太田述正コラム#5161(2011.12.8)
<皆さんとディスカッション(続x1400)>
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4998に関し)先の大戦中の1940年9月に(日支戦争中の)自由民主主義国の日本が日独伊三国同盟を締結したのは、1940年8月に(ソ連との冬戦争に敗れたばかりの)自由民主主義国のフィンランドがドイツとドイツ軍の領内駐留を認める密約を結んだのと同じこと。
 ドイツが単に敵たる赤露の敵だったからだ。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%8B%AC%E4%BC%8A%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%90%8C%E7%9B%9F
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%99%E7%B6%9A%E6%88%A6%E4%BA%89 >
<TU>
 これ、太田さんの言ってることそのまんまです。↓
 「ルーズベルトは狂気の男」 フーバー元大統領が批判
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111207/amr11120722410009-n1.htm
<太田>
 こういうことが書いてあるのね。↓
 「・・・フーバーは第33代大統領のトルーマンの指示で戦後の日本などを視察。46年に訪日し、東京で連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー元帥と会談した。
 その際、フーバーはマッカーサーに対し、日本との戦争は「対独戦に参戦する口実を欲しがっていた『狂気の男』の願望だった」と指摘。在米日本資産の凍結など41年7月の経済制裁は「対独戦に参戦するため、日本を破滅的な戦争に引きずり込もうとしたものだ」と語ったという。
 マッカーサーも、「ルーズベルトは41年夏に日本側が模索した近衛文麿首相との日米首脳会談を行い、戦争回避の努力をすべきだった」と批判していた。・・・」
 その補足記事も出てたな。↓
 「<この>フーバー元大統領の発言は、「歴史的な検証に値する」(歴史家のジョージ・ナッシュ氏)ものだ。日米開戦から70年も経って初めて、これまで公にされてこなかったフーバーの発言が明らかにされたのは、遺族が一部資料の公開に応じたためである。・・・
 フーバーは「ルーズベルトは日本人の心理が分からなかった。彼のやったことは、歴史がきちんと公正に評価するだろう」と<も>メモ帳にしたためている。・・・
 ルーズベルト政権中枢にソ連のスパイが深く広く浸透していたことは、通信傍受などを中心とした米国の対ソ諜報活動をまとめた「ベノナ文書」で明らかにされている。
 ルーズベルト政権下の財務次官だったハリー・ホワイトが、「ソ連のスパイだった」(ブラウネル元米司法長官)ことが判明したのは氷山の一角だ。
 ホワイトは、41年11月、事実上の対日最後通牒とされるハル・ノートの起草者で、米国だけでなく、ソ連の意向も受けて日本軍の中国からの撤退をハル・ノートに盛り込んだとされる。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111207/amr11120722420010-n1.htm
 産経と言えば、こんな記事も出てたな。↓
 「今月25日に全訳刊行(上巻)される「ルーズベルトの責任-日米戦争はなぜ始まったか」(藤原書店、下巻は来年1月刊行)には、ルーズベルト米大統領が、巧妙な策略によって日本を対米戦争へと追い込んでいった過程が、米側公文書などによって、浮き彫りにされている。
 著者は、米政治学会会長や歴史協会会長などを務めた第一人者、チャールズ・A・ビーアド元コロンビア大教授(1874~1948年)。順次解禁された米側の外交公文書や連邦議会議事録など膨大な資料を詳細に調査・分析し、1948年4月に米国内で発刊されたものの、政府側の圧力などによって激しい不買運動が起き、事実上の禁書扱いとなってしまった「幻の名著」だ。いわゆる「ルーズベルト陰謀説」が終戦直後に、米側公文書などによって裏づけられていた意味は大きい。・・・
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111208/amr11120807480001-n1.htm
 東京新聞にはこんな記事が・・。↓
 「太平洋戦争が開戦した1941(昭和16)年12月8日のハワイ・真珠湾攻撃の前に、米側が、旧日本海軍が作戦指示に使った暗号をほぼ解読していたとする報告書が、米軍の史料から初めて見つかった。42年6月のミッドウェー海戦前に解読され、米軍の大勝につながったというのが定説だった。・・・
 <米側は、>暗号解読の作業を一九三九(昭和十四)年夏から開始。二〇年代初頭、軍や警察のチームがニューヨーク日本総領事館に忍び込み、撮影した古い海軍暗号の法則をヒントに進められた。暗号書と乱数表は、旧海軍が随時、更新していたが、報告書には暗号方式を「真珠湾攻撃の前に解読できていた」と明記している。・・・報告書では、真珠湾攻撃について「十分な人員さえあれば、奇襲にはならなかっただろう」との注釈を付けている。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011120890070334.html
 米国の主要紙には、真珠湾がらみでは産経が言及してる本は出てこない。
 クリスチャンサイエンスモニターじゃ、こんな3冊がが紹介されてたぞ。↓
