太田述正コラム#8542(2016.8.12)
<皆さんとディスカッション(続x3067)>
<太田>(ツイッターより)
 「…ポケモンGO…日本の神道思想が反映…イスラム世界で議論噴出 イランは…全面禁止へ…」
http://www.sankei.com/world/news/160811/wor1608110027-n1.html
 そんなバカな、千夜一夜物語のアラジンはどうしてくれる、と調べてみたら・・仏人による偽造だったー!
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%AD%94%E6%B3%95%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97
<wZa1.Crg>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 やはり<、太田さんが指摘するように、ヒトラーは、>世話になった人にきちんと報いる立派な人間なようですね。↓
 「ヒトラーがどうしても助けたかった唯一のユダヤ人とは?・・・
 ヒトラーの元上司であるエルンスト・ヘスは、母親がユダヤ人だった。・・・
 ヒトラーはゲシュタポに向けて、ヘスに手を出さないように命令する手紙を1940年8月に出していて、・・・保管されていた手紙には、「総統の意思によって救済と保護」するように要請されていた。」
http://maash.jp/archives/15042
≫第二に、ヒットラーのとった内政・対外政策は、ヒットラー個人の考えに基づいてというよりは、ヒットラー個人の考えとは大きく異なっていたところの、当時のドイツ国民の大多数の考えに基づいていた≪(コラム#8326。太田)
 ゴールドハーゲン等が当時のドイツ社会に問題点があるという方向性になってるようで、ヒトラーを普通の人間という捉え方は増えているようです。↓
 「学会の流れとしては、『ホロコーストが起こった要因について、歴史研究者の中では意見が2派に分かれた。
 「意図派」とは、ヒトラーないしナチ指導者が始めから意図していた結果であるとする説で、「機能派」とは、流動していく状況下で特に独ソ戦開始以来具体化されたとする説」
http://d.hatena.ne.jp/hizzz/mobile?guid=on&date=20090406§ion=p4
<七氏>(同上)
 太田さん。子どもへの人間主義の伝え方はなんでしょうか?
⇒ほっといても、基本的に人間主義者に育っていくメカニズムが社会全体に備わっているわけだけど、人間主義って一言で何だということであれば、「情けは人のためならず」・・もちろん、その正しい意味の方・・でしょうね。(太田)
 
<UTAT09u2>(同上)
 シンゴジラの映画評やってほしいです。
 太田さん的には自衛隊の兵器は実戦では使い物にならないと語っておられましたが、映画で描写されているように戦えるのかとか、途中でアメリカが強引に介入してくる感じとか感想をうかがってみたい。
 序盤で蒲田に上陸したゴジラが大田区を破壊しながら北上する場面も見どころです。
<七氏>(同上)
 この手の動き、活発化してるのか?そんな感じが。↓
 「防衛省が国産の水陸両用車の開発に着手へ 米国製より高性能化」
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/11875905/
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 議会証言と異なった回答をマッカーサーが寄越すハズがないし、そもそも「どちらが提案したか」などどうでもいい話であり、主権回復後も日本政府が9条改正を行おうとしないまま現在に至っている以上、日本政府、ひいては日本国民が9条を選択し続けたことに違いはない。
 それよか驚いたのは、教育学者であるはずの堀尾輝久が、こんな文脈の中で登場したことだ。
 (私は、当時、教育学部助教授だった堀尾さんの教育学概論の授業を、教養学部(駒場)でとった。その折、出席できない学生から頼まれ、先生の許可を得て一回目の授業を録音した(つもりだった)が、録音できておらず、また、やっぱり次回から録音は止めてくれと先生から言われた、というささやかだが忘れ難い思い出がある。
 で、調べてみたところ、先生、東大法の政治コース卒だったんだね。)↓
 「・・・九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。
 ・・・五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡を交わし<たところ、その書簡を>・・・堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。・・・
