太田述正コラム#5395(2012.4.2)
<皆さんとディスカッション(続x1510)>
<太田>(ツイッターより)
 アヒルのお母さんが子供達を連れて移動中に障害物が。
 さあどうする?
http://blog.sfgate.com/stew/2012/03/28/ducklings-vs-curb-who-will-prevail/#4072-1
 ぞっとさせる公共広告映像が紹介されている。
 ユーチューブ映像の三つ目、意味がよー分からんちん。
http://www.guardian.co.uk/film/2012/mar/30/danger-world-scariest-films
 北極熊物語の続きだ。
 「彼女」の写真11枚とクヌート関係写真2枚が見られるよ。
 クヌートだけじゃなくって飼育員も若くして亡くなってたんだねえ。
http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/0,1518,824848,00.html
 おお、熊生も人生も儚きかな。
<TA>
≫銀河英雄伝説はアメリカでは嫌われています。驚くことに10年連続で子どもに読ませたくない本第一位にランクインしています。≪(コラム#5393。元・S)
 英訳版が出ているという話は聞かないため、勘違いではないでしょうか。↓
 銀河英雄伝説:外国語版
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E8%8B%B1%E9%9B%84%E4%BC%9D%E
8%AA%AC#.E5.A4.96.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E7.89.88
 ちなみに中国では人気があるようです。↓
 人民日報も認める『銀英伝』。中国で「愛される理由」は
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20060802/107390/?rt=nocnt
 『銀河英雄伝説』について、私はアニメ版しか知りませんが、政治などの描写についても、「ファンタジー作品」の域を出るものではないという感想です。
 太田さんが言う欧州的な演繹的思考そのものといったところでしょうか。
 作品全体が何か、机上の空論的と言うか、思考実験的と言うか、あまりにリアリティーがないのです。
 製作者側もそれについての自覚があるのか、斧を持っての肉弾戦のグロ描写等を挿入することで視覚的にリアリティーを出そうとしている風なのですが、それが逆に不自然さを際立たせる結果になっています(敵兵の姿を直接見ることがないのが現代戦以降の「リアル」でしょう)。
 ケチをつけるようなことを言いましたが、作品自体は面白いものです。
<太田>
 にゃるほど、三国志演義や水滸伝の影響を受けてて、善玉の方のヒーローの名前も支那風(日経ビジネス上掲)ってわけね。
<TA>
 そうそう。『銀河英雄伝説』と好対照なのが、『太陽の牙 ダグラム』というアニメ作品です。↓
 「・・・1981年(昭和56年)・・・から・・・全75話が放送された・・・SFアニメ(ロボットアニメ)。・・・子どもたちだけでなく、その父親層までも視聴者に取り込むことを目的とし、単なる勧善懲悪ではなく実際にあり得るのと同じ独立戦争をテーマとし、その発端から終結までを描いている。 登場人物たちはそれぞれの政治的使命や信念に基づいて行動し、単純な悪役が存在しないリアルなストーリーを追求している。そのため、少年向けアニメには珍しく複雑な社会構造を背景とした重厚な政治ドラマや戦略的駆け引きが展開される。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%81%AE%E7%89%99%E3%83%80%E
3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0
 制作・放送年代から、戦後の「属国」日本のメンタリティを考える材料とすることも出来るため、太田さんに観てもらって感想をお聞きしたいとは思うのですが、「全75話」という有り得ない長編作品のため、推薦出来ずにいます。
<太田>
 そのうち、チラ見をしてみましょう。
<ねこ魔人>
 –仮面ライダー電王–
 具体的なシーンは上げることができませんでした、すいません。その代り、つべに上がっている動画を紹介させていただきたいと思います。
動画1:主人公に憑依する個性あふれるイマジンたち
http://www.youtube.com/watch?v=IGmuQTUir-0&feature=relmfu
→「仮面ライダー電王 イマジンあにめ」とはこれいかに?(太田)
動画2:1はややふざけてるので、opをうたっているイマジンたち
http://www.youtube.com/watch?v=u7JrpNlkRgo&feature=related
画像1:電王の各フォーム。上記のイマジンたちは、電車の定期券のような外見をしたライダーパスを媒介にして、主人公に憑依します。憑依するイマジンが変わることに伴って、電王の形態も変化します。
http://eigadvdlove.seesaa.net/upload/detail/image/B2BECCCCA5E9A5A4A5C0A1BCC5C5B2A6B7E0BEEC-thumbnail2.jpg.html
→フムフム。(太田)
 私は、電王という作品は、人間主義を表した作品が人気が出ることの表れだと思っております。
 本来、仮面ライダーという作品は、個人主義的な作品です。
 たった一人で悪の組織と立ち向かうという作品なのですから。
 しかし、電王は異色です。
 この作品では、悪の組織と戦う人物自体は主人公1人なのですが、イマジンと呼ばれる、個性あふれる味方の怪人たちが主人公に憑依することで、協調しながら敵を倒していくからです。
 この作品は、人間主義的なものといえるのではないでしょうか?