 Pearl Harbor: FDR Leads the Nation into War, by University of Oklahoma history professor Steven M. Gillon・・・
 Pearl Harbor Christmas: A World at War, by historian Stanley Weintraub・・・
 December 1941: Twelve Days that Began a World War, by the University of Glasgow’s Evan Mawdsley・・・
http://www.csmonitor.com/Books/Book-Reviews/2011/1207/Pearl-Harbor-FDR-Leads-the-Nation-into-War
<秋の空>
 TUさんのコメント(Freedom Betrayed: Herbert Hoover’s Secret History of the Second World War and its Aftermath — Hoover Institute Press 2011)に関してですが・・・
 産経が日米関係の話題で何か持ち出すときには、ウラを読んで警戒するのと、まだこの重要な本(大作920ページ)読み終わってないのでコメントする資格ないんですが、英語のリンクも貼っておきます。
1. The Hoover Institute のニュースとプレスリリース
http://www.hoover.org/news/100486
http://www.hoover.org/news/press-releases/99026
2. National Review Online にあるレビュー。7ページと長いのはthe introductionの引用があるからです。
 本を買わなくても、一部読めます(笑)。
The Blunders of Statesman
http://www.nationalreview.com/articles/283064/blunders-statesmen-herbert-hoover?pg=1
3. Amazon
http://www.amazon.com/Freedom-Betrayed-Herbert-Aftermath-PUBLICATION/dp/0817912347
4. The editor であるGeorge H. Nash の顔と履歴を知りたい方へ
http://www.kirkcenter.org/index.php/nash/
 上記2と3にある読者のコメントも米国人の対日(戦争)観を知る上で参考になります。
 すみません。The Blunders of “Statesmen”の間違い。“the introductionと Chapter 89: A Review of Lost Statesmanship — 19 Times in Seven Yearsの両方の引用があるからです“の間違いです。
→どこがどうなおるのか、さっぱり分かりましぇーん!(太田)
 余計なことですが、この本はフーバーの(そしてフーバー自身が一冊の本としてまとめる意図をもって書いた)外交史考察・メモランダムをナッシュ氏が編集したものであって、産経のいう『歴史家ナッシュ氏の著作』によるとという記述には強い違和感を感じます。私が産経並びに日本の新聞を全く信用しない根拠のひとつです。
<ΨΖΖΨ>(「たった一人の反乱」より)
≫『1Q84』がその典型だが、村上の小説は、(一冊も読んだことないのに言うのもなんだが、)≪(コラム#5159。太田)
        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、  ̄
<太田>
 ボク、ノンフィクション本について、複数の書評だけ読んでその本を論じてきたの知ってるだろ。
 フィクション本についても同じことやっていいだろが。
<ΖΖΨΨ>(「たった一人の反乱」より)
≫現代小説もプロット抜きのtextureだけのもの≪(コラム#5159。太田)
 これ読んで真っ先に西尾維新が頭に浮かんだ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B0%BE%E7%B6%AD%E6%96%B0
 戯言シリーズとか物語シリーズ好きなんだよなぁ。
 ストーリーのプロット崩壊しまくってんだけどキャラが魅力的なのとそのキャラの掛け合いが妙に面白いんだよね。
 それはともかく村上春樹ってラノベ作家に毛が生えた程度の存在って認識なんで、ラノベ作家≒現代作家って意味なら太田さんの言う通りだと思う。
 ただ、村上春樹を文学小説家ってカテゴリに入れちゃうと違和感を感じるんだよなぁ。
 アカペラで音程外しまくってる歌手を「アーティスト」とか言っちゃう歌謡業界に感じる違和感に近い。
 文学小説ってジャンルを過大評価しすぎてるのかも知れんが。
<ΨΖΖΨ>(同上)
 「村上春樹<は、>日本の多くのテレビメディアには出演せず、インタビューの依頼があっても、一部の雑誌を除いて積極的には応じない。
 インタビュー嫌いの理由として、本人は、ジャズ喫茶経営時代に「毎晩客の相手で一生分の会話をした。今後は、本当に話したい人にしか話さないと誓った」からだという[5]。
 にもかかわらず、海外マスメディアのインタビューには精力的に応じており、自身の文学観、作品の意図、日本社会の集団性の強さについての言及、日本の文壇における否定的評価への不満などを積極的に述べている。それらの中には日本における村上春樹像に対する反論も少なくない
 蓮實重彦<は、>一時期、中上健次、柄谷行人と「カレキナダ」という草野球チームを組んでいた事がある。
