太田述正コラム#5311(2012.2.20)
<皆さんとディスカッション(続x1469)>
<太田>(ツイッターより)
 Syria ‘disintegrating under crippling sanctions’…
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-17088270
 半年後にはアサド政権はほぼアウチ、というご託宣だが、恐らくそうなるんだろうね。
今度は、米国の天才少女ソプラノ歌手Jackie Evancho(2000年4月生まれ)の存在を知る。
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-ca-jackie-evancho-20120219,0,3542464.story http://www.youtube.com/watch?v=yHs3422xb9c&feature=related
<globalyst>
 –生理としての欲望–
≫マイナスの「商品」の場合の卑近なたとえ話を思いついた方はお聞かせください。≪(コラム#5092。太田)
 愚痴があると思います。
 できの悪い(けど愛情は残っている)子供や我が儘な(でも長年ご愛顧いただいている)客の愚痴は言っているうちに気が晴れるけど、稼ぎの悪い(愛の冷めた)亭主や無能な上司の愚痴は言っているうちにムカムカしてくる。
<TA>
 太田さんの過去著作『わが国の防衛費とその国際比較』についての質問です。
 「わが国のこの「防衛関係経費」が、現在<(1980年ごろ)>国連事務総長によって任命された専門家による会議で推進している国防費の定義の標準化の試みに耐えうるかはきわめて疑わしい。」
 とのことですが、著作中にはそう述べる理由に対し明確には説明されておられません。ご説明をお願いします。また、この件は現在でも変わっていないのでしょうか。
<太田>
 私が防衛庁(当時)にいた最後の頃の記憶では、NATO加盟国を除けば、国連の定義(≒NATO定義)に基づいて積極的に自国の国防費を公開している国は少なかったけれど、自由民主主義国は、問い合わせがあれば、国連の定義に従った国防費を答えるようになっていたと思います。
 また、IISS等の外交・安全保障研究所等は、上記諸国以外の諸国の国連定義に従った国防費は推計することで、国連定義ベースの各国国防費を列記した表を作成するに至っていました。
<TA>
 もう一つ、
 「しかし、防衛関係費の「少さ」および「長期低落傾向」をささえた国際環境はいまやくずれつつある。・・・1970年代においてソ連は世界最大の軍事支出国となり米国との差はますます開きつつあるといえる。」
 とのことですが、あたかも(というか明らかに)「ソ連脅威論」の類を主張しておられるように読めます。この当時(1980年)あたりまでは「ソ連脅威論」を信じておられたのでしょうか。未テキストデータ化の過去著作『80年代の防衛問題』(1982年)では、(再読はしませんが、)確か「ソ連脅威論」は嘘だという主張を明確にされていたと思いますが。
<太田>
 この件は、「ソ連脅威論」とは無関係です。
 当時のソ連のいわゆる国防費は、米CIAや国防省がソ連の実質国防費を、ソ連の装備や兵員等を米国価格で調達・維持する場合にいくらかかるか、という手法で推計したものであり、その結果が、米国の国防費をソ連の国防費が上回っているという結論だったわけであり、このような手法の妥当性を横に置けば、必ずしもありえないことではなかったと思います。
 (宇宙開発も広義の国防費で賄われるわけですが、一時期、宇宙開発でソ連の方が米国よりもかなり進んでいた時期がありますよね。当時のソ連で、大変な資源が(広義の)国防費に投じられていたことに疑いの余地はありません。)
 いずれにせよ、(このようにして推計されたところの、)ソ連及びソ連の同盟国の国防費総額と米国および米国の同盟国の現実の国防費総額を比較すれば、一貫して後者が前者を上回っていたことを忘れてはいけないでしょう。
<TA>
 ところで、
≫この論考<(件の過去著作)>の中で、「わが国が独自の防衛政策を展開できるに足る大きな防衛力を保有することを、米国が望んでいないのも事実である。」と記してい るのがちょっと気になっています。
 間違いだからです。
 当時、私が、本当にそう考えていたのか、それとも、当時の防衛局防衛課に在籍していて本名で上記誌に掲載されたことから、避雷針的に心にもない ことを書いたのか、今となっては思い出せません。≪(コラム#5307。太田)
 についてですが、この言は著作全体の文脈からいうと明らかに不自然ですし、この言以外にもある種の「配慮」が働いたことを思わせる記述が多々あるため、後者の可能性が高いと推測します。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 東電のこのスマートメーター導入問題は、その後どうなってんだろ?↓
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/
 意外に画期的な動きじゃないかな。↓
 「・・・厚生労働省は19日、労働安全衛生法を改正し、全企業に対し従業員の定期的なメンタルヘルス(心の健康)検査を義務付けると発表した。・・・
 <同>省は、法改正の目的は企業に従業員の精神治療を手助けさせることだとし、メンタルヘルスに問題のある従業員に会社が不利益を与えたりすることのないよう、関連法令に規定を設けると説明した。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/20/2012022000483.html
 そもそも、前提としての認識が誤っている!
 ワシントンもフランクリン・ローズベルトも全球的に見れば、恥ずかしいほど矮小な人物だったし、リンカーンについても、その功罪は相半ばするといったところだからだ。
 いちいち過去コラム#はあげないが、思い出してくれたまえ。↓
 
 Where Have All the George Washingtons Gone?・・・
 ・・・since FDR, the greatness of consistent and incomparable achievement has eluded all of his successors.・・・
  Washington, Lincoln, and Roosevelt were America’s greatest presidents・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/02/20/where_have_all_the_george_washingtons_gone?page=full
 昨日ガーディアンで Julia Fischer を知ったと思ったら、今日はワシントンポストにまた彼女の大きな記事が。
 だけど、バイオリニストとしてしか取り上げてないね。
 もっと、彼女、ピアニストとしても活躍して欲しい。
 なんてたって、同じくマルチタレントの松下奈緒(コラム#5189)なんかと違って、ホンモノだもんね。
 もちろん、女性は体力、筋力的にピアニストよりバイオリニストに向いてるから、バイオリニストとしの活動が中心になるのは理解できるが・・。↓
http://www.washingtonpost.com/lifestyle/style/violinist-julia-fischer-shows-both-focus-and-range-in-sixth-and-i-synagogue-recital/2012/02/19/gIQANipEOR_story.html?hpid=z9
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太田述正コラム#5312(2012.2.20)
<大英帝国再論(その7)>
→非公開