 各イマジンたちは、悪を倒すという共通の目的のために協力しているけれど、強烈な個性を持っているからです。
 この作品は人気がずば抜けています。
 事実、平成仮面ライダーの人気投票では、2位を2倍以上引き離して圧倒的な首位当選を果たしています。
http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-1317.html
 他の例としては、仮面ライダー電王は、テレビ放送が当の昔に終了したにもかかわらず、いまだに映画で続編が作成され続けています。
 仮面ライダー電王という作品は、本来は個人の孤独な戦いを描く仮面ライダーという作品の中では異色の、複数の仲間と強調して敵と戦う作品です。
 この仲間たちは個性も持っているので、この作品では、人間主義が描かれていると思います。
 しかもこの作品は人気があります。
 太田さんは、人間主義的な作品が人気が出るとおっしゃっています。
 電王は、さきほど述べたとおり、人間主義的な作品で、しかも人気があります。
 よって、電王は、太田さんの上記説の1例と呼べるのではないでしょうか?
 孤独な個人が敵と戦うことを描く仮面ライダーですら、一番人気が出るのは、個性をもった仲間と強調して戦う作品である電王なのですから、皮肉な気もしますが。
<太田>
 おっしゃりたいことはよく分かりました。
 恐らくその通りなんでしょうね。
 とにかく、頭に叩き込むべきことは、人間(じんかん)主義は、断じて集団主義ではないことです。(もちろん、個人主義でもないけどね。)
 それでは、その他の記事の紹介です。
 週刊ポストだけど、一応「典拠」付きの記事だからねえ。↓
 「厚労省 天下り団体と一体の組合“だけ”に巨額復興予算拠出・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6426562/
 引用した部分以外を含めた全体を読めば、いかにも朝日らしい斜に構えた書評なんだけど、先の大戦への日本人の典型的な関わり方を素直に受け止めるべきだろう。↓
 「・・・ 竹内<浩三>は、伊勢の神宮司庁御用達の呉服店に生まれ、こう<(ママ)>が困り果ててしまうほど無邪気でいたずら好きな少年だった。教練は不真面目で、自作の漫画雑誌に「兵隊が嫌い」と書いて父親が学校に呼び出されたこともある。映画の世界に憧れて日本大学に進むと、友と遊び回り、レコードを聴き、失恋もした。現代にもいる普通の若者のように思われた。
 そんな彼が突然、兵隊になる。〈死ぬるまで、ひたぶる、たたかつて、きます〉といい、出征した。この落差に著者は戸惑う。竹内はどんな思いで戦地に赴いたのか、こうの元で大切に保管されてきた手紙や日記を読んだ。一度は、「玉がおれを殺しにきても詩人をやめない」「飯ごうの底に詩を書きつける」と誓った竹内が揺れていた。戦争に非協力的な日本人への憎しみを書いたかと思うと、銀座を懐かしく思う気持ちを吐露し、〈今、ボクハ、キビシク頭ノキリカエト云ウヤツヲヤラナケレバナラナイ〉と書いていた。・・・」
http://book.asahi.com/ebook/master/2012032700004.html?ref=top
 おお、なつかしい(コラム#2253)。一度この目で見なくっちゃ。↓
 「赤れんが駅舎が復活 東京駅が戦前の姿に・・・」
http://sankei.jp.msn.com/life/photos/120401/trd12040116370007-p1.htm
 着々と自由民主主義化の道を歩み続けるミャンマー。↓
 「ミャンマーの議会補選で、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏率いる民主政党・国民民主連盟(NLD)は2日、45議席中、少なくとも42議席を獲得したという独自集計を明らかにした。・・・与党・連邦団結発展党(USDP)の牙城と目されていた首都ネピドーでもNLDが全4議席を獲得した。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120402-OYT1T00396.htm
 シリアの反体制派の面々も給料が出るようになるんだと。
 えーんじゃないか。革命だってカネ次第ってところがあるからなあ。↓
 Rebels fighting the government of President Bashar al-Assad in Syria will be paid salaries, the opposition Syrian National Council has announced.・・・
 ・・・wealthy Gulf Arab states would supply millions of dollars a month for the SNC fund.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-17578248
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太田述正コラム#5396(2012.4.2)
<黙示録の秘密(その5)>
→非公開