 (ちなみに過去在籍メンバーは、渡部直己、?秀実、松本健一、立松和平、高橋源一郎、平石貴樹、尾辻克彦、赤瀬川隼、ねじめ正一、島田雅彦、など)東京堂書店セミナーで顔を合わせた時に結成。」
                     ↑
 村上が日本文壇村に属してない個人主義者だから村八分にされてる認識。
 村上が連中と酒を酌み交わして草野球やって、蓮実の推薦で大学教授になれば評価されるんだろう
<太田>
 どーでもいい話だが、ボク、蓮實さんの必修科目(フランス文学)、駒場の時にとったぞ。
 その時読まされたフランス語のムツカシーイ小説を思い出せない。
 その後、彼が東大総長になった時にはびっくりしたなあ。
<ΖΨΨΖ>(「たった一人の反乱」より)
動画(ニコニコ動画)再生数の平均を出してみたよ。(2011年12月7日時点)
≪日本人の日本近現代史認識の歪み 1~4≫
再生数平均 375.25
≪民主党と私の選挙 1~5≫
再生数平均 271.8
 ちなみにまぐまぐ(無料読者)の部数は2,053部です。
 どなたかマーケティング分析的なことをしていただけないでしょうか。
<Skywalker>
 Michael Woodford 氏が17歳でご卒業された Millbank Business School は(1992年に Liverpool Community College
http://www.liv-coll.ac.uk/
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_further_education_colleges_in_England
に統合された)Millbank College of Commerce
http://www.geograph.org.uk/photo/37484
の一部(学科、あるいは、専攻コース)であったのではないかと考えられます。
 AERA(2011年11月21日号)に掲載された記事の中では『ビジネス専門学校』と表現されていましたが、日本的には『商業高校』と表現するべきかもしれません。
http://www.olympus.co.jp/jp/corc/ir/tes/2011/pdf/nr20110210.pdf
 1977年7月に Millbank Business School をご卒業された後、1981年3月に(後に Olympus が買収した)KeyMed 社に入社するまでの間の Michael Woodford 氏の職歴については不明です。
<ΨΨζζ>(「たった一人の反乱」より)
 太田さんの動画見ました。
 テキストの抜粋が画面に出るのが見やすくてよかったです。
 <BERNIEさん、>ありがとうございました。
<秋の空>
 <BERNIEさん、やまもとさん、>講演のビデオのアップありがたいです。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 激突は回避して欲しいね。↓
 「・・・「われわれが提示する新経営陣案と、ウッドフォード氏の社長復帰案について総会で信を問いたい」
 高山社長は7日の会見で、ウッドフォード氏と株主総会で対決する姿勢を鮮明にした。
 その上で、「風通しを良くし体制を大幅に変える」と、改革への決意を示した。ただウッドフォード氏について、「独断専行的な部分はある。しかし、われわれができなかったことを提起した。それは評価したい」と述べるにとどめ、自らも賛成した際の解任理由を撤回しなかった。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111207/biz11120722090025-n1.htm
 報告書を踏まえ、オリンパス不祥事の詳細が逐次明らかにされてきている。↓
 「・・・取締役会の形骸化の要因として、第三者委は「極端な縦割り意識」を指摘し、「他人の担当には無関心だった」と分析。取締役の人事や報酬の決定権が社長専属だったため、「イエスマン」の取締役が多く、取締役会の議論や意思決定が妨げられた可能性にも言及した。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY201112070263.html
 「・・・山田前監査役らが財務部の運用担当者に指示し、飛ばし先のファンド名や金融資産の管理状況を図式化した「報告書」を作成。この報告書をもとに、会議の場で山田前監査役らが菊川、岸本両氏に説明していた。出勤日が限られる非常勤取締役に退いていた下山元会長には別途、報告されていたという。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111208/crm11120801370005-n1.htm
 「・・・岸本元会長は1993年に社長に就任。その際、前任の下山敏郎元会長(87)や資産運用担当の山田前監査役から、金融商品が抱える損失について説明を受けた。同社はバブル崩壊後、損失を取り戻すため、リスクの高い金融商品に手を出して損失を拡大させており、山田前監査役は、岸本元会長に損失処理について度々相談。損失の公表も提案したが、「市場が回復すれば損失も減り、挽回することができるはずだから待つ」などと言われ、実現しなかった。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111208-OYT1T00141.htm
 「オリンパス・・・社は預金していた海外金融機関に対し、監査法人からの照会について「担保などの照会に応じる必要はなく、預金残高のみを回答すればいい」と依頼していた・・・
