、「我々イングランド人気質をこれほど表している作品は他に無い」と言っていました。
 アングロサクソンの「楽しさ」を愛する心が好きです。
<太田>
 この2本かあ。↓
Everyone Says I Love You
http://en.wikipedia.org/wiki/Everyone_Says_I_Love_You
A Midsummer Night’s Dream
http://en.wikipedia.org/wiki/A_Midsummer_Night’s_Dream_(1999_film)
 どっちも米国の映画ですねえ。
 今まで私の映画評の対象になってきた映画とはジャンルがちょっとズレてて、一興かもしれませんね。承りました。
<TA>
 太田さんの映画評論にふさわしいかどうかは分かりませんが、私が大好きな映画を
リクエストします。
「スミス都へ行く」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9%E9%83%BD%E3%81%B8%E
8%A1%8C%E3%81%8F
「エビータ」 (映画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%BF_(%E6%98%A0
%E7%94%BB)
 ところで、太田さんは↓のような「取り寄せ」ではダメなのでしょうか。観たいも
のが決まっている場合は、非常に便利なように思えますが・・・。
TSUTAYAの宅配レンタル
http://www.discas.net/netdvd/stJGglLpTakuhaiRental.do;jsessionid=8C10F7D38225B815E4FCCF3D863CCD1B
<太田>
 2本の映画については、承りました。
 また、取り寄せ情報、どうもありがとうございました。
<TA>
 話は変わりますが、↓のような「調書」に関心はありますか?もしよろしければ、小倉和夫著「吉田茂の自問」から「調書」の部分のコピーをお送りします(ついでに上記映画のDVDも)。
 「「日本外交の過誤」と題された調書がある。といっても、尖閣諸島沖で起きた中国人船長逮捕をめぐるこの間の駆け引きを分析したものではない。満州事変から敗戦に至るまでの日本の外交が、それぞれの局面でどう間違ったのか、現実にとりうる他の選択肢はなかったのか。敗戦から6年、時の首相、吉田茂の命を受け、外務省の若手外交官たちが分析し、まとめた文書だ。」
 「先輩たちが陥った誤りを、その多くが存命中に後輩たちに聴取、検証させるという思い切った手を吉田がとったのは、悲惨な結末を招いた過去から、中立的な実務家の目で教訓をくみ取らせ、未来に生かしたかったからだろう。調書は50年以上極秘にされていたが、03年に公表され、国民共有の財産になった。外務省まで行かずとも、小倉和夫著「吉田茂の自問」などで読める。」
http://124.83.167.158/select/opinion/hasshinbako/news/20101019ddm00407001800
0c.html
[書評]吉田茂の自問―敗戦、そして報告書「日本外交の過誤」
http://jseagull.blog69.fc2.com/blog-entry-582.html#more
<太田>
 関心、大いにあります!
 実費を教えていただければ、次回の会費からさっ引かせていただきます。
<太田>(ツイッターより)
 (コラム##4284に関し)1613年の日英国書交換(日英貿易開始)、1902年の日英同盟、1951年の日米安保条約、と日本・アングロサクソン同盟は更新されてきたけど、英国(含、加・豪・ニュージーランド)を入れた第4次同盟にしようぜ。
<タテジマ>
 提携したようなのでやりましょう。↓
 いいねボタン も欲しいので。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20101028_facebook_mixi/
<太田>
 実際に開始されたら教えて下さい。
 それでは、記事の紹介です。
 ヒト、カネのみならず、モノでも日本は鎖国状況じゃー!↓
 「・・・国際通貨基金(IMF)といった国際機構が2009年に共同作成した主要20カ国・地域(G20)経済指標によると、日本の輸出の国内総生産(GDP)比は11.4%で16位、輸出は10.8%で18位だった。統計を得ることができないサウジアラビアを除けば、事実上の最下位だった。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20101029000024
 万博見学に招待し、1度キャンセルしてから再招待してくれただけでも、学生達にとって勉強になったと思うが、その上、取材妨害までしてくれるとは、中共当局はホントにエライ。長期的視点に立って日中関係を推進しているってワケだ。
 この深謀・配慮のおかげで、学生達は中共の何たるかを身に染みて学んで帰国することだろうて。↓
 「尖閣諸島沖の漁船衝突事件の影響で延期された「日本青年上海万博訪問団」の・・・日本の大学生ら約700人が28日、中国館などを見学したが、記者との接触を禁止。カメラの前に私服警官らが立ちはだかるなど露骨な取材妨害が相次いだ。
 関係者によると、28日朝、滞在中は記者の取材を一切受けないよう指示されたという。自由時間でも中国側関係者が同行し、記者と話そうとする若者に「おしゃべりもしてはいけない」と阻止。日本の大手メディアのカメラマンが写真撮影しようとすると、カメラの前に地図を広げ、妨害した。ホテルからの外出も自粛するよう言われ、参加した女性は「私たちはかごの中の鳥みたい」と戸惑った。・・・」
http://www.asahi.com/international/update/1029/TKY201010280623.html
 中共当局、日本の経済界にも、中共の何たるかを身に染みて分からせてくれるとは、青(上述)のみならず壮(老年)に対しても長期的視点に立って日中関係を推進していて、その配慮ぶりには涙が出るねえ。↓
 ・・・Having blocked shipments of raw rare earth minerals to Japan since mid-September, and to the United States and Europe since early last week, Chinese customs agents on Thursday morning allowed shipments to resume to all three destinations・・・
