太田述正コラム#5187(2011.12.21)
<皆さんとディスカッション(続x1411)>
<太田>(ツイッターより)
 英国での今年のユーチューブ・アクセス第一位がこれだ。
http://www.youtube.com/watch?v=nGeKSiCQkPw
 もちろん人間が犬の声を吹き替えているわけだが、(英語なんで恐縮だが、)抱腹絶倒モンだね。
 英国的ユーモアってやつだわ。
 現在のアフリカの音楽の中心はナイジェリア。そこで中心になっているのが、ジャズ、クラシック、アフリカ音楽をフュージョンした歌を作詞作曲し、プロデュースする盲目のコバムス・アスクオだ。
http://edition.cnn.com/2011/12/20/world/africa/cobhams-asuquo-blind-nigeria/index.html?hpt=hp_mid
 法学部卒ってのも面白いね。聴いてあげてくれたまえ。
<ΖωΖω>(「たった一人の反乱」より)
 それにしてもここ数年、各国の独裁者が民衆の手で権力の座から追われ、徹底的に辱められ足蹴にされるということが起こっている昨今、それとは間逆の、民衆が泣き叫ぶ様や宮殿で遺体が公開され国のトップが勢ぞろいで儀礼を行っている様を見ると、分かってはいても目まいを誘うような非現実感に襲われてしまいます。
 この様を見た、北朝鮮の成立と存続の歴史をよく知らず興味もない世界各国の人々の間で、なぜこのような体勢が存続できているのか、という単純な疑問が生まれ、それがこの地域の問題を世界中で考えさせるきっかけとなり、その結果として、結局のところ原因はアメリカにあった、というところまで辿り着く可能性はあるんでしょうか。
<ΖΖωω>(同上)
 ・・・なぜ辿り着く可能性があると思うのかの典拠が欲しい…。
 自分で探してはみたんだけど
http://www18.ocn.ne.jp/~to-pa/Diary/025Tepodon.htm
 こんなアホなのしか見つからなかった。
 それとは別に
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010112901000017.html
ってのがあったけど。
<ΖωΖω>(同上)
>なぜ辿り着く可能性があると思うのかの典拠が欲しい…。
 いや、可能性は「あるのか」と聞いているんですよ。
 太田コラム読者の間では、「アメリカが有色人種差別意識に基づき、あろうことかソ連(および中国国民党)と手を組んで東アジアにおけるソ連等共産主義勢力への防波堤たる日本を叩き潰したことにより、東アジアを無茶苦茶にした」というコンセンサスがあって、その延長線上で北朝鮮が成立し存続する契機となった、というのも同様にコンセンサスになっていると思います。
 で、今回の北朝鮮の様を見てビックリした世界中の人々がこれをきっかけとして、歴史をさかのぼって検証し考え始めることで、太田コラムのコンセンサスに近づくもしくは達する可能性はあるのかと。
<ΖΖωω>(同上)
 北朝鮮の成立は、アメリカの責任が大きいが、北朝鮮の現在まで続く惨状は朝鮮半島特有の事情によるものでないの?
 東欧はとっくに民主化しているからね。
 社会主義国家で世襲が三代も続くのは、隣の中国でもないことだから、これは、朝鮮半島が本家の中国を上回るほど、儒教の力が強いという証明かもしれん気がする。
<ΖωΖω>(同上)
 はっきりと確認しておきますが、私は<上の2回>の書き込みで、なぜ北朝鮮が独裁体制を維持できているのかを問題にしているのであって、北朝鮮の独裁の中身を問題にしているのではありません。
 そもそもアメリカが日本を叩き潰したことで、アメリカ自身が東アジアで共産主義勢力と直接対決しなければならなくなり、朝鮮戦争でアメリカと中国の対立図式が固定され今日に至っています。
 東欧はソ連という後ろ盾が崩壊したことで民主化しましたが、北朝鮮は中国という後ろ盾を失っていません。
<ΖωωΖ>(同上)
 「日韓が理解し合えない一割の違い
― 地理的にいちばん近い国でありながら、日本と韓国はまるで同居しながらいがみ合う夫婦のような関係にあります。何が障害になっているのでしょうか。
呉 両国は似ているようでいて、その本質的なところが正反対だからでしょう。
人の顔立ちも街の風景も、気候風土も極めて似ているから、親近感を持つのですが、九割同じでも残りの一割が決定的に違うために、心の底から分かり合えずにイライラしてしまいます。
 一割の違いとは、それぞれの国民の認識の仕方、価値観に由来しています。
 理解し合うためには、お互いの違いを一つ一つ棚卸して、それぞれの歴史や風土に遡って検証してみる必要があります。
― 両者の認識や価値観の違いから生じる違いは、たとえばどんなところに表れていますか。
呉 端的な例は、ヨン様です。「冬のソナタ」が日本で人気を博していたとき、韓国人女性は、
あんなナヨナヨした男のどこがいいのか理解に苦しんでいました。日本人女性は、いかにも繊細で壊れそうで不安定なヨン様を私が助けてあげたい、そう考えたのではないでしょうか。
― 母性ですね。
呉 ええ。日本社会は母系社会です。どこか儚げで、頼りなさそうな男性の方が受けますね。
 ところが、儒教の国韓国は、徹底した男尊女卑社会です。
 韓国人女性が好きなタイプは、どこから見ても隙がない完璧な男性です。
 恋愛のスタイルも自ずと違います。韓国では、男性はあらゆる甘言を尽くして女性を口説き、何度断られようと引き下がりません。女性もそれを分かっていて、自分の価値を高めるだけ高めた上で誘いを承諾します。そして恋愛が始まると、男性が常に主導権を持ち、女性を女王様のように扱ってくれます。「冬ソナ」などもその段階を描いたドラマです。韓国の男性は、世界でいちばん女性に優しいというイメージもそんなところからきているのでしょう。
― 韓国も四季に恵まれている国ですよね。
呉 大陸との距離の違いだと思います。朝鮮半島は、常に大陸からの影響に圧倒されてきました。
 二千年の間に絶え間ない侵略を受けた結果、精神性や文化性まで全部奪われていき、いつの間にか価値観のすべてが大陸的なもの、つまり儒教イデオロギーに侵食されてしまいました。
― 島国である日本は、異民族から侵略された経験もなく、儒教の影響も表面的にしか受けていません。もしかしたら、日本と韓国との違いは、海洋文化と大陸文化の違いに由来していませんか。
呉 はい。日本では、建築や祭礼などあらゆるところで、海洋文化の特徴が見られます。
 海の向こうから訪れるものへの尊敬の念も強く、これをもてなす丁重さは、稀人(まれびと)信仰の域です。日本は、極東アジアの島国というより、「ヤポネシア」の言葉の通り、ミクロネシアやメラネシア同様、太平洋の島々として捉えるべきなのです。
