太田述正コラム#6043(2013.2.22)
<皆さんとディスカッション(続x1818)>
<太田>(ツイッターより)
 「…中国人<には>…、「自分や他人のメンツを保つためにつく嘘は、嘘のうちに入らない」という考え方は、かなり深く浸透している…」
http://j.people.com.cn/94475/8135318.html
 よく分かってるじゃないか。
 だけど、分かっちゃいるけどやめられないってわけだな。
 ホントはた迷惑だよ。
<8al7P8wO0>(「たった一人の反乱」より)
 「谷垣法相「国民の安心安全考えるべきだ」 死刑制度への批判に反論・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130221/trl13022112060004-n1.htm
 国民の安心安全を考えるのなら先に憲法9条どうにかしろよとかって声が聞こえてきそうなのはさておき、死刑にして欲しくて人殺したって奴が出てきちゃうと、死刑って制度そのものが根底から覆されてしまうよね。
 海外でも死刑制度廃止の流れが主流みたいだし↓日本も死刑制度廃止するべき時がきてるのかねぇ?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6
 でも死刑制度廃止してしまうと、「今度は何やっても死刑にならない、どころか衣食住を国が保証してくれるのなら、むしろ人殺して刑務所に保護して貰おう」とか考える奴が出てきそうで安易に廃止していいものか?・・・とか考えてしまう。
 韓国見習って取り敢えず死刑制度”凍結”でお茶を濁す?
<太田>
 ずっと前にも触れたことあると思うけど、どちらも、国家による法秩序維持を目的とするところの、軍隊による殺人は認めて死刑による殺人は認めないってのは、非論理的だとボクは思ってる。
 もちろん、日本のように、軍隊による殺人は認めないのに死刑による殺人は認めてるのも非論理的だけどね。
<ja4TLFah0>(同上)
 韓国、ロシア、アフリカ諸国までが過去10年死刑凍結してたとは。
 日本はけっこう遅れてるんだな。
<YgEo6mJc>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 「竹島を「聖地」にした韓国の甘え 筑波大学大学院教授・古田博司・・・
 貿易面で対中依存、安保面で対米依存が減じれば、韓国は済州島の海軍基地の完成後、中国船舶を引き入れる可能性がある。」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/632430/
 いくらなんでも、海軍基地に中国の船はないやろ。
 そんなことをするくらいなら、そもそも基地なんぞ造らんわ。
 韓国研究の専門家は、なぜだか、ちょっと偏りすぎの見方をするようになる。
 言うまでもないことだが、韓国のあまりにひどい反日ぶりに嫌気がして、アンチになってしまうのだろうな(笑)。
<太田>
 いや、マジそういう可能性もあるよ。
 韓国、というか北東アジアは、19世紀末の対峙状況に戻りつつあるとも言えるからだ。
 日露戦争って、日英米と露韓清の戦いだったんだな。
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E9%9C%B2%E6%88%A6%E4%BA%89 の図参照。)
 当時、韓国(大韓帝国)が自由民主主義陣営に与し、専制主義陣営に対峙していたら、この戦争は起こらなかったし、その後の日韓併合もなかった。
 現在の韓国(当時の半分だけど)は、この同じ轍を踏む恐れがあるってこと。
<TA>
≫芸術作品の鑑賞は自然や生き物(就中人間)への共感、すなわち人間主義、を触発させる最も適切な手段の一つである・・・、と考えているのです。≪(コラム#6028。太田)