 Shipments to Japan, however, still face additional scrutiny and some delays・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/29/business/energy-environment/29rare.html?ref=world&pagewanted=print
 中共当局よ、こんな非論理的な文章、太田コラムの読者コラムにも採用できねえぞ。↓
 「西側の一部勢力およびこれに呼応する一部の者は長年にわたり、政治体制改革の提言にかこつけて、多党制と三権分立を柱とするいわゆる「憲政改革」案を絶えず持ち出し、西側の民主・自由・人権を喧伝し、人々の耳目を惑わし、中国共産党による指導と社会主義制度を攻撃してきた。・・・この種の認識は思想的に間違っており、行動上も有害だ。・・・
 西側の政治モデルが形成された背景は不名誉なものだし、コピーもできない。第1に、西側先進国の発展は長期間にわたる、大規模かつ衝撃的な歴史的強奪・略奪を基礎に築かれたものだからだ。・・・
→私は不同意だが、「三権分立」のところは若干事実誤認があるものの、全般的にはカッコイイねえ。サービスで拍手喝采。(太田)
  現在までのところ、西側民主制度をコピーして成功した第三世界の国は基本的にない。その重要な原因は富の基盤の欠如だ。・・・
→オイオイ、中共で富の基盤が充実したらどうするのよ、と心配させるじゃないの。(太田)
  西側先進国は18世紀に始まり、現在わずか10数カ国しかない。その総人口は世界の7-8分の1、つまり10億人またはそれ以下だ。金持ちクラブ内の人口を増やすことは不可能だ。そのライフスタイルを世界中で通用させることはできないからだ。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7180963.html
→だから、中共は永久に富の基盤を充実させはしないって宣言しちゃったに等しいけど、ムチャクチャやおまへんかー。(太田)
 「・・・30数年来、政治体制改革はわが国の包括的改革の重要な一部として、常に経済・社会発展、政治参与への人民の積極性の高まり、時代の変化に伴い、深まり続けてきた。政治体制改革のたゆまぬ推進は、全党・全国各族人民の創造性・積極性・主体性を喚起し、党と国家の活力を保ち、社会主義民主を拡大し、社会主義法制を整え、わが国の人権事業を促進し、経済・政治・文化・社会の全面的・協調的発展を力強く促し、社会主義現代化事業を制度面から支え、法治面から保障した。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7179811.html
→中共当局よ、「民主」、「人権」なんちゅう西側の概念(直接的には日本語)を使っちゃあダメよ。「カッコイイねえ。拍手喝采」とお世辞言ったけど撤回しようかな。(太田)
 米国の諜報予算は年間800億ドル(≒6兆5000億円)だとよ。↓
 ・・・The so-called National Intelligence Program, run by the CIA and other agencies that report to the Director of National Intelligence, cost $53.1 billion in fiscal 2010, which ended Sept. 30, while the Military Intelligence Program cost an additional $27 billion.
 Spending on intelligence for 2010 far exceeded the $42.6 billion spent on the Department of Homeland Security and the $48.9 billion spent on the State Department and foreign operations. ・・・
 ・・・more than $3.5 billion spent in Iraq and Afghanistan・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/28/AR2010102807237_pf.html
 中世の欧州における拷問や残虐な処刑は善意にもとづくものだったし被告や処刑者の希望にも合致してたんだって。カトリシズムはおっとろしー。↓
 A German researcher has studied medieval criminal law and found that our image of the sadistic treatment of criminals in the Dark Ages is only partly true. Torture and gruesome executions were designed in part to ensure the salvation of the convicted person’s soul.・・・
 the executioners of the Middle Ages were not driven by such sadistic impulses. Instead, for the general good, they sought to pacify the “offended God.” “The Christian authorities also subjected wrongdoers to gruesome punishments so that they could attain eternal life,” says Schild. The prevailing view at the time was only when the refractory body had been softened up would the soul be liberated and ready for God.
 The firm belief in the purifying power of physical pain was widespread. A number of condemned criminals even martyred themselves voluntarily to prove their integrity or secure their place in the afterlife. ・・・
http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/0,1518,725629,00.html
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太田述正コラム#4344(2010.10.29)
<ガリレオ(その3)>
→非公開