太田述正コラム#4367(2010.11.10)
<皆さんとディスカッション(続x1010)>
<Nelson>
≫「…ソマリアの首都モガディシオを出港したアフリカ連合(AU)の平和維持活動(PKO)部隊の船舶を護衛していたEUの軍艦が、IZUMIに乗った海賊からライフル銃で攻撃された。」≪(コラム#4365。太田)
 各国海軍の海賊対処活動により海賊活動がやりにくくなったので、海軍にこのような強行な態度をとるようになったのでしょうね。
 ソマリアの海賊は、組織化された相当大きなバックを抱えていると聞きます。
 海賊対処はソマリアが安定するまで半永久的に続きそうです。
 であるなら、海自のジブチ基地…あったほうがいいんじゃないでしょうか。
<太田>
 サンキュ。
 だけど、せっかくなら、何か典拠つけて欲しかったな。
<ΛδδΛ>(「たった一人の反乱」より)
 尖閣答弁「虎の巻」報じられ…仙谷氏「盗撮された」
http://www.asahi.com/politics/update/1109/TKY201011090470.html
 本日も変わらず脇の甘い仙谷氏でした。
 そんな事はどうでもイイとして、
 日米 レアアース確保で協力へ
 「日本が最先端の技術を持っているといわれる代替材を共同開発すること。
技術を盗まれた上に何だかんだと難癖付けられて代替技術の使用を禁止され、アメリカの高いレアアースを買う以外に道がなくなる未来が見える…。」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20101109/k10015114681000.html
<δΛδΛ>(同上)
 まさに土下座外交のお手本ですね。
<太田>
 NYタイムスがレアアース小特集を組んでたので紹介しとこう。(順不同)
 米国はレアアース精製技術や、製品に使用する技術で中共に遅れをとってしまっているとよ。↓
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/08/can-the-us-compete-on-rare-earths/for-the-us-starting-a-rare-earth-mine-is-the-easy-part
 レアアースを使用した製品の製造企業がそのレアアースの再利用について永久に責任を負う体制を構築すべきだとさ。↓
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/08/can-the-us-compete-on-rare-earths/how-to-mine-rare-earths-in-our-own-back-yard
 今回の中共の動きを契機にして、米国、豪州を中心にレアアース生産に(再)参入する国が増えたので、レアアース「不足」問題は急速に解消に向かい、近い将来、中共との間で、ダンピング競争が起こる心配があるとさ。
 米国に関しては、軍需ではレアアース問題は心配がいらないが、エコ製品製造企業を中心に民需では心配しなければならないらしい。
 いずれにせよ、米国はレアアース自給能力と輸出能力を確保することで、中共の影響力を排したい国々に頼りにされる存在になる必要があるとしている。↓
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/08/can-the-us-compete-on-rare-earths/a-glut-of-rare-earths 
 中共のレアアース既知埋蔵量は世界の36%でしかないので、早晩、一国だけでは世界のレアアース需要を充たせなくなるのは必至だった、と指摘。
 米国は、中共のように危険や環境汚染を伴いながらレアアース生産を行わなくて済む技術的・行政的能力を持っているので、レアアース生産を再開すべきだとしている。↓
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/08/can-the-us-compete-on-rare-earths/china-will-tighten-its-rare-earths-supplies
 石油依存から離脱するために太陽エネルギーを利用したり電気自動車をつくったりしてきたわけだが、それは結局、石油依存に代えてレアアース依存にしただけのことだ、という見方もできるとさ。↓
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2010/11/08/can-the-us-compete-on-rare-earths/america-should-not-panic-about-rare-earths
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4365に関し)日本の戦後体制は、人類史上空前(絶後?)の自発的属国体制という異常なものだ。
 その破壊の先駆けとなったのが、小沢(未開人)と鳩山(宇宙人)という異常な二人であったことは、やむをえなかったのかもねえ。
<植田信>(2010.11.2)http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=40&
 ・・・太田述正氏の最新の一言コメント。
 「中共、ロシア、そして宗主国米国サマまでよってたかって日本に自分のアタマで考えることを促してくれている。どうしてこんなにみんな親切なんだろう。この期待に応えて、ぜひとも「独立」目指そうじゃないか。 」<(ツイッター→コラム#4353)>
 ホントにその通り。
 不気味になるほど、列島周辺国の親切なこと。
 戦後60年、日本人の脳死ぶりを、ここにきて見るに見かねてきたのでしょう。
 列島の周りにも、普通の人間が、毎日の生活のために必死に生きているぜよ、と。
 時代のここらあたりで戦後の日本史についに時代変革への大きなうねりが来るのかもしれません。
 このうねりは、昨年の政権交代をも青ざめさせるほどの変革になるしかもしれません。つまり、新自民党政権がやるにせよ、政界再編後の新党がやるにせよ、吉田茂体制をついに変えようとする動きになるでしょう。
 そうなるには、もう少し列島周辺国に親切になってもらわないといけません。
 それには、現在の菅政権がベストです。
 この政権が続く限り、環境が整います。・・・
<植田信>(2010.11.4)http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=30&
 ・・・アメリカの太平洋政策は、もちろん、帝国主義戦略ですよ。
 日本も、その一部です。
 第二次世界大戦は、日本人の常識では、日米戦争となっていますが、イギリスでは極東戦争であり、アメリカの認識では、太平洋地域における大英帝国からアメリカ帝国への覇権の移動です。
 だから、ヤルタ会談でも、カイロ会談でも、チャーチル首相の最大の敵は、ドイツでも、日本でもなく、F・ルーズベルト大統領でした。イギリスの植民地をアメリカに獲られてなるものか、と。
 軍事的センスを喪失した戦後の時代、日本人はこういう重大なところへ踏み込むインセンティブも同時に失いました。
 この点、さすがに防衛庁官僚だった太田述正氏は、このセンスを持っています。やはり、職業が人をつくる、というのでしょうか。・・・
<太田>
 宣伝していただけるのはありがたいが、私と結論だけはおおむね一致するってんじゃ、植田さん、日本の「右」の方々と同じじゃん。
 話変わるが、Wikipig.infoというサイトで、私についての情報がコンパクトにまとめられてた。↓
