太田述正コラム#4369(2010.11.11)
<皆さんとディスカッション(続x1011)>
<δδΛΛ>(「たった一人の反乱」より)
≫監視カメラのないところで公共無線LANでも使ってアップしたりゃバレなかったのでは?≪(コラム#4367。太田)
 うp主が防犯カメラの解像度を知るすべもなかったでしょうが、自首しなければバレなかったかもしれませんね。
 「防犯カメラの映像は鮮明ではなく、パソコンの通信履歴は再起動で消去される仕組みとされ、解析は難航している。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010111190071221.html
 「今回のネットカフェは、雑居ビルの4~7階に入居。JRや私鉄、地下鉄の駅に近く、第5管区海上保安本部や神戸海保がある神戸第2地方合同庁舎からも約800メートルしか離れていない。
 利用する際に身分証明書が不要な手軽さもあって、週末などには終電に乗り遅れた人が宿泊目的で利用することも多いという。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101110/crm1011102137054-n1.htm
 船長との会話の雰囲気からして、うp主はインターネット音痴で、身分証明書不要のネットカフェでアップすれば特定されないと思ってたけど、神戸と特定されて、ビビったんじゃないかなあ?
 「船長らが「ここまできたら犯人わかるね」と話していると、保安官の様子がおかしくなった。船長は勤務が明けた同9時10分ごろ、船内の事務室で尋ねた。「体調がおかしいのか」
 保安官は「船長は知らない方がいいです」と答えたが、船長が「自分は船長だから、部下のことは知っておかねばならない」と重ねて問うと、映像を投稿したのは自分だと打ち明けたという。」
http://www.asahi.com/national/update/1111/TKY201011100552.html
 「流出した映像は4日夜、「sengoku38」の登録名で動画サイト「ユーチューブ」に投稿され、5日朝、投稿者自身によって削除された。海保関係者によると、保安官は4日は非番だった。」
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010111102000017.html
<δΛΛδ>(同上)
 ・・・ヒトの口に戸はたてられないってやつだ。 沈黙を守り通すほうが、よっ ~  ぽど困難。
まー、単独犯と云っているが一寸無理筋だよな…現在、落としどころを模索中なんだろ。
 都の高慢閣下が、米国の仕業と云ってるが本当ならば真相は闇へと…で、既に筋書き(決着)は出来ていると考えるほうが妥当なんだろーね。・・・
 これを機に、現場でも(海保の)士気が上がるような毅然とした対応を取れる態勢を取れるようになることを望むし、日本の危機感の無い属国ぶりと家畜状態をどんどん晒して欲しいもんだ。
<太田>
 やっぱ単独犯じゃあなさそうだね。↓
 「・・・保安官は事情聴取に対し、自ら映像を持ち出したことや神戸市のインターネットカフェに行ったことを認めているが、いつ、どこで入手したかについては具体的には明か<していない。>・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010111190071221.html
 「・・・保安官は衝突事件の前後に11管<(那覇)>で中国語の研修を受けていた。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1110/TKY201011100542.html
 このことと関係があることだが、以下のどっちが正しいとしても、これまでの海保の説明はウソだったということになりそうだ。↓
 「・・・各地の海保で撮影した映像や画像は、ほかの地域の海保職員らと情報を共有するため、海保ネット内からアクセスし、コピーなどで入手できるようパソコンの「共有フォルダー」に保存。パスワードなどを入力すれば閲覧できた・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010111101000010.html
 「・・・映像は衝突事件が発生した9月、11管から海上保安庁本庁を経て、5管を含む複数の管区に渡っていた・・・
 海上保安庁はこれまで、11管の石垣海上保安部が那覇地検に提出した十数本の映像資料の一つと説明していた。このため内部調査の対象を11管の職員らに絞ってきた。だが複数管区に映像が拡散していたとすれば、国会などでの海保側の説明と異なることになる。」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101111k0000m040146000c.html
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4112に関し)昨夜から書き始めたシリーズ(未公開)で、日本の戦争前後の外務官僚達が軒並みいかに無能で「国賊」的であったか改めて痛感している。
 憲兵隊が吉田茂らを目の敵にした理由がやっと分かってきた思いだ。
<MS>
 ・・・『吉田茂の自問』シリーズ<(未公開)>、まだ、始まったばかりですが、是非次著のどこかにいれさせてください。
 ところで、同コラムの下記の引用箇所、
 「<昭和11年には日独防共協定が締結され、>翌昭和12年には、イタリーが防共協定に参加し、日独伊三国間の協定になった・・・ソ連ないし、国際共産勢力なるものの脅威は、当時国際的にさほど感ぜられていなかった。ソ連自身は革命以来、第二次大戦の直前までは、少くとも、対外武力行使に関する限り、ずっとおとなしくしていた。コミンテルンなるものの活動も、ソ連以外のどの国でも共産革命を成就せしめえなかった位だから、国際的な対抗措置を講ずる必要がある程の脅威とは認められていなかった。それに反して、日独伊の方が国際的に脅威を感ぜられていたのである。日本が中国に進出するに際しては、よく防共ということを口にしたが、それはいわば口実であり、又、一般にそう認められていた。従って、世界の非共産主義諸国の反共聯盟の結成というようなことは、全く夢に過ぎなかったわけである。今日の世界の情勢にかんがみれば、先見の明があったといえないこともないかも知れないが、果してどれだけまじめであったか疑問であり、又たとえ先見の明があったにしたところで、一般に受け入れられなければ、現実的に は無意味である。」(<1951年の外務省報告書 >101~102頁)
 このままだと全く意味のわからない文じゃないですか?
