太田述正コラム#4905(2011.8.2)
<皆さんとディスカッション(続x1281)>
<太田>(ツイッターより)
 <一>昨日のつぶやきにひっかけて言えば、機械にも安全性の観点から完璧に近いものがあるんで困っちゃうよね。
http://news.livedoor.com/article/detail/5749620/ 
また、分不相応の高速鉄道なんてのを持ってしまった中共の闇の深さ
http://news.livedoor.com/article/detail/5751306/ 
と高速鉄道を持たない米国の異常さを思え。
<TA>
>高速鉄道を持たない米国の異常さを思え。
 コラム#1244を読んで、アメリカのあまりの異常さに驚愕しました。「会社は株主のもの」などという論理が如何に恐ろしいものか。あるいは、伝統のない社会であるが故に、一部企業のエゴイズムによって生活の根本が塗り替えられるという恐ろしさ。
 このアメリカの件から、戦後日本の不必要なダム建設を連想しました。こちらは、一部企業のエゴイズム+経済至上主義(吉田ドクトリン)の異常さ、と言ったところでしょうか。
 ところで話は変わりますが、xxxxさん提供の資料は全て消化されたのでしょうか。
<太田>
 いや、まだまだ3分の1くらい残ってる感じですね。
 前にも申し上げたと思いますが、日本の戦前史が続きすぎると私自身、あきてしまうというのと、残ったものは、カタカナ/旧カナのものや英語のものが多く、ざっと目を通して概要をつかむのが困難なので敬遠気味である、ということもありますね。
 ただ、途中で連載を止めてしまっているシリーズについては、少なくとも再開するつもりでいます。
<太田>(ツイッターより)
 債務上限引き上げが米下院で可決されたので、民主党優位の上院での可決を待たず、米国のデフォルトは回避された。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-14367754
 ほぼ同額の支出削減も盛り込まれているので、今後国防支出に大ナタが振るわれること、米国の景気後退が続くこと、を我々は頭に入れておきたい。
<太田>
 関連の記事をまとめておこう。
 予算の予想される伸びを下方修正するってだけなんだからね。↓
 ・・・The cuts are calculated from a base scenario of projected spending in future years as envisaged in March of this year. Essentially that means the government will slow the growth of spending that would otherwise have taken place if the austerity package had not been agreed.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-14367292
 <しかも、戦費は対象外だ。↓>
 ・・・the caps would not apply to spending for the wars in Afghanistan and Iraq.・・・
http://www.washingtonpost.com/politics/debt-deal-ultimately-could-squeeze-federal-workers/2011/08/01/gIQAb4sLoI_story.html?hpid=z2
 キリスト教原理主義がデフォルト寸前まで米国政府を追い詰めたってこと。↓
 ・・・Republicans in Congress. Many of the newcomers are social conservatives, and many of those are visibly and zealously religious. The rise of the Tea Party has widened the cultural gap between Republicans and the more secular or quietly religious Democrats. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/beb377de-bba8-11e0-a7c8-00144feabdc0.html#axzz1TpYStCKB
<雅>
 –珍しく現代ではまともな史観–
 英語が読めないので、哲学書とこのコラムと戦前の文章しか読んでないのですが、父に勧められ、珍しく現代の書物を読みました。
 まあ、よく正しく( ほ ぼ ちゃんとした史観)まとめられています。
 (ただ、日本帝国の崩壊後させてからのアメリカの損ップリがどっぷり省かれてましたが)
 日本人の誇り (文春新書) [新書]
 藤原正彦 (著)
 このような本が出ることを、見るとアメリカの支配力の弱体化を歓迎したくなります。 どうぞ、御一読くださいませ。
 重箱の隅をつつくようですが、この本の中の張作霖爆殺事件の犯人が河本大作となっているのは間違いなく誤記でしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E4%BD%9C%E9%9C%96%E7%88%86%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%82%BD%E9%80%A3%E7%89%B9%E5%8B%99%E6%A9%9F%E9%96%A2%E7%8A%AF%E8%A1%8C%E8%AA%AC
<太田>
 河本大作の話の方からいくと、藤原は通説に従っているだけなので、「誤記」とは言えないでしょう。
 さて、藤原のこの本については、(私は読んでいませんし、読むつもりもありませんが、)既にコラム#4779で批判を加えています。
 
<ΖιΖι>(「たった一人の反乱」より)
 韓国の大学では、赤白2色の「絨毯」を建物の前に敷いて靴の汚れを取っています。
http://www.youtube.com/watch?v=QuSS2IyxoCU&NR=1
<太田>
 こりゃ、確かにひどーくお行儀が悪いわ。
 関係ないけど、連想で、ちょっとあたってみたところ、日本と赤(紅)白2色の関係って面白いねえ。↓
 紅白
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%85%E7%99%BD
 紅白幕
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9E%82%E3%82%8C%E5%B9%95#.E5.9E.82.E3.82.8C.E5.B9.95.E3.80.81.E6.A8.AA.E6.96.AD.E5.B9.95
 まーともかく、朝鮮半島の住民の対日心の闇的コンプレックスは敬して遠ざかってるのが勝ちだぜ。
 オバカ三人衆みたいに、鳴り物入りで「鬱陵島」視察行、なんてことしちゃいけません!
