太田述正コラム#8427(2016.5.30)
<皆さんとディスカッション(続x3009)>
<太田>(ツイッターより)
 「…全国世論調査で、東京都の舛添要一知事の政治資金問題について尋ねたところ、舛添氏が「辞任すべきだ」が77%に上り、「辞任する必要はない」は13%だった。都知事選では自民、公明両党が舛添氏を支援したが、「辞任すべきだ」は自民支持層で81%、公明支持層でも6割を超えた。東京都内では81%が「辞任すべきだ」と答えた。…」
http://mainichi.jp/articles/20160530/k00/00m/010/040000c
 「…飯島勲氏が…「後任に資質のある人がいない」として、消去法的に「納得できないが、(舛添氏が)政治資金団体、政治団体を廃止したうえであと2年がんばっていただくのがベスト」と…した。…」
 < http://news.livedoor.com/article/detail/11578086/ >
 公明党は、舛添の奥さんの関係で(?)支持母体の創価学会が舛添辞任に消極的なので動けず、自民党本部は、安倍首相が、舛添を、一度目は厚労相に任命し、二度目は都知事候補に擁立した責任を問われることを恐れ、舛添追及に及び腰、といった風情だが、この圧倒的な世論調査結果にいつまで逆らえるか?
 北海道での小2置き去り失踪事件、世界的ニュースに。
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japanese-boy-disappears-after-parents-leave-him-in-forest/2016/05/29/bb324876-260e-11e6-8329-6104954928d2_story.html
http://www.theguardian.com/world/2016/may/29/missing-japanese-boy-yamato-tanooka-left-in-mountains-as-punishment-say-police
http://www.bbc.com/news/world-asia-36408641
 世界は平和になりつつある、一つになりつつある、と信じたい。
 早く見つかるといいね。
<太田>
 もう一つ見っけた。↓
http://www.nytimes.com/aponline/2016/05/29/world/asia/ap-as-japan-missing-child.html?ref=world
<TA>
≫私が、数学だけダメってことは、現在の日本じゃ、恐らく私の強みなんだ、と半ばホントに思うに至ってんだな。吉田ドクトリン下で数学がなまじできる人間は、飛翔して俯瞰することができなくなる、というのが私のメタ仮説だ。≪(コラム#8425。太田)
 はじめ何を仰っているのか分かりませんでしたが、こういうことなのですね。↓
 「一体全体どうして「理系(特に学歴が高くプライドが高いことに比例して)は仮説に過ぎない理論を妄信してしまう危険性が高い」のだろうか?
 それは、公理を所与のものとするところの数学がなまじできるだけに、公理から出発して厳密な論理で展開されている理論(宗教やイデオロギー)に遭遇すると、その理論における公理そのものを疑うことをせず、その理論の美しさに惹かれ、それをあたかも数学における定理のように信じ込んでしまうことがあるからだ、と私は考えてるんよ。」(コラム#3466。太田)
<FcknYrRE>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 オバマ大統領の「謝罪」っていうのは、核を使ったことを謝罪するってことですか?
 それともそもそも日本を戦争に追い込んだことを謝罪するってことですか?
