太田述正コラム#6410(2013.8.25)
<皆さんとディスカッション(続x2001)>
<太田>(ツイッターより)
 「宝鋼日本子会社:中日友好の実践者…」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/8375570.html
と「歌舞伎女形を夢見る青年…」
http://j.people.com.cn/94473/8375471.html
は、経済、文化の面での日中友好記事だし、「中国と日本が向き合うべき未来とは…」も途中の文面はともかく、結論は、「中国と日本<が>…フランスとドイツのように歴史問題で和解を得て、アジアに「アジア連合」を創りあげていけたら、それこそが本当に素晴らしいことだ。」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/8372482.html
だからねえ。
 中共当局は完全に対日融和政策へと舵を切った。
 後は政治的融和を待つだけ、かなあ?
<SK>
 太田さま、ご無沙汰しております。SKです。
 〇〇に住んでおりましたが、仕事で東京に来ております。
 先日のオフ会楽しみにしていたのですが、神戸で開催で、残念ながら参加出来ませんでした。
 次回の東京での開催を楽しみにしております。
<太田>
 10月19日(土)にお待ちしています。
<SK>
 さて、<一>昨日のメールマガジンなのですが、
≫「「湿気」が生み出した独特の日本文化…」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/8373912.html
 これも谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」(コラム#6399(未公開))の焼き直しでは
あるがうならせる記事だ。結果として天皇制まで褒め称えちゃってる。朝鮮日報の記者諸君、人民網日本語版を愛読しなさい。≪(コラム#6406。太田)
 この記事は日本を賞賛しているのだと理解出来ます。
 が現実の日本への態度は領土問題に端を発した威嚇や侮蔑が多いように思われます。
 日本のマスコミから聞こえてくるのはこんな事ばかりです。
 人民網とこれらの差をどう考えたら良いのでしょうか?
 中国の上層部や人民網の一部に日本への理解者がいるが、振り上げた拳を急に下げる訳にいかなし、国内の様々な問題を民衆の目かそらす為、強行姿勢を続けるのか。
 こんな記事を書く記者は処分されそうであるがされないのはなぜなのでしょうね。
 日本語版だから許されているのでしょうが。
 ご意見を頂けましたら幸いです。
<太田>
 しばらく前に、中共在住の読者が、人民網日本語版掲載記事・・人民網自身の記事とは限りません。言及されている記事は新京報の記事の転載です・・は漢語版にも掲載されていることを教えてくれたところです。
 人民網が日本礼賛記事を載せるようになったのはここ数年のことだと思いますが、この間、政治面での日中関係には紆余曲折があったのに、この方針に変更がないまま推移していることは、中共当局の中に有力な日本シンパが常にいてそうさせてきた可能性が大です。
 冒頭に掲げた私のつぶやきは、昨今の日本の朝野の「右」旋回に危機意識を抱いた中共当局が、政治面でも日中関係改善に乗り出した、ということではないでしょうか。
<etskS3No>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 大田は「ソ連は脅威じゃない」とアホ抜かしてた野郎か。
 コイツの主観だけで全く根拠が無い。
 何でソ連の極東方面の装備が弱かったっていえるんだろうね。
<NTk3xPJ6>(同上)
 ・・・ソ連の極東方面がヨーロッパ方面に比べて敵に対し、脆弱性を呈してたのは、戦前からの常識なんじゃね。
 例えば、ノモンハン事件におけるソ連側補給将校の手記には、それが如実にあらわれてる。
 「私たちがモンゴル・満州国境のチタに到着するまでに、国境での事件は大規模な衝突に発展していた。チタには前線の空気が充満していた。・・・
・・・私の任務は実戦部隊への武器と弾薬、燃料、食糧の補給だった。その責任は重く、任務はきわめて困難を伴った。私たちのベースキャンプからザバイカルのソロビヨフスコエ駅(第七十九駅)までは鉄道も舗装道路もなかった。大草原が広がり未熟な運転手なら簡単に道に迷ってしまうのだ。
しかも、ベースキャンプから前線までは千百キロもあった。夏の焼けつく暑さ、冬のいてつく寒さ、風と砂嵐の中で運転手がこれだけの距離を克服する方法を考えなければならなかった。
 私の指揮下には十二の車両大隊があった。司令部門のなかでも後方支援を担当した私の仕事は戦闘に必ず間に合わせ、決して武器、弾薬、燃料と食糧に不足が生じないようにすることだった。後方支援部隊は、司令部から一度も小言を言われたことはないし、「戦功」のメダルも授与されたのである。
 しかし、もし日本軍の飛行機がシベリア鉄道の駅を一つか二つ爆撃していたら、モンゴルの私たちの軍隊には燃料も武器弾薬もなくなっていただろう。バイカル・アムール幹線鉄道の建設に、どれだけ大きな軍事的意味があったかを指摘しておきたい。」
http://sakura4987.exblog.jp/3667353
<はま>
 宗教的であることと霊的であることの違いと、原理主義であることの関連がわかりにくいのですが。
 キリスト教の具体例でいうと、宗教的であるとは、ミサに毎週通うなど、社交的で外面的にわかる信仰をしているということでしょうか。
→私は、霊的(spiritual)である、ないし、宗教的リベラル(religious liberal)こと、と、原理主義的(fundamentalistic)であること、の双方とも宗教的(religious)であること、と考えています。
 (ただし、あなたが下で引用されたの筆者は一つのセンテンスの中で、religiousを私のような意味の言葉であると同時にfundamentalisticの同義語としても使っており、混乱が見られます。)(太田)
 そうであるなら、霊的であるとは、内的な信仰を持っていて、外からわかるような儀礼などには参加しないが、個人的に神は信じているというようなあり方になります。
 また、霊的な人々は、本をむやみやたらと買って読む傾向にあるようです。
http://www.religiondispatches.org/archive/politics/6547/a_history_of_the_unaffiliated%3A_how_the_%1Cspiritual_not_religious%1D_gospel_has_spread/
Since the 1920s, when the major New York trade presses first started offering nonsectarian religious books in significant numbers, books have been the most important conduit for spreading the “spiritual but not religious” gospel.