 太田さんのコメントを読まずに読んだら、何回読んでも文章の論理が理解できませんでした。
 文脈に沿って素直に読もうとすると「一般」と「国際」が、「日独伊」を含み、かつ、「ソ連」を除く、国際社会であるはずなので、そう思って読むと、文章が自己矛盾して全く意味が通らない。
 太田さんのいうように「一般」を「英米」(そして「国際的」を「英米の間で」)と読み替えて初めて意味がとおりますが、要はただの事大主義なんですね。
 ちょっとしたパズルのようで面白かったです。
<太田>
 現在の日本の官僚機構のダメさかげんを、約半世紀、物の見事に先取りしていたのが、戦前の昭和期の外務省であったということです。
 当時、まだ吉田ドクトリンがあったわけではなく、従って日本はどこの国の属国にもなっておらず、外務省は日本の外交・安全保障政策の中心であったというのにね。
 当時の外務官僚達は、日本の国内や支那のことを真剣に知ろうともせず、任地先、とりわけ欧米の任地先の指導者達が語るタテマエ論を真に受けて洗脳され、日本の軍部や日本の一般国民をバカにし、軍部の足を引っ張り、任地先では、毎日パーティーをハシゴするばかりで、実質的な仕事は碌にせず、カウンターパートに機密情報でも何でもおかまいなしにベラベラしゃべり、日本帝国を滅亡へと追いやったところの、まさに「国賊」であった、と言っても過言ではありません。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 米国に、「左」の民主党と「右」の共和党しか存在しなくなった状態が問題なのだから、今こそ中道政党が出現すべきだってよ。↓
 ・・・Having our two-party duopoly control the terms of debate may have sufficed when America was the world’s dominant economy, with little competition. But those days are gone. The challenges we face are serious. People know our current arrangements aren’t up to them. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/11/10/AR2010111003489_pf.html
 ペイリンおばさまなしではやっていけないけど、彼女と一緒じゃ将来は絶望的、という、共和党のハムレット的悩みが描かれている。↓
 Watching Palin drop foreign policy and economic nuggets into the twitterverse confirms that the real agenda for Palin is President Palin, and therein lies fresh terror for Republicans. She’s too powerful to ignore, and too (fill-in-the-blank) to take seriously.
 She is – in a word yet again whispered rather than uttered – “Dangerous.”
 Not only would Palin the presidential candidate drive away other Republican candidates, but she would most certainly lose a national election. Thus, the GOP finds itself in a pickle: How to shed itself of this attractive nuisance?
 The answer, alas, is the stuff of all complicated relationships: Can’t live with her, can’t live without her.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/11/09/AR2010110905008_pf.html
 共和党が米下院で多数を制したことより、州知事ポストと州議員ポストを大幅に増やしたことの方が、米国の今後にとって深刻だ、と指摘されている。↓
 The Republican Party’s most visible triumph last week was in the House of Representatives, but the more lasting ? and possibly more destructive ? result was in statehouses across the country. Republicans won more than 690 new legislative seats, taking back at least 19 state chambers and 10 governor’s seats from Democrats. Republicans previously had been in full control of nine states; now they will fully control at least 20. ・・・
 States have long been in the paradoxical position of being closer to the lives of voters than the federal government, while receiving far less scrutiny and attention. But if Republicans begin abusing the privilege they have been handed, imposing unconscionable cuts and claiming an unfair partisan advantage, they may find the public’s outrage turning back on them in a hurry.
