太田述正コラム#8264(2016.3.9)
<私の現在の事情(続x76)/20世紀欧州内戦(その1)>(2016.7.10公開)
           –私の現在の事情(続x76)–
 今年もインターネットで確定申告をしたのですが、作業の過程で、『女性セブン』から昨年の取材費が振り込まれていないことに気付いて、2月12日(金)の深夜に、私の自宅で取材をした女性記者にメールで注意喚起したら、すぐ、担当に聞いてみるという返事が届き、翌々日の日曜日に、謝罪と振り込みが 3月初旬になるという返事がありました。
 (このクレーム対応に関しては、週末であったことを考えればなおさらですが、文句のつけようがありません。)
 さて、昨日(3月8日)、同誌(小学館)からの郵便為替入りの封書がウチのポストに投函されていたので、本日朝、最寄りの郵便局で、生まれて初めて、郵便為替の換金をしました。
 大した金額でもないのに、券面に住所・氏名を書き、捺印しなければならず、面倒なものです。
 ずっと以前に、確か毎日新聞社の『エコノミスト』でも同様、取材費の支払い漏れがあってコラムに書いたことがあるのではないかと思いますが、小学館の『女性セブン』が、同種「事案」の2件目の栄誉に浴されたワケです。
 それにしても、上記の記者から、取材直後に聞かれてメールで振込先の銀行口座を教えてあったというのに、更には、最終場面で彼女に代わって私に対応したもう一人の(彼女の上司とおぼしき)女性記者からも再度振込先を聞かれ、二度目ですよ、と記しつつ、返事をしてあったというのに、支払うのを忘れてしまい、また、私からのクレーム後、(内部手続き等の理由があるのでしょうが、)手続きに時間がかかった上、振り込みではなく、面倒な郵便為替にした、のはいかがなものかと思います。
 私の対中共観を初めて活字にするという「偉業」を成し遂げた『女性セブン』だけに、しかも、女性達が活躍している職場だけに、このような対応は残念に思いました。
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           –20世紀欧州内戦(その1)–
1 始めに
 エンツォ・トラヴェルソ(Enzo Traverso)の『火と血–欧州内戦(Fire and Blood: The European Civil War)』(原著はフランス語で2007年出版)のさわりを書評群をもとにご紹介し、私のコメントを付します。
A:http://www.theguardian.com/books/2016/mar/04/fire-and-blood-the-european-civil-war-enzo-traverso-review
(書評・3月5日アクセス(以下同じ))
B:http://www.morningstaronline.co.uk/a-32a4-Challenging-account-of-a-conflict-that-is-yet-to-end#.VtqcfKzVyUk
C:http://www.popmatters.com/review/fire-and-blood-the-european-civil-war-1914-1945-by-enzo-traverso/
D:http://www.counterpunch.org/2016/02/19/fire-and-blood-socialism-or-barbarism/
 トラヴェルソ(1957年~)は、「歴史学者<であり、>ドイツ現代史、とくにホロコーストおよび全体主義の研究などが専門<で、イタリアの>ピエモンテ州ガヴィ<に>生まれ<、>ジェノバ大学卒業<後、>1985年にフランスに移住し、ピカルディ大学およびパリ社会科学高等研究院で教える。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%BD
という人物です。
 彼の父親は、戦後、共産党市長になった人物であり、トラヴェルソ自身、極左としての活動経歴があり、これまで、マルクス主義、第二次世界大戦、ナチ体制についての著作群をものしています。(B、C)
2 20世紀欧州内戦
 (1)序
 「・・・トラヴェルソは、<最近では>余り見られないところの、<20世紀前半の>数十年についての、欧州「内戦」、という展望を提供している。
 彼は、多かれ少なかれ、公然たる内乱(civil strife)が、ギリシャとユーゴスラヴィア、から、イタリア、フランス、そして、スペインにかけて、1930年代から1940年代にかけて、地中海周辺で展開した、と主張する。
 レジスタンスと人民戦線反ファシズム、や、合作(collaboration)の隠された諸歴史、の神話に包まれ、それは、戦後の政治文化に深い痕跡を残した。
 ギリシャでは、その残響音を、スィリザ(Syriza)<(注1)>がユーロ圏の力に対して、パルチザン達の英雄的記憶を空しく喚起した際に、70年後においても、なお、感じることができた。・・・」(A)
 (注1)ギリシャの改良主義左派政党。党首は、現在首相であるアレクシス・ツィプラス。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A5%E9%80%B2%E5%B7%A6%E6%B4%BE%E9%80%A3%E5%90%88
 「<なお、>この本は、・・・第一次世界大戦より前の植民地主義時代(colonialist period)は、全球的には平和と繁栄の時代ではなかったという点を指摘している。
 とはいえ、それは欧州の多くにとってはそのような時代ではあった。
 <当時は、>全ての諸戦争が、<欧州>外の諸場所で、植民地諸大国が、土着の人々と、(及び、時として、代理(proxy)を使って、或いは、直接、互いに、)戦う形で、これら諸植民地をコントロールするために、起こっていた。
 だから、2回の大戦争が<どちらも>世界大戦と呼ばれたのは、植民地<諸大国の>倨傲と傲慢が故に、欧州が「世界」であって、それと同時に、非欧州世界を、下位の非人間的範疇の絵でもって表現していたからだけに過ぎない。
 もちろん、残りの世界に与えられたレッテルは、「非文明的」であって非人間的ではなかったけれど、その含意は同じであったし、<現在も>同じであり続けている。・・・」(D)
(続く)