  マッカーサーから十五日付で返信があり、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」と明記。・・・史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016081290070313.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E5%B0%BE%E8%BC%9D%E4%B9%85
 思い出ついでにもう一つ。
 英国の不動産王、ウエストミンスター公爵が亡くなり、長子相続制でもって25歳の長男が、公爵の称号と共に、信託されているが故に殆ど相続税を払う必要がない、莫大な不動産を相続したが、その本拠たる不動産が、ロンドンの中心部のベルグレーヴィア(Belgravia)地区・・その隣、北にはハイドパーク、東にはバッキンガム宮殿と国会議事堂がある・・だ。
 なぜ、懐かしいかというと、私が「留学」した英国防大学(Royal College of Defence Studies)がこのベルグレーヴィア地区のシーフォード・ハウス(Seaford House)にあるからだ。↓
http://www.bbc.com/news/uk-37033862
 Inheritance tax: why the new Duke of Westminster will not pay billions・・・
https://www.theguardian.com/money/2016/aug/11/inheritance-tax-why-the-new-duke-of-westminster-will-not-pay-billions
http://www.da.mod.uk/Colleges-Business-Units/Royal-College-of-Defence-Studies/Seaford-House/Facilites
 しかしBrexitを見越して、ロンドンの不動産価格は下落中なので、新ウエストミンスター公爵も大変だろうね。↓
https://www.washingtonpost.com/world/europe/londons-lavishly-high-home-prices-take-a-brexit-hit/2016/08/08/371f5770-58ce-11e6-8b48-0cb344221131_story.html?hpid=hp_hp-more-top-stories_brexitecon910p%3Ahomepage%2Fstory
 それでは、中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
 <五輪での日本の強さには素直に脱帽してみせる。↓>
 「・・・騰訊は・・・「内村選手が何の懸念もなく金メダルを獲得した」と伝え、世界選手権6連覇、五輪では2大会連続の金メダルを獲得した内村選手に対し、「現在の体操界において、その地位に挑める選手など誰一人いない」と絶賛した。
 記事は、内村選手のリオ五輪までの輝かしい数々の実績を紹介したうえで、「内村選手と比較したうえで、中国代表の選手たちを責めるわけにはいかない」と指摘し、むしろ選手育成の体制や考え方を見直すべきであると主張。
 続けて、中国の選手たちの努力を認める一方で、「才能」という埋めようがない差があることは事実とし、19歳の時に北京五輪の個人総合で銀メダルを獲得し、それ以降世界のトップとして君臨し続ける内村選手に「どうやって追いつけと言うのか」と疑問を投げかけた。」
http://news.livedoor.com/article/detail/11880118/
 <五輪での日本の弱さにも温かい目を注いでみせる。↓>
 「・・・一点資訊はこのほど、福原選手は日本と中国の両国で愛される選手だと伝えつつ、中国で愛される理由を考察している。
 記事は、福原選手がリオデジャネイロ五輪の3位決定戦で惜しくも敗れた時、「中国の卓球ファンのほぼすべてが福原選手の結果を哀惜し、元気づけたいと思ったはずだ」と指摘し、中国人が福原選手を愛するのは「福原選手が泣き虫なところが心をくすぐる」ためであると論じた。
 さらに、中国卓球界の強さも理由の1つであるとし、卓球界に余裕と懐の深さがあるからこそ、挑戦者である福原選手を愛することができると主張。日本人は学ぶことに長けた民族であり、古くから強者に学び続けてきた民族であるとし、福原選手が中国で卓球の腕を磨いたこともそれを示す事例であると同時に、中国卓球界の強さを証左する事例であると論じた。
 つまり、福原選手の存在は中国人にとって中国卓球界の強さに対する自尊心を満たしてくれる存在であるとの見方を示し、こうした要素もあって中国人は福原選手を愛しているのだと論じた。」
http://news.searchina.net/id/1616259?page=1
 <よくある日本そのものの礼賛記事。↓>
 「・・・今日頭条はこのほど、中国人は「日本を小国と見なしてはならない」と主張する記事を掲載し、日本を正当に評価してこそ、正しい対日戦略を講じることができると論じた。