→この場合の本とは、広義の宗教本ですよ。(太田)
 原理主義は、ウィキペディアの説明にありますが、「現実を無視して特定の原理原則に固執する考え方」なので、聖書の方が正しくて現実が間違っていると考えるような徹底した原典主義であり、聖書などからうかがい知れる基本・根本回帰が特徴です。
「書かれたもの」の解釈学を中心にするような信仰が原理主義と呼ばれるべきであるなら、霊的な方(リベラル・主流派・民主党)の人たちがそうであって、宗教的な方(福音派・共和党)ではないのではないですか。
<太田>
 spiritualな人は各種宗教本をあれこれやたら読むreligiousな人であるのに対し、fundamentalisticな人は宗教の本は基本的に聖書しか読まないreligiousな人だ、ということですよ。
<べじたん>
≫英語のできる方、ご意見を!≪(コラム#6408。太田)
 同格のthatの誤用のような。
 ネイティブが間違いますかねえ?
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 私が『防衛庁再生宣言』の中で自衛隊戦力ゼロ論を展開した理由の一つがこれだ。
 統合強化が組織面等を含め、図られてきているのは、遅きに失したきらいはあるけれど、大変よいことだな。↓
 「防衛省:陸自機材更新へ 3自衛隊、相互通信可能に・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20130825k0000m010090000c.html
 豪州の大学のセンセの下掲の文章を投稿で正しておいたよ。↓
 <日本の民主主義は戦後始まったとよ。↓>
 ・・・The democracies of India and Japan date back to just after World War II, while the democratizations of South Korea and Taiwan began in the late 1980s. ・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2013/08/25/2003570511
 (投稿)
 Mr. Jacobs, please study basic historical facts before writing this sort of essay.
Japan was a mature liberal democratic country since pre WWII and even during the War.
It had universal suffrage(male) which sent representatives to the Lower House, where laws and budgets were approved.
Pre WWII Japan also had an independent judiciary.
Taiwan’s democracy is based on the experience of the japanese rule as well as the elected local concil system introduced in Taiwan by the Japanese authority in 1935.
ドイツで和牛を育て始めてるんだね。
 和牛が欧米でものすごーい人気であることがよー分かるで。↓
http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/german-farmers-seek-fortune-in-luxury-wagyu-beef-a-917957.html
ガーディアンでさえ、シリアでの化学兵器使用に対する軍事介入の是非の検討が必要になったことを示唆。↓
 ・・・We can avert our eyes when “suspected” chemical attacks take place. Can we still avert our eyes if they are proved to have taken place? The answer may still be yes, but let’s explain to those caught in the Syrian nightmare why that is so.
http://www.theguardian.com/commentisfree/2013/aug/24/options-syria
 <だけど、このままアサド政権(イラン、ヒズボラ)側も反体制派側(アルカーイダ系)も勝たないのがイチバンって意見が出されてる。↓>
 ・・・By tying down Mr. Assad’s army and its Iranian and Hezbollah allies in a war against Al Qaeda-aligned extremist fighters, four of Washington’s enemies will be engaged in war among themselves and prevented from attacking Americans or America’s allies.・・・
 <反体制派側が負けそうになった時だけ武器援助をすべきだってワケ。↓>
 Maintaining a stalemate should be America’s objective. And the only possible method for achieving this is to arm the rebels when it seems that Mr. Assad’s forces are ascendant and to stop supplying the rebels if they actually seem to be winning.・・・
http://www.nytimes.com/2013/08/25/opinion/sunday/in-syria-america-loses-if-either-side-wins.html?ref=opinion
 コンピューター化により、高度の職業と簡単な職業だけ残りつつあり、これが所得格差の拡大を生んでいる、というお馴染みの議論が精緻に展開されている。↓
 ・・・Computerization has therefore fostered a polarization of employment, with job growth concentrated in both the highest- and lowest-paid occupations, while jobs in the middle have declined.・・・
  This bifurcation of job opportunities has contributed to the historic rise in income inequality.・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/08/24/how-technology-wrecks-the-middle-class/?ref=opinion&_r=0
 利他的活動をすることが心身の健康に資する、というこれも何度か出て来た話がまた出てた。要するに人間主義のススメだな。↓
 <早死率が22%も低下するとさ。↓>
 ・・・A new review of the health effects of volunteering found that helping others on a regular basis — like serving food in a soup kitchen or reading to the blind— can reduce early mortality rates by 22%, compared to those in people who don’t participate in such activities.
 The review・・・also revealed that volunteers benefit from reduced rates of depression and an increased sense of life satisfaction and well being — doing good, it seems, made them feel good. ・・・
 <ただし、ほどほどにしないと燃え尽き症候群に陥るって。↓>
 “There may be a fine line between volunteering enough to experience mental health benefits (up to 10 hours a month) and spending too much time volunteering so it becomes another commitment,” the authors write. “If volunteering becomes a burden, this may lead to ‘burnout.’”・・・
http://healthland.time.com/2013/08/23/helping-others-helps-you-to-live-longer/
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太田述正コラム#6411(2013.8.25)
<日支戦争をどう見るか(その34)>
→非公開