太田述正コラム#4765(2011.5.24)
<皆さんとディスカッション(続x1213)>
<太田>(ツイッターより)
 山形有朋やビクター・ゾルザが公刊情報を毎日フォローしていた
http://bit.ly/jzIj9Z 
のと同じことを私はネットに公開された情報についてやっている。
 どこかで読んだが、ゾルザはそれが中断するから旅行するのを嫌がったそうだ。
 その気持ち、よーく分かるなあ。
 (コラム#4594に関し)帝国憲法解釈上、統帥権のみならず外交権も政府から「独立」していたにもかかわらず、後者は戦後言及されることすらない。
 ここにも戦後日本がいかに旧軍に対して厳しく戦前の外務省に対して甘いかが表れている。
<通りすがりの准教授>
≫「エレーニン彗星衝突の危険あり 」 ≪(コラム#4761。ΕΣΕΣ)
http://www.j-cast.com/2011/05/20096157.html
を見ますと、以下のような記述があります。
 『~エレーニン彗星が最接近した時でも、地球からの距離はざっと3000万キロ。地球に衝突云々を心配するようなものでは「まったくない」そうだ。同程度に地球に近付く彗星は「毎年、年に数個はある」。ちなみに、地球と月の距離は変動もあるが概ね38万キロだ。太陽までは概ね1億5000万キロ~』
 引力がべき乗で効いてくること、さらに月と彗星の質量差を考慮すれば彗星の接近による引力の変動など全く考慮するにも値しない、ということがわかるのではないでしょうか?
 高校で学習する物理のレベルでじゅうぶんですね~。
≫核燃料が格納容器から出ている可能性が!! ≪(同上)
 これに関しては現時点で確たる情報はありませんが、それでも公表されているデータから合理的に推論することはできます。
 例えば以下のサイトなどは如何でしょう?
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/
 日本の言論界はイデオロギーの左右を問わず人文系教育に偏った人が多く、自然科学系の知識が著しく欠如しているようにみえるのは残念なことですね。
 太田さんにはトンデモ言説に相対するのと同じような熱意で、デマ情報や最近特に増えてきた擬似科学(これについてはマーチン・ガードナーの『奇妙な論理』という名著があります)に切り込んで欲しいと思います。
 今後はNature digest日本語版などもチェックされて、社会に大変革をもたらす様な科学技術についても太田さんなりに論じられては如何でしょうか。
<太田>
 それは、理系の方々におまかせした方がよさそうです。
<εΣεΣ>(「たった一人の反乱」より)
 <私に文才さえあったらの話だけど、うまく小説仕立てにした場合、芥川賞がとれちゃいそうなストーリーが3つもあるんよ>
  ↑
 ストーリー旨が基準なら、大震災で被災したヒトたちのなかに文才あるヒトがいたら芥川賞が確実だろ(笑)。
 文才ある奴におもしろいストーリーをまる投げすれば、芥川賞を独占続けるってことだな(笑)。
 日本の文壇を馬鹿にしきっている(評価しない)太田さんらしい相変わらず発言。
 長編にすると直木賞も貰ったも同然か(笑)。 ・・・
<太田>
 論壇についてはともかく、日本の文壇について、評価しないなんて言ったことないはずだぜ。
<εεΣΣ>(「たった一人の反乱」より)
 <ΣεεΣクン(コラム#4762)、>今の中国人に対する感情と似たようなものでしょう。
 安い労働力を背景に安売りでシェアを拡大して、ヨーロッパ人の雇用を奪ってるって。
<εΣΣε>(同上)
 昔、日本人  今、中国人 ですね。
 銀座を闊歩する中国人旅行客って、10年、20年前は想像も出来なかったものだなあ。
 時代は変わるんだな。
 それにしても、太田さんは時折、とんでもない記事を見つけてくるなぁ。
 要するに、南北戦争は人道的理由で始まったものではなく、逃亡奴隷法のせいで北部人が連邦政府に徴用されたり、経済的負担を強いられるのが嫌だったからなのですね。
 何やら、独立戦争の時とよく似てるなぁ。
<σσεε>(同上)
 南北戦争や独立戦争で思い出したのですが、昔、SF作家の大御所ハインラインの小説『自由未来』を読んだことがあります。
 その主人公がTHEアメリカ人というかんじだったのです。
 そこで、お願いですが、暇なときでよいので書評をお願いできないでしょうか?