 記事は、日本の国土が中国に比べて小さいことを指摘したうえで、「中国人はこれまで日本を小日本と呼んできた」とする一方、欧州の英国やフランス、ドイツも領土としては決して大きくないことを指摘。日本だけを小日本として見下すことは矛盾していることを指摘した。・・・
 さらに記事は、日本は資源に乏しい国でありながらも世界有数の経済力を持つ国であることを指摘したうえで、小日本と見下したままでは日本について正しい対処ができないと指摘、「日本を上回るには相手を正当に評価したうえで、正しい見方に基いた正しい戦略が必要だ」と論じている。・・・」
http://news.searchina.net/id/1616245?page=1
 <使いまわしの日本礼賛記事。↓>
 「・・・微信はこのほど、日本在住の中国人女性の見解として、「日本は安全すぎる」と主張する記事を掲載、「日本はハンドバッグの口を開けたままでいても問題が起きない」と伝えている。
 記事は、中国人女性が日本に到着したばかりのころに「日本にはスリがいないため、手荷物を見張っている必要がない」という話を耳にしたと伝えつつ、その話は本当だと紹介。何度も電車に乗り、居眠りをしたが「一度も手荷物を盗まれたことがない」と紹介した。・・・
 さらに記事は、「日本を訪れた中国人が驚くのは、日本人が尻ポケットに長財布を入れ、財布がポケットからはみ出ていること」であるとし、こうした不用心な行動は中国では到底想像できず、中国ならばまず間違いなく盗まれると伝えた。
 続けて、日本の地下鉄プラットフォームで撮影したと見られる短時間の動画を掲載。映像には、ハンドバッグを持った若い女性が映っているが、そのハンドバッグは口が開いており、中身が見える状況となっている。・・・
 それでもバッグの中身が盗まれないことに対し、「日本は治安が良すぎる」と驚きを綴っている。」
http://news.livedoor.com/article/detail/11877068/
 <これもそう。↓>
 「・・・千趣はこのほど、日本の携帯電話の使用に関する習慣やマナーは独特であると伝えている。
 記事は、日本でこのほど、日本在住の外国人に対して、「携帯電話の使用に関する日本人の不思議な習慣」について尋ねた調査が行われたことを紹介。外国人から見ると、「食事中も携帯電話をいじっていること」、「勤務中における携帯電話の使用が厳しく制限されていること」、「歩きスマホをする人が多いこと」などが「不思議」に映っていることを紹介した。
 そのほか、日本人が「ハンズフリー通話」をしないこと、iPhoneユーザーが非常に多いこと、ゲームで遊ぶ大人が多いこと、公共交通機関で通話しないことも日本人の不思議な習慣として挙げられたことを紹介。一方で記事は、「通話やゲームの音で他人に迷惑をかけないという習慣はすばらしいものなのに、日本在住の外国人には理解できないようだ」と指摘した。」
http://news.searchina.net/id/1616243?page=1
 <これもまたそう。↓>
 「・・・中国青年網は・・・中国人がなかなか慣れることのできない日本の特殊な習慣について紹介する記事を掲載した。・・・
 記事が紹介したのは、「スイカに塩をかけて食べる」、「餃子もラーメンもお好み焼きも、みんなご飯と一緒に食べる」、「味噌汁を飲むのに匙を使わない」、「返信用ハガキにある『行』を『御中』に書き換える」、「食堂に1人席が設置されている」、「タオルが大好き」、「年賀状のやり取りをする」、「レジでお金を払うときに、トレーが出てくる」、「とにかく包装したがる」といったものだ。
 「タオルが大好き」というのは、特に女子学生のことを指して言っているようだ。記事は、女子学生たちがかわいい図柄が描かれた色とりどりのタオルを持っていて、新しい物を買うたびに学校へ持って行って友だちに見せると紹介。汗をかいた時、手を洗った時をはじめ、何かにつけてタオルで何かを拭っていると説明している。
 また、「包装」については、「食品は包装紙で包み、紙袋で包み、さらに手提げ袋に包む」、「はがきは1枚ごとに包む。1枚ごとだ」と紹介。さらに、雨が降った時には手提げ袋の外側に防水用の袋をかぶせてくれるサービスも見られると紹介した。」
http://news.searchina.net/id/1616194?page=1
 <ちょい目新しい部分のある日本礼賛記事。↓>
 「1日、気象庁が東京湾で巨大地震が発生したとする情報を誤って発信したことで、一時的に大きな混乱を引き起こした。・・・新華網は・・・この出来事について振り返るとともに、日本の地震速報体制に対する市民の姿勢などについて解説する記事を掲載した。
 記事は、気象庁が誤報を流したことで東京や千葉、埼玉、神奈川の一部鉄道が運転を一時中止するなどの影響が出たほか、携帯電話などの地震速報アプリが反応して多くの市民を驚かせたと紹介。しかし、気象庁が直ちに速報を取り消し、「雷による電気信号の干渉での誤作動の可能性がある」と理由を説明したことで、非常に大きなパニックには陥らなかったとした。
 また、日本のネット上では誤報に対して不満をこぼす人が多く見られた一方で、「地震の予知や警戒は難しいということを冷静に考える人もいた」と説明。・・・