<太田>
 いい着眼点だ。
 オバマは、米国による非人道的で無意味だった諸「戦闘」行為の象徴として原爆投下を取り上げたってことであって、それら諸「戦闘」行為は、実は、戦争・・この場合は日米戦争・・そのものの、米側から見た非人道性、無意味性、の象徴群でもあって、要するに、彼は、米国を代表して、原爆投下を日本側に謝罪すると同時に日米戦争そのものについても日本側に謝罪したんだな。
 なぜ、そう言えるのかだが、一つは、わざわざ日本訪問前にベトナムを訪問してることをこの前も指摘したところ、それがどんな訪問だったかを思い出せばいい。
 「ベトナムを訪問中のオバマ米大統領は24日、・・・首都ハノイでの演説で「ベトナム戦争は両国に苦痛と悲劇をもたらした」とし、米軍が大量に散布した枯れ葉剤に異例の言及をした。対越武器輸出を41年ぶりに全面解禁するとも表明した。・・・
 <その中で、>「エージェントオレンジ(枯れ葉剤の通称、ダイオキシン類)を除去し、ベトナムの土地が元の姿に戻るように引き続き努力を続ける」<とも述べた>。・・・
 この事実は米国ではタブーに近い。オバマ氏は謝罪こそしなかったが、大統領が言及した意味は大きい。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H5G_U6A520C1FF2000/
 (どちらも米国ではタブーに近い)枯葉剤≒原爆、(どちらも米国が支援した政権の消滅をもたらした)ベトナム戦争≒日米戦争、という形で、日本人に、自分の広島訪問の意味を読み解いて欲しい、というメッセージをオバマは発したんだよ。
 もう一つは、オバマが(日本がオランダから解放した)インドネシアと(日系人の多い)ハワイで幼少時代を送り、(米国を呪ったペーパーを書いた)ミシェルを結婚相手として選び、(米国における人種主義非難を続けてきた)ライト師を自分達の導師としてきたことを思い出せばいい。
 この点については、オバマやミシェルやライトについて私がかつて書いたことを振り返って欲しい。
 関連記事だ。↓
 <比較的まともなもの。↓>
 「・・・当の被爆者を含め、日本では今回のオバマ演説の評価が高く、「事実上の謝罪」とまで捉える向きが多い・・・」
http://diamond.jp/articles/-/92075
 <ピンボケのもの。
 (リンカーンのゲティスバーグ演説
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0%E6%BC%94%E8%AA%AC
http://www.genpaku.org/lincoln/lincoln01.html
が2分間だったのに、オバマの演説
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160528-00000987-fnn-int
は17分を超えた。それだけでアウト。)↓>
 「オバマ大統領「広島演説」は一大叙事詩だった 魂をゆさぶる、神がかり的なコミュ力 ・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e3%82%aa%e3%83%90%e3%83%9e%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%ef%bd%a2%e5%ba%83%e5%b3%b6%e6%bc%94%e8%aa%ac%ef%bd%a3%e3%81%af%e4%b8%80%e5%a4%a7%e5%8f%99%e4%ba%8b%e8%a9%a9%e3%81%a0%e3%81%a3%e3%81%9f-%e9%ad%82%e3%82%92%e3%82%86%e3%81%95%e3%81%b6%e3%82%8b%ef%bd%a4%e7%a5%9e%e3%81%8c%e3%81%8b%e3%82%8a%e7%9a%84%e3%81%aa%e3%82%b3%e3%83%9f%e3%83%a5%e5%8a%9b/ar-BBtCNUb?ocid=iehp#page=2
 <トランプは、オバマに、謝罪に行ったって知ってるぞ、だから、真珠湾攻撃に言及しなかったんだろ、と皮肉を言い、かつ、自分の支持者達へのリップサービスをしたわけだ。↓>
 Trump asks why Obama didn’t mention Pearl Harbor during Japan trip・・・
http://edition.cnn.com/2016/05/28/politics/donald-trump-criticizes-barack-obama-pearl-harbor/index.html
 <それに比して、いまだに原爆投下が日本を降伏させた説に未練を残すこのコラムニストには困ったもんだ。↓>
 ・・・A humble ambivalence may be the proper response to a horrifically destructive act undertaken in the name of avoiding even more destruction.・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/obama-and-hiroshimas-moral-lessons/2016/05/29/f4e949ec-2457-11e6-aa84-42391ba52c91_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-c%3Ahomepage%2Fstory
 <いずれにせよ、オバマに「徳」あり。↓>
 「オバマ大統領に抱き上げられた赤ちゃん、ピタリと泣き止む・・・」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/27/obama-baby_n_10176470.html