http://jibiki.info/j/cc/c7/f4/0dded60a64f73f6086f052464f1374a6.htm
 また、find Wikiというサイトで、日本の核武装推進論者、として、私の名前が、麻生太郎、安倍晋三、石原慎太郎、城内実、日下公人、小池百合子、小林よしのり、櫻井よしこ、清水幾太郎、副島隆彦、田母神俊雄、中川八洋、西村眞悟、野田佳彦、野田毅、橋下徹、伴野豊、兵頭二十八、平松茂雄、福田和也、ら30人のうちの1人として挙げられてた。 これは名誉か不名誉か。↓
http://findwiki.info/p-09c760c282f039d75c18d64d0ce1cd5699a8f1.html
 それでは、その他の記事の紹介です。
 監視カメラのないところで公共無線LANでも使ってアップしたりゃバレなかったのでは?↓
 「沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像が流出した事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)の神戸海上保安部に所属する40代の男性職員が10日、上司に「自分が映像を流出させた」と話したことが分かった。・・・
 グーグル側が任意提出は困難と回答したため、裁判所の令状を取ったうえで、9日に投稿記録を差し押さえた。東京地検と警視庁が、投稿記録を調べたところ、神戸市内の漫画喫茶が浮上した。
 5管は1948年に神戸海上保安本部として設置された。大阪や神戸、和歌山など7カ所に保安部があり、ホームページでは「ユーチューブを利用して海難救助やイベントなどの臨場感あふれる映像を配信している」としている。」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101110k0000e040049000c.html
 「・・・堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)は「『職務上知り得た秘密を漏らしてはならない』と定めた国家公務員法違反に抵触するかどうかが問題になるが、最高裁はその『秘密』は非公知かつ保護するに値すると認められたものに限ると判示している。ビデオ映像はすでに国会議員には放映されており、非公知性の点で『秘密』と言えるかどうかはなはだ疑問だ。逮捕したとしても公判維持をするのはかなり難しいのではないか」と話している。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101110/trl1011101429006-n1.htm
 米国は特別のスゴイ国(American exceptionalism)をオバマが否定したと受け止められてる発言を紹介するとともに、過去、ガイジン(トックヴィル、ゾムバルト)、帰化人(ゴドキン)や米国人(リプセット)がいかに米国が特別のスゴイ国と言ってきたかを並べ立ててる。
 オバマよ、あなたは米国の大統領にはもったいないよ。↓
 Last year, when asked if he believed in American exceptionalism, President Obama responded, “I believe in American exceptionalism, just as I suspect that the Brits believe in British exceptionalism and the Greeks believe in Greek exceptionalism.”・・・
 ”The position of the Americans is therefore quite exceptional,” wrote Alexis de Tocqueville in “Democracy in America,” “and it may be believed that no democratic people will ever be placed in a similar one.” Ever since, historians have argued that America’s lack of a feudal past, its Puritan roots, the realism of its revolutionary ambitions and many other ingredients contributed to America’s status as the “first new nation,” to borrow a phrase from Seymour Martin Lipset, who spent his life writing about American exceptionalism.
 E.L. Godkin, the Irish-born editor of the Nation, observed in 1867 that the lack of a class-based system, the existence of an open frontier and an optimism that comes with political and economic liberty marked the U.S. as a very different land than Britain, never mind the European continent. In 1906, German sociologist Werner Sombart released his book, “Why is There No Socialism in America?,” in which he pointed to similar factors.・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-goldberg-exceptionalism-20101109,0,2237390,print.column
 家庭の経済状況いかんにかかわらず、米国の白人等と黒人との間に紛れもなく学業成績差がある、という新たなデータが出てる。↓
 ・・・Only 12 percent of black fourth-grade boys are proficient in reading, compared with 38 percent of white boys, and only 12 percent of black eighth-grade boys are proficient in math, compared with 44 percent of white boys.
 Poverty alone does not seem to explain the differences: poor white boys do just as well as African-American boys who do not live in poverty・・・
http://www.nytimes.com/2010/11/09/education/09gap.html?hpw=&pagewanted=print
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太田述正コラム#4368(2010.11.10)
<『吉田茂の自問』を読む(その1)>
→非公開