http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201108010102.html
 それでは、その他の記事の紹介です。
 中共マスコミの健闘が続いている。↓
 「・・・高速鉄道事故について・・・中国紙、中華工商時報は1日「事故責任者を厳罰に処すべきだ」とする社説を掲載した。
 社説は、国内の事故調査では「事故責任者と監督者、調査関係者が(互いの)利益を保護する鎖でつながれている」とし、責任逃れのための虚偽報告が行われているなどと問題点を指摘。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110801/chn11080118570012-n1.htm
 「・・・中国紙、経済観察報は、浙江省温州市の高速鉄道事故を受けた主要駅責任者の匿名の証言を掲載、鉄道当局が事故直後に車両を地中に埋め「証拠隠滅」を図ったとの見方に関し、同責任者は「以前からそうしてきた。今回はメディアの関心が高かっただけ」と指摘した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110801/chn11080113500009-n1.htm
 「・・・高速鉄道事故で、広東省の有力紙、南方都市報は・・・「このような悲惨な事故と、鉄道省のひどい処理に対しては、次の言葉しか思い付かない-『くそったれ』」と罵倒。続いてネットユーザーら6人の「人命をないがしろにする態度は許せない」などの声を紹介した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110802/chn11080200080000-n1.htm
 産経の好きな「正論」である。↓
 「菅直人首相<は、>・・・「経産省には構造的な問題があり、腹に据えかねることが多々ある。原子力安全・保安院と一緒になって海江田氏を操ろうとしている」と・・・語った。・・・
 伸子夫人も・・・「泣くような人に大臣は務まらない。私だったらそんな人とはさっさと別れるわ」とあげつら<っ>・・・たという。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110802/plc11080200560004-n1.htm
 その産経が反「正論」のスタンスをとっている理由は民主党にくさに尽きる。
 金融庁
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%9E%8D%E5%BA%81
で言えば、総務企画局でなく、検査局や監督局が「適切な金融市場の育成を図」っちゃルール違反だろが。
 それに、金融機関が法令に則っているかどうかを「検査・監督」する、金融庁の検査局や監督局とは違って、保安院は、原発等の安全を所管してるんだろ。なおさら、「原発等の育成を図」っちゃあダメなのよ。↓
 
 「・・・ 政府は保安院を経産省から独立させる方針を示している。しかし、保安院分離ですべて課題が解消するものではなく、分離論こそベストという前提にも、疑問がなくはない。金融庁のように、金融機関への検査・監督という規制と同時に、適切な金融市場の育成を図る官庁もあるからだ。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110802/crm11080203420003-n1.htm
 中共当局は、新疆ウイグル地区の「テロ」がパキスタンを策源地にしていると発表した。↓
 ・・・government・・・rof Kashgar・・・said Monday that an “initial probe” had shown that leaders of Sunday’s attack on a restaurant, in which 11 people died, had received explosives and firearms training in Pakistan-based camps of the East Turkestan Islamic Movement, also known as ETIM.・・・
 <中共以外の隣接諸国から総スカンを食ってて、中共とだけ蜜月状態にあることを考えると異例の発表だ。↓>
 The allegation is all the more striking as Pakistan, facing a crisis in ties with the U.S. since the killing of Osama bin Laden, has been working hard to portray China as its “all-weather friend” and an alternative source of civilian and military aid. Pakistani officials said in May that China had agreed to take over operation of the strategically positioned Pakistani port of Gwadar, and that Islamabad had asked Beijing to build a naval base there.
 China’s accusation joins a similar chorus from two of Pakistan’s other neighbors, India and Afghanistan, which accuse it of failing to act against militant camps on its soil.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424053111903341404576481312937363114.html?mod=WSJ_World_LEFTSecondNews
 シリア情勢だが、断食月の間に、雌雄が決する?↓
 ・・・ During Ramadan, every day is a Friday. ・・・
 Thirty days of Ramadan could mean 30 days of mass protests and end up toppling the Baath regime.”
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,777684,00.html
 故ハンティントンは、イスラム世界における青年人口の増大がイスラム過激派の増大をもたらすと予想したが、実際には反イスラム過激派/親自由民主主義の増大がもたらされた。↓
 ・・・The late scholar Samuel Huntington predicted soon after 9/11 that the Islamic world’s youth bulge — a full one-third of the entire Arab world is between the ages of 15 and — would be a source of terrorism for years to come. “Young males are the principal perpetrators of violence in all societies:
  [T]hey exist in over-abundant numbers in Muslim societies,” Huntington wrote in Newsweek. Wright in this book shows how those very youths are proving to be just the opposite — they are liberal torchbearers, attracted to freedom of expression and democracy rather than violence and dictatorship. “Stirred by the young and stoked by new technology, rage against both autocrats and extremists has been building steadily within Muslim societies,” she writes. New technologies and sky-high unemployment have combined with unfulfilled promises to cause great discontent among the Middle Eastern young.・・・
http://www.csmonitor.com/Books/Book-Reviews/2011/0801/Rock-the-Casbah-Rage-and-Rebellion-across-the-Islamic-World
 ナチズムはドイツ史の必然的帰結であるとの説は決着はついていないもののもっともらしい。
 だけど、支那の顔をした共産主義が支那史の必然的帰結はうさんくさいってこの書評子は主張してるが、今、私が書き綴ってるシリーズ(やそのヒントを提供してくれた本)がくさされてるみたいで苦笑したね。↓
 ・・・William Shirer・・・<p>ublished・・・in 1960, “The Rise and Fall of the Third Reich”・・・
 The work’s most controversial argument, that Nazism was the inevitable outcome of German history from the Reformation forward, is not a serious one. Shirer’s brief and breezy treatment of pre-20th-century German history amounts to little more than a false extrapolation from a truism&–like saying that, since Chinese communism is a distinctly Chinese form of communism, it was the inevitable culmination of Chinese history.・・・
  It is probably beyond the capacity of human reason to explain how a noble, civilized people succumbed to a homicidal delusion. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424053111903999904576467993662664766.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
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太田述正コラム#4906(2011.8.2)
<終末論・太平天国・白蓮教(その5)>
→非公開