http://www.nytimes.com/2010/11/10/opinion/10wed1.html?ref=opinion&pagewanted=print
 ノーベル平和賞委員会の決定を中共の司法制度と法制度への挑戦であると非難する中共当局が、自らその司法制度と法制度を蹂躙して恥じないとはこれいかに、と鋭いツッコミがなされている。↓
 ・・・Several Chinese activists and foreign human rights observers pointed to what they called a central irony of the Chinese government’s position. Chinese officials have sharply criticized the Nobel committee’s decision because, they say, Liu is a convicted criminal and the award shows “disrespect” for China’s judiciary and legal system. At the same time, they said, by placing dissidents under house arrest, or blocking them at the airport from traveling, officials are violating the very rule of law they criticize others for disrespecting. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/11/09/AR2010110903740_pf.html
 財政再建のために、長期に亘って、英国が空母を失うことになることに対し、退役海軍提督達が異議を唱えた。↓
 <アルゼンチンにフォークランドを今度こそ奪取されちまうぞってさ。(太田)↓>
 ・・・A group of retired British admirals has publicly attacked the decision of Prime Minister David Cameron’s government to scrap Britain’s only aircraft carrier and its entire fleet of Harrier jump jets, saying it exposes the Falkland Islands to renewed attack by Argentina. ・・・
 “In respect of the newly valuable Falkland Islands and their oil fields, because of these and other cuts, for the next 10 years at least, Argentina is practically invited to inflict on us a national humiliation on the scale of the loss of Singapore ? one from which British prestige, let alone the administration in power at the time, might never recover,” the letter said.
 <何と日本軍によるシンガポール陥落まで引き合いに出されてる。(太田)↓>
 The reference to Singapore summoned memories of one of Britain’s greatest 20th-century military disasters, the Japanese conquest of Singapore in February 1942, which historians have called one of the worst defeats ever suffered by Britain’s forces. ・・・
 <何で長期に亘って空母を失うことになるのかが説明されている。(太田)↓>
 The new defense configuration also involved another highly contentious move: the go-ahead for a $9 billion program to complete two new aircraft carriers already under construction in British shipyards, and to equip one of them with a new generation of aircraft, a naval version of the Joint Strike Fighter.
 The decision attracted widespread criticism, in part because the government said it was cheaper to finish building the carriers than to scrap them. It has said it intends to sell one of the two carriers within three years of its entering service, and does not expect the second to be operational, with aircraft, before 2020.
 That left Britain with the prospect of a 10-year gap without any carrier-borne strike aircraft・・・
 <1930年代に、やっぱり大蔵省主導で軍事費の伸びが抑えられたために、危うくナチスドイツにしてやられるところだった、とトリはやはりヒットラーがつとめてたな。
 なお、昨日の私のコラム#4358(未公開)中の日本のロンドン軍縮会議脱退のくだり参照。(太田)↓>
 “The last treasury-driven ‘10-year rule’ in the 1930s nearly cost us our freedom, faced with Hitler,” they said, referring to a military strategy that assumed Britain would have a decade to prepare for war with Germany, with resulting weaknesses that Hitler exploited. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/11/11/world/europe/11britain.html?_r=1&ref=world&pagewanted=print
 世銀のゼーリック総裁が金本位制への「復帰」を示唆したことをめぐる小特集をNYタイムスが組んでいた。
 関心あるむきは読まれよ。↓
 Robert Zoellick, the president of the World Bank, wrote an article in The Financial Times this week, arguing that it might be time for a new international system of adjustable exchange rates that would use gold as a reference point for inflation and currency values. “Although textbooks may view gold as the old money,” Mr. Zoellick wrote, “markets are using gold as an alternative monetary asset today.” ・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/09/back-to-a-gold-standard?ref=opinion
 欧州文明の南バージョンは平時における市民の権利の侵害だ。
 フランスがおかしくなりつつある。↓
 ・・・Over the past three years, the French have become more or less accustomed to Sarkozy’s cronyism and the perceived “Berlusconi-ization” of the nation’s media. ・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,727986,00.html
 上記南バージョンのもう一つの雄イタリアは、おかしくなってから久しいけど、市民は無関心だ。↓
 Pious Christians regard him as sick but many ordinary Italians are cheering him on. Prime Minister Silvio Berlusconi may grope his way from one scandal to the next, but issues of morality are not likely to cause his downfall.・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,728189,00.html 
 欧州への農業の伝播は農業技術を持った人々の移住によってなされ、彼等は先住民と共棲したらしい。時代はずっと下るが、日本の弥生人と縄文人との関係に酷似してるね。↓
 Scientists analysed DNA from the 8,000 year-old remains of early farmers found at an ancient graveyard in Germany.・・・
 ・・・the first farmers in Europe had a much greater genetic input from the Near East and Anatolia, than from populations of Stone Age hunter-gatherers who already existed in the area・・・
 The analysis also revealed that the hunter-gatherer population living in Europe did not die out as a result of the “invasion” of the migrants from the Near East.
 Instead, the two groups mingled together, which resulted in “mixed” ancestry・・・
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-11729813
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太田述正コラム#4370(2010.11.11)
<『吉田茂の自問』を読む(その2)>
→非公開