  一方、あずさ監査法人は担保等の記載がない返答に対して記入漏れなどの確認をせず、所定の確認状にも04年3月期からは預金担保の回答を求める項目をなくしていた。ただし第三者委は、照会を受ける銀行の預金担当者が意図的に不実の記載をすることは想定されないとして「監査法人が再確認しなかったことが損失隠しの長期にわたる隠蔽に寄与したとはいえない」と結論付けている。・・・」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111208k0000m040105000c.html
 「不気味な日系人収容所写真」と言われると抵抗感覚えるなあ。↓
http://www.slate.com/slideshows/news_and_politics/eerie-japanese-internment-camp-photos.html
 パキスタンで強姦された女性の話をした(コラム#5151)けど、呆れかえるのは自らを省みてからにしろ、というコラムが出てたよ。↓
 <つい最近まで、米国では、夫が妻を強姦することは罪ではなかった。↓>
 ・・・it was only in 1980 that the California Legislature made it illegal for a husband to rape his wife. As late as the 1950s, the right of a husband to take his wife by force was enshrined in the laws of every state. As legal authority Rollin Perkins put it in 1957: “A man does not commit rape by having sexual intercourse with his lawful wife, even if he does so by force and against her will.”・・・
 <かつてのイギリスでは、妊娠したらそれは和姦の証拠だとされていた。↓>
 ・・・early English courts took pregnancy as proof that the sex was consensual. The idea was that both the man and the woman needed to experience sexual pleasure to conceive a child, so a pregnancy showed that the woman enjoyed the encounter. And this contemptible theory is not found only in history books. In 1995, North Carolina legislator Henry Aldridge, when arguing against a law to aid pregnant rape victims, said: “The facts show that people who are raped, who are truly raped, the juices don’t flow, the body functions don’t work, and they don’t get pregnant.”
 <旧約聖書の申命記には、処女を強姦した者はその女と結婚せよと書かれている。ルネッサンス期のイタリアでも、強姦は番うための儀式ととらえられていた。↓>
 Particularly galling to Western readers of the Gulnaz story was the idea of pushing a rape victim to marry her ravisher. But the Afghan judge who told her she could escape from jail by marrying the rapist was in line with Judeo-Christian tradition. Deuteronomy 22:28-29 lays out how if a man meets a virgin who is not betrothed and “seizes her and lies with her,” then “she shall be his wife.” The Afghan judge would also have found friendly company in the courts of Renaissance Italy, which viewed rape as a kind of mating ritual. In one case in Venice, a rapist was given the choice of going to jail for six months, paying a fine or marrying his victim. The man chose marriage.・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-berkowitz-afghanistan-rape-and-justice-20111207,0,7246150,print.story
—————————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#5162(2011.12.8)
<映画評論31:ニュルンベルグ軍事裁判(その6)>
→非公開