 重要なのは、通常こうした文化が、北方的な大陸文化に出会った場合、たいてい本来の文化が消えるのですが、日本ではそうならなかったことです。
 母系的で受動的な日本人の本質は変わりませんでした。厳しい寒さの中で培われた父系的で能動的な大陸文化とは明らかに違います。
― 韓国では、北方的な要素が強いのですね。
呉 侵略の歴史の中にいましたから、政治的に強くないとやっていけなかったのでしょう。
 政治は強い中央集権となり、民衆の価値観も一神教的な聖人君子を求めます。
 日本のように多神教的なものを信じる余裕がなかったのでしょう。
 日本は、自分たちの風土に合わせて、大陸文化を上手に選択しながら、あるいは手を加えながら導入しました。自然と一体となり、調和を持って生きてきた日本人は、ずっとそのままです。対立を嫌って融合しようとする精神性もそこから生まれています。
 ですから、日本人は集まれば集まるほど、融合して大きな力を生みます。
 ビジネスでもそうです。全体と個の調和をもとにして高い理想を求める日本のあり方は、これからの世界にとって貴重なお手本になるのではないでしょうか。」
http://www.nagano-cci.or.jp/tayori/717/ts.html
<ωωζζ>(同上)
 マッチョなことで有名なヨン様がナヨナヨしてるって…。
http://www.wowkorea.jp/news/enter/2004/1027/10000252.html
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 いよいよ始まったか。
 こっから先どこまで行くかだな。↓
 「オリンパスの損失隠し問題で、東京地検特捜部と警視庁、証券取引等監視委員会は21日午前、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で関係先の捜索に乗り出した。不正経理を主導した旧経営陣らについて、同容疑で年度内の立件をめざす方針。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY201112210215.html
 シリアのアサド体制の現状がまとめられている。↓
 <シリアにおけるアサド支援者の数やイランにおけるハメネイ支援者の数なんて、算定根拠は?って聞きたくなるな。↓>
 ・・・Assad’s key backers — those without whose support he would have to leave power — consisted of only about 3,600 members out of a population of about 23 million. That is less than 0.02 percent. Assad is not alone in his dependence on a small coalition. Iran’s Ayatollah Ali Khamenei’s coalition is even smaller. His essential supporters include the Revolutionary Guard’s leadership, the economically essential bonyad conglomerates, key clerics, and a smattering of business interests, totaling, according to our survey of Iran experts, about 2,000 in a population of well over 70 million.
 <最高指導者の支援者の数が極端に少ないとその体制はすさまじく腐敗するってのはそのとおりだろな。↓>
 Any political system that depends on such a small percentage of the population to sustain a leader in power is destined to be a corrupt, rent-seeking regime in which loyalty is purchased through bribery and privilege.・・・
 <イラン、イラク、更にはベネズエラがシリアに命綱の資金援助をしてんだね。↓>
 Iran and Iraq offered Assad’s regime $5 billion in aid, with $1.5 billion paid immediately. The $5 billion is equal to about 40 percent of Syrian government revenue. Since the announcement of Arab League sanctions, Iran, Iraq, and Venezuela have signed agreements to expand trade and investment in Syria to the tune of more than $7 billion in 2012, including building an oil refinery.・・・
 This injection of cash in the short term is likely to keep the military and security forces on his side. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2011/12/20/is_assad_crazy_or_just_ruthless?page=full
 ガーディアンがクリスマス向けに大々的にモーツアルトのレクイエムの映像を提供してるぞ。
 50分近いが、関心ある方はどうぞ。
 英国最高の室内楽団(Aurora orchestra)と最高の合唱団(the choir of King’s College, Cambridge)の組み合わせという触れ込みなんだけど、フルオーケストラでやらないと音の厚みが足らないように思うな。↓
http://www.guardian.co.uk/music/video/2011/dec/20/mozart-requiem-video
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太田述正コラム#5188(2011.12.21)
<田中上奏文(その10)>
→非公開