 このコラムシリーズ「芸術と科学(その1~5。未公開)」における「芸術作品」の例として、神話と絵画(クリムトの『ユディト』(注1))、文学作品(『源氏物語』(注2))が挙げられていますが、ここで言う「芸術作品」とは、映画や演劇など、実際の人間を観賞する作品は含まないのでしょうか。
 (注1)「クリムトの『ユディト』を、かくも抗い難くその複雑性において動的なものとしている究極のものは、それが、脳の中で、いくつもの異なった、かつ、しばしば相争うところの、感情的諸信号を活性化し、それらを結合して、びっくりするほど複雑かつ魅惑的な諸感情の渦を生み出す<(様々な脳内物質、すなわちドーパミン、エンドルフィン、オキシトシン、ヴァソプレッシン、ノルエピネフリン、セロトニン、アセチルコリン、を分泌させる可能性がある)>、という業 (way)なのだ。」(コラム#6032(未公開)。カンデル)
 (注2)「源氏物語は、・・・文学的、音楽的、視覚的、嗅覚的、舞踊的、演劇的感興を広範に与え<る>、と言える・・・。」(コラム#6034(未公開)。太田))
 なぜこのような質問をするかと言うと、日本における漫画やアニメ(いずれも実際の人間を観賞対象とするのではない)の特異な発達が人間主義とかかわりがあるのではないかと思えたからです。↓
 「カンデルの指摘に照らせば、日本の上流階級は、少なくともほぼ1000年前から、ひょっとすると、・・・多彩な化学物質の同時的分泌により、「脳の中で、いくつもの異なった、かつ、しばしば相争うところの、感情的諸信号を活性化し、それらを結合して、びっくりするほど複雑かつ魅惑的な 諸感情の渦を生み出す」経験を日常的に重ねる生活を送って来た、ということになりそうです。
 本居宣長が、源氏物語を重視し、この作品を貫くものを「もののあはれ」であるとしたのは、以上のようなことを直観的に見抜いたからだ、と思うの です。
 私は、現在、「もののあはれ」とは、より活性化した・・「より高次元の」と換言してもいいでしょう・・平常心であり、「もののあはれ」が分かる人間こそ人間主義
(じんかんしゅぎ)者である、・・・と考えるに至っています。」(コラム#6034(未公開)。太田)
 「カンデルがここで言っているのは、芸術とは、芸術家と鑑賞者の人間主義的共同作業である、すなわち、芸術鑑賞とは芸術家が伝えたいものを鑑賞者が忖度する営みであり、芸術創作とは、かかる鑑賞者の営みによって自分が伝えたいものが鑑賞者に伝わるであろう作品を、一定の鑑賞者層を念頭において、彼らの忖度力を忖度しつつ創り出す営みである、ということであり、従って、芸術は人間主義の推進を図る、ということである、と私は受け止めました。」(コラム#6036(未公開)。太田)
 日本での漫画やアニメの発達・普及は「もののあはれ」(正直私にはこの概念、意味がよく分かりませんが・・・)が解る日本人だからこその現象である、と言えるのでしょうか?
→私自身もずっと分からなかったのですが、何と言うことはない、日常的に、我々が芸術に接する度に・・それができのよい芸術であればですが・・感じ(経験し)ていることだった、その感じ(経験)については脳科学的に定義できそうだ、というわけですよ。
 ところで、「もののあはれ」が殆んど英語と同じ発音であることは面白いですね。
 カンデルは、「アハ(Aha!)的瞬間」を「他人の頭の中を覗き込んだということの突然の認識」であるとし、我々は、芸術を鑑賞することにより、「芸術家によって描かれた美と醜の両方の根底にある真実を見ることが可能となる」(コラム#6036。未公開)と言っていますが、Aha!≒あはれ、じゃないですか!(太田)
 漫画・アニメを観賞しているときに分泌される脳内物質と映画・演劇を観賞しているときのそれは、質・量のいずれかあるいは両方が異なるのでしょうか?
 (「アニオタ」だの「萌え」だのはその違いによる現象?)
 アニメを観賞しているときの感覚と映画を観賞しているときの感覚が異なる、というのは実感としてあります。
→異なります?