 さらに、・・・整った防災教育体系、地震訓練の実施も、日本人を地震に対して冷静沈着にさせている<とし>、地震が発生して電車内が揺れたとしても、乗客が落ち着いて行動する素養を持っている・・・ことも併せて紹介した。」
http://news.searchina.net/id/1616267?page=1
 <日本への移住を奨励し始めた習ちゃん。↓>
 「網易はこのほど、日本を訪れる中国人は「日本の不動産価格の安さに驚く」と伝え、北京でマンション1部屋を購入するよりも「日本でアパートを一棟購入したほうが良い」と伝えている。
 記事は、日本で3階建て12部屋のアパートなら「1億円ほどあれば購入できる」と伝えつつ、すでに高止まりして上昇の余地が限られる北京や上海の不動産を購入するよりも、日本でアパートを購入して家賃収入を得たほうが投資としては魅力的であると論じた。
 続けて、日本と中国の間には歴史問題などは存在するとしながらも、「一衣帯水」の国同士であることは事実であり、実際に多くの中国人が日本に移民しているのも事実だと指摘。大気汚染が深刻な中国と異なり、日本には青い空と新鮮な空気があり、おいしい食べ物と心地良いサービスもあるとし、北京や上海など中国の主要都市よりも圧倒的に安い日本の不動産を購入しないのは損だと主張した。」
http://news.searchina.net/id/1616246?page=1
 期待通りに中共人民の対日意識が好転しつつある一方で、なかなか進まぬ日本再軍備/「独立」にいらつきつつ、そのバランスに苦慮している様が伝わってくるねえ。↓
 「・・・2016年8月11日、・・・沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島の北西約67キロの公海上で、中国漁船とギリシャ船籍の貨物船が衝突した。海上保安庁の巡視船が、海に投げ出されていた中国漁船の乗組員6人を救助した。 中国の各メディアもこの情報を伝えた。中国のネット上には「中国の海警船は何をしていた」「日本の巡視船が真っ先に駆け付けた。釣魚島(尖閣諸島の中国名)が日本のものだということが証明されてしまった」「中国人が自国の島近くで日本人に救助された。これは笑い話か」「人命救助に国籍は関係ない」「日本に感謝すべきだ」などの声が寄せられている。」
http://news.infoseek.co.jp/topics/recordchina_RC_147342
 「中国外務省の華春瑩・副報道局長は・・・「日本側が表した協力と人道主義精神を称賛する」とコメントした。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/11878909/
 失踪したマレーシア機、操縦者・・彼以外は全員急降下に伴う急速減圧で死亡と推定・・が最終的に海に軟着水(着陸)させ、残骸が発見されないように、基本的にそのままの形で水没するように図った、と確信を持って一人の専門家が推論。↓
http://www.spiegel.de/international/world/mh370-disappearance-that-fuselage-is-in-one-piece-says-expert-a-1107149.html
 対イラク戦争以来のアラブ世界の大混乱ぶりを描写したコラムだが、余りに長いので読まなかった。
 関心ある人はお読みあれ。↓
 ・・・ the catastrophe that has befallen the Arab World since the invasion of Iraq 13 years ago, leading to the rise of ISIS and a global refugee crisis.・・・
http://www.nytimes.com/interactive/2016/08/11/magazine/isis-middle-east-arab-spring-fractured-lands.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=second-column-region&region=top-news&WT.nav=top-news&_r=0
 もーマイッちゃうわー。↓
 「もう一度あの人に会いたい。渡航先で出会った野良犬はホテルの前でずっと彼女が出てくるのを待っていた。そして数か月後・・・やっぱりその犬は待ち続けていた!・・・」
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52222968.html
 そんなもんだったっけ?↓
 「・・・どんな・・・IQテストであっても、学業の面での成績を4割から5割程度の精度でしか予測できない・・・」
http://blogos.com/article/186695/
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太田述正コラム#8543(2016.8.12)
<一財務官僚の先の大戦観(その66)>
→非公開