 大きな古本屋に行けば、あるのではないかと思います。
 サバイバル、人種問題、独立精神などアメリカンな要素が満載の面白くハードな小説です。
 ハインラインといえば、日本では『夏への扉』(映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの元ネタ)が有名ですが、この小説にはそんな軽い要素はありません。
 公民権運動の影響が色濃く見られるヘヴィーで面白い小説です。そんなわけで、ちょっと無理かもしれませんがよろしくお願いします。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBA%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3
<太田>
 映画評のタネが尽きかけてきたら考えてみましょうかね。
<σεσε>(「たった一人の反乱」より)
 「民主党と私の選挙」の講演動画は1~5のうち5が一番面白いのに、再生数が少ないのが残念だ。
<σεεσ>(同上)
 インターネット上での太田さんしか知らなかったから、5は太田さんの人柄の(ほんの少し)断片がわかって面白かったな。
<太田>
 午前中に5を見てみたけど、確かに面白いね。
<εΣεΣ>(「たった一人の反乱」より)
 201シーベルト キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/11052312_table_summary-j.pdf
原発→安全
爆発事故→爆発弁だから安全
放射性物質→放射線は体に良いから安全
被曝→基準あげたら基準値に収まるから安全
計測値が異常→計機の故障だから安全
 なるほど、安心だね(笑)。
<εσεσ>(同上)
 もちつけ。↓
2.01E+02Sv/h ※1:計器不良
<εεσσ>(同上)
 「事実を国民に知らせるのは、政府の義務である。 「フクシマがチェルノブイリ事故を超えていることは間違いない」・・・
 ともかく放射能汚染度が、チェルノブイリ事故を超えていることは間違いない。政府はそのことを率直に認め、住民に安易な帰宅計画の希望などもたせず、「広島、長崎と同じことが起こったし、いまも続いている」ことを告げるべきだ。広島長崎の被爆者も「核兵器廃絶は原子炉廃絶なくしてありえない」ことを自覚すべきだ。
 半減期というのは放射能が半分になることで、1,470万ベクレルのセシウム137は30.3年経っても735万ベクレルになるにすぎない。100年経って元の4分の1=367万5,000ベクレルだ。
 チェルノブイリの13万5,000まで落ちるのに何百年かかるか?相馬市、いわき市、福島市に挟まれた広大な無人の荒野を想像すると、寒気がしてくる。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/5580394/
 現在日本では…
 「谷垣総裁は「菅政権は、原発事故の情報を隠蔽し、組織も動かせない政権だということが浮き彫りになってきている。政権を延命させることは許されず、全力を挙げて打倒していく」と述べました。」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110524/t10013073381000.html
 いつもの政局メイキングですな…。
<TA>
 先日お送りした『東京に暮らす』が早速「骨休め」に役立った<(コラム#4763(未公開))>ようで、嬉しく思います。
 この本を読んで考えたことはいくつかあるのですが、最も驚いたと言っても良いのが、「日本人は居眠りの名人だ」といった意味の記述です。というのも、同様の意味の記述を、かつてルース・ベネディクトの『菊と刀』でも読んだことがあるからです。当時は「トンデモ説を自信満々に披露してるwww」という感想を持ったのですが、キャサリン・サンソムも同様のことを主張している以上、一定の信憑性がありそうです。
 日本人が居眠りを好むという説は、現在でも言われていることらしく、それには「治安が良いから」という説明がなされているようです。↓
 「・・・成田空港から電車に乗った時に、日本人の乗客が片っ端から平気で居眠りを始めたのを見て、すっかり英国ボケした浦島太郎の私には、どうしても真似が出来ませんでした。・・・」(コラム#2710。KY)
 「疲れたサラリーマンが電車やホームで寝ているシーンは東京ではおなじみの光景である<が、これが>・・・海外では考えられない行為だと話題になっている。なぜ考えられないかというと、公共の場で寝る=貴重品を奪ってください状態であり、大変危険なのだ。・・・ただ日本では、むしろ無防備な状態をさらしている時こそ何故か奪われることがないという治安のよさが売りだ。やはりそこはスリならではの人情ってのがあるのだろうか。電車で寝るのが当たり前の日本。この治安は守り続けて欲しい。」