 漫画・アニメだって芸術であり、「できのよい」ものであれば、「もののあはれ」的感動を与えることは大いにありうるでしょう。(太田)
 ところで、「アニメ「エルフェンリート」のオープニング曲<の>Lilium」(コラム#4457。太田)ですが、ここで使われている映像、クリムトをモチーフにしているそうですよ。↓
 エルフェンリート Elfen Lied オープニング -Lilium-
http://www.nicovideo.jp/watch/sm672781
 エルフェンリートのOPとグスタフ・クリムトの絵を比べてみた(元ネタ)
http://nekokuroneko.blog25.fc2.com/blog-entry-183.html
 『エルフェンリート』自体すばらしい作品なので太田さんにお奨めしたいのですが、萌えだのグロだの、嗜好が合わないおそれがある要素が多分にあるため、敢えてお奨めはしません。
→コラム#4457で掲げられていたものがリンク切れになっていたので、お示しのに加えて、これ↓
http://www.youtube.com/watch?v=xAHJIyfUSwU
でもこの曲を再鑑賞してみたのですが、両方の映像から、おおよそ、これがどんなアニメか想像がつきます。
 さて、昭和初期からあった「エログロ」という言葉、悪い意味で使われがちですが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AD
これ、要するにクリムトの『ユディト』を形容したような言葉・・グロは、ユディトが手にしているホルフェルネスの生首・・ですよね。
 実は、源氏物語だって「エログロ」の物語・・グロは、六条御息所の生霊・死霊・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E6%9D%A1%E5%BE%A1%E6%81%AF%E6%89%80
なのであり、現在の日本の漫画・アニメの多くは、源氏物語/源氏物語絵巻の直系である、と言ってもよいのではないでしょうか。(太田)
 話は変わりますが、コラム#6041が配信されていない旨、ご連絡いたします。ブログで読ませていただきましたので特に問題はありませんが。
→そうでしたか。
 有料読者の皆さん、大変失礼しました。
 なお、昨日の「ディスカッション」、本来「過去・現在・未来」じゃなきゃいけなかったわけですが、これを契機に、今後は、読者投稿の転載がない場合でも、「ディスカッション」扱いにします。(太田)
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 最初に、TAさんとのやりとりの流れで、日本人の(人間主義的)ロボット観についての記事を紹介しよう。↓
 
 <神道に根差し、日本人は、ロボットにも、岩にもせせらぎにも魂が宿ると考える。↓>
 ・・・“For many Japanese, robots, automatons and virtual computer girls possess the same tamashii — spirits — that devotees of Japanese animism, or Shinto, believe can inhabit all things, from rocks and streams to humans.”
 <あらゆるものは平等と考える。↓>
 “Everything is equal. We have no borders between robots and people,” ・・・
 <外国じゃロボットは敵だが、日本では友。↓>
  “In the foreign stories, robots are always the enemies. In Japan, they’re our friends.”・・・
http://newsfeed.time.com/2013/02/21/watch-japans-love-affair-with-robots-explained/
 安倍首相が、中共の攻撃的姿勢は、国内向け、と語る。↓
 China has a “deeply ingrained” need to spar with Japan and other Asian neighbors over territory, because the ruling Communist Party uses the disputes to maintain strong domestic support, Japanese Prime Minister Shinzo Abe said in an interview.・・・
 <中共は、回り回って経済で墓穴を掘ることになる、とも。↓>
 “Such behavior is going to have an effect on their economic activity at the end of the day,” he said, “because it will lead to losing the confidence of the international community, which will result in less investments in China. I believe it is fully possible to have China to change their policy once they gain that recognition.”
http://www.washingtonpost.com/world/japans-prime-minister-shinzo-abe-chinese-need-for-conflict-is-deeply-ingrained/2013/02/20/48adbc80-7a87-11e2-9a75-dab0201670da_story.html
 中共当局は激しく反発している。↓
 「米紙の首相インタビューに反発 中国「隣国をわい曲」・・・」
http://www.asahi.com/international/update/0222/TKY201302220077.html
 トルーマンが黒人差別に熱心に取り組み始めたという話を書いた本(コラム#6035)の著者が、どうしてトルーマンが改心したのか、説明をしていない、と批評されてるが、コラム#6035でボクが書いたことが理由である可能性が高いところ、そんなことは一切トルーマンが口外できなかったからだろ。↓
 ・・・At times, James — an excellent storyteller — doesn’t go far enough into analysis. Readers may wonder more about the long-term impact of the Houston massacre and the personal reasons why Truman became a civil-rights trailblazer. How much did he evolve personally as he was horrified by violence against black veterans? How much did politics affect his decision?・・・
http://www.csmonitor.com/layout/set/print/Books/Book-Reviews/2013/0221/The-Double-V-and-The-Slaves-Gamble
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太田述正コラム#6044(2013.2.22)
<愛について(その2)>
→非公開