 <その「徳」は安倍チャンの「得」に。↓>
 「内閣支持率56%に上昇、サミット外交評価 ・・・世論調査・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016052901001509.html
 「・・・内閣支持5ポイント増49%・・・」
http://mainichi.jp/articles/20160530/k00/00m/010/038000c
<:G/PGa.V2>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 オバマさんの演説、「高邁(こうまい)な理由で暴力を正当化することはどれほど安易なことか」
http://www.sankei.com/premium/news/160527/prm1605270008-n3.html
なんていうフレーズを米国向けにいっているんですよね。
 真珠湾で核攻撃を正当化できないっていうようにも取れますが。
 「われわれは人類という一つの家族の仲間であるという根本的で必要な概念」
http://www.sankei.com/premium/news/160527/prm1605270008-n6.html
というようなところは、日本人が聞いても当たり前に思って何も響かないでしょうね。
 「広島と長崎の将来は、核戦争の夜明けとしてでなく、道徳的な目覚めの契機の場として知られるようになるだろう」
http://www.sankei.com/premium/news/160527/prm1605270008-n7.html
つまり、米国民は道徳的に目覚めなさいってことですよね。
 まだ全然、目覚めてないし。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 とにかく、マネできぬ天皇家、とりわけ美智子皇后。↓
 「被災地の両陛下「自分達が履く訳には・・・」とスリッパ脱がれる・・・」
http://www.news-postseven.com/archives/20120211_87099.html
 こいつはできのいい記事だ。↓
 「ユーモアか、暴走か 三島由紀夫賞・蓮實重彦氏の“チョー不機嫌”・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e3%83%a6%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%81%8b%e3%80%81%e6%9a%b4%e8%b5%b0%e3%81%8b-%e4%b8%89%e5%b3%b6%e7%94%b1%e7%b4%80%e5%a4%ab%e8%b3%9e%e3%83%bb%e8%93%ae%e5%af%a6%e9%87%8d%e5%bd%a6%e6%b0%8f%e3%81%ae%e2%80%9c%e3%83%81%e3%83%a7%e3%83%bc%e4%b8%8d%e6%a9%9f%e5%ab%8c%e2%80%9d/ar-BBtBShh?ocid=iehp#page=2
 NHK大河ドラマ2題。↓
 「幸村、愛される武将 生き方にぐっとくる・・・」
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/aera/product/2016051800003.html?iref=comtop_fbox_d2_03
 「真田幸村の子「幸晴」、山口に漂着?息づく伝説に新資料・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5T3D1QJ5TTZNB005.html?rm=578
 本日の中共官民による日本礼賛記事群だ。↓
 <当局によるもの2篇。↓>
 「・・・捜狐は・・・中国の教育は日本に比べて「150年遅れている」とする記事を掲載した。非常に優れた対象と比較して5年、10年遅れていると表現することはあっても、記事が中国の教育の遅れを「150年」と表現したのはなぜだろうか。
 記事は今から約150年前である1872年に初編が出版された福沢諭吉の「学問のすゝめ」を取り上げている。福沢諭吉が「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と説くことによって「教育の公平性を強調した」と指摘したことを紹介し、学問のすゝめは一身独立して一国独立すると説いたが、この書とほぼ同じころに誕生した、中国の啓蒙思想家である梁啓超がこの書の影響を受けて「少年中国説」を著し、その中で「少年が聡ければ国も聡く、少年が富めれば国も富む」と説いたことを記事は紹介した。
 では現在の日本と中国の大学教育に、150年前に提唱されたこの精神は反映、あるいは実現しているだろうか。
 記事は日本には反映されていると説明、例えば日本の場合「受験生は受験したいと思う大学を、自由に受験できる」と指摘。偏差値に応じて自由に受験大学を選ぶことができ、中国のように戸籍所在地によって希望学部を受験できないという制限がない点で公平さが実現されていることを称賛した。
 また2015年における日本の大学生の就職率は96.7%であり、さらに大卒の初任給は非正規雇用の2倍に近いと紹介。日本においては「一身独立して一国独立する」の思想が大学教育において実現されているという見方を示した。
 一方で記事は、中国の大卒の就職状況は「楽観できない」と指摘。さらに「多くの大卒の初任給は農民工の月収に及ばない」と説明、さらに「これは世界的に見ても異常である」と指摘し、日本と比較しても大きな差があるという見方を示した。