http://news.livedoor.com/article/detail/5256225/
 一方、これとは別に、日本人特有の生理的性質に由来するものと考える人も、どの程度認知されているかはともかく、存在するようです。↓
 「柳田国男が「豆手帳から」で推測するところによると、むかしの人間にとって、夜というものは眠るための時間とは考えられていなかったようである。いや、むしろ、夜というのは、眠ってはならない時間、無理をしてでも起きていなければならない時間なのであった。・・・なぜ、むかしの人間が夜に眠らなかったのか。それは、夜というのが危険にみちた時間であったからだ、と柳田は考え<、述べている。>・・・
 以上のような議論は、ひょっとすると無茶な話のようにきこえるかもしれぬ。しかし、わたしは、ここでじつは、ベネディクトが「菊と刀」のなかでのべている日本人の睡眠についての解釈を思いうかべているのである。すなわち、彼女は日本人の睡眠習慣と西洋人のそれとをくらべて、こんなふうにいう。
 「(眠ること)は日本人の最も完成された技術の一つである。彼等はどんな姿勢でも、またわれわれにはとても眠れそうに思われないような状況のもとにおいても、楽々とよく眠る。
 このことは多くの西洋の日本研究家を驚かせた事柄である。アメリカ人は不眠と精神的緊張とをほとんど同意語と考えている。しかもわれわれの標準からすれば日本人の性格の中には非常な緊張が見受けられる。ところが彼等にとって熟睡は何の造作もないことである。彼等はまた、夜早く床に就く。東洋諸国の中でこんなに早寝をする国民はちょっとほかには見当たらない」
 ベネディクトは、こんなふうに日本人がよく眠る技術をもっているのは、日本人が快楽主義者であるからだ、というふうに単純に解釈する。しかし、ひょっとすると、どこででも、また、どんな姿勢でも眠ることができるという技能は、日本人がじつは、夜、よく眠っていないことの生理学的必然なのかもしれない。・・・」
http://homepage3.nifty.com/katodb/doc/text/2752.html
 何やら、太田さんの縄文モード仮説(狩猟採集時代の記憶)にまで繋がりそうな話です。
 私は日本から出たことがないため分からないのですが、太田さんは、日本人が居眠りの名人だという印象はお持ちでしょうか。
<太田>
 私は、ベネディクトを全く評価していないということを、以前申し上げたことがあったのではないでしょうか。
 いずれにせよ、他の国に比べて、日本で、電車の中でいねむりをしている人が多いのは確かです。
 これは、私にとっては常識なので、取り上げるつもりはなかったのですが、そう言われてびっくりする方がふつうなのかもしれませんね。
 その理由として、二つ考えられると思います。
 一つは、引用された文章の中に出てきたように、日本が安全な社会だからですが、もう一つの理由・・同じことを別の角度から説明しているだけですが・・として、コラム#4763でも述べたように、ほぼ全員が人間主義者(縄文人的)たる日本人は自宅を離れても「機能的」存在に化することなく、「全人的」であり続けること、があげられると思います。
 つまり、自宅にいる時、或いは一人でいる時、人間というものは、いちいち対価のことなど考えないし、また、家事等を行うだけでなく遊びもするし、当然うたたねもするわけですが、日本人の場合、そういった行動様式が、自分の仕事場や出かけた先のお店においても、そしてまた、通勤電車の中でもとられる、ということだと私は思うのです。
 さて、昨日から、急に紹介すべき記事が減ってしまっています。
 OECDの調査で、日本の学校が世界で最も荒れていないことが分かった。
 支那、韓国もそれに次ぐレベル。
 むしろ不思議なのは、カザフスタンとかルーマニアが顔を出していること。↓
 ・・・the level of classroom disruption in terms of how much teachers had to wait for 15-year-old pupils to “quieten down” during lessons.
TOP 10 PUPIL BEHAVIOUR
• Japan
• Kazakhstan
• Shanghai-China
• Hong Kong-China
• Romania
• South Korea・・・
http://www.bbc.co.uk/news/education-13508807
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太田述正コラム#4766(2011.5.24)
<『東京に暮す』を読む(その2)>
→非公開