 記事はこうした観点に立って日中の大学教育を比較、「中国の教育は日本に比べて150年遅れている」と論じた。つまり受験制度の公平さの点、また大学教育が国家の発展に貢献できる人材を育成する点、企業が大学教育を受けた人材を活用する点で、中国は150年前に提唱された重要な精神を日本のようには実践できていないと見ているようだ。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1610818/
 「・・・香港メディアの鳳凰網・・・記事で、中国人女性が感じたという中国と日本の習慣や環境の違いを説明し、日本旅行を考えている中国人読者に対して留意すべき点、また中国人女性が感動を覚えたという点を紹介している。
 記事は最初に「日本文化では人を急かすのは失礼な行為」と指摘。公共バス降車の際、日本人は運転手も乗客も他人を急かすことはせず「列に並び、ゆっくり降りる」ことを指摘。中国人にとっては「忍耐が必要」と指摘しつつも、「運転手は降りたい乗客を必ず降ろす」ので決して人を急かしてはいけないと説明した。
 さらに、幹線道路以外の道路には押しボタン式の信号が設置されているケースが多いと紹介、「初めて日本を訪れる多くの中国人はこの信号機の前で、信号が変わるのを泣くまで待つ」と説明。押しボタン式信号が設置されている中国の都市もあるが、まったくない都市もある。記事によれば多くの中国人はこの信号を知らないようだ。
 また記事はレジなどで「偽札かどうかを確認してはいけない」と紹介。日本にはほとんど偽札が出回っていないので、もし偽札かどうかを確認するなら「あなたは不誠実だ」というメッセージを相手に送ることになり、「大変失礼な行為になる」と説明する。中国ではほぼすべての人が、特に50元、100元紙幣を受け取る際に偽札かどうかを確認する。本物の紙幣かどうかを識別する装置を使用する店もあるほどで、それだけ多くの偽札が流通しているということだ。
 記事はさらにタクシー料金が高いためバスや電車を利用すべきことや、自転車は夜間点灯すること、靴を脱ぐ習慣があるため穴の開いた靴下を履くべきでないことも留意すべき点として取り上げた。
 その一方で中国人が非常に感動した点も紹介している。例えば読者に対し日本の駅弁を「味わってみることを強烈に薦める」と訴えかけ、中国の駅弁をはるかに超えたそのレベルの高さを絶賛している。また日本の公衆トイレの清潔さについては「常軌を逸している」と表現、中国の公衆トイレに見られる常識を覆しているという見方を示し、さらに「ぴかぴかしている」と清潔感を称賛した。
 さらに日本の水質について「深く感動した」と表現。髪を洗った後の滑らかさに「震えた」ため、「重くても大量の水を持って帰ろうと思った」とその時の感動を紹介している。これは硬水である中国と違い、日本の水が軟水であることが原因のようだ。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1610827/
 <当局と人民の合作によるもの1篇。↓>
 「・・・今日頭条・・・記事は、日本メディアの報道を引用し、日本旅行へ行った中国人の多くが、日本人男性は財布を後ろポケットに入れていて、しかもよく見えるため、「日本にはスリがいないのか」と驚くと紹介。実際のところ、日本にスリがいないわけではないが非常に少なく、犯罪率も低いと伝えた。
 これに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
 「日本とは確かにそういうところだ」「日本は治安が最も良い国の1つ」「全体的な民度ではまだまだ日本に追いつかないな」「実際には財布にお金は入っていなくて、財布のブランドを見せているだけだろう」「でもアジア大会でカメラを盗んだ日本人選手がいたことを忘れるな」「日本にだって泥棒はいるし、中国にも財布がポケットから見えている人もいる」「日本人の泥棒は中国に来てるんだよ。日本人は財布にあまりお金を入れないが、中国人の財布には現金がたっぷりだから」「いずれにしても、中国では絶対に財布を見せて歩いてはだめだ」「俺は毎日尻ポケットに財布を入れているが、盗られたことはないぞ。中国人全員がスリというわけではない」」
http://news.infoseek.co.jp/article/recordchina_RC_139998/
 ドローンによるタリバン最高指導者暗殺の際に巻き添えになった死んだタクシー運転手の家族が、米国を非難し、賠償請求。↓
 Family of driver killed in US strike on Taliban leader file criminal case・・・
http://www.theguardian.com/world/2016/may/29/family-of-driver-mohammad-azam-killed-in-us-strike-on-taliban-leader-mullah-mansoor-file-criminal-case
 米大統領選本選の勘所を詳細に論じた記事だ。
 (ついに、マジ、トランプ大統領の可能性を視野に入れたNYタイムス記事が。)↓
 Can Donald Trump Win? These Battleground Regions Will Decide・・・
http://www.nytimes.com/2016/05/30/us/politics/donald-trump-general-election-battleground.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=first-column-region&region=top-news&WT.nav=top-news&_r=0
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太田述正コラム#8428(2016.5.30)
<一財務官僚の先の大戦